第36回:横浜市立つつじが丘小学校 2006年5月23日(火)

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2006/05/23

横浜での2006年度最初の学校クラスコンサートは、横浜市立つつじが丘小学校。今回関春絵さんと一緒に向かったのは、同じ沿線に住むヴァイオリニストの南條由起さん。普段見られないヴァイオリンの準備の場面もじっくりと見ることができた。


ビデオを見てみよう(WMV4分59秒)

プロポーズの行方は・・・?

「この人、知ってる?」と作曲家の肖像画を持って関さんが尋ねる。「知ってる!ベートーヴェン!!」「そう。こういう曲とか作った人だよね。」と、第九の歓喜の歌や運命の動機を弾いてみる。「これから『エリーゼのために』という曲を弾くのだけれど、これは実は、このテレーゼさんという人のために作られた曲でした。」と女性の絵を見せる。

「この人当時18歳。今で言う高校3年生くらいだね。その時ベートーヴェンは約40歳。みんなのお父さんくらいの年かな?その40歳のベートーヴェンがテレーゼさんにプロポーズをしました。さてその結果はどうなったでしょう?この曲を聞くと、その答えがわかります・・・」と、『エリーゼのために』を静かに演奏。演奏し終わって目をあげ、「さて、この恋は実ったでしょうか?」とみんなに尋ねると口々に「わかった!ふられたんでしょう!」と。

「次はこの作曲家。」と肖像画を持ってくると「モーツァルト!!」と元気に答える。関さんが『アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク』のメロディを弾くと「それ知ってる!」と喜ぶ。これから弾く『トルコ行進曲』では、みんなに手拍子で手伝ってもらいたいと思います。」と、「タン・タン・タンタンタン...」のリズムで手拍子を促し、みんな『トルコ行進曲』にあわせて手拍子をして楽しんだ。

今までに聞いたピアノの中で一番感動してしまいました。(5年1組)

トルコ行進曲も手拍子をするところがとても良かったです。(5年1組)

ピアノのペダルのふむ場所によて、音の感じ方が違うのがわかりました。(5年2組)

ひびき方などがちがって、「あ、これはフラれたな」とか、あらたな発見が見つけられました。(5年3組)


227歳も年上の楽器の音って?

いつもはケースから出された状態で舞台に登場するヴァイオリンだが、今日は特別に、ヴァイオリンをケースから出すところから見てもらおうと、南條さんはケースのまま皆の前にやってきた。「これからケースを開けて、いつも準備するところを見てもらうね。では、開けます!」とケースに手をかけると、ケースのまわりに皆が集まってきた。ケースを開けると「わーっ」とため息。

まずは弓を取り出し、ゆるめてあった毛を張り、手馴れた様子で松脂を塗る。いよいよヴァイオリンを布の下から取り出してみせると、「うわー、意外とちっちゃいんだ!」「なんでそんな大きいケースに入ってるの?」と。「それはね、このヴァイオリンがとっても大切で、こわさないように、しっかりした立派なケースに入れているのよ。このヴァイオリン、何歳かわかる?」「え?25歳くらい?」「50歳?」「もっと年上だよ。」「100歳!?」「もっと!」「えー!?もっと?」

「このヴァイオリンができたのは1768年です。」一瞬ぽかんとする子どもたち。「待って!今計算する。えーと、、ええっ238歳?すごーい!!」とどよめき。「そう。みんなより227歳も年上です。」「すごいおじいちゃん。」「おじいちゃんどころじゃないよ!」「そうね。みんなのおじいちゃんのおじいちゃんの...何代も前のおじいちゃんだね。その間何人もの手をわたって今私のところにあります。だから私が今壊してしまうわけにはいかないの。」

まずはエルガーの『愛の挨拶』の美しいメロディで、自分たちより227歳も多く生きている楽器の音色を聴いてみる。「この曲は、エルガーが好きな女の人と結婚できることになって、その人にプレゼントした曲です。さっきのベートーヴェンのお話と違って、こちらはプロポーズが成功した方の例だから、その音楽も聴いてみましょう。」と笑う。

次は全く雰囲気の違うクライスラーの『中国の太鼓』。「太鼓のようなドンドンドン...というリズムをずっとピアノで弾いて、その上に中国風のメロディがつきます。こんなメロディ知ってる?」...チャラララチャッチャッチャッチャッチャー...「これと似たような不思議な音階が使われています。他にも色々なおもしろい弾き方をしたりするので、よく見て聴いていてね。」と演奏。

ヴァイオリンの本体は、古くても弦を変えればいくらでも使えることがわかりました。(5年2組)

バイオリンは「なんであんなに小さいのにあんな色々な音が出るのだろう?」と思いました。(5年1組)

ヴァイオリンの『中国の太鼓』は、ヴァイオリンをひく弓がポンポンはねて、とても不思議な音が出てたのがすごいと思いました。(5年1組)

