審査員から新たな観点を学ぶ
2023/03/16 執筆:専務理事 福田成康
日頃のレッスンでは一人の先生から指導を受けることが多いですが、ピティナ・ピアノコンペティションでは予選5名、本選は7名の審査員から採点票を受け取ります。
2つの目があることで立体的に見えますし、2つの耳で音の方向が判ります。
多くの人から評価を受けることは貴重な機会です。ピアノ指導者がベテランになるほど、生徒さんにコンクールやステップ参加を促し、生徒さんと一緒に採点票を読んで振り返るのは、その効果を経験的にご存じだからです。
本日のトップニュースは「コンペ採点票をもっと活用しよう!」です。習っている先生と正反対の指摘をされることもありますし、抽象的なコメントに戸惑ったというエピソードもうかがいました。そんな時、ベテランの指導者はコメントに解釈を加えて翻訳して生徒さんに伝えます。審査員のコメントを上手にご活用頂きたいと願っています。
「課題曲聴き比べ」の活用提案
2023/03/09 執筆:専務理事 福田成康
ピアノコンクールは点数によって結果が決まりますが、点数の高い演奏が唯一の正解ではありません。
「課題曲聴き比べ」企画では5人のピアニストたちによる、同じ曲の演奏を聴けます。まずは「違い」を感じてみてください。聴き比べるうちに、映像を見ないでも誰の演奏かが分かるようになると思います。
そうしたら次に「まねをしてみたい演奏」を見つけてみませんか。「創作は模倣から始まる」という言葉があります。他人とまったく同じ演奏にはなることはありえません。練習を重ねてたどり着いた演奏からにじみ出ているのがあなたの「個性」です。
音楽では正解が無限にありますが、審査員は皆さんの個性と向き合いつつ、点数の大小を決めます。「正しさ」を求めようとせず、ただ個性を発揮できたなら、きっと審査員のみならず、会場の皆さんの心に響く音楽が生まれているはずです。
Com(一緒に)petere(追い求める)
2023/03/02 執筆:専務理事 福田成康
ピアノ教育でコンクールを利用することは、すっかり定着しています。
ピティナ・ピアノコンペティションは基本的に自己研鑽の場です。グランプリを選ぶ特級には、ある種「スター誕生」的な要素もありますが、いずれの級も、志を同じくする人たちがより良い演奏を目指して集います。まさにCompetitionの語源の通り、Com(一緒に)petere(追い求める)のです。
Competitionは「競争」と日本語訳されますが「争」の文字に抵抗を持たれる方がいらっしゃるかもしれません。駅伝チームで「競走部」と名乗っているところもありますので、ピアノのコンペなら「競奏」などと訳されるべきものだと思います。
今では1曲で参加できるコンクールがたくさんあり、チャレンジの機会は多くなっています。そして、もし競奏に魅力を感じられたら、特級まで続く日本一のピアノコンクールにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
「マンネリ」こそが問題、勉強会参加のススメ
2023/02/22 執筆:専務理事 福田成康
ピアノ指導者の多くはひとりで指導をされています。長年、指導方法を変えずとも大きな不都合はありません。明確な課題や悩みがあれば、誰かに相談したりネットで調べますが、悩みがなければ新たなことを学ぶ必要性を感じないかもしれません。
この課題を感じない「マンネリ」こそが問題だと思っています。
状況を打破するには、日ごろからピアノ指導者仲間と触れ合うのが一番です。「最近、試した方法が良かったわよ」とか「先日の〇〇先生のセミナー、素晴らしかった!」といったことを聞けば「何々?」と興味津々で周りの先生方のお話を聞くことができるはずです。
本日のトップニュースでは「勉強会コミュニティ」で励まし合って学ぶステーションの代表者インタビューを紹介します。ようやくコロナによる規制も緩んできました。興味を持たれた皆様はぜひ勉強会に参加し、もし手近にそういった会がなければ、自ら作って頂きたいと思います。
