ピティナ・ピアノステップとトークコンサート
2024/10/02 執筆:専務理事 福田成康
ピティナ・ピアノステップには「参加するとメッセージがもらえるステージ」というイメージがあると思いますが、それだけではないことをご存知でしょうか。
メッセージを送るアドバイザーが参加者と同じステージで演奏するのが、ステップの「トークコンサート」です。
コロナ禍が始まった2020年には開催数がゼロになってしまいましたが、2023年度は全ステップ地区のうち約42%がトークコンサートを実施しました。ステップならではの催しが再び盛り上がっています。
コンサートの内容はアドバイザーによって様々ですが、 コンサートを通して「たくさんの人にピアノがもつ可能性の大きさに気付いてほしい」という思いは共通しています。
トークコンサートはステップの参加者だけでなく、誰でも聴くことのできる入場無料のコンサートです。
ぜひお住まいの近くのステップで、トークコンサートへ足を運んでみてください。
ピティナ・ピアノ曲事典の今
2024/09/26 執筆:専務理事 福田成康
ピティナは2002年から「ピティナ・ピアノ曲事典」を作り続けています。ピティナ会員をはじめ多くの音楽家の方々からのご寄付、そして演奏音源や動画のご提供により、発展してきました。今も過去最速のペースで拡大を続けています。お力添えに心より感謝申し上げます。
多くのピアノ指導者からは「解説文を参照する目的で使っている」という意見をいただいています。wikipediaのようにユーザー自らが作るコンテンツが隆盛ですが、ピアノ曲事典の解説文の多くには、執筆者名を明記しています。前者は最新情報を取り入れやすく、後者は信頼性が高まるという、それぞれの特長があります。
今後、マイページと連動して利用者の皆様による知見も集まるような仕組みを作る予定ですが、記名記事やピアニストの方々による演奏音源(動画)もさらに充実させます。ピアノ曲事典を広く、深く発展させたいと考えていますので、引き続きご支援をお願いいたします。
A1-F級コンプリート賞
2024/09/19 執筆:専務理事 福田成康
コンペへの継続参加を称える「A1-F級コンプリート賞」は、私にとって特に思い入れの深い賞の一つです。受賞するには通常10年にわたる挑戦が必要です。結果に左右されずに長く挑み続ける力は、ピアノの技術向上だけでなく、人間的な成長にもつながります。
ソロ部門E級に参加した後、翌年F級に進む方の継続参加率を調べたところ、これまで約25%前後だった継続率が、今年は30%以上に増加しました。これは、コンプリート賞を目指してF級まで続ける方が増えた結果だと考えており、とても嬉しく思います。
今回コンプリート賞を受賞された192名の皆さんには、この賞を一つの節目として、これからもピアノと共に豊かな人生を歩まれることを心から願っています。
海外在住会員のご活躍
2024/09/12 執筆:専務理事 福田成康
リモートでのコミュニケーション手段が一般的になり、場所や時間に縛られず、海外に拠点を置く会員の方々にお力添えいただく機会が増えてきました。海外経験を持つ方々がピティナの活動に関わることで、日本の音楽教育に多様な知見がもたらされています。
本日のトップニュースでは海外在住の会員の活動を紹介します。近年、コンペ審査員やステップのアドバイザー依頼が多くなっています。また、先日はドイツを拠点に活動されている保屋野美和先生の働きかけにより、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団メンバーによる室内楽研修会が実現しました。
国際交流をきっかけとして文化の違いに触れ、社会における自分の役割を見つめなおすことができます。ご協力いただいている会員の皆さまに深く感謝申し上げるとともに、その効果を広くお伝えしたいと思います。
各地の入賞者記念コンサートに特級ゲスト
2024/09/05 執筆:専務理事 福田成康
ピティナ・ピアノコンペティションの熱い夏を終え、大きく成長した皆さまは、それぞれの新しい目標に向かって邁進されていることと存じます。
入賞者記念コンサートでは、ピティナの各支部でコンペティションで頑張った子どもたちを讃えるステージを用意しています。その舞台には、クラウドファンディングを通じて皆様から頂いた支援により、今年の特級入賞者たちがゲストとして招かれます。温かいご支援に心より感謝申し上げます。
この入賞者コンサートは、他の学年の演奏者たちとの交流の場でもあり、競い合った仲間たちがパラレルにつながり、共に成長していく場です。また、会場に足を運んでくださる聴衆の皆さまとの新たな交流をきっかけに、さらなる飛躍が期待されます。
「演奏者は聴衆が育てる」と言われるように、入賞者たちが全国各地で多くの方々と交流を深め、大きな経験の糧となることを願っております。
特級クラウドファンディングの御礼・ご報告
2024/08/29 執筆:専務理事 福田成康
2024年度のコンペティションが無事に幕を閉じました。ご参加、ご協力いただいた皆様に、心より御礼申し上げます。
コンペの象徴的である特級では4度目となるクラウドファンディングを実施し、総支援額3,650,000円、支援件数247件、達成率202%という大きな成果を上げることができました。このご支援は特級サポーターの輪を広げ、ピアノ業界のさらなる発展を後押しするものです。多くの人々からの注目とご協力により、ピアニストたちにより高いレベルの体験を提供し、聴衆の皆様へ多様な企画をお届けできたと感じています。
とはいえまだ道半ばです。これからの1年も音楽を愛する皆様とともに、より一層楽しんでいただけるには何が必要かを考え、実現してまいります。そして、来年もまた同じ場所で皆様とお会いできることを楽しみにしています。
2024コンペティション全国大会、まもなく開幕!
