◆ 当日のレポート
33日(水)11:00-【声楽】 谷口睦美(メゾソプラノ)
共演:五味こずえ(ピアノ)
2009年度最後のミュージックブランチは、メゾソプラノの谷口睦美さん&ピアノの五味こずえさん。2009年度の締め括りに相応しい、堂々とした歌声と満員の会場が一体となった公演となりました。谷口さんの程良く力の抜けたトークで、客席との距離は一気に縮まり常に会場は笑顔に包まれていました。
1曲目は、グサン マルトハルトノの「ブワンガン ソロ」。今日では民謡のように親しまれているというこの曲は、初めてこの曲を聴く人の耳にもすんなりと入り、谷口さんの柔らかい歌心に会場の雰囲気が和みました。2曲目は皆さんご存じの「浜辺の歌」。この曲を聴き、懐かしい思い出が心に浮かんだ人も多かったと思います。続いてヘンデルを2曲、「オンブラマイフ」では朗々とした豊かな歌声を響かせてくださいました。歌劇『ジュリアスシーザー』より「私は嘆きます」では女王クレオパトラになりきって超絶技巧を歌いあげます。そして谷口さんご自身の田舎と重ねることができ『大好きな曲』と語ってくださった中田喜直の「あなたとわたし」は、優しく語りかけるような声が印象的でした。 ミュージックブランチ 谷口睦美さん 團伊玖磨の「花の街」も懐かしく、目頭が熱くなったお客様も多かったことでしょう。日本歌曲が続き、益々会場からは親しみの眼差しが注がれ、いよいよ最後のロッシーニの歌劇『チェネレントラ』より「悲しみと涙に生まれ育ち」。コロコロと昇り降りする素晴しい技巧に、会場からは盛大な拍手喝采が贈られました。
アンコールには、「今後この曲をどれだけ歌うのだろう」という谷口さんにとって大切な一曲、ビゼーの『カルメン』より「ハバネラ」を歌ってくださいました。進化し続ける谷口さんのハバネラを、またどこかで聴けるのが楽しみです。ご来場くださいました皆さま、1年間ありがとうございました。

2010年度、最初のミュージックブランチは5月11日(火)です。次年度より開演時間が10:30に変更いたします。今後ともミュージックブランチを、どうぞよろしくお願い致します!



210日(水)11:00-【鍵盤】 高橋 多佳子(ピアノ)

2月10日(水)、第11回目のミュージックブランチはピアノ独奏。今年はショパンの生誕200周年ということで、ショパン演奏第一人者である高橋多佳子さんの演奏でショパンの世界に浸ります。39年のショパンの人生を45分間に凝縮して、演奏とトークを展開してくださいました。

まず1曲目は、ショパンが7歳のときに作曲し、現存する最初の作品という≪ポロネーズ 第11番 ト短調 遺作≫。わずか7歳のときの作品とは思えないほど大人びた曲想で、会場をぐっと惹きつけます。続く≪練習曲 作品10?12「革命」≫では、熱く激しい指さばきが印象的で、ショパンが『革命』に対して抱いていた想いについても語ってくださいました。≪ワルツ 第1番≫では、先程の情熱的な演奏とは対照的に、華麗な響きとリズムで当時の優雅な踊りが思い起こされました。あっという間にショパンは28歳になり、≪24の前奏曲より 第15番「雨だれ」≫の演奏。ショパンのドラマティックな恋愛ストーリーを聞いて会場の空気もうっとり...。誰もが自らの体験と重ね合わせて、思い思いのイメージを膨らませたことでしょう。

杉並レポート

終盤に差し掛かったところで、テクニック的にも音楽的にも演奏するのが困難な≪舟歌 嬰ヘ長調 作品60≫の演奏。その美しいメロディの裏にある切なく哀しいリズムに、会場の集中力は最高潮に達しました。あっという間に過ぎてしまった時間を惜しみつつ、最後に≪ポロネーズ 第6番 変イ長調 作品53≫をエネルギッシュに演奏してくださいました。ショパンの最もメジャーな曲だけあって、満員の会場からは盛大な拍手が贈られ、温かい雰囲気で幕を閉じました。

次回の3月3日(水)の公演で、本年度のミュージックブランチは終了となります。メゾソプラノの谷口睦美さんの春を誘うような歌声を、是非聴きにいらしてください!来年度のミュージックブランチもお楽しみに!



