ブロードウッド

No.7"ブロードウッド 1802年頃"
解説
◆動画で解説を見る(演奏が聞けます)
  • ピアノPiano
  • J.ブロードウッド(ロンドン)J.Broadwood & Son(London)  1802年頃
  • [全長] 227.0cm [鍵盤数] 68鍵 [音域] F1~c4 [アクション] 突き上げ式 シングルエスケープメント
  • 取材協力:浜松市楽器博物館
  • ピアノPiano
  • J.ブロードウッド(ロンドン)J.Broadwood & Son(London)  1802年頃
  • [全長] 227.0cm [鍵盤数] 68鍵 [音域] F1~c4 [アクション] 突き上げ式 シングルエスケープメント
解説:宮崎 貴子

ブロードウッド社はロンドン設立のピアノメーカーである。創業者のJ.ブロードウッド(John Broawood 1732-1812)はスコットランド出身。
ロンドンのチェンバロ製作者シューディのもとで修行をし、彼の全面的な信頼を得て仕事上のパートナーとなる。シューディの娘と結婚、工場を受け継いだ後、1782年にブロードウッド社を設立。 死後は息子のジェームズが跡を継ぎ、19世紀には、一流ピアノメーカーとして大きな成功を手にした。

ブロードウッドが作った初めのピアノは、当時人気だったツンペ製をモデルにしたスクエアピアノであった。それに工夫を加え、足先で操作するダンパーペダルを開発、特許を得ている。その後グランド型フォルテピアノの製作を開始。
アクションは基本的に、A.バッカースによって考案され、R.ストダートが改良を加えたイギリス式アクションを踏襲。さらに物理学者らの意見を取り入れ、ブリッジ(駒)を2つに分けることで低音部の真鍮弦とその隣のスチール弦の長さを調整し境目の張力を同じにすることにより、各音域の音質の均質化に成功した。
その響きは金管アンサンブルにも例えられ、安定感ある華やかな音色が魅力。

ハイドン(1732-1809)は後年、ブロードウッドに代表されるイギリスピアノを絶賛し、「イギリスソナタ」が生まれた。
ベートーヴェン(1770-1827)は1818年、ブロードウッド社から6オクターヴのピアノを贈られ大変感激し、まだ手元に届かないうちから礼状を書いている。ウィーン製6オクターヴのピアノよりも低音域が拡張されており、ハンマークラヴィーアソナタの3楽章以降、最後の3つのピアノソナタに、その影響が見られる。

この1802年製の楽器は5オクターヴ半、イギリス式のシングルエスケープメントで、(当時のイギリス製グランドピアノによく見られるように)ダンパーペダルとウナ・コルダは左右のピアノの脚先に取り付けられており、奏者は少し足を開いてペダル操作をする。

動画
◆解説
◆試奏
関連情報
◆同時代の代表的な楽曲

1802年といえば、ベートーヴェンによる有名な「ハイリゲンシュタットの遺書」が書かれた年。旺盛な創作意欲をもって、数々のピアノ曲が書かれた頃でもあります。1803~4年に書かれたワルトシュタイン、1804年~5年の「熱情」ソナタなどは当時の最新の楽器、つまりこのページで紹介しているような楽器のイメージで創作されたものと推定しても、遠くはないでしょう。(文責:ピティナピアノ曲事典編集部)

◆この楽器を見られる場所
  • 〒430-7790 静岡県浜松市中区中央3-9-1
  • 9:30~17:00(休館日
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