2024/08/08 執筆:専務理事 福田成康
全身全霊を傾けられるものがあれば人生は充実します。オリンピックの出場者たちは、想像を絶する厳しいトレーニングを行い、自らの限界に挑戦し続けています。メダルを数えるのも楽しみ方の一つですが、彼らの人生をかけた挑戦を感じられる時、心からの共感と敬意を持つことができます。
コンペティションの全国大会に出場する方々も、同じように情熱を燃やしています。それぞれの目標に向かって日々の練習に励み、技術を磨いてきました。その背景には、それぞれの人生があり、夢があります。全国大会はその集大成を表現する場です。
目標に向かって努力し、その過程で自らを成長させていくことは、私たちの人生をより豊かで、意味のあるものにしてくれるはずです。出場者の姿は、聴衆となるわれわれ自身の背中を押してくれる力強いメッセージでもあります。ぜひ多くの方に全国大会へいらして頂き、ご一緒に応援したいと思います。
2024年コンペ予選を振り返って
2024/08/01 執筆:専務理事 福田成康
2024年のピティナ・ピアノコンペティションは本選、全国大会の時期になりました。
今年の予選全体の参加組数は少子化の影響もあり減少しましたが、自発的に参加する方が多く、長年の継続が必要なグランミューズ部門やG級・特級は増加しています。また、新設された動画予選を利用してコンペに初めて参加・併願される方々がいたことも今年のトピックです。
ピティナは毎年、課題曲の選択率と予選通過率のデータを公開していますので、是非、皆様それぞれのチャレンジを経た視点から眺めてみてください。
予選に参加された皆様は、日々課題に向き合い本番を迎える中で様々な感情を抱かれたことでしょう。個人の体験・記憶と、俯瞰的なデータ・記録を併せ見ることで、次の目標が見つかると思います。継続的なピアノ学習の一助となりますことを願っています。
特級二次予選オンライン中継
2024/07/25 執筆:専務理事 福田成康
今週末から、いよいよ特級の二次予選がスタートします。今年もJ:COM浦安音楽ホールの共催を得て、会場とライブ配信の両方でお楽しみいただけます。
先日、2018年の特級グランプリ、角野隼斗さんの日本武道館公演に行きました。1万3千人のお客様に囲まれ、何一つごまかしの効かない状況で誰もが知る名曲を演奏し、生身ひとつの自分をさらけ出す角野さんの姿に、強く感銘を受けました。
今年も二次予選進出者の演奏やインタビューの動画が既に公開され、多くの方にご視聴いただいています。匿名のSNSが流行し、生成AIの二次創作が話題になる時代ですが、進出者26名は本名を名乗り1000人以上が見守る中で演奏します。披露するのは何億回と弾かれてきたクラシック音楽の名曲です。
特級のステージへ臨む26人に改めて敬意をおぼえます。会場と配信で、ぜひピアニストたちを応援してください。
アンサンブル・ワークショップ2024
2024/07/18 執筆:専務理事 福田成康
ピアノは時にオーケストラの模倣を求められます。オーケストラでは何十人もの演奏者がそれぞれ役割を受け持って一つの曲を演奏しますが、ピアニストはひとり・ふたりで演奏することがほとんどです。オーケストラ作品の編曲ではなくピアノ・ソロのために書かれた曲でも、ピアニストは一人で何役もこなします。これはとても大変なので、なかなかうまくいかないときもあります。では自分はひとつの役割に専念し、他の人と一緒に音楽を作ってみたらどうなるでしょうか?
