高い人気が続くピアノ学習
2023/09/21 執筆:専務理事 福田成康
ピアノといえば一昔前は「情操教育」と言われ、主として女の子の習いごとでした。現在では、身体性・情緒性をはぐくむ、AI時代にこそ必要な習い事として性別を問わず高い人気を維持しています。
また、大人の学び直しや生涯学習としても人気が高く、ピアノ指導者のニーズは高まる一方です。近ごろは「家族会員」としてピティナに入会する方も増えてきました。共通点は「もっと学びたい意欲がある」という点でしょう。
ピアノは一人で演奏することが多いため、指導者も習う側も孤独になりがちですが、ピティナには現在、約1万7500人の会員が所属していて、多くの方々から「生徒も自分も成長した」「共に学ぶ仲間ができた」という声をいただいています。
ピティナは今後もピアノ指導者や学習者の学びと交流の機会を提供します。多くの仲間と共に成長を目指す皆さんの入会をお待ちしています。
ソニー音楽財団との業務提携開始
2023/09/14 執筆:専務理事 福田成康
大企業の経営者といえば、経済学・法学や理工系などを学んだ方が多いと思われがちですが、ソニーの社長を13年間務めた大賀典雄氏は、東京藝術大学声楽科出身です。
その大賀氏が1984年に設立したのが、現在のソニー音楽財団です。今では、こどものためのクラシックコンサートを開催したり、『子育てクラシックナビ』のスマホアプリをリリースしています。
そのソニー音楽財団の理事長である水野道訓氏には、今年の6月からピティナの理事にご就任頂きました。そしてピティナがピアノ曲事典や読み物コーナーに保有するコンテンツを『子育てクラシックナビ』でご活用頂けることになりました。
クラシック音楽は、流行り廃りがありません。今の子どもも30年後には子育てしているかもしれません。感情に直結する音楽を親子で共有できることは「80s」「90s」などと世代で輪切りにされる音楽とは違う価値が生まれるはずです。ソニーさんと一緒にこの価値を開拓できることを嬉しく思います。
特級ピアニストのその後の活躍
2023/09/07 執筆:専務理事 福田成康
クラシック音楽の演奏家は、作曲家が書いた楽譜を演奏して届けます。いわば作曲家と聴衆を繋げる役割です。
ピティナ特級ファイナリストの多くはピアニストとなって各地を回り、地域の皆様に迎え入れて頂きます。その際、地域の人が聴衆となって演奏会場で繋がります。また、全国各地を回りますので地域間を繋ぐこともあるはずです。
2018年の特級グランプリの角野隼斗さんは、ご自身が持つスタインウェイのアップライト「かてぃんピアノ」を全国に無料で貸し出すことで、地域の方々とピアノとの繋がりを作っています。
本日のトップニュースでは、近年の特級入賞者のコンサートや「かてぃんピアノ」の設置予定場所を紹介します。もしお住まいの地域で実施されるなら、足を運ばれてはいかがでしょうか。ピティナのビジョン「音楽がつなげる豊かな人生」を実感できるかもしれません。
第11回福田靖子賞選考会のご報告
2023/08/31 執筆:専務理事 福田成康
20年目の節目をむかえた福田靖子賞の選考会が無事に終了しました。
最初の選考会は奨学金を受ける人を決めるコンクールに近いものでしたが、11回目となる今回に至るまでに「学びの場」としての性格が強くなってきました。
2日間のレッスンを経た後の最終審査会は、コンサートさながらの素晴らしさでしたが、その後、出場者たちは9名の審査員と総当たりとなるフィードバックセッションを行い、多角的な学びを得ました。その様子を見て、海外招聘審査員で国際コンクールを何度も審査してきたシフィタワ先生が「コンクールのフィードバックで皆の雰囲気がここまで良いのは珍しいですね」と褒めてくださいました。
互いをリスペクトし、切磋琢磨することで、競争は学びの場として機能します。この雰囲気を作ってくださった奨学生と審査員の皆様、会場をお貸しくださった桐朋学園大学の皆様ほか、お力添えいただいた全ての方に感謝しています。
コンペティション閉幕
2023/08/24 執筆:専務理事 福田成康
