4.当日のレポート

当日のレポート
SHOBI NET-TV 協力:
「作曲家」をテーマに、18組18様のステージ
北とぴあつつじホール
 桜が満開の4月5日(日)、東京・バリオホールにて、「春休みピアノトークコンサート祭り」が開催された。全国各地のピティナ・ピアノステップで行われている「トークコンサート」を、1日に集めた特別企画の第二弾。各ジャンルの専門家から特級グランプリや国際コンクール覇者まで、現在活躍中の18組の若手ピアニストが集い、各15分のトークコンサートを披露していただいた。
 18人の主要な「作曲家」が、今回の共通テーマ。それぞれ担当した「作曲家」を、どのような切り口でテーマ設定し、どんな選曲で、どんなトークや映像を盛り込むか――。15分のコンサート作りは、出演者1人1人に委ねられた。そして、いざ開演してみると、18組18様の実にバリエーション豊かなステージとなった。

トークコンサート動画一覧はこちら
・・第1部・・
泉 ゆりの
1.泉 ゆりの/シューベルトが降りてきた!
ずんぐりむっくりで女性にはモテず、さえない人だったらしいシューベルト。でもよき友人たちに支えられて美しい音楽をたくさん残してくれた彼は、やっぱりなかなかイイ男なのでは?そんな人間味あふれるシューベルトを感じてください。
海野 春絵
2.海野 春絵/メンデルスゾーンの魅力 ~ 姉ファニーの存在 ~
メンデルスゾーンは、1809 年生まれ(ちょうど200 歳ですね!)。彼の音楽を、有名な作曲家ワーグナーは、「音楽における偉大な風景画家」と表現しています。みなさんは、今日演奏される曲を聴いて、どんなイメージがわくでしょうか?
小倉 貴久子
3.小倉 貴久子/幸せを運んでくれるモーツァルト。Enjoy !
モーツァルトの音楽は、わたしたちに「愛」と美しく楽しい「夢」を与えてくれます。チェンバロ、クラヴィコード、オルガン、フォルテピアノとさまざまな鍵盤楽器の名手だったモーツァルト。モーツァルトの弾いていたピアノは、現代ピアノとは、発音のメカニズムが異なり、軽いタッチと音色をもっていました。
菊地 裕介
4.菊地 裕介/白と黒のドビュッシー、光、色彩、そして陰
「金色の魚」は、二匹の金色の鯉が跳ね回る構図による日本の漆絵から着想された作品。自由な音の動きとゆたかな色彩感が、金色の鯉の躍動的な動きを華麗に表現します。「月の光」は、ドビュッシーが北イタリアのベルガモ地方へ旅行した時の印象をもととして書いたとされる《ベルガマスク組曲》の第3 曲で、神秘的な月の光に照らされた、木々の葉のきらめきが目に浮かんでくるかのような佳曲です。
今野 尚美
5.今野 尚美/チャイコフスキー、ロシアの春の訪れに
チャイコフスキーといえば、皆さんはどんな作品を思い浮かべますか?バレエ音楽、交響曲、協奏曲...など数々の壮大な名作が残されていますが、今日はあえて彼の優しく温かな心がにじみ出るような愛すべきピアノの小品をお聴きいただきます。
佐藤 展子
6.佐藤 展子/夢見るシューマン ~ ファンタジーの世界
自らの強い信念にしたがい、理想の音楽を求め続けたシューマン。彼がつくりあげた、繊細で詩的なファンタジーの世界を、「夜」「祭」「夢」の3つの角度からご紹介したいと思います。
・・第2部・・
秋谷 えりこ
1.秋谷 えりこ/クラシック&ジャズ ~ ガーシュイン
ガーシュインの「アイ・ガット・リズム」を、クラシック編とジャズ編のアレンジにて演奏します。クラシックとジャズの共通点、相違点を、演奏をとおして体感していただければと思います。最後に、「サマー・タイム」を、アドリブ(即興)で演奏いたします。
末松 茂敏
2.末松 茂敏/ベートーヴェンの世界 ~ 奥深さと力強さ ~
ベートーヴェンは、20 代の後半から耳がきこえにくくなりました。しかし、そんな困難にも負けず、ベートーヴェンはすばらしい作品をつぎつぎと作曲していきました。今日は、「月光ソナタ」「熱情ソナタ」をとおして、彼の力強い音楽とともに、あたたかいやさしい感情に接していただければと思います。
鈴木 弘尚
3.鈴木 弘尚/ラフマニノフの名画傑作選
ラフマニノフの作品を聴くとき、その響きが周りの空気を一瞬にして変化させたことを私達は感じ取ります。それは、空気というキャンバスの上に、音によって鮮やかに描かれた名画のみが成し得ること。ロシアを離れ二度と祖国の地を踏むことのできなかったラフマニノフが、自身の未来を暗示するかのように描いた、音の遠近法ともいうべき絵画をご紹介します。ラフマニノフからしか聴くことのできない深遠な響きに浸ってみてください。
泊 真美子