10月5日に開催するアンサンブル・ワークショップでは、簡単に片手で弾けるようにピアノ・ソロ曲を1声部ずつに分解して、4人で演奏してみます。他の人と分担して一緒に音楽を作り上げることで、新たな気づきがあるかもしれません。子どもの方から大人の方まで、ぜひチャレンジしてみませんか?
継続表彰の意味
2024/07/11 執筆:専務理事 福田成康
昨年度、10回以上の継続表彰を受けた方は4,844人でした。ステップの全参加者のおよそ10人に1人です。
継続表彰は学校などでもらえる「皆勤賞」に似ています。「(ものごとを)続けられる人」という一種のアイデンティティを、目に見える形にできることに意味があります。場合によっては「入試に有利」というような場面もあるかもしれません。
今ではブルグミュラーコンクール、バッハコンクールといった提携コンクールへの参加も継続のポイントに加算されています。ピアノを着々と続けてきた方々は初めてのステップで表彰を受けることもできますので、励みとしていただたら嬉しいです。
今はご自身のニーズにあった多様な舞台があります。様々なステージ経験をご自身の糧としていただけることを願っています。
皆で支える特級
2024/07/04 執筆:専務理事 福田成康
「何をしたいですか?」
これは、グランプリが決まった瞬間、私が最初にかける言葉です。
ピティナは若いピアニストの夢や目標に寄り添い、伴走者として共に歩んでいきます。
心からやりたいことに全力で取り組めば、その先には新しい未来が広がると信じているからです。
今年は26名が特級二次予選に挑戦します。彼らが全力で理想の一音を追求し、真摯に音楽へ取り組む姿に心打たれます。会場で、あるいは配信で、あたたかいエールを送ってください。
彼らの未来をサポートするため、また全国のピアノ学習者へ音楽を届けるために、今年も「特級クラウドファンディング」を実施いたします。応援の輪に加わっていただければ幸いです。
家族会員向けの特別企画
2024/06/27 執筆:専務理事 福田成康
脳科学者の瀧靖之先生は「子どもが素敵な趣味を持って楽しくやってほしいと思うなら、保護者自身が楽しいと思うことをして、その姿を見せるのが一番」と話されます。子どもたちの能力を伸ばす秘訣は、家族や周囲の方々が共に楽しむことです。
ピティナには現在、2,300名の家族会員が所属しています。インタビューを通じて、コンペティションの課題曲にともに取り組み、親子でピアノを楽しむ様子が見えてきました。
また、お子様の成長には"憧れ"の存在が欠かせません。今回はお子様を特別なコンサートに招待する特別企画を多数用意しました。コンサートホールでの音楽体験は貴重です。音楽を通じた豊かな時間を、親子で共有していただければ幸いです。
ピティナでは今後も様々なプログラムを企画しています。お子様のピアノ学習をサポートする皆様のご参加を、心よりお待ちしております。
更なる国際交流の架け橋に
2024/06/20 執筆:専務理事 福田成康
ピティナとヤマハミュージックジャパンの共催で「日中指導者交流会」を実施しました。初めての試みです。国境を越えてピアノの指導法について意見交換ができたのは、両国合わせて33名の参加された先生方のおかげです。
交流会では指導法に関するプレゼンが行われ、レッスンを披露しあいました。生徒さん、あるいは楽曲へのアプローチ手法、音楽教育の在り方の違いが浮き彫りになり、そのことはピアノ指導の根幹を考えることにつながりました。
音楽は言葉を超えて共感を生み出す力があります。日本古謡「さくらさくら」や台湾民謡「望春風」といった曲の演奏は強い共感と感動をよび、文化交流の架け橋ともなっていました。ピティナでは引き続き積極的な国際交流に努めます。
秋の提携コンクール
2024/06/14 執筆:専務理事 福田成康
ピティナ・ピアノコンペティションの予選が各地で真っ盛りですが、秋に開催される「提携コンクール」の情報も続々入ってきています。
地域に根差したもの、年齢やレベルを絞ったもの、課題曲やテーマに工夫を凝らしたもの、動画でも応募できるものなど、学習者・指導者のニーズに合わせたバラエティ豊かなコンクールが並びました。生徒さんの状況やニーズに応じて、これだけのメニューが揃う国は、ほかにあるのでしょうか。ピアノコンクールは日本の音楽文化だなと、改めて誇らしく思います。
秋は学びの季節ですから、じっくりと基礎を見直してもよいですし、今まで見てこなかった新たなテーマや作品を勉強して世界を広げてもよいでしょう。