ステージ演奏を「体験」と捉える
2023/02/16 執筆:専務理事 福田成康
ピアノを学ぶお子さんがいる家庭にとって、ステージでの演奏体験は成長ぶりを確認できる絶好の機会です。一見すると非日常的なイベントですが、自分で選曲し、練習計画を立て、聴く人の感想をもらう一連の流れは、インプットを基本とする日常の学びと地続きです。
決断することには責任を伴いますから、ステージ・デビューは大きなハードルだと感じるかもしれません。しかし、学習者の様子をよく観察している指導者が、道筋をアシストしてくれます。人に言われたからやるのではなく、自分で決めたことをやり遂げることで、結果に関わらず納得できると思います。
ピティナ・ピアノコンペティション、ステップ、提携コンクールの申込数は10万人を突破しました。ステージでの演奏はより身近なものになっています。舞台に出た瞬間から、あなたの音楽が会場の聴衆と共有されます。ぜひ演奏者として、また聴衆として、ステージを体験してみませんか。
ピアノという楽器を知る
2023/02/09 執筆:専務理事 福田成康
多くの楽器の演奏者は、チューニングを自分で行います。声楽家は身体自体が楽器なので、自分の健康管理も調整の一つです。ピアノは調律・調整とも専門家にお願いするのが普通なので、楽器の状態に意識が向きづらいかもしれません。
今年4回目となる「ピアニスト×調律師徹底対談」のテーマは「ペダル」です。久しぶりに調律したピアノの弾きやすさと表現力には、感動を覚えることがあります。他方でペダルについては、何か明らかな不調があった時に見てもらうくらいかもしれません。
ピアノ技術者によると、ペダルはメーカーやモデルごとに機構の違いがあり、調整方法も一様ではないそうです。そのため、調整の仕方によって演奏や表現に変化が出ることもあります。
音楽表現の手段としてペダルを使いこなす「ピアニスト」と、ペダルの構造や調整方法を熟知した「ピアノ技術者」の対談から、演奏や指導のヒントが得られると思います。ぜひご注目ください。
ピアノ指導者のニーズに合わせて
2023/02/02 執筆:専務理事 福田成康
教室運営のなかで「もっとこうしたい」「他の先生の話も聞きたい」と考えることはありませんか。運営から指導までを一人で担う先生も多くおられ、理想を実現する手段を探して試行錯誤中かもしれません。
そこで、ピティナの会員特典を今一度、確認していただきたいと考えています。今週のトップ記事では「○○したい」に合わせたコンテンツ一覧をまとめ、ご活用いただいた先生方のお声も掲載しました。ピティナの強みは、入会期間の長さに関わらず会員間の交流があることです。同じ関心を持つ仲間と出会い、繋がることを通して、新たな挑戦や学び、ひいては教室運営の充実・発展に寄与できれば幸いです。
ピティナ会員だから仲間と出会える、仲間とならきっと実現できる理想がある。
ご自身の活動に合わせたピティナの活用法を見つけるきっかけになればと願っています。
連弾とコンペ継続の大きな相関関係
2023/01/26 執筆:専務理事 福田成康
ピティナ・ピアノコンペティションに参加した方のうち、連弾での参加歴がある人は約20%です。今回のトップニュースではそんな「連弾」の知られざる秘密をお伝えします。
連弾の演奏では1台のピアノに対し2人で音楽をつくります。自分の役割を果たすだけではなく、パートナーの音を聴きながら、音量や速度を調節することも重要です。ソロと連弾は「ピアノを弾く」ということでは共通ですが、必要とされる技術は大きく異なります。
そんなソロと連弾の意外な関連性が、この度データとして浮かび上がってきました。これまでソロしか参加したことがない方にも、連弾への挑戦をお勧めしたくなる内容です。連弾を経験することで、ソロ演奏にも良い影響があるはずです。
ピティナ入会で指導者コミュニティに入る
2023/01/19 執筆:専務理事 福田成康