ピティナの夏、コンペティションが幕を閉じました。
ご参加いただいた皆様、指導者の皆様、運営に関わってくださった皆様、熱心に演奏を聴いてくださった審査員の皆様に、心より感謝申し上げます。
今年はクラウドファンディングでも394名の方々から、合計5,104,000円のご支援を賜りました。この大きな期待をいただいた2023年の特級グランプリは、鈴木愛美さんとなりました。彼女がピアニストとして大きくなっていく道を、精一杯サポートしてまいります。
今年の特級ファイナルには多くの他級の参加者の皆様も足を運んでくださいました。グランプリへの憧れ、ピアノへの情熱、そして将来自らもあの舞台に立ちたいという気持がそれぞれの参加者の中に息づき、「循環」がうまれれば主催者としてこれ以上の喜びはありません。
この夏の経験が、皆様の人生の糧となりますように。また会場でお会いできるのを楽しみにしております。
もうすぐ全国大会が開幕
2023/08/10 執筆:専務理事 福田成康
いよいよ全国大会が始まります。
特級ではセミファイナリスト7名が選抜されていますが、嬉しく驚いたことに国際コンクールの入賞者がそのうちの過半数です。国際コンクールの登竜門と表現されてきた特級で、こうした「逆転現象」が起きたのは、ピティナが審査員による審査以外に、聴衆賞やサポーター賞によって「聴衆からも選ばれる」「聴衆との関係を作っていく」コンクールであるという実績を示してきたからではないかと考えています。
そして、すべての級の出場者の皆様に心よりお祝い申し上げます。今年は4年ぶりに、観客が戻ってきました。音楽は聴く人がいて成り立つものです。自分が上手であるかどうかを示すだけでなく、審査員、そして聴衆の心に音楽を届けるよう、意識してみませんか。
皆さんの演奏を会場で聴くことを楽しみにしております。
2023年コンペ予選を振り返って
2023/08/03 執筆:専務理事 福田成康
今年度のピティナ・ピアノコンペティション地区予選がすべて終了しました。ご参加いただいた皆さまに心から感謝申し上げます。
今年は昨年から継続して参加される方が増えました。何かを継続して努力するのは、それ自体が素晴らしいことです。「夏はピアノ」という方々が増えているのを嬉しく思います。
また、連弾部門への参加が増えています。そのうちの47.6%はソロ部門と併願して挑戦しています。連弾を通して演奏技術だけでなく、協調性や相手を尊重する心など人間性をも育むことができます。ソロとは違った学びが詰まっています。誰かと共に学ぶこと自体が、継続して努力するモチベーションにもなっていることでしょう。
本日のトップニュースは恒例のコンペ課題曲選択率と予選の参加データです。これらのデータが皆さんの演奏や指導の振り返り、そして次のコンペティションに向けての参考となれば幸いです。
特級2次予選まもなく開催
2023/07/27 執筆:専務理事 福田成康
すっかり夏の風物詩となった、ピティナ特級のYouTubeライブが始まります。同じ曲を様々な個性を持つピアニストが弾くピアノ音楽は、クラシックの中でも演奏家のオリジナリティが際立つジャンルだと考えています。
二次予選進出者のインタビュー動画は既に公開しています。事前に彼らのストーリーを知ることで、より聴き比べを楽しめることでしょう。
コンクールは審査員の採点によって結果が出ます。いっぽう世に出たピアニストたちにとっては、聴衆の存在が指針となるはずです。26名のコンテスタントたちへのエールとして、皆様自身の感動を伝える「サポーター賞」の投票にもぜひご参加ください。
三次予選を経て、8月1日(火)の晩にはセミファイナリストが発表されます。ピティナ・ピアノコンペティションのクライマックスはもうすぐです。今年ならではのピアノのドラマをぜひ会場で、配信で体感してください。
音楽やステップは人をつなぐ
2023/07/20 執筆:専務理事 福田成康
ピティナ・ピアノステップは1997年から続く事業です。毎週、全国各地の会場で行われていて、年間の開催数は約600です。ピアノ・音楽を演奏する方なら、だれでも参加できます。
