【実施レポ】朝活コンサートvol.3

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2019/02/21
朝活コンサートvol.3 開催レポート

探っていくのは聴き手の私たち。想像力の幅を広げてくれるのは音楽。

集合写真
〈開催概要〉
朝活コンサートVol.3 梅村知世・鈴木舞
春、愛、恋 スプリングコンサート ~作曲家たちの日記帳~
  • 日程:2019年2月8日(金)10:30プレセミナー/11:30コンサート
  • 会場:浜離宮朝日ホール音楽ホール
  • 構成・司会:飯田有抄
  • 講師:小沼純一出演:梅村知世(ピアノ)鈴木舞(ヴァイオリン)
  • 来場者数:84名 (ピアノ調律:岩崎俊)
プレセミナー

2/8(金)浜離宮朝日ホールにて、朝活コンサートvol.3を開催。作品や作曲家、音楽文化について学ぶ45分のプレセミナーと60分のコンサートの二本立てで、司会の飯田有抄さん、講師の早稲田大学教授・文芸批評家の小沼純一先生によるプレセミナーが行われました。

今回のテーマに即したコンサートプログラムから、前半のプレセミナーでは「音楽とタイトルの関係性」に迫ります。

「タイトル」は、作曲家のイメージが受容される過程で何らか変換にずれが生じ、そうしたずれの中でどこかでピントが合ってくるものではないか。「花」「雨だれ」などの言葉を例えに、感じるものが重なる「共感覚」、五感による言葉の結び付きについて掘り下げられました。

途中、サプライズで後半の演奏者2名が登場!
「タイトルがついた曲の名前を知らないで聴いたみたらどう感じるのか」について、演奏家の実演で観客にイメージしてもらう試みが行われました。3択クイズ形式への会場の答えは意外な結果に。知ってから聴くのと聴いてから知ることが案外違うという、おもしろい現象となりました。

詳しくは eラーニングで!

ちなみに、小沼先生自身は、題材となった散文詩を先に知っていて、初めて作品聴いたのが中学生の時。その時は「ぴったりだな」と感じたそうです。

「イメージは、ある言葉の原型の中でおこってくるというのはあるだろう。枠組みのなかで泳がせてくれるのではないか」と締めくくられました。

セミナー後半は、コンサートの鑑賞ポイントを解説。特定の個人的な体験や場所の記憶と結びついて作品の像を結ぶ場合、「朝」の光のように普遍的なイメージを持つ場合、もしくはそこからどれだけ離れてみるか等、多様な聴き方が提示されました。

グリーグの抒情小曲集には、19世紀末の空気感、北欧の音楽から感じられる空気感が反映されている、それは "風土的なもの"として、まさに非日常の空間であるコンサートでこそ、居ながらにして自分も体験できる音楽の魅力であること。言葉にこだわったシューマン、建物、建築の意匠を音楽が作りだすかのような複数を一つで見せるソナタや組曲の必然性、造形としての純音楽の楽しみ方、などに触れられました。

プレセミナーを通して、普遍的なもの、個人的なもの、風土的もの、音楽は多層的であり、そこが魅力であること、探っていくのは聴き手である私たちであり、想像力の幅を広げてくれるのは音楽であることが語られました。

最後に「言葉、頭、身体を使いながら感覚を開いてみましょう」と後半のコンサートに引き継がれました。

コンサート

梅村知世さん(ピアノ)と鈴木舞さん(ヴァイオリン)の演奏に、「初春のすがすがしい気分をかきたててくれた」等の賛辞が贈られました。熱いアンコールに応えて、フランク:ヴァイオリンソナタイ長調第4楽章、プーランク:愛の小径の2曲が演奏されました。

ムジカ・シエスタ(オプション企画)

同日の夜公演に出演する菊地裕介さんと高木竜馬さんは、朝活コンサートの梅村さん、鈴木さんとも旧知の仲。偶然集った演奏者同士のオプション企画が実施されました。

ムジカ・シエスタ

「音楽家は、日々苦しい練習をして命がけの舞台で弾くイメージだけが先行しがちだけれど、実はこういう気軽な楽しみ方もしていることを知ってもらいたい」(菊地)との発案で、リハと休憩の時間を利用して実現しました。
実はドイツつながりで知り合い同士であったという出演者たちが、本公演の合間に集いました。

ソナタとして作曲しながらソナチネと名づけられた「シューベルト:ソナチネ第1番第1楽章」について、「そういう意味では、あまり練習しないでこの場で演奏した雰囲気を聴いていただきたい」と、夜の本公演での幻想曲?「心の叫びのような作品です」と対比して菊地先生より紹介されました。

また、同じく夜公演の「ストラヴィンスキー:春の祭典」をヴァイオリンの鈴木舞さんが紹介。原体験はバレエの観劇、その後にオーケストラ版を聴いたとのこと、細やかなところにディテールが詰まっていることに改めて驚かされたされたそうです。菊地先生からは「緻密で効果的なオーケストラバージョンの効果が取り除かれた状態のピアノ連弾は、テクスチュアが明確に浮かび上がってきて、オケともバレエとも違う、純粋な音程と音程の世界で、これはこれで楽しみにしてほしい」と紹介されました。
「原点にもどって歌曲を一つ。シューベル:アヴェマリアをどうぞ」とムジカ・シエスタが締めくくられました。

ダイジェスト動画

続く公開リハーサルでは、高木竜馬さんと菊地裕介先生の本番前の真剣勝負の練習風景が公開され、高まる緊張感が、会場の見学者にも伝わっていました。

夜公演「菊地裕介presents vol.2 "髙木竜馬"」のレポートと音源(ピアノ曲事典)は来週公開!ご期待ください。

ピティナeラーニング公開!

朝活コンサートプレセミナーがeラーニングで公開されます。パソコンやタブレット、スマートフォンで聴講することが出来ます(有料)。是非、ご自宅での学びにお役立てください。
コンサートのダイジェスト映像もお楽しみに。


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