4.泊 真美子/華麗なるピアニズム ~ロマン派に生きた F.リストの世界~
華麗なるピアニズムは、自由なファンタジーを持つことの「素晴らしさ」や「興奮」を与えてくれます。西洋文化の全盛期ともいえる、ロマン派絶頂期を生きたリストの作品の中から、傑作オペラの編曲ものに触れることで、ピアノ一台から広がる多彩な世界を、一緒に創造してみませんか?
樋口 あゆ子
5.樋口 あゆ子/ピアノの詩人ショパンが描いた祖国ポーランド
ピアノの詩人といわれているショパンの心を、ピアノの名曲で旅しながら、いっしょに探ってみましょう!そして、ショパンの心を探ると共に、ショパンの私生活にも触れてみませんか?ショパンは大変優秀なピアノの先生でもあり(レッスン料は何と現在の7万円)、ファッションセンスにこだわりを持つ当時のセレブでもありました!みなさんはショパンに憧れますか?
ドゥオール
6.ドゥオール(藤井隆史&白水芳枝)/ブラームス、連弾を愛したその理由
私達が長年過ごしたドイツの作曲家ブラームスの音楽からは、友人知人に恵まれ、小さな子供を愛し、食を楽しみ、心許せる友が集まれば即席パーティーで自身の新作をピアノ1 台、または2 台のピアノデュオで演奏し、常に音楽と共に人生を楽しんだ一人の男の温かさと魅力が、強く感じられます。今日は「ブラームス=偉大なドイツ人作曲家」としてではなく、彼の当時の写真、皮肉屋だけど憎めない面白いおっちゃんブラームスのエピソードを交えて、音楽から彼のメッセージ、心の声を皆さんと分かち合えればと思います。
・・第3部・・
大塚 直哉
1.大塚 直哉/チェンバロで聴く、バッハのクラヴィア曲
チェンバロ、オルガン、クラヴィコード、ラウテンヴェルク、ピアノ...など、バッハのまわりにあった個性豊かな鍵盤楽器たち。フランス組曲、インヴェンション、平均律などおなじみのクラヴィーア作品はこれらの楽器でどんな風に響くのでしょうか。
藤井 快哉
2.藤井 快哉/ヘンデルからはじまる変奏曲メドレー
作曲家の美味しいトコ取りなら、変奏曲がイチ押し!どの作曲家もお気に入りの主題をもとに、得意な作曲技法をつぎつぎと披露します。今日のシェフは、ヘンデルとブラームス。ともに選りすぐりの食材(主題)をあの手この手で調理(変奏)します。ご堪能あれ♪
干野 宜大
3.干野 宜大/バルトーク ~ マジャールの音楽とマジャール的な音楽
ハンガリーの音楽はマジャール語( ハンガリー語) と密接に結び付いています。古いマジャール民族に精通していたコダーイとバルトーク。そしてハンガリーの血が流れていたものの、マジャール語を話さずほとんどハンガリーで過ごさなかったリストの作品との違いは何でしょうか。少しだけそのポイントに迫りたいと思います。
西川 潤子
4.西川 潤子/サン・サーンス ~ 名曲が"編曲"の魔法にかかるとき
サン・サーンス、ショパン、シューベルトの名曲が、他の作曲家によって魔法にかけられたら...?それぞれの曲の個性を一緒に楽しみましょう!
前山 仁美
5.前山 仁美/ハイドンの世界 ~ あたたかく、しあわせな音楽
今年で、ハイドンが亡くなってから、ちょうど200年。それを記念して、毎年元旦恒例のウィーン・フィルによるニューイヤーコンサートでは、ハイドンの交響曲が演奏されました。ウィーンの人々はもちろん、世界中の人から愛される彼の作品の魅力は、どのようなところにあるのでしょう?
デュエットゥ(かなえ&ゆかり)
6.デュエットゥ(かなえ&ゆかり)/ラヴェルで聴く、溶けあう音色・編曲の面白さ
音の魔術師ラヴェルの作曲した珠玉の名曲「マ・メール・ロワ」。連弾で紡ぎ出す2人で演奏する1つの音の響き。心地よく溶けあう音。ロンドン仕込みの2人だからこそ作り出せる音色や空気感を是非感じて頂ければと思います。溶けあう音色とは逆にぶつかりあう音・迫力のデュエットゥ編曲「リベルタンゴ」を演奏して、1台のピアノで表現できる「音」の限界にせまります。
作曲家の世界観・音楽性
 どのトークコンサートにも、共通して言及されていたのが、作曲家のもつ「世界観」や「音楽性」についてだ。定番曲を取り上げながら、その曲が生み出された作曲家の「愛国心」や「機知」について述べたもの。作曲家のもつ「幻想」の世界を、夜、祭、夢といった観点から伝えたもの。作曲家の祖国の「文化」や「慣習」が、演奏曲の作風にどう反映されているかを音とともに示したもの。作曲家の「民族性」を、当地の「言語」や「楽器」とピアノ作品とを結びつけながら解説したもの。また、大作曲家と子どもたちの距離を近づけようと、私生活のエピソードを盛り込んだり、当時の写真を映写しながら、大作曲家の人間的な魅力を紹介したりしたものもあった。