ステップは演奏を披露するステージであるとともに、人と人とを繋ぎます。たとえば憧れのピアニストからアドバイスがもらえます。同じ地域のピアノ仲間との交流がはじまった方もいます。
人との出会いはステップの魅力の一つです。音楽は古くから人と人を繋いできましたが、ステップはそんな音楽の素晴らしさが花開く場でもあります。本日のトップニュースでは6月、7月の実施地区から、ステップならではの素敵なエピソードをご紹介します。
この秋もステップは初開催地区を含め全国で開催予定です。既に申込が始まっている地区もありますので、ぜひ参加をご検討ください。
関本昌平先生による「徹底研究」
2023/07/13 執筆:専務理事 福田成康
様々な情報がスマートフォン1つで手に入る時代です。正解への最短ルートが示されますから、総じて学習スピードは向上しています。いっぽうで、試行錯誤しながら基礎にじっくり取り組む土台作りがおろそかになってはいないでしょうか。
突貫工事の建物は、出来上がった時に見映えが良いとしても、長い年月に耐えることはできません。時代を超える価値は基礎作りに時間をかけることで生まれるものかもしれません。
基礎と同様に大切なことに「体験」があります。音楽体験は今やオンライン中心ですから、自身の五感や体全身で音楽に触れる体験をするには、選んでそこに身を置く必要があります。
ぜひ、ピアノ指導者向けセミナー「徹底研究」の一日を全身全霊で音楽を体感する日としていただければと思います。
特級で愛されるピアニストを共に育てる
2023/07/06 執筆:専務理事 福田成康
ピアノの音は演奏者と聴衆の間で共有されることで初めて音楽になります。そして多くの人々との出会いやお客様からの愛情が、演奏者たちをピアニストとして育てていくのです。
ピティナは今年も特級クラウドファンディングに挑戦します。今回は「愛されるピアニストを共に育てる」というコンセプトを掲げました。多くの方が会場に足を運んでくださり、配信をみて応援をいただいたことで特級出場者たちは飛躍を遂げました。そしてまた特級というコンクールの部門自体も成長してきました。
今年は26名が二次予選に挑戦します。国内外の名だたるコンクールで入賞している方が特級という場に集ってくださることを嬉しく思います。彼らを応援することで未来の聴衆・ピアニストを育て、音楽の循環をともに作っていきましょう。
キャリアとしてのピアノ指導者
2023/06/29 執筆:専務理事 福田成康
AI技術の進歩により大きく変化しつつある時代において、「身体性」は今後重要になってくる要素だと思っています。ピアノは身体感覚にはたらきかけつつ、脈々と受け継がれてきた言語化しきれない知性・知識を後世に伝える教育です。まさに人間だからこそ扱える領域です。
ピアノ指導者を志す若者の数は昔に比べて多くありませんが、そのぶん競合に埋もれることなく、自身の存在感を発揮できるはずです。意思をもって音楽の道に進む人にとって、未来は明るいと確信しています。
ピティナでは、若手指導者の交流会や音大生向けキャリアセミナー、Wキャリア採用を実施し、ピアノ指導という仕事を始める・続けるための後押しをしています。ぜひ、この夏に新たな出会いの場として、また今後のご自身のキャリアを考える場としてご活用ください。
自宅練習の新サービス試作品モニター募集
2023/06/22 執筆:専務理事 福田成康
「人生で一度だけ願いをかなえるとしたら何をしたい?」と聞かれたことがあると思います。私なら「自分を魔法使いにする」といいます。
さて、週に一度のピアノのレッスンで生徒さんの演奏技術を引き上げることは重要ですが、週7日ある自宅練習の機会を充実させるのが、生徒さんを上手にさせる「魔法の近道」だと考えています。
生徒さん一人で練習をすることは決して簡単ではありません。そこで自宅のピアノ練習をサポートする新サービスの開発に着手しました。練習をはじめる動機づけとなったり、習慣化をサポートしたり、そんなシステムがあれば、よりピアノ学習の充実、また上達へとつながっていくことでしょう。