昨年ピティナには1,193名の方が入会されました。新入会員アンケートでは、入会動機の上位3つが「コンペ・ステップ要項の入手」「ピアノ教室紹介への掲載」「指導法の学習」でした。ピアノ指導者としてキャリアアップを目指す方々が入会されています。
指導者どうしの交流が生まれることも大きな利点です。各地の指導者コミュニティでは、一人では実現が難しいようなことも実施しています。あるステップ・ステーションでは複数の指導者が話し合って企画し、ピティナ本部経由で著名なピアニストを招き、セミナー等のイベントを開催しました。ピティナは先生と生徒さんがともに成長する機会が得られるよう、プラットフォームを提供します。
最近会員となられた方や入会を検討されている方は、はじめの一歩として「ピアノ指導者交流会&ピティナ説明会」へ参加されてはいかがでしょうか。直近では1月25日(水)にも実施予定です。
音楽教室 での演奏に関わる著作権について
2023/01/12 執筆:専務理事 福田成康
JASRACが音楽教室から演奏料の徴収を求めようとした動きに対し、2017年の反対署名活動では4万を超える会員、関係者の皆様にご賛同をいただきました。今週のトップニュースでは、あらためて多大なご協力に御礼申し上げるとともに、その後の経過を報告いたします。
昨年10月の最高裁の判決に至るまでの過程で、いわゆる「カラオケ法理」は適用させず、ピアノ教室の中で指導者と生徒を分けて考え、生徒からは著作権利用料を徴収しないこと、つまりカラオケと音楽教室は違うということが明確になりました。
まだ未確定の要素も多いので引き続き状況をふまえつつ、2023年もピアノ教育業界の充実と発展に貢献して参ります。
指導セミナーに為末大さんご登壇が決定
2023/01/05 執筆:専務理事 福田成康
世界陸上銅メダリストの為末大さんが、様々な分野で共有できる「熟達論」を語っています。
為末さんによれば、熟達はまず「遊び」から始まり、次に「型」を覚え、自分なりの個性を生かす段階があり、最終的には無意識の境地に至るそうです。このプロセスはピアノ学習や教育の過程にも当てはまるのではないでしょうか。
クラシック音楽の指導では「型を覚えること」や「個性を生かすこと」が特に注目されがちです。熟達の「段階」があることを認識すれば、それに応じた教育方針を考えることができ、指導にも大いに活かせると思います。
今年の指導セミナー第3講座の講師として、為末さんをお招きしました。上手に弾けることとは何か、そしてどのように導くことができるのか。皆で一緒に考えてみませんか。
新年のご挨拶
2023/01/01 執筆:専務理事 福田成康
Well-being(ウェルビーイング)という言葉が使われるようになってきました。身体的・精神的・社会的にバランスのとれた状態で「継続的に幸福である」ことを示します。
Well-being研究では幸福感につながる4つの因子が導き出されています。「やってみよう」「なんとかなる」「ありのままに」「ありがとう」です。前の3つがあれば積極的にコンクールへ参加して楽しめるようになり、結果や学びによっては「ありがとう」も強まるはずです。
お正月は「〇〇してみたい」と考えることでしょう。「やってみよう」と動くことで、きっと新たな境地が開けます。
3月1日=コンペ開幕の日
2022/12/22 執筆:専務理事 福田成康
来年3月1日と2日のコンペ課題曲説明会は、今年と同じくオンラインで実施します。
ホールで聴く生の演奏には何物にも代えがたい魅力がありますが、配信ならではの良さもあります。映像では「全体」「手」「足」と3つのアングルで、ペダルやタッチの細部まで、ピアニストの演奏をご覧いただけます。
会員の皆様にはいち早く参加要項をお送りします。また、2月21日にはマイページ上で課題曲をお知らせします。説明会より前に楽譜を用意して、じっくり学ぶことができます。また、選曲や練習計画など、現場の悩みを指導者どうしで相談できる交流イベントの実施も検討しています。