17日(木)11:00-【弦楽】 後藤 悠仁(ヴィオラ/日本フィル首席)
共演:清水 将仁(ピアノ)

 1月7日(木)、新年最初のミュージックブランチは「ヴィオラとピアノ」で幕を開けました。ヴィオラは日本フィルハーモニー交響楽団、杉並在住の後藤悠仁さん、ピアノは清水将仁さんをお迎えしてのコンサートとなりました。

 最初はイングランドの民謡「グリーンスリーブス」で始まりました。そしてマラン・マレの「5つの古いフランス舞曲」。ロンドは、楽しいことが始まるような、新春にふさわしい明るい曲でした。続くMCの中ではスペインの伝統音楽「バスク」を演奏してくだいました。ヴィオラの演奏に合わせて、観客の手拍子も入り、演奏者と観客が一体となったステージに皆さん大満足。後半はシューマンの「おとぎの絵本」で、会場はすっかりヴィオラの魅力に引き込まれていました。後藤さんによる楽器の解説では、普段親しみのないヴィオラという楽器を知る良い機会となりました。 ときおり冗談を交えた解説に、観客からは笑いがこぼれていました。最後はウェーバーの「アンダンテとハンガリー風ロンド」。明るく元気な部分があったり、激しい部分があったりと、ヴィオラの音色の幅広さに、会場は終始くぎづけ。曲が終了すると同時に、盛大な拍手が送られました。なりやまない拍手の中、アンコールはサンサーンスの動物の謝肉祭より「白鳥」。ヴィオラとピアノの美しい音色に誰もが聴き惚れる、素晴らしいステージでした。
 素朴なヴィオラの魅力を最大限に楽しめるコンサートとなりました。
 次回のミュージックブランチは、2月10日(水)。生誕200周年を迎えるショパンの名曲の数々を、ピアニスト高橋多佳子さんが演奏してくださいます。お楽しみに!

(レポート:昭和音楽大学3年 斉藤薫)



123日(木)11:00-【声楽】 村上 敏明(テノール/藤原歌劇団)
共演:藤原 藍子(ピアノ)

 12月3日(木)、第9回ミュージック・ブランチは、藤原歌劇団テノール歌手の村上敏明さんとピアニストの藤原藍子さんをお迎えして開催しました。

 まず1曲目は、クルティスの「帰れソレントへ」。この曲はソレントに捧げられた代表的なナポリ民謡(カンツォーネ)の一つだそうで、ソレントの美しい自然と一人の男性の恋心を描いたものです。また、村上さんがご自身の足の側面をイタリアの地理(長靴型ですね)に見立て、しばらく片足立ちでユニークに説明されていたのが印象的で、会場の雰囲気も和みました。2曲目もカンツォーネで、コットラウの「サンタ・ルチア」でした。「サンタ・ルチア」とは、守護聖女を意味しています。1曲目と変わって軽快な曲でした。そして、「演奏終わりには騒いでほしい!」ということで、男性に対してなら「ブラーボ!」、女性に対してなら「ブラーバ!」、両方なら「ブラービ!」の掛け声講座もしてくださいました。3曲目のカルディッロの「つれない心(カタリ・カタリ)」の後には拍手と共に、村上さんが教えてくださった「ブラーボ!」「ブラーバ!」「ブラービ!」の声が客席から沢山聞こえました。お客さんのその反応の速さに、村上さんも思わず笑みをこぼしていらっしゃいました。会場が賑やかになったところで、今度は藤原さんのピアノソロ、ドビュッシーの「アラベスク」です。この曲はアラビア風をイメージして作曲されています。繊細な旋律がホール全体を包み込みました。

ミュージックブランチレポート

 今度は日本歌曲を2曲。川口耕平「よかった」と小林秀雄「落葉松」です。これまでの外国語の歌と違い、曲と歌詞の意味の両方をかみ締めて聴くことができました。特に「よかった」は村上さんが大切にしている曲だそうで、とてもよく伝わってきました。 後半は再びピアノソロで、マスカーニのオペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲。そして、村上さんのプッチーニのオペラ「トスカ」より「星は光りぬ」、最後はプッチーニのオペラ「トゥーランドット」より「誰も寝てはならぬ」と続き、壮大なメロディと村上さんの歌声に、誰もが心奪われた瞬間でした。

