【実施レポ】ピアノ指導に役立つ「音楽形式」の徹底研究~巣鴨・本多昌子先生~

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2006/02/09

20060209.jpgピティナ演奏研究委員 ステップオプション企画委員で東京芸術大学付属高校講師の本田昌子先生の講座が、東京音楽教材研究会主催により巣鴨の東音ホールで開かれた。今回はピティナ・ピアノステップの課題曲からバロック・古典.ロマン・近現代の4期の弾き方の相違などを解説してくださる指導者必見の講座なので、多くの参加がみられた。
冒頭、本田先生ご自身が"4期"の形式というものを初めて意識されたのはドイツ留学の時だったとのお話にふれられた。日本においての勉強ではただ漠然と弾くことはあっても意識したことはなく、留学時の試験で4期についての違いを聞かれてもうまく説明できなかったこと、この4期に関する知識は留学中ついてまわったとのことだった。時代を弾き分ける難しさは子供の頃からの意識が大切であるとの言葉は指導者にとって意議深いものであった。
第1期にあたるバロック期は舞曲の時代、この時代音楽が生まれた3つの柱として教会音楽、宮廷音楽、貴族のサロン音楽をあげられた。舞曲のひとつであるメヌエットは小さなステップの意味で足さばき軽やかな動きで強迫は3拍目にくる、また、装飾音符は前に出さない等の説明で"アンナ・マグダレーナのためのクラヴィーア小曲集"から演奏された。その他アルマンド、サラバンド、ミュゼット、ガボット、ポロネーズ等にもふれられた。
第2期はソナタ形式が確率された古典の時代、主題、提示 展開 コーダというローマの彫刻に見られるようなはっきりした形にとらわれ、形式を大切にした音楽であった。この形式がきちんとあてはまる作品はモーツアルトOp.545 とクーラウのソナチネOp55-1で、あとは例外ありとのことだった。また、和声進行が大切になるのでT.S.D.Tの構成では属7の和音を重く、主音は軽くに色分けして弾く等、演奏されながら説明された。また、この時代は楽器がピアノ・フオルテになってきた時であり、足踏みペダルではなくひざのペダルが機能としてついていたとのことであった。これは左の伴奏のみ響かせるもので、右のメロデイは響かないとのこと、現代の楽器は両方響いてしまうので要注意!左は第5指を少し残す"指ペダル"を使用するとよいとのことだった。
第三期はロマン派の時代、形式にとらわれず自由に表現され、市民階級の台頭、産業革命、一般家庭にピアノが普及されるなどめざましい変化のときだった。シューマンのOp.68"メロデイ"から音と音をつなげるレガート奏法の大切さチャイコフスキーOp39"朝の祈り"でペダリングの後踏み、ショパンのワルツでは同時ペダル、音を継続するのではない長いトリルでは音楽の起伏を表す等にふれられた。
近現代は作曲家が直接描いたものを楽譜から読み取り、着実に弾くとのことで、邦人作品 香月修"スペイン風のワルツ"中村佐和子"ドラムのお兄さん"三善晃"波のアラベスク"」を演奏された。
ピアノを指導することでいつも4つの時代を旅する雄大な気分に浸ることができた講座だった。最後に百聞は一見にしかず、でバロック期のステップのビデオ鑑賞をして第4期にわたる『音楽形式』の旅を終了した。(Report:宮本聖子)


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