「いつでもできる」と思うと不思議と後回しにしてしまうもの。全国の仲間とともに、3月1日=コンペ開幕の日から、学びのスタートを切ってみてはいかがでしょうか。
「進化」は偶然との出会いから
2022/12/15 執筆:専務理事 福田成康
音楽家をはじめ第一線で活躍する方々が講師を務める連続講座「音楽総合力UPワークショップ」は、来年で14年目を迎えます。
偶然との出会いをきっかけにより「化学反応」が起きます。人は外からの刺激によって変異をはじめ、その先にはきっと「新しい自分」との出会いがあります。
ワークショップの各講座では、ピアノを専門としてきた方々にとって新しい知見が得られるはずです。新たな視点は目標到達の助けになるかもしれませんし、知らなかった価値観を得て、思ってもみなかった場所へ到達するかもしれません。自分を「進化」させる機会としてワークショップをご活用ください。
23ステップが26年ぶりの大改革
2022/12/08 執筆:専務理事 福田成康
音楽は目に見えないので成長を測るのが難しいですが、各レベルの合格を目指す23ステップを使うと上達を可視化できます。
S,A,B,C,Dの5段階評価でアドバイザーの先生3人全員が合計6個の「S」をつけるのは大変珍しく、わずか0.15%、700人に1人です。アドバイザーからの評価は大きな励みになります。
その23ステップが26年ぶりの大改革で、2023年4月からは1曲でも参加できるようになります。発表会で弾きたい憧れの長い曲に挑戦するもよし、リピートを省略せずに曲の本来の姿を勉強するもよし。この改革に合わせて課題曲も積極的に増やします。あなたらしい方法で23ステップをご活用ください。
G・Pre特級・特級の予選を実地審査に戻します
2022/12/01 執筆:専務理事 福田成康
2023年ピティナ・コンペティションの最初の情報を発表しました。
来年は特級、Pre特級、G級の一次予選は実地での審査を復活させます。ホールでの演奏から審査員に伝わる情報量は、動画にくらべれば格段に多いものです。審査員からも参加者からも再開の要望が寄せられていました。
今年、グランミューズ部門の参加人数は過去最高を記録しました。コロナ禍を経てなお、多くの大人の方々の間で挑戦のステージに立つ機運が高まっていることが心強いです。
ピアノのコンクールは「参加せねばならない」ものではありません。何百時間もの練習を重ねても審査時間は10分程度ですから、悔しい思いを持つかもしれません。しかしこの感覚は音楽のみならず、人としての成長に繋がります。「ピアノ人材」の目覚ましい活躍を、これまで様々な場面で見てきました。
来夏、皆様の渾身の演奏に出会えますことを楽しみにしております。
社会環境の変化に合わせたピアノ指導
2022/11/24 執筆:専務理事 福田成康
近年の教育においては「個別最適化」というキーワードが注目されています。
ピアノ教育は元々個人レッスンです。先生は生徒一人ひとりの個性に応じて指導していますから、現在のトレンドに乗った習い事です。
各地のピアノ指導者の間でも、自らが受けた昔ながらのレッスンを見直す動きは活発です。吹奏楽部のソロ・コンテストや合唱部のピアノ伴奏の指導に力をいれたり、教室そのものが子どもたちの居場所となるような在り方を模索されています。
本日のトップニュースでは社会環境の変化に伴い、多様な子どもたちの音楽観を育てるための取り組みをまとめています。地域におけるピアノ指導が果たすべき役割を考えるきっかけになれば、嬉しく思います。
発表会とステップの使い分け
2022/11/17 執筆:専務理事 福田成康
ピアノ学習者にとって発表会とステップは同じ「人前で弾く本番」ですが、指導者の観点からは異なる部分もあります。
発表会は先生が主催者として生徒さんのステージを作ります。先生と生徒は、いわばホストとゲストの関係です。一方、ステップは先生が生徒さんと同じ参加者目線で演奏時間や曲目を決められます。
