Interview ....................
ピアノデュオ ドゥオール ピティナと各地のホールとで提携して開催するコンサート。
今回は、名古屋の宗次ホールで、出演者と地元支部が共同で企画する「休日の音楽鑑賞シリーズ」の第1回目を、11月22日に開催することになりました。
そこで、今回の出演者である「ピアノデュオ ドゥオール(藤井隆史&白水芳枝)」のお2人に、インタビューをいたしました。



─ 今回のテーマは、「壮大な響きを持つ"グランドピアノ"の魅力」ということですが、モーツァルトのオペラやブラームスの交響曲で、本来"オーケストラ"が奏でる部分を、"グランドピアノ"で聴けるというのが、今回の聴きどころの1つですね。

皆様も聴いたり、弾いたりされているアンサンブルの形「ピアノデュオ」を専門として、私たちドゥオールは活動しています。ピアノデュオのオリジナル曲でも、素晴らしい作品はたくさんありますが、「なぜ多くの作曲家が、何十人も必要とするオーケストラの作品を、ピアノデュオの形に編曲したのか」という点に興味を持ち、オーケストラ作品のピアノデュオ版の演奏も手掛けたいと思うようになりました。

オーケストラを聴けるような大ホールが今のように各地になく、電車や飛行機など交通網が今日ほど発達していなかった時代、CDもインターネットもテレビもなく、なかなかオーケストラの演奏を聴く機会がなかった時代に思いを馳せると、「家庭にあるピアノで二人のピアニストによって演奏することが出来れば、オーケストラ作品を一人でも多くの方に聴いてもらえるのではないか」というのが、多くの作曲家の共通した意思だったと思われます。

ですから、当時は、ピアノ1台4手連弾で聴いたオペラやオーケストラのための作品が、生涯でたった一度の「オーケストラ体験」だったという方も少なくなかったでしょうし、そこに「オーケストラで聴きたかったなあ」という想いは存在せず、ピアノという楽器としての響きに純粋に耳を傾けていたと思うのです。
作曲家たちは、ピアノという楽器があらゆる響きや感情を表現できる「魔法の楽器」であることを、よく知っていたのですね。

─ なるほど。オーケストラ体験が身近な現代の子どもたちにとっては、逆に「ピアノ」でのオーケストラ体験は、「魔法の楽器」としてのピアノの魅力を存分に浴びることのできる、貴重な体験になりますね。

100年、200年、300年と弾き継がれ、聴き継がれてきたクラシック音楽。それだけ長い歴史を持つ音楽ですから、その間、社交界の華やかな時代があり、悲しい戦争の影があり、食べ物や生活スタイルの変化と共に感情表現が変化し、それを音楽に自由に表現できるようになっていったことも、それぞれの時代の音楽から感じ取ることができます。「歴史」を耳から感じ取ることができるのも、クラシック音楽の素晴らしさのひとつですね。

─ 「クラシック音楽には、長い歴史がある」ということ、そんな財産を、今こうして私たちが引き継いで享受しているということを、コンサートを通して感じてもらえたらうれしいですね。

演奏する際にその時代背景や生活ぶり、人間の感情など、音楽の土台となっている様々な要素を知り、想像することが必要になってきます。そうすることで、その時代に合った音や音楽を求めるようになりますので、人の心に届く、より生きた音楽になると考えています。

曲名が「ソナタ」「フーガ」といった形式のものから、ロマン派以降になると、その曲のタイトルを見ただけで、曲のイメージがしやすい作品が増えていきます。それだけ、音楽がより人々の実生活に近く、作曲家もその時々の感情や経験を、そのまま音として、お手紙のように残すことが自由な時代になったわけですね。

素晴らしい作曲家であればあるほど、連弾なら連弾にふさわしい音楽、2台ピアノなら、その特徴を活かした音楽を作曲、または編曲できてしまうのですから、そんな作品を残してくれた作曲家の皆さんに、演奏者は感謝しなければいけません!

─ 最後におひとこと、お願いします。

宗次ホール オペラ作品を連弾で聴くと、どのように感じる?また、2台ピアノに編曲した作曲家の意図は?逆に、今聴いている連弾をオーケストラによって弾かれたら、どんな響きになるだろう?と想像していくことで、ピアノの可能性、音楽の広がりが生まれるのではないか、と感じています。今回はそのような視点で、プログラム作りを進めています。

二人のピアニストのソロ、ソロで著名な作品が2台ピアノではどのようなアンサンブルになるのか、違う個性が連弾や2台ピアノではどのような表情を見せるのか・・
今では世界に誇れる音楽ホールがたくさんあるこの日本、その中でも「音が降ってくる」かのような宗次ホールで、皆様の意欲の源である「ピアノが大好き!」そして「もっとピアノが弾きたい!」という気持ちを高めてくれるようなコンサートになりますよう、私たちも皆様との出逢いを楽しみにしています。

─ 楽しみにしています。ありがとうございました。

*ピアノデュオ:1台4手連弾と、2台のグランドピアノを向かい合わせにして演奏する 2台ピアノ
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