 アンコールは皆さんご存知の「オー・ソレ・ミオ」。沢山の「ブラーボ!」「ブラーバ!」「ブラービ!」の声で会場は沸きあがり、名残惜しい45分間の幕を閉じました。年の瀬の朝も優雅に、情熱のテノールをたっぷりと味わうことができました。



1110日(火)11:00-【古楽】 浜中 康子(バロック・ダンス)
共演:伊藤 誠(バロック・ヴァイオリン)、上尾 直毅(チェンバロ)

 11月10日(火)、第8回目のミュージック・ブランチは「バロック・ダンス」。バロック時代の、宮廷舞踏を紹介する華麗なステージとなりました。バロック・ダンスに浜中康子さん、バロック・ヴァイオリンに伊藤誠さん、チェンバロに上尾直毅さん、さらに3人のダンサーをお迎えして開催しました。
 前半は宮廷用のダンスでした。オープニングは誰もが一度は耳にした事のあるペツォールトのメヌエット。バロック時代の美しい衣装を着ての登場に、会場全体は一気に魅了されました。続く浜中さんのお話の中では、配布された舞踏譜を実際に再現してくださり、舞踏譜とステージ上の踊りを照らし合わせて、目でも楽しむことができました。まるで絵のような舞踏譜には、踊る人の道筋の図形、ステップの印、音楽の楽譜の3つの情報のが含まれているそうです。続くリュリ、カンプラの曲での軽やかな舞を堪能した後、キノー「国王のガヴォット」では、4人のダンサーによる豪華なステージで、当時の宮廷の様子が浮かび上がってくるようでした。

 後半は動きの変化が早い、より技巧的な劇場用のダンスを披露してくださいました。デマレのパッサカリアは、大変美しく、まるで絵画から抜け出したようなステージに皆さんうっとり。優雅なバロック・ダンスの世界にすっかり惹き込まれていたようです。
 バロック・ダンスのステージの合間に、チェンバロのソロ、バロック・ヴァイオリンのソロをそれぞれ聴くことができました。クープランの「パッサカーユ」、バッハ「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ」の美しい音色が響き渡り、古楽器の繊細で素朴な音色に、会場中が聴き入っていました。最後のコレルリの「スペインのフォリア」はときおり歓声も漏れるほどの素晴らしいステージでした。満場の会場からは、盛大な拍手が送られ、アンコールはバッハの「G線上のアリア」で幕を閉じました。華麗なダンス、色とりどりの衣装、そして洗練された宮廷音楽。バロック・ダンスの魅力が溢れるコンサートとなりました。

(レポート:昭和音楽大学3年 斉藤薫)



106日(火)11:00-【管楽】 福川 伸陽(ホルン/日本フィル首席)
共演:大堀 晴津子(ピアノ)

 10月6日(火)、第7回目のミュージック・ブランチは「ホルンとピアノ」。日本フィルハーモニー交響楽団主席ホルン奏者の福川伸陽さんとピアニストの大堀晴津子さんをお迎えして開催しました。いよいよ秋シーズンの幕開けです。

 ホルンの無伴奏ソロ、メシアンの渓谷から星々へより「恒星の呼び声」で始まりました。2曲目はナチュラルホルンを使用した、ベートーヴェンの「ホルンソナタOp17」。ナチュラルホルンとは、1本の管から作られているキーが無いホルンで、唇と息の圧力とベルの中に入れた右手で音程を変えます。福川さんのわかりやすい解説に、皆様真剣に耳を傾けていらっしゃいました。次いでプーランクの「エレジー ~デニス・ブレインの思い出に捧ぐ」。この曲は伝説のホルン奏者と言われ、またプーランクの親友でもあるデニス・ブレインが亡くなったときに彼を偲んで書かれたものです。自動車事故で亡くなったことから、自動車のブレーキを表現した音が入っています。打ちひしがれる苦しみ、哀しみが深く表現されていました。グリエールの「ノクターン」ではしっとりと。アルペジオのようなかっこいい伴奏と、メロディックな旋律に会場は優しい空気に包まれました。 最後は保科洋の「巫女の踊り」。ゆっくりとした舞曲からリズミカルな変拍子。日本的な部分を感じられる曲でした。公演時間を越えても鳴り止まない拍手に包まれ、「もしお時間があれば、ラプソディ・イン・ブルーを・・・」と福川さん。最後はガーシュインの名曲を熱演され、70分ノンストップで行われたコンサートが幕を閉じました。

