第40回:横浜市立みたけ台小学校 2006年6月13、14日

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2006/06/13

横浜市立みたけ台小学校のクラスコンサートには、ピティナ・ピアノステップに参加している子も「ぼくもピティナ受けてるよ!」と嬉しそうにパスポートを持って来てくれ、他にも音楽や楽器に興味を持っている子がたくさん。関春絵さんとヴァイオリンの南條由起さんの話に、次々に鋭く、また感性豊かな声が飛び交った。

ビデオを見てみよう(WMV5分54秒)

左のペダルは「もごもご」

「キーンコーンカーンコーン」と、関さんはチャイムと同じ音色をピアノで奏で、ペダルを踏んで違いを確かめてみる。「まずは右のペダル。」「あっ!ここのところがポイッと上がった!」「そうそう。音はどうなった?」「のびた。」「長くなった。」 「そう、響いてるよね。今度は、左のペダル。どこか動いた?」「そこの中が動いた。」「鍵盤も動いた!?」

「音は今度はどうなった?」「ちっちゃくなった。」「なんか、くもってる。」「そうだね。さっきは音がのびるようだったのに、今度はこうやって口をふさいで、もごもご話してるみたいだよね。」と、口に手をあててみる。

「まずは、ベートーヴェンの曲。ベートーヴェン知ってる?」というと、「知ってるー!」とみんなで教室に貼ってある肖像画を指差す。関さんが「この人は、どんな曲を作ったかな?」と『運命』や『歓喜の歌』などを簡単に弾いてみるとみな「知ってる知ってる!第九!」と喜ぶ。そのベートーヴェンから、『エリーゼのために』を演奏。

「ピアノの下もすごく響くから、もぐって聴いてもいいよ。」と言うと、男の子も女の子も我先にとピアノの下へもぐる。 すると『エリーゼのために』のきれいなメロディが、頭の上からふってきて包まれる。「うわー、すごい。」と、ピアノの下の響版に頭をくっつけて感じている子も。「頭にびんびん響いたよ。」と、外に出てきて友達に驚きを伝える。次のモーツァルトの『トルコ行進曲』ではリズムにあわせて元気に手拍子をあわせて盛り上げてくれた。

「ペダルにも意味があるんだな。」と思いました。私は「おくが深いな」と思いました。ふだんは、ただ音を出すだけみたいだけど、考えるといろいろな事があるので、すごいです。(4年2組)

わたしはピアノをならっていて、と中から"いやだ!"と思ったことがありました。でも、今日ピアノを聞いて、"あっ、わたしは、年中からやってきて、ここまで来たのに、あきらめちゃいけないんだな"と思いました。ピアノをひいていると、とても気持ちよく、何もかも忘れてしまうほど自分がピアノにあっていることが、あらためてわかりました。今日来てもらって、本当によかったです!まるで元気づけられている感じでした。(4年)

やっぱりピアノはすばらしい。『トルコ行進曲第3楽章』 は、ゆかいで楽しいきょくそうだった。『エリーゼのために』は、楽しい、かなしい などの色々の感じが入っていて、ピアノどくとくのすばらしいえんそうをききました。同じピティナなので、ぼくもがんばりたい。(4年)


ヴァイオリンの弓ってすごい!

演奏の前にみんなの前でヴァイオリンの準備から見せる南條さん。「さて、弓が出てきました。めったにやらないんだけど...」と下のケースをはずしてみると、1本の糸のように見えていた弓が、ぱらぱらっとした毛の束に見えてくる。「うわぁ、白髪みたい。」「たくさんあるんだ。」「この弓は、何千本という馬のしっぽの毛の中から、職人さんが1本1本選んでくれた結果、できたんです。だから実はすごく手間がかかっているの。」と言うと、「え~っ!1本1本!?大変!」と驚く。

「その毛1本でも弾ける?」と誰かが聞くと「1本では弾いたことないけれど、弓の使い方によって、使う毛の量を変えられます。例えばこれは、弦にまっすぐに平たくのせて弾いた音。それから弓を傾けて、なるべくうすく細くのせて弾くこともできます。音が違うでしょ?」と目の前で実演。

すると別の子が今度はケースの中の松脂を見つけ、「それ松脂でしょ?どうして弓につけるの?」「これはね、ヴァイオリンは弓で弦をこすって音を出しているので、弓がつるつるすべらなくするためにつけているんです。体操の選手が鉄棒を握る前に、手に白い粉をつけてすべらないようにしているでしょう?あれに似ています。」と説明する。

軽く調弦をする時も「ピアノはふたを開けて鍵盤を押せばすぐに音が出るでしょ?でもヴァイオリンは自分で毎回チューニングというのをしなければなりません。」とみなの視線を感じて話す。調弦して弾き始めようとすると、「えっ、もうできたの!?」とあっという間のチューニングにびっくり。

1曲目はエルガーの『愛の挨拶』。「エルガーって、どこの国の人かわかる?今ワールドカップで戦っている強い国」「ブラジル!ドイツ?」「ベッカムがいる国」「わかった!イングランド!」時事問題には強い現代っ子。続いてクライスラーの『愛の喜び』を演奏。「この曲は古い踊りの曲なんです。だから、リズムを感じて、踊りたければ踊ってもいいよ。」と始めると、自分なりに体を動かしながら感じる子も。目の前で繰り広げられる華麗な弓さばきに、目をきらきらさせて真剣に聴いている。