新サービスの試作品をお試しいただくモニターを募集します。頭を抱えがちな「練習」への対策として、まずはこの新サービスを試してみませんか。
秋の提携コンクールの申込開始
2023/06/15 執筆:専務理事 福田成康
演奏者の数だけピアノの音色があるように、コンクールの数だけ一人一人の「輝ける場所」があると考えています。その選択肢を提供しているのが「ピティナ提携コンクール」です。
2022年度は 43 のコンクール、のべ292地区に計27,475 件の申込みをいただきました。
お子さんから大人の方まで。扱うジャンルもピアノ・ソロをはじめ連弾、ヴァイオリン、声楽など。多様なコンクールの中からあなただけの「輝ける場所」を探してみてはいかがでしょうか。
本日のトップニュースでは、今後開催予定の提携コンクールをご紹介いたします。ピティナ経由の申込では「ステージポイント」が得られます。ピアノ学習の継続のきっかけ作りとして、ぜひご活用ください。
1人ひとりの力を合わせて大きなうねりができる
2023/06/08 執筆:専務理事 福田成康
ピティナが「第10回エクセレントNPO大賞」で大賞および組織力賞を受賞しました。
ピアノの先生方はもとより生徒との絆が深いですが、審査やアドバイスを通じて「わたくしたちの生徒」という意識が生まれます。この「わたくしたち」感覚は、ボランティア精神をかきたて、職場や地域社会での活動をうながし、個々のウェルビーイングを高めます。
ますます重要になるのは「共益事業」での収入やご寄付を「公益事業」で活用する方法を考えることです。本日のトップニュースでご紹介した方々をはじめ、会員の先生方や楽器店の皆様のご協力があってこそ、ピアノ曲事典や教室紹介などの事業に取り組むことができます。
ピティナは音楽・芸術文化の振興を支えるために様々な事業を展開しています。今後も皆様のご支援をお願いします。
2022年度ピティナ指導者賞発表
2023/06/01 執筆:専務理事 福田成康
ピティナ指導者賞の特徴は「現在」に注目していることです。中でも「春基準」による指導者賞は生徒さんのステージ経験とご自身の研鑽を積み重ねた、1年間の実践を反映したものです。
2022年度に春基準を満たした方は209名です。その割合は指導者賞受賞者全体のわずか1.8%で、受賞された先生方の多様で丹念な指導の価値を示しています。
本日のトップニュースでは、この春はじめて指導者賞と新人指導者賞を受賞した方々のインタビューを集めました。どなたも技術の習熟にとどまらず、自ら音楽の楽しさを見つけ、仲間と共に学ぶ喜びを知るといった「心の成長」を後押ししています。
音楽は人生を豊かにします。ピアノ指導者の教育活動がますます創造的なものとなるよう、工夫を重ねつつ支援したいと考えています。
福田靖子賞選考会20周年記念
2023/05/25 執筆:専務理事 福田成康
福田靖子賞選考会が20周年を迎えました。
この選考会は、ピティナ創設者である福田靖子の「海外に羽ばたく若い世代を支援したい」という思いから、その遺産と多くの方からの寄付で設立されたものです。
今週のトップニュースでは20年の歴史を振り返りました。これまでの入賞者からはショパン国際コンクールなど名だたる国際コンクールの入賞者が輩出され、挑戦を続ける姿は子どもたちの憧れとなりました。さらには関本昌平さんのように、次世代を育てる優れた指導者が生まれていることを、福田靖子も喜んでいることと思います。
今年は11回目の選考会が開催されます。選考は海外からの教授陣によるマスタークラスと、学びの成果を披露する演奏会を通じて行われます。音楽が世代や地域を超えて広がり、受け継がれていく現場に、ぜひ御立会いください。
「未来会議」でミッションとビジョンを決める
2023/05/18 執筆:専務理事 福田成康
この春、ピティナが目指すものを一言で表すビジョン「音楽がつなげる豊かな人生」と、それを実現するための4つのミッションを策定しました。その取り組みなどが評価され、「第10回エクセレントNPO大賞」では最高賞の「大賞」と「組織力賞」を受賞しました。
