第17回:上尾市立鴨川小学校 2006年2月8日(水)

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2006/02/08

上尾鴨川小学校のクラスコンサートには、佐藤展子さんと、マリンバの浜まゆみさんが出演。見たこともないほど大きな楽器、体の底から伝わってくるような響き、ピアノとマリンバの技の競演に、生徒たちは目を見張る。最後に2人へのお礼の演奏として、それぞれのクラスの得意な曲をプレゼント。2人の演奏者も即興で参加など、驚きと感動の連続のコンサートとなった。


ビデオを見てみよう(WMV4分33秒