教育においては先生が生徒と向き合って「教える」ことも、ステップでの役割のように先生が生徒と同じところを目指して「導く」ことも、ともに重要です。
本日のトップニュースではステップと発表会の相乗効果についてご紹介します。全国各地の教室でどのようにステップを活用されているのか、3人の先生のインタビューから紐解きますので、ぜひご覧ください。
入賞者記念コンサート
2022/11/10 執筆:専務理事 福田成康
夏のコンペティションで優秀な成績を収めた入賞者たちが、今度はひとりの演奏家として入賞者記念コンサートの場に臨みます。
この冬、首都圏では3会場、さらに支部主催の入賞者記念コンサートは全国17箇所で開催されます。
出場者もバラエティ豊かです。才能あふれる小・中学生。まさに世界へ羽ばたこうとしているピアニスト、あるいは社会人として活躍しつつピアノと寄り添って生きる人たち。
コンクールで研鑽を積んだ出演者たちは、音楽を通じて私たち聴衆にどのようなメッセージを訴えかけてくれるでしょうか。期待が高まります。
この記事を読んだ皆様が会場に足を運んでくださることが、彼らの演奏家としての自立につながります。聴衆の応援なくして音楽家の成長はなしえません。
ぜひ、未来あるピアニストたちへのエールをお願いいたします。
「四期」の課題曲で音楽を読み解く
2022/11/02 執筆:専務理事 福田成康
コンペのオフシーズンだからこそ、あえて課題曲のことを取り上げたいと思いました。
いざ3月に課題曲が発表されると「その曲そのもの」に意識がいきがちです。いっぽう、落ち着いて音楽史の連続性を意識し、その一曲について俯瞰した見かたができれば、曲の違いも浮き彫りになりますし、その曲らしさを表現しようとも思えるはずです。
課題曲の選定では、選定委員会の先生方の知識と経験が余すことなく投入されています。先生や保護者の方がコンペ参加をすすめることが多いと思いますが、「弾いてみたい」「ここがおもしろい」と思える魅力的な課題を考えることは、生徒さんの能動性を引き出すきっかけになると思います。
本日のトップニュースでは課題曲選定委員会の先生方のお話を紹介します。審査結果にとらわれることがない今、課題曲となった曲の音楽史上の位置づけや成立背景なども認識して、基礎力を身に着けて頂きたいと思います。
生徒一人ひとりに合わせた指導をするために
2022/10/27 執筆:専務理事 福田成康
ピアノ指導者に限らず、社会に還元・貢献するために求められる姿勢の1つに「学び続ける」ことが挙げられます。私自身も現在大学院に通い、学ぶ日々を送っています。日々変化する社会に貢献するためにはたゆまぬ努力が必要だと思うからです。
ピアノ指導者は生徒ひとりひとりによって特性も与える曲も変えるため、膨大な量の知識の引き出しが必要になります。金子勝子先生の輝かしい指導歴は、ピアノと真剣に向き合う生徒の思いを受け取り、長年に渡り、真摯に学び続けた結果です。
失敗を恐れずに学び続けた結果、生徒が持っている資質を最大限に引き出す指導者になるのでしょう。指導者ライセンスでご自身のレッスンを振り返りながら、ぜひ学び続け、生徒ひとりひとりに寄り添いながら、その力を最大限に引き出せる最高のピアノ指導者を目指していただければと思います。
eラーニングでリスキリング(Re-skilling)
2022/10/20 執筆:専務理事 福田成康
人生100年時代、急速なデジタル化に備えてリスキリング(Re-skilling)が叫ばれています。
子どもの教育では、プログラミングなど新しい分野も出てきましたが、ピアノ教育へのニーズは引き続き高くなっています。若手ピアニストの活躍やジェンダー平等の時勢を反映しているのか、男の子が増えていることも目立ちます。
この環境下で現役のピアノ指導者が取るべき行動は、現代のピアノ教育への期待に対応するリスキリングではないでしょうか。学生時代には、学校が用意したカリキュラムをこなせば良かったのですが、社会人とりわけ個人事業主となると、何を学べばよいのか迷う方もいらっしゃると思います。
