【公開録音】ピアノ・エチュード大観 Vol.1(2019.3.23)

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2019/01/09
公開録音コンサート
   ヒストリカル・シリーズ
ピアノ・エチュード大観── パリ、1830~'40年のエチュード出版史 Vol.1
<第1景>
A.P.F. Boëly(1785-1858)30 Études Op.6(1830)
ボエリー「30のエチュード」作品6
2019.323日(土) 14:00開演(13:30開場)
金澤 攝 Piano:Osamu N.Kanazawa
東音ホール(東京・巣鴨/アクセス
入場料:後払い方式
Message

1830年代に入り、パリで最初に出版されたエチュードは、アレクサンドル・ピエール・フランシス・ボエリーの「30のエチュード」である。演奏時間80分に及ぶこの大冊は、オルガニストとして活躍した作曲者の、オルガン風のテクスチュアに、フランスの典雅な古典性を反映させた名品となっている。1980年代に抜粋で楽譜出版とレコード録音が行われたものの、初版の楽譜はパリ国立図書館にも存在せず、判読が困難な自筆譜コピーを用いての演奏となった。元よりコンサートでの上映を想定した作品ではないため、全曲の演奏は恐らく世界初である。

1830年代、ピアノ音楽は爆発的な開花を見せる。その最もアグレッシヴな形態がエチュードだった。「練習曲」としか訳されないこのタイトルは、ショパンやリストの例が示す通り、技巧の極限的追及と共に、新たな表現性・創造性を備えた芸術作品としての領域を拓く。
ここでは1830年から1840年に至る11年間に、当時のピアノ音楽の中心地・パリで出版された主要なエチュード集33篇を時系列で陳列、網羅する空前の取り組みである。
楽器としての一応の機能的完成と、社会への普及を果たしたピアノに当時の音楽家たちが託した夢や理想は、とりもなおさず、ピアノが本来何を奏でるために作られたのか、という原点を示している。
取り上げられる作曲家は、当時60代のエチュードの始祖・クラ―マーを最年長に、20歳を過ぎたばかりのラヴィーナまで、ベートーヴェン以降のピアニスト・コンポーザーの系譜も余さず追うものとなる。
このうち、今日知られているエチュードはショパンとリスト、他にモシェレス、アルカン、ヘンゼルト等、僅かにすぎないが、彼らの周辺にいた人々の作品を一望することで、彼らがどんな時代に生き、どういう流れの中で創作活動を行っていたのかが明らかとなる。彼らだけが傑出していた訳ではなく、その「個性」と信じられているものの多くが、共通する時代の息吹きであったことが了解されるだろう。
延べ500曲に迫る難曲の数々を通じ、ピアノ音楽のルーツを巡る遠大な「音楽巡礼の旅」が展開する。

2018.12.16 金澤攝
Program
  • ボエリー:「30のエチュード」作品6 A.P.F. Boëly(1785-1858)30 Études Op.6(1830)
Profile
金澤攝 [Pf.]Osamu N. KANAZAWA /Pf.

作曲家、ピアニスト、研究家。1959年、石川県金沢生まれ。70年から74年までピアノを宮沢明子氏に師事。15歳で渡仏、パリに学ぶ。作曲を独学で学び、ピアノのレッスンに並行して広範囲にわたる作曲家の研究に取り組む。78年、知られざる名作を日本に紹介すべく帰国、研鑽を重ね、現在約一千名の音楽家を対象として研究、演奏を行っている。第7回ラ・ロシェル(メシアン)国際コンクール第2位(1位なし)、第1回現代音楽コンクール審査委員長(故・園田高弘)奨励賞、第3回村松賞大賞、金沢市文化活動賞、石川テレビ賞ほかを受賞。ピティナ公式Webサイトにて、著作「ピアノ・ブロッサム」「音楽における九星」を掲載。

◆入場料:後払い方式

コンサート後に、好きな額を当日お配りする封筒にいれて頂きます。そのお金は演奏者ならびにピティナ・ピアノ曲事典への寄付金として大切に使わせて頂きます。規定の計算方法により過半(60%~場合によって全額)を演奏家にお渡しし、残りは本企画の調律費等に充てます。


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