ピアノ指導者の皆様には、生徒さんの成長を促す最良のステージを探して、ピアノ学習にご活用いただければ幸いです。
『編曲オーディション』受賞作品公開
2024/06/06 執筆:専務理事 福田成康
「編曲」は昔からよくある音楽の作りかたです。多くのピアニストが演奏する《献呈》は、シューマンの歌曲をリストがピアノ独奏用にしたものです。最近の例では、たとえば平原綾香さんの《Jupiter》の原曲はホルストの《惑星(木星)》です。編曲は曲の新たな魅力を引き出し、より多くの人々に届けることもできます。
月刊ピアノとピティナの共同企画『編曲オーディション』では、優れた編曲作品を公募しています。このたび2024年度ピティナ・チャンネル賞受賞者の動画を公開しました。受賞者のうち、3名の方が童謡《かえるの合唱》を選んでいましたが、それぞれまったく違う作品に仕上がっています。ぜひ聴き比べてみてください。
春基準での指導者賞受賞者は243名
2024/05/30 執筆:専務理事 福田成康
2023年度の指導者賞が発表されました。生徒のステージ参加と指導者自身の自己研鑽をポイントにした「春基準」での受賞者は243名でした。これは全体の2.1%と希少なのですが、昨年は209名でしたので大幅に増えたことを嬉しく思っています。
本日のトップニュースでは、この春初めて指導者賞と新人指導者賞を受賞した方々のインタビューを紹介しています。「何よりも音楽を長く楽しめるように」「いつか音楽が救いとなるように」「ピアノがライフワークです!と言える人を増やせるように」と、演奏技術の指導を超えた、生徒さんの音楽人生への情熱が溢れる言葉に胸が熱くなります。
音楽との関わり方は十人十色です。生徒さん一人ひとりに寄り添い、長く音楽を楽しめるように伴走し続ける指導者の仕事は、人工知能には代替できません。ピティナは引き続き様々な切り口から、皆様の活動をサポートします。
ピアノを通じて「いのち」を受け継ぐ
2024/05/23 執筆:専務理事 福田成康
ピティナでは近年、遺贈寄付についての窓口を用意し、遺産の行き先について専門家と相談できる体制を整えています。とりわけピアノの行き先は、多くのピティナ関係者にとって切実な問題です。
ご家族がピアノを弾くなら相続するのが良いと思います。もし身近に音楽をする人がいない場合は、寄贈をお考えいただきたいです。長年使ったピアノは身体の一部のような存在ではないでしょうか。ピアノが新たな場所で活用されることは「いのち」が受け継がれることだと感じます。
今回の記事では、思い出のたくさんつまった大切なピアノの行き先についておうかがいしたアンケートを詳細に分析しました。いちど将来を考える機会としてみてはいかがでしょうか。
「指導者の祭典」ピティナ指導セミナー
2024/05/16 執筆:専務理事 福田成康
指導セミナーは全国のピアノ指導者が集い、共に学ぶ場です。57回目となる今回はホールとオンラインのハイブリッドで開催しました。ご参加の皆様、講師の先生方へあらためて御礼申し上げます。
毎年同日に「指導者ライセンス全級合格者表彰式」も行っています。指導者ライセンスでは音楽の知識とともに演奏技術や指導技術が求められます。すべての試験に合格された先生方は確かな成長を遂げて指導者・音楽家としての自信を深められたはずです。
今回のトップ記事では指導セミナーのダイジェスト動画を公開しました。学びを重ねるとともに、スキルを磨く実践の機会として、指導者ライセンスを利用していただけます。
グランミューズ・サロン
2024/05/09 執筆:専務理事 福田成康
1980年代の日本では年に30万台ものピアノが製造され、小学生女子の多くがピアノを習っていました。そしていま、当時の子どもたちが再びピアノに向かい、それぞれのピアノライフを楽しんでします。たとえばこの3月にパリで行われた第32回国際アマチュアピアノコンクールで一位となった小宮山康子さんは、お子さんに触発されてピアノを再開されたそうです。
ピティナでは多様な演奏機会を提供しようとコロナ前から「グランミューズ・サロン」を実施してきましたが、このたびはその「ファシリテータ型」を企画しました。従来のようにピアニスト中心の形ではなく、グランミューズ会員がファシリテータとなってイベントを進行します。今までより気軽に参加しやすいと感じる方も多いと思います。「ピアノ初めてさん」「お久しぶりさん」も大歓迎です。
ピアノを楽しむ様々な場が生まれています。もしお家の片隅でピアノが眠っていたら、もう一度音楽を奏でてみませんか??