本日のトップニュースでは、ピティナ・eラーニングを徹底活用したリスキリングのヒントを与えてくれる中身となっています。記事を参考に、先生ご自身が学びを続けて頂きたいと思います。その姿をみて、生徒さんもきっと触発されると思います。
「ショパンの日」を提携YouTubeチャンネルと
2022/10/13 執筆:専務理事 福田成康
ショパンの「命日」の時期に行ってきた配信イベント「ショパンの日」が、3年目を迎えます。今年は、ピティナの「提携・準提携YouTubeチャンネル」を運営している10人のピアニストが「ショパン」をテーマに十人十色の企画を持ち寄ります。YouTube上でのピアノコンテンツの充実ぶりを象徴するかのようにバラエティ豊かな内容になりました。
2020年からピティナでは、「提携チャンネル」と称して、会員のYouTubeチャンネルと協力関係を結び、一人ひとりの発信を後押ししています。ピアノにまつわる多種多様なコンテンツが世に送り出されるのをサポートするのは「多様であること」がその分野の発展の証だからです。
今年の「ショパンの日」は、ピアニストたちが協力し合い、つながり合って創り上げる、ピティナという組織ならではの企画です。日曜日の午後、番組を通じて日本の多彩なピアノ文化を楽しまれてはいかがでしょうか。
林苑子先生が社会教育功労者表彰を決定
2022/10/06 執筆:専務理事 福田成康
現代の子どもたちが勉強に部活に忙しい日々の中でピアノを続けるのは大変です。そんななか、ステップ・アドバイザーは「演奏の完成度」だけでなく「参加者と音楽とのかかわり」に注目して応援のメッセージを書きます。その言葉は子どもたちの学びに活力を与えてくれます。
一人ひとりに肉筆でメッセージを書くアドバイザーの仕事はとても大変ですが、同じ時間と空間を分かち合うことの尊さを感じ「少しでもピアノを長く続けて欲しい」と願って、遣り甲斐を感じるからこそ、お引き受け下さっているのだと思います。
このほど、数多くアドバイザーを輩出してきたステップ・アドバイザー派遣委員長の林苑子先生が、社会教育功労者表彰を受彰されることになりました。林先生の「自分自身の音楽を大切にして、ピアノを長く続けてほしい」という想いが伝われば幸いです。
北村明日人さんの特級グランプリ活動
2022/09/29 執筆:専務理事 福田成康
夏のコンペ全国大会から一か月。
今年の特級グランプリとなった北村明日人さんは、表敬訪問などフォーマルな場から子どもたちと共演するステージまで、精力的に活動されています。
歴代特級グランプリの方々の多くが「受賞前と後で生活が一変した」と言います。北村さんの様子からはピアノを学ぶ人たちの目標となる「グランプリの役割」を深く理解して、各地を巡っていることが伝わってきます。
この日々は北村さんの音楽家としてのこれからの方向性が見えてくる重要な時期でもあるはずです。グランプリの成長ぶりを、みなで一緒に応援しませんか。
入賞者記念コンサートをはじめ、これからの予定にもぜひご注目ください。
「ショパンの日」は提携・準提携チャンネルと
2022/09/22 執筆:専務理事 福田成康
秋の恒例行事になりつつある「ショパンの日」オンラインイベント。
今回は、ピティナ提携・準提携チャンネル運営者とのコラボレーションでお届けします。
配信日は10月16日(日)。今回は「ライブリダイレクト」というYouTubeの新機能を使います。ピティナ・ピアノチャンネルからスタートし「提携&準提携」の10チャンネルが準備するプログラムが、一続きのライブ番組のように配信されます。
チャットで他のユーザーと感想を共有し、空間を超えて同じ音楽を分かち合うストリーミングならではの楽しみはもちろん、未知の魅力的なチャンネルに出会えるのも、今回の企画の醍醐味です。