一言で「ピティナ」といっても、ピアノの先生、学ぶ人、支部やステーション、楽器店、そして本部事務局など、関わりかたや思いは様々で、一人ひとりに「わたしのピティナ」があります。ビジョン策定の道程ではみんながあつまって「未来会議」を行いました。
「大賞」という結果もさることながら、「未来会議」でお互いの「わたしのピティナ」を言語化し、「わたくしたちのピティナ」への意識を深めたことが、ピティナの未来にとって重要だったと感じます。
「Lesson Check Up」を観て、参加して
2023/05/11 執筆:専務理事 福田成康
お客さんが見ている中でレッスンをすれば、大きな気付きと学びが得られます。
いっぽうでベテランの先生のレッスンと対比されるので強いプレッシャーを感じると思います。一時的に「恥ずかしい」思いをするかもしれません。今回、向上心と勇気をもって参加された指導者の皆様を尊敬しますし、皆様にもぜひ賞賛していただきたいです。
指導者育成委員長の金子勝子先生は「若い時からそのような場を乗り越えてきたから今がある」とおっしゃいます。
「我こそは向上心の塊だ」と自認する方は、eラーニングで「Lesson Check Up」をご覧になられてください。そして、ぜひご参加ください。その先には今の自分には見えない、明るい未来が開けていると確信します。
音楽で街に「にぎわい」を作る
2023/04/27 執筆:専務理事 福田成康
ゴールデンウィークの東京に「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭」が帰ってきます。「丸の内エリアコンサート」は、周辺のビルのロビー等を開放して、今年も行われます。
人が集まって創り出される「にぎわい」が街の根源だとしたら、かつては商店街やデパートが、まさにその象徴でした。ところが時代は移り、モノからコトへと消費のトレンドが変化し、「にぎわい」を創出する原動力も多様化しています。音楽はまさにその一つです。
耳と心を合わせて同じプロセスを体験できる音楽は、新たに<にぎわい>の中心になる可能性を持っています。
今年のエリアコンサートも、様々な形の音楽が集う見本市になりました。さらに音楽を聴きたくなってホールへ足を運ぶ方も、仲間と楽器を演奏したくなる方もいるでしょう。ゴールデンウィークは、ぜひ丸の内へお越しください。
自分自身のためのピアノ演奏
2023/04/20 執筆:専務理事 福田成康
角野隼斗さんの新しいプロジェクトが始まります。普段は聴衆を前にしたステージ経験の重要性をお伝えする機会が多いのですが、今回の話題はアップライトピアノです。
角野さんの全国ツアーを訪れた際、この公演のために特別に調整されたアップライトでの演奏がありました。サントリーの大ホールでしたが、なじみ深いコンパクトな楽器と少しくぐもった音により、角野さんの私的なピアノ遊びを垣間見ているようでした。
音楽の未来を考えるとき、私自身が何をしたいかではなく、周囲を見渡して誰が未来を切り開くのかを考え、探索します。ピティナはコンクール等の事業を行いつつ、皆さまの学習をさまざまな角度から支えることを目指しています。
角野隼斗さんの活躍は今や世界が知るところです。彼の歩みの後ろにこそ、道ができると思って、楽しみに追いかけます。ぜひご注目ください。
私のお気に入りの1曲を皆にシェアする
2023/04/14 執筆:専務理事 福田成康
今年度から23ステップに1曲で参加できるようになりました。練習する曲を厳選して丁寧に取り組んだり、長い曲に挑戦する際の選択肢になります。この制度変更に伴い、課題曲の追加が進んでいます。新しく出版された教材の曲を追加したり、皆様からのリクエスト曲を随時検討しています。
また、ステップ課題曲を各地のステーション代表が紹介するウェブ連載を開始しました。ステップ課題曲を選ぶ際に、その曲について「こんな良さがあった」とか「こういう使い方があった」といったヒントが得られるかもしれません。