丸の内エリアコンサート:音楽のORIGINESへの旅
2024/04/25 執筆:専務理事 福田成康
東京の春を彩る「丸の内エリアコンサート」を、今年もゴールデンウィークに実施します。
今年のラ・フォル・ジュルネ音楽祭(LFJ)のテーマは、「ORIGINES(オリジン)」。様々な国々の作曲家たちが受け継ぎ、次の世代へ紡いできたクラシック音楽の伝統にスポットライトを当てます。
オープンスペースの演奏会には、ピティナから50名以上の音楽家たちが参加し、それぞれが音楽の歴史と向き合ったプログラムを披露します。またコンサートホールでなく、街角で、皆が楽器を取り囲み、体を揺らしながら音楽を聴く、そんな体験もまた、音楽の「ORIGINES」であると言えるかもしれません。
長い歴史を持つ音楽を受け継ぎながら、自らの感性と向き合い、新しい音楽を創造していく若い音楽家たちと、新緑に包まれた丸の内でのひとときをお楽しみください。
ピティナ会員という
2024/04/18 執筆:専務理事 福田成康
今年(2024年)の1?3月は、過去の同じ期間と比べて最も多くの新入会の方がいました。
とりわけ家族会員が大幅に増えているのが特徴です。家族がピアノを通じて時間を共有することに、かけがえのない価値を感じる方が増えていることの表れだと思います。
また、指導者や保護者をはじめ多くの方々から、入会後に人とのつながりによって安心感や意欲が増したという声をいただいています。
生徒さんと指導者の間にはピアノの演奏技術を向上を目指すのみならず、強い絆が育まれます。さらにはピティナという大きな枠組みの中で多様で「ゆるい繋がり」を増やしながら、音楽を通じたウェルビーイングを広めていきたいと考えます。
皆さんのご入会を心より歓迎するとともに、今後加わってくださる方々をお待ちしています。
アドバイザーが光を当てる地域の音楽資源
2024/04/11 執筆:専務理事 福田成康
ステップのアドバイザーは参加者の方々へのアドバイスのみならず、全国各地のスポットに光を当てる役割をしていることをご存知でしょうか。アドバイザーにとってステップはその地域の新たな音楽と出会う場でもあります。
新たに出会うのは。参加者の演奏はもちろん、会場や楽器、ストリートピアノといった、その地域に根付く諸々の「音楽的資源」ということもあります。
今回のトップニュースでは、訪問先でストリートピアノを演奏されるアドバイザーの演奏などをご紹介します。「次回参加するアドバイザーはどんな先生で、どんな活動をしているのだろう」そんな視点をもってステップに参加されると、一味違う経験が得られるかもしれません。
ピティナ音楽研究所3年目の近況報告
2024/04/04 執筆:専務理事 福田成康
ピティナ音楽研究所は2022年に設立され、今年で3年目を迎えます。
最新の音楽研究とレッスンや演奏の現場が連携して発展することを願って研究所を設立しました。
たとえば装飾音の入れ方、様式に合ったルバートのかけ方といった演奏法、演奏・指導する曲目の選択、生徒さんにどう伝えるか、どのように成長を導くか、進路をどう考えてあげたらいいのかといった指導に関する内容など、音楽の研究が日ごろのレッスンに役立つ場面はたくさんあります。いっぽう、演奏や教育の実践で起きることの多くは学術研究の糧となります。
この度、新たに2名の協力研究員が着任しました。研究に励み、ピアノ・音楽業界をより豊かなものにしてもらいたいです。また、私自身も大学院で学んだ成果を還元したく、専門研究員として着任します。
背中を押すのも指導のうち
2024/03/28 執筆:専務理事 福田成康
4月1日から、2024年度コンペティションの申込受付がスタートします。
私は高校1年生の時に顧問の先生から陸上競技部に誘われました。そこで過ごした2年間はその後の人生に大きな影響を及ぼしました。具体的な助言以上に、誘っていただいたことそのものが最高の「指導」でした。
本人や親御さんが気づいていない未知の可能性を指し示し、背中を押してあげることこそが指導者の大きな役割です。多くの可能性に出会うべき時期にこそ、ピアノを学ぶ人たちの成長を願って入念に設計された、コンクールの仕組みをご活用いただきたいと願っています。
今年も多くのピアノ指導者・学習者の皆様との出会いを楽しみにしています。
公開録音コンサートのお知らせ