私は、あの音楽を聞いてとても感動しました。特にヴァイオリン!!私はJ-POPの音楽が好きで、ヴァイオリンはおしとやかなイメージがあって全然興味がありませんでした。でも南條さんと関さんの『中国の太鼓』を聞いてから、「ヴァイオリンでもこんなに早く、リズミカルにひけるなんて!!」ととてもビックリしました!!(5年1組)


はじめた理由はみんなと同じだね

生徒さんとの共演では、「心から心へ」を歌で、「星笛」をリコーダーで一緒に演奏した。みんなの演奏にあわせて、ヴァイオリンがきれいにオブリガートをつける。最後には2人へたくさんの質問が飛ぶ。

「どうしてピアノやヴァイオリンに興味を持ったのですか?」と聞かれると関さんは「女の子たちはわかると思うけれど、幼稚園の時に友だちがピアノを弾いていて、うらやましくて私もやりたくなったの。」と、南條さんは「私は3歳からピアノをやっていたのだけど、まわりの人にやってみたら?と言われて5歳くらいからヴァイオリンを始めて、おだてられるままにやって今まできました。」と答える。私も同じ...と思い当たる子も多いようで、うなずく子も。

「間違えたらどうするの?」という問いには2人とも、「間違えちゃったら...間違えてないフリをするの!違う音を弾いてしまっても、それがあっているかのように弾き続ける。止まらないことが大事。」

「じゃあ、弦が切れたらどうするの?」「ピアノは、さっき見てわかったように上の高い音の弦が、細くて短いのをきつくひっぱっているから、上の方がよく切れるのね。私も切ったことがあります。でも私は直せないので、調律師さんに来てもらって直します。」と関さん。南條さんは、「ヴァイオリンは、いつもこういうかわりの弦を持ち歩いていて、自分で直します。本番で切れた時には、オーケストラで弾いている時には、 だんだん後ろの人にまわして、一番後ろの人が変えます。こうやるとだんだん音が低くなって、ゆるめられて、はずれます。」と説明する。プロにだってトラブルはつきもの。そんな時どんな風にしているのか?そんな所まで生徒の関心は向かったようだ。

「さっき、指ではじいていたでしょ!ヴァイオリンって、弓で弾くだけじゃないの?」と、『中国の太鼓』の演奏をよく見ていたようなものなど質問はつきず、授業が終わってからも近寄って聞いていた。

『星笛』を一緒に演奏したときに、ヴァイオリンがあるだけで全然違って、練習の時よりも楽しかったです。(5年1組)

ぼくは、初めてピアノとバイオリンを聴いていたら「もう1曲ひいてほしい!」という気分がしました。(5年1組)

質問に答えてくれたので、音楽の楽しみがどんどん伝わってきました。(5年2組)

プロの方たちは、とてもやさしくて、ピアノやバイオリンが上手でした。(5年2組)

はじめたりゆうは普通の人と同じだけど、練習をすごくいっぱいすれはば、こうなれるのかと思いました。(5年2組)

演奏者

♪ ピアノ 関 春絵(せき はるえ)
横浜市在住。6才よりピアノを始める。桐朋女子高等学校音楽科を経て、桐朋学園大学音楽学部演奏学科ピアノ科卒業。同大学研究科にて研鑽を積む。 第45回全日本学生音楽コンクール東京大会中学校の部第2位。第22回ピティナ・ピアノコンペティション特級の部グランプリ。併せて審査員特別賞他を受賞。また、伴奏者として読売新人演奏会、演連コンサート等に出演、日墺文化協会フレッシュコンサートにて最優秀共演者賞受賞。これまでに東京ニューシティ管弦楽団、日本フィルハーモニー交響楽団と共演。 現在演奏活動の傍ら、後進の指導も行なっている。 これまでに狩野美紀子、深沢亮子、上野久子の各氏に師事。
♪ ヴァイオリン 南條 由起(なんじょう ゆき)
東京芸術大学を経て同大学大学院修了。英国王立音楽院大学院パフォーマンス・ディプロマを首席卒業、最高位賞Dip RAM号を取得。ロンドン交響楽団のストリングスキームで研鑽を積む。 かながわ音楽コンクール総合第1位、神奈川県知事賞、神奈川新聞社賞を受賞、神奈川フィルハーモニー管弦楽団と共演。日本クラシック音楽コンクール第2位、ほか多く受賞。ソリスト、首席奏者として各種コンサートに幅広く出演、レコーディングなどでも活躍している。東京アンサンブルメンバー。英国・エルガー協会会員。南條由起ホームページ

プログラム

1.ベートーヴェン:エリーゼのために(ピアノ)
2.モーツァルト:トルコ行進曲(ピアノ)
3.エルガー:愛の挨拶(ヴァイオリン)
4.クライスラー:中国の太鼓(ヴァイオリン)
【生徒さんとの共演】
6.心から心へ(合唱)
7.北村俊彦「星笛」(リコーダー)
アンコール*ゴセック:ガボット(ヴァイオリン)

協力: 横浜市立つつじが丘小学校/後援:横浜市教育委員会/主催・問合:ピティナ学校クラスコンサート係

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