トップニュースでは番組内容を一覧で紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。深まりゆく秋の一日、作曲家ショパンやピアノへの思いを共有してみませんか。
ピティナ会員募集中
2022/09/15 執筆:専務理事 福田成康
厚生労働省の発表によると、小学3年生の87%は習い事をしていて、音楽教育(ピアノ教育)は習い事ランキング第2位とのことです。ピティナには現在、約1万7500人もの会員が所属しており、ランキングへの影響は少なくないと思います。
入会のきっかけはさまざまで「生徒が初めてステップへ参加するから」「知り合いの先生に勧められたから」「eラーニングを活用したいから」など多岐にわたります。また、ピアノ指導は孤独になりがちな職業ですが、入会したことで「仲間ができ豊かな人生を送れている」という喜びの声を耳にします。
会員になったからといって「こうしなければいけない」ということは一切ありません。たくさんの会員の皆様に支えられて今の事業が成り立っています。ぜひ入会後も積極的に意見を発信していただき、ともにピアノ教育について学び合えればと思います。
ピアノ学習?秋の過ごし方
2022/09/08
9月に入り、一生懸命取り組んだピティナ・ピアノコンペティションも、今は遠い出来事のように感じている方も多いのではないでしょうか。
コンペは目標に向かって持てる力を注ぎこむ、いわば「詰める」機会です。もし年中「詰め」が続いていたら、息切れしてしまうでしょう。音楽でも「弛緩(緩め)」のパートがあるから「緊張(詰め)」のパートが際立つように、ピアノ学習にも緩急が必要です。
コンペが終わった秋を緩めの時期として、ピアノとの向き合い方を考え、自分の中から湧きでるものを観察する時間としてはいかがでしょうか。先生は生徒さんの反応を待つことも、促すこともできます。基礎力を固める時期としても、良いかもしれません。
生徒さんは自由に好きな曲を弾くなどして、ピアノへの気持ちを再確認するのにも、良い時期だと思います。
「緩む」時期である秋を実り多いものにしていただき、また次の「詰める」時期に全力で取り組んでいただければと思います。
みんなで入賞者を支える特級
2022/09/01
「演奏家は聴衆が育てる」という標語は、生徒さんが子どものうちは指導者が育てていることとの対比から生まれました。
ピティナの特級にはピアノ学習者からプロの演奏家への橋渡しの役割もあります。今年は聴衆とのコンタクトを意識する「サポーター賞」を創設しました。聴衆から賞金となる資金を募り、投票でその賞金の分配が決まります。まさに「みんなで入賞者を支える仕組み」です。
実現できたのは、ご支援くださった149名の皆様と、のべ3,200票以上の投票にご参加くださった皆様のおかげです。また、今年は広く文化芸術振興・音楽家を応援している方々も特級にエールを送ってくださいました。重ねて感謝申し上げます。
集まった寄付金はサポーター賞の賞金や、入賞者の演奏活動支援に充てる資金等として有効に活用します。引き続き、次世代のピアニスト達への応援をよろしくお願いします。
「懐メロ」にならない音楽が世代をつなぐ
2022/08/25 執筆:専務理事 福田成康
ピティナの夏、コンペティションが閉幕しました。
2022年度の特級グランプリは、ベートーヴェンのコンチェルトを演奏した北村明日人さんです。結果を振り返り、全国大会の各会場で聴いたバッハのインベンションやモーツァルトのソナタを思い出しながら「古典」の存在に、あらためて思いを馳せています。
多くの人々が親しむのは、流行りの曲かもしれません。そうした曲のほとんどは、次々に移り変わり、それぞれの世代ごとの「懐メロ」になります。いっぽう歴史を経て定着した古典は時代・世代を超えて、北極星のように皆の目標となります。
ピアノ学習を通じて、もっと一緒に学ぶ場、人を育てる場を作りたい。ピアノ学習を世代や国を越えて人をつなぐメディアにする。古典の存在はそのようなビジョンを見せてくれます。