新しい曲との出会いは学びの幅を広げ、ピアノを継続する意欲をかき立てることでしょう。そして、ステップは日々の学習に合わせた循環型のイベントとして、今後も発展していきます。ぜひご活用ください。
ピティナ音楽研究所の成果を取り入れる
2023/04/06 執筆:専務理事 福田成康
クラシック音楽は普遍的であると思われがちですが、ブゾーニやバックハウスの時代と現代の演奏ではスタイルが違います。ピティナ音楽研究所の高橋舞さんの研究は、その違いを鮮やかに、客観的に示しています。このような研究成果を知ることは楽しく、音楽への深い理解を促します。自然に「自分なりの演奏」が生まれてくるはずです。
ピティナ音楽研究所は、音楽と音楽教育に関する研究を行っています。現在4名の研究員が所属し、来年度は科研費の取得を目指しています。この過程で、外部の研究者との協力も進んでいます。また、数年以内にピアノ白書の発行や、在野の研究者支援といったプロジェクトも計画されています。
先日、研究所初の公開イベントが開催され、聴講者との活発な質疑応答が行われました。今後も、研究員たちはそれぞれの多様な視点から探究を進め、音楽研究の発展を目指します。
ピアノを習ったら「一度はピティナに参加する」
2023/03/31 執筆:専務理事 福田成康
AI(ChatGPT)で国会質問を作る時代になりました。人に必要とされる能力が大きく変わろうとしています。
今後必要な能力の一つに「レジリエンス」があります。構成する要素には、(1)粘り強さ、(2)環境への柔軟な適応力、(3)未来志向・チャレンジへの意欲、(4)感情のコントロール能力などとされています。
ピアノのコンクールに参加経験のある方は、これらの能力が鍛えられると感じるはずです。レジリエンスを高めることはピアノを習う主目的ではないかもしれません。とはいえ、ピアノを習い、コンクールに参加して結果的にそれが高い人になれるなら、幸せなことです。
今年も4/3(月)正午にピティナ・ピアノコンペティションの申込受付がスタートします。「いつかはピティナ」「一度はピティナ」という気持ちで日本最大のピアノコンクールに挑戦してみて頂きたいです。
「ふりかえりシート」で自分の変化を確認する
2023/03/23 執筆:専務理事 福田成康
ピティナ・ピアノステップに参加すると、ピティナ・パスポートが発行されます。パスポートには「自己評価」の欄があります。ステップでアドバイザーからもらえる点数やコメントは外からの評価として重要ですが、自らふりかえることも大切です。2023年度からは「ふりかえりシート」が始まります。
「ふりかえりシート」には、9つの選択式アンケートと1つの自由記述欄があります。継続的にステップに参加することで、自分自身がどのように「変化」していくかを確認することができます。また、シートに記入することで次回以降の参加に使える500円のギフトカードがもらえます。
振り返りの際には、ぜひその時の素直な気持ちで自己評価をつけてみてください。ピティナでは参加情報やシートから得られたデータを分析し、より良いピアノの学びを支えるための活用を考えています。
審査員から新たな観点を学ぶ
2023/03/16 執筆:専務理事 福田成康
日頃のレッスンでは一人の先生から指導を受けることが多いですが、ピティナ・ピアノコンペティションでは予選5名、本選は7名の審査員から採点票を受け取ります。
2つの目があることで立体的に見えますし、2つの耳で音の方向が判ります。
多くの人から評価を受けることは貴重な機会です。ピアノ指導者がベテランになるほど、生徒さんにコンクールやステップ参加を促し、生徒さんと一緒に採点票を読んで振り返るのは、その効果を経験的にご存じだからです。
本日のトップニュースは「コンペ採点票をもっと活用しよう!」です。習っている先生と正反対の指摘をされることもありますし、抽象的なコメントに戸惑ったというエピソードもうかがいました。そんな時、ベテランの指導者はコメントに解釈を加えて翻訳して生徒さんに伝えます。審査員のコメントを上手にご活用頂きたいと願っています。
「課題曲聴き比べ」の活用提案