奏者自身との関連付け
 聴衆にとっては、ステージ上の演奏者にも興味を抱くもの。作曲家と「自分自身との関係」を切り口に、なぜこの作曲家を尊敬し、今日のテーマに選んだのか、という奏者自身の率直な気持ちや体験談を織り混ぜながら、作曲家の魅力、作品の特徴を表現したものも好評だったようだ。

他ジャンルとの関連付け
他のジャンルと関係付けながら、ピアノのもつ幅広さを伝えたものも多かった。一作品を、クラシック、ジャズの様々なスタイルで「即興」アレンジしたもの。音楽の授業でも題材とされる有名な「交響曲」のフレーズと関連付けながら、同作曲家のピアノ曲を紹介したもの。「オペラ」の編曲を演奏しながら、オペラの舞台シーンを映写したもの。「変奏曲」や「編曲」に焦点をあて、なぜその原曲を主題に選んだのかを探りつつ作曲家の特徴を紹介したもの。「連弾」の演奏を通して、2人で1つの音の響きを作り出していく過程を説明したものなど、アプローチ方法は様々だ。

演出の工夫も
今回、全ての奏者が「映像」を利用した。作品のタイトルに因んだ「情景」を、演奏の冒頭で投影された後は、聴衆自身も思い思いに情景を想像した。また、演奏前に「楽譜」を表示し、音域の変化やテンポ設定の解説を入れたことで、聴くポイントがわかりやすくなったという声もあった。 今回の聴衆の半数は、小・中学生。当時の作曲家が思い描いた子どもの世界を、「絵本」の挿絵とともに紹介したものもあった。
コンサート中、聴衆参加型の演出も。「曲名当てクイズ」を入れたものもあれば、手拍子や掛け声で「ステージと観客席とのアンサンブル」が展開される場面もあった。子どもたちも積極的に参加していたようだ。

当時の楽器体験
作曲家の時代に使われた様々な鍵盤楽器が、映像中に登場したほか、チェンバロ、クラヴィコードの実演も行われた。初めて聴いた当時の音色に、子どもたちは興味深々。終演後のステージは、古楽器を囲むように子どもたちの長蛇の列ができていた。

「自分がこの作曲家をテーマに15分のトークコンサートをするとしたら・・・?」と考えながら、鑑賞された方もいたという。濃密な15分間を18組分も満喫できた、今回のコンサート。延べ1,000名近い親子が来場した。春休み最後の日曜日、さまざまな「ピアノ」を親子で満喫されたようだ。子どもたちのピアノとの距離を縮め、音楽への興味をいっそう広げてくれたのではないだろうか。
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