「さっきのビブラート、どうやってかけるの?」と、真剣に演奏を見ていた子が質問。「歌を歌う時にも"あー"ってそのまま声を出す時と、"あ~あ~あ~"って上下にふるわせながら歌う時があるでしょ?」「あー、それできる!」と喜んでまねする。「あれと同じで、弦をおさえながら指を前後に動かすの。それを早くしたり遅くしたりして表情をつけることができます。」といくつかやってみせる。

「ヴァイオリンってどこまで音が出るの?」という質問には、「一番低い音は、このソの音。ピアノで言うと、真ん中よりちょっと下だね。だからピアノみたいにト音記号とヘ音記号と両方の楽譜を使わなくても、ト音記号だけで済んじゃうんです。一番高い音は実は決まっていなくて、こうやて指を浮かせて弾くと、こーんなに高い音も出ます。ほら、浮いているのが見える?」と横になって見せると、「ほんとだー!浮いて弾いてる...。」と目を丸くする。


弓で、馬のしっぽが100本以上あるなんて、びっくりしました!!(4年2組)

ヴァイオリンは、なかなか音が出せないのに、音の調整もできるからビックリ!!しました。しかもとってもきれいでした。(4年2組)

クライスラーの『愛の喜び』ですごく速く指の場所を変えるのがすごかった。指をおく場所に線がなくても速くできていてすごかった。(4年2組)

ぼくは全然バイオリンの事を知らなかったけど、ト音記号しかない事や一番低い音がソなど、いろいろとわかりました。弓をななめにしたり、たてにしたりしていて、むずかしそうでした。バイオリンが237才ときいてびっくりしました。


"力を出しきれた"合唱にお互いに感動

みたけ台小では、『すてきな友達』と『Smile Again』の2曲をみんなと共演した。出だし、素敵なヴァイオリンの旋律で前奏が流れ出すと、「わぁ!」と、自分たちも本格的なコンサートの主役のように嬉しそうに顔を輝かせ、一生懸命に心をこめて歌った。その様子が伝わり、演奏が終わるとお互いに感動の拍手。"一生懸命に出し切った!"というような充実した顔で、生徒たちも一回り大きくなったようだった。

コンサートは聞いているだけで気持ちがやさしくなったり、力づよくなったりしました。ひいている人や聞いている人も心が気持ちよくなると思います。(4年2組)

生演奏で歌えて、 うれしかったです!!(4年2組)

さいごの『すてきな友だち』と『Smile Again』の曲が、みんなはふつうちょっと小さな声なんですけど、今日は、すごく気持ちがこめられていてすごく大きな声だった。(4年2組)

2人のピアノとヴァイオリンの中で歌うのはドキドキで、でもうれしい気持ちでふしぎでした。さいしょはドキドキだったけど、あとからその気持ちはどんどんきえて、『すてきな友だち』の2番から『スマイルアゲイン』で力を出し切れて、気持ちよく歌えました。とってもいいきかいになりました。今度コンサートにいきたいな、 ととても思いました。(4年)

関春絵さんがひいていた『エリーゼのために』は「指」でもひいているけど、「体」でもひいていたなぁと思いました。南條由起さんのヴァイオリンは音がとっても大きく体じゅうひびいていました。南條由起さんも体でひいていて、二人ともリズムにのっていました。(4年)

演奏者

♪ ピアノ 関 春絵(せき はるえ)
横浜市在住。6才よりピアノを始める。桐朋女子高等学校音楽科を経て、桐朋学園大学音楽学部演奏学科ピアノ科卒業。同大学研究科にて研鑽を積む。 第45回全日本学生音楽コンクール東京大会中学校の部第2位。第22回ピティナ・ピアノコンペティション特級の部グランプリ。併せて審査員特別賞他を受賞。また、伴奏者として読売新人演奏会、演連コンサート等に出演、日墺文化協会フレッシュコンサートにて最優秀共演者賞受賞。これまでに東京ニューシティ管弦楽団、日本フィルハーモニー交響楽団と共演。 現在演奏活動の傍ら、後進の指導も行なっている。 これまでに狩野美紀子、深沢亮子、上野久子の各氏に師事。
♪ ヴァイオリン 南條 由起(なんじょう ゆき)
東京芸術大学を経て同大学大学院修了。英国王立音楽院大学院パフォーマンス・ディプロマを首席卒業、最高位賞Dip RAM号を取得。ロンドン交響楽団のストリングスキームで研鑽を積む。 かながわ音楽コンクール総合第1位、神奈川県知事賞、神奈川新聞社賞を受賞、神奈川フィルハーモニー管弦楽団と共演。日本クラシック音楽コンクール第2位、ほか多く受賞。ソリスト、首席奏者として各種コンサートに幅広く出演、レコーディングなどでも活躍している。東京アンサンブルメンバー。英国・エルガー協会会員。南條由起ホームページ

プログラム

1.ベートーヴェン:エリーゼのために(ピアノ)
2.モーツァルト:トルコ行進曲(ピアノ)
3.エルガー:愛の挨拶(ヴァイオリン)
4.クライスラー:愛の喜び(ヴァイオリン)
【生徒さんとの共演】
5.すてきな友達(合唱)
6.スマイル・アゲイン(合唱)

協力:横浜市立みたけ台小学校/後援:横浜市教育委員会/協賛:共立ラインサービス(株)/調律協力:ヤマハミュージック横浜/主催・問合:ピティナ学校クラスコンサート係

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