 次回のミュージック・ブランチは11月10日、「バロック時代の、華麗なる宮廷舞踏と音楽への誘い!」です。皆さんは「バロック・ダンス」をご存知ですか?宮廷の優雅な気分を一緒に味わいましょう!

(レポート:昭和音楽大学3年 北野恵)



94日(水)11:00-【声楽】 与那城 敬(バリトン/東京二期会)
共演:山口 陽子(ピアノ)

声楽界のプリンスと追う、心なごむ初秋のメロディー!

 第6回ミュージックブランチ、夏シーズンの最後は「歌とピアノ」。9月4日(金)、東京ニ期会バリトン歌手の与那城敬さんとピアニスト山口陽子さんをお迎えして開催しました。

 早々からほぼ満席となりお客様の期待感が高まる中、与那城さんが颯爽と登場。「荒城の月」(滝廉太郎)と与那城さん自らのご挨拶で始まりました。そして、「朧月夜」(岡野貞一)、「ひぐらし」(團伊玖磨)、「赤とんぼ」(山田耕作)と代表的な日本歌曲が続き、初秋の日本の情緒を堪能しました。続く「松島音頭」(山田耕作)で、雰囲気は一転。明朗な迫力のあるバリトンの歌声が会場に響き渡り、客席から歓声があがりました。

 中盤は、ヘンデルの「オンブラ・マイ・フ」。そして、グノー、シューベルト、マスカーニの「アヴェ・マリア」が3曲。しっとりと落ち着いた歌声に、会場も夢心地に・・・。

 後半は、ヴェルディの「お前こそ心を汚す者~仮面舞踏会より」と、ビゼーの「闘牛士の歌~カルメンより」。バリトン歌手の十八番ともいうべき2曲に、会場より歓声と盛大な拍手が沸き起こりました。

 アンコールは「カタリカタリ」(カルディッロ)を。鳴り止まない拍手に、与那城さんは再度舞台にてご挨拶され、終演。まだまだ興奮冷めやらぬロビーには、お客様とお1人ずつご挨拶する与那城さん、山口さんお二人のお姿が見られました。

 開演前、与那城さんからお客様に、このようなメッセージがおくられました。

 「最近、歌うことの難しさをとても感じるようになりました。
 テクニック的な向上心を持ち続けながら、理論ではなく、"心からの歌"を歌うこと。
 呼吸の前に感じた感情を、ストレートに声に乗せていく大切さ。
 有りのままの自分を認めて、そのままで居ることの大切さ。
 今の自分を否定して、新たな自分を発見していくことの大切さ。
 これからもずっと自分と戦っていくことなのだろうと思います。
 辛くもあり、楽しくもあり、幸せなことです。
 尊い芸術に敬意を払いつつ、自分の「歌の道」を見つけて行きたいと思っています。」

 そんな与那城さんの思いを、間近で感じることのできたコンサートとなりました。

(レポート:屋代美由紀)



85日(水)11:00-【鍵盤】  黒田 亜樹(ピアノ)
共演:本多 昌子(連弾)、神田英姫(ダンス)

ダンス・ダンス・ダンス!世界の踊りをピアノの音色で!