2023/03/09 執筆:専務理事 福田成康
ピアノコンクールは点数によって結果が決まりますが、点数の高い演奏が唯一の正解ではありません。
「課題曲聴き比べ」企画では5人のピアニストたちによる、同じ曲の演奏を聴けます。まずは「違い」を感じてみてください。聴き比べるうちに、映像を見ないでも誰の演奏かが分かるようになると思います。
そうしたら次に「まねをしてみたい演奏」を見つけてみませんか。「創作は模倣から始まる」という言葉があります。他人とまったく同じ演奏にはなることはありえません。練習を重ねてたどり着いた演奏からにじみ出ているのがあなたの「個性」です。
音楽では正解が無限にありますが、審査員は皆さんの個性と向き合いつつ、点数の大小を決めます。「正しさ」を求めようとせず、ただ個性を発揮できたなら、きっと審査員のみならず、会場の皆さんの心に響く音楽が生まれているはずです。
Com(一緒に)petere(追い求める)
2023/03/02 執筆:専務理事 福田成康
ピアノ教育でコンクールを利用することは、すっかり定着しています。
ピティナ・ピアノコンペティションは基本的に自己研鑽の場です。グランプリを選ぶ特級には、ある種「スター誕生」的な要素もありますが、いずれの級も、志を同じくする人たちがより良い演奏を目指して集います。まさにCompetitionの語源の通り、Com(一緒に)petere(追い求める)のです。
Competitionは「競争」と日本語訳されますが「争」の文字に抵抗を持たれる方がいらっしゃるかもしれません。駅伝チームで「競走部」と名乗っているところもありますので、ピアノのコンペなら「競奏」などと訳されるべきものだと思います。
今では1曲で参加できるコンクールがたくさんあり、チャレンジの機会は多くなっています。そして、もし競奏に魅力を感じられたら、特級まで続く日本一のピアノコンクールにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
「マンネリ」こそが問題、勉強会参加のススメ
2023/02/22 執筆:専務理事 福田成康
ピアノ指導者の多くはひとりで指導をされています。長年、指導方法を変えずとも大きな不都合はありません。明確な課題や悩みがあれば、誰かに相談したりネットで調べますが、悩みがなければ新たなことを学ぶ必要性を感じないかもしれません。
この課題を感じない「マンネリ」こそが問題だと思っています。
状況を打破するには、日ごろからピアノ指導者仲間と触れ合うのが一番です。「最近、試した方法が良かったわよ」とか「先日の〇〇先生のセミナー、素晴らしかった!」といったことを聞けば「何々?」と興味津々で周りの先生方のお話を聞くことができるはずです。
本日のトップニュースでは「勉強会コミュニティ」で励まし合って学ぶステーションの代表者インタビューを紹介します。ようやくコロナによる規制も緩んできました。興味を持たれた皆様はぜひ勉強会に参加し、もし手近にそういった会がなければ、自ら作って頂きたいと思います。
ステージ演奏を「体験」と捉える
2023/02/16 執筆:専務理事 福田成康
ピアノを学ぶお子さんがいる家庭にとって、ステージでの演奏体験は成長ぶりを確認できる絶好の機会です。一見すると非日常的なイベントですが、自分で選曲し、練習計画を立て、聴く人の感想をもらう一連の流れは、インプットを基本とする日常の学びと地続きです。
決断することには責任を伴いますから、ステージ・デビューは大きなハードルだと感じるかもしれません。しかし、学習者の様子をよく観察している指導者が、道筋をアシストしてくれます。人に言われたからやるのではなく、自分で決めたことをやり遂げることで、結果に関わらず納得できると思います。
ピティナ・ピアノコンペティション、ステップ、提携コンクールの申込数は10万人を突破しました。ステージでの演奏はより身近なものになっています。舞台に出た瞬間から、あなたの音楽が会場の聴衆と共有されます。ぜひ演奏者として、また聴衆として、ステージを体験してみませんか。