2024/03/21 執筆:専務理事 福田成康
様々な場面で音楽に触れたとき「この曲についてもっと知りたい」と思う瞬間があります。それがピアノ曲なら、インターネットで検索すればピティナ・ピアノ曲事典のページに辿りつくことが多いはずです。
ピアノ曲事典は、約90,000ページと22,000点以上の動画リンクをもつデータベースです。ここで試聴できる曲を増やすためのコンサートが2010年より継続して実施している「公開録音コンサート」です。
現時点で通算290回に到達し、2024年度中には300回を超える見込みです。《25の練習曲》で身近なF. ブルグミュラー没後150年を記念した連続公演など、工夫を凝らした企画を用意しています。皆様のご来場をお待ちしています。
ステップ課題曲のご紹介
2024/03/14 執筆:専務理事 福田成康
ステップは継続学習を応援するステージです。その中の23ステップでは、約7000曲が課題曲として演奏できます。
継続するにはピアノそのものを好きになることが大切です。その次の段階として基礎的な技術や外枠を学び、多くの曲と出会いながら自分の憧れの姿へ近づいていく。23ステップの課題曲はそんなステップアップができるように選定されています。
今回は2023年度に演奏された23ステップ課題曲のランキングや、教則本を紹介しています。7000曲もあるからこそ悩んでしまう先生もいらっしゃると思います。ぜひそんな先生方にレッスンの進め方のヒントとしてこのページをご参考にしていただけますと幸いです。
コンペ課題曲の有効活用
2024/03/07 執筆:専務理事 福田成康
コンペ課題曲は、ソロ部門A2からB級では1つの級につき13曲です。選定委員が1年間かけて選んでいます。これらの曲には色々な調性、拍子、曲調がバランスよく入っており、教育の上で取り組む価値が高いものです。
課題曲はまず指導者の皆様に全曲弾いてみることをお勧めしたいです。また今年は「YouTube聴き比べ動画」の数を増やして例年以上に充実させています。多くの曲を聴けば視野が広がり、一つの曲について何種類もの演奏を聴けば理解が深まります。使い方によって様々な学びを得られますから、コンペの参加有無に関わらず、課題曲を有効活用していただきたいです。
さらには「私はこれが好き」「こんな風に弾いてみたい」といった感想から始まって先生と生徒さん、あるいは親子の間で対話が生まれ、楽しく充実した学びにつながることを願っています。
競い合いが人を磨く
2024/02/29 執筆:専務理事 福田成康
子どものピアノコンクールは動機付けの一手段で、貴重な人格形成の場です。
競うという字は2つの「儿(人)」で成り立ちます。他者の存在が刺激となって、未来にむけて努力する意欲が湧きませんか。
全員が望む結果を得られるわけでないという点も重要です。相対評価を経験した人であれば、結果は個人の努力だけで決まるものではないと身をもって知っています。いきすぎた自己責任論に偏ることなく、他者にも自分にも寛容でいられます。
今年は新たに「動画予選」を実施します。地域や日程の制約を超えてコンクールを体験することが目的です。より参加しやすくなったピティナ・ピアノコンペティションを、ぜひ多くの指導者・学習者の皆さんに活用していただきたいと思います。
ピアノの練習時間に関するアンケート結果報告
2024/02/22 執筆:専務理事 福田成康
多くの生徒さんはピアノ指導者が思っているよりも、よく練習をしています。
ピアノ上達のカギは練習ですが、その内容はブラックボックスでした。練習の成果を測るのはレッスンでの演奏の出来栄えです。そこで問われるのは多くの場合、練習量すなわち時間でした。「たくさん練習してえらいね」あるいは「もっと練習しなさい」という言葉がけになるわけです。しかし実は「練習の質」こそ大事だということがわかってきました。
現在、開発中の「hiketa(仮称)」では、自宅練習で取り組んだ内容を指導者が閲覧でき、練習プロセスが可視化されます。また、自主的な練習を支援するシステムのため、保護者もずっと付き添って練習に付き合うことなく、指導者も生徒の自宅練習が増えることで音楽表現により力を入れることもできるようになるでしょう。生徒、保護者、指導者それぞれに、音楽を通して豊かな人生が提供できるシステムとなるべく、開発を進めて参ります。