 8月5日(水)、第5回目となったミュージックブランチ。今回は「ダンス!ダンス!ダンス!」と称して、イタリア在住のピアニスト黒田亜樹さんとその仲間たちによる、ピアノソロ、連弾、ダンス、ヴァイオリンと、いろとりどりのステージとなりました。
 まず最初は、黒田さんのソロのダンス。アルべニスの「タンゴ」、ピアソラの「リベルタンゴ」。スペインそしてアルゼンチンのタンゴの音楽に一気にお客様のこころをつかみとりました。3曲目では世界中で愛されている「黒猫のタンゴ」とタンゴの代表曲である「ラ・クンパルシータ(仮装行列)」。黒田さんご自身のアレンジを存分に楽しむ事ができました。
 そして後半は、アンサンブルのダンス。まずブラームスの「ハンガリー舞曲第5番」では、杉並在住のピアニスト本多昌子さんと息のあった連弾を披露していただき、続いて、変わり者と称されたサティが作曲した「風変わりな美女」では、会場には不思議な雰囲気に包まれました。
続いて、ピアノで披露されるのはめずらしい、ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」では、神田英姫さんのダンスとともに、繊細な和声の色彩感を表現されました。
最後はピアソラの「アディオス・ノニーノ」で再びタンゴに戻り、プラグラムは終了。
満場の聴衆からの鳴りやまぬ拍手にお応えしてくださったアンコールでは、元Gクレフの渡邉剛さんが飛び入り参加。きらきら輝くヴァイオリンの音色とともに、神田英姫さんのダイナミックなダンスという贅沢なトリオの「黒い瞳」で、終演となりました。
 演奏の合間のトークでは黒田さんの笑顔とともに、たくさんの聴衆の笑顔を拝見することができました。
 今回、演奏してくださった黒田さんは、8月28日(金)に開催される「ピアノ300年記念コン サート」でも、ピアソラの「リベルタンゴ」など3曲を披露してくださいます。こちらも楽しみです。

(レポーター:東京音楽大学3年 西山安里)



78日(水)11:00-【弦楽】  篠崎 史紀(ヴァイオリン)
共演:前山 仁美(ピアノ)

ヴァイオリンとピアノのデュオ、さまざまな魅力

  「ミュージック・ブランチ」の4回目は、再び「ヴァイオリンとピアノ」。
 7月8日(水)、NHK交響楽団コンサートマスターで「まろ」の愛称で親しまれている篠崎史紀さんと、2006年ピティナ・グランプリの前山仁美さんをお迎えしました。一昨年のラ・フォル・ジュルネのエリアコンサートでの初共演をきっかけに、多数のステージを共演しているお2人の息の合ったデュオ。今日のステージでも、「デュオ」のさまざまな魅力を表現していただきました。 前半は、シューベルトのヴァイオリン・ソナタ。あえて"デュオ"と名づけられたこの曲の、ヴァイオリンとピアノの均衡のとれた掛け合いにより、2人の明るく幸福感あふれる世界が広がりました。 後半は、篠崎さんのトークとともに、ヴァイオリンの魅力を引き立てている小品の数々が演奏されました。エルガーの「愛の挨拶」では、優美なデュオ。コゼックの「ガヴォット」では、前山さんの即興伴奏を交えながら、軽快な踊りのデュオ。サラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」では、情熱あふれる劇的なデュオ。そして、アンコールは、モンティ「チャールダーシュ」。ジプシー風の哀愁と激しさをもつスリリングなデュオで幕を閉じました。
 次回のミュージック・ブランチは、黒田亜樹先生による、ピアノとダンスのコラボレーション。お楽しみに!



610日(水)11:00-【声楽】  砂川 涼子(ソプラノ/藤原歌劇団)
共演:藤原 藍子(ピアノ)

流麗なベルカントで味わう,ソプラノ・アリアの名曲

 「ヴァイオリンとピアノ」「朗読とピアノ」に続き、 「ミュージック・ブランチ」の3回目は、「歌とピアノ」。6月10日(火)、藤原歌劇団の砂川涼子さんと、同じく藤原歌劇団の伴奏ピアニストの藤原藍子さんをお迎えして開催されました。
 「この道」(山田耕筰)、「ねむの木の子守歌」(山本正美)の日本の歌で始まり、穏やかな雰囲気につつまれました。続いて、ドナウディの「ああ、愛する人の」、ロッシーニの「フィレンツェの花売り娘」の親しみのある歌曲。そして、藤原さんによる「月の光」「子犬のワルツ」でピアノの音色を挟みながら、人気オペラのソプラノ・アリアで、クライマックスを迎えました。プッチーニの「私の名はミミ~ラ・ボエームより」、グノーの「宝石の歌~ファウストより」の砂川さんの流麗なベルカントに、会場からは歓声もきかれました。
 会場からの熱いアンコールには、沖縄宮古島民謡から「ばんがむり」、レハールのオペレッタ「メリー・ウィドウ」より「ヴィリアの歌」で応えていただきました。

 終演後の砂川さんからコメント:「コンサートでは、たくさんの方から、いいコンサートだったとのお声を頂きました。皆さんに喜んで頂けて、とても嬉しく思います。私自身、歌う喜びを感じることができたひと時でした。」

 次回は、7月8日(水)11:00より、篠崎 史紀(N響コンサートマスター)&前山 仁美(ピティナ・グランプリ)のデュオ。曲目は、シューベルト:ヴァイオリン・ソナタD574 "デュオ"、エルガー:愛の挨拶、サラサーテ:ツィゴイネルワイゼンほか。「ヴァイオリンとピアノの"デュオ"さまざまな魅力」を、お楽しみください。



58日(水)11:00-【鍵盤】 青柳 いづみこ(ピアノ&朗読)

「天使のピアノ」をテーマに、ピアノと朗読

 雷も響いていた大雨も上がり、開演直前のロビーに、明るい光が差し込んだ。「天使のピアノ」をテーマにした「ミュージック・ブランチ」の2回目は、5月8日(金)、ピアニストであり文筆家の青柳いづみこさんをお迎えして開催された。
 オープニングは、クープランの「百合の花ひらく」「葦」。続いて、チャイコフスキー「子供のためのアルバム」から、「朝の祈り」「お母さん」「フランスの古い歌」「ポルカ」「楽しい夢」「ひばりの歌」のピアノと、「天使のピアノ」の所有者だった石井筆子の再話によるアンデルセン童話の朗読を交互にはさみながら、音楽芝居を披露された。続くピエルネ「昔の歌」では、ご自身が書かれた「感覚指数」も朗読された。
 後半は、ドビュッシー「月の光」をはさみ、2曲の子守唄「子守歌/ラザール・レヴィ」、「ねむの木の子守歌/山本正美作曲・小原孝編曲」のピアノで、満場の聴衆を癒しの世界へ。
 「天使のピアノ」にまつわる美智子皇后陛下のエピソード、青柳いづみこさんの思いに触れた来場者たち。終演後のロビーは、国内最古級のアップライト・ピアノ「天使のピアノ」のやさしい音色を求め、収録CDを手にする方々でにぎわっていた。

☆『天使のピアノ』:東京・国立市にある知的障害者の福祉施設・滝乃川学園に眠っていた国内最古級のアップライト・ピアノ。初代園長・石井亮一の妻で、知的障害児の保護・教育・自立に奔走した石井筆子が日々愛用していたこのピアノは、正面に天使のエンブレムがついていることからこの名で呼ばれる。『天使のピアノ/青柳いづみこ』(CMCD-28168)では、滝乃川学園のチャペルで収録された『天使のピアノ』のやさしい音色を聴くことができる。



42日(水)11:00-【弦楽】 藤原 浜雄(ヴァイオリン)
共演:三上 桂子(ピアノ)

春満開のミュージック・ブランチ1回目を開催!

 ピティナと杉並公会堂小ホールの共催企画「ミュージック・ブランチ」が、4月2日(木)よりスタートした。シリーズ第1回目は、読売交響楽団コンサートマスターの藤原浜雄氏(ヴァイオリン)と、奥様でありピアニストの三上桂子氏との共演。曲目は、ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ「春」、ミヨーの「プランタン」、宮城道雄の「春の海」、ヨハン・シュトラウス2世の「春の声」と、「春」をテーマにしたプログラミング。アンコール曲も、島津秀雄編「さくら」で結ばれた。
杉並在住の藤原氏にとって、杉並公会堂がリニューアルされて以降、杉並公会堂での初ステージに。1曲1曲にトークをはさみ、時にユーモアで会場を沸かせながら、ドイツ、フランス、日本の「春」を案内され、満場の聴衆は、思い思いにコンサート会場での「花鑑賞」を楽しんだ。特に、お琴や尺八の音色で耳馴染みの「春の海」「さくら」の、ヴァイオリン&ピアノの響きに、満場の聴衆からひと際大きな拍手がおくられた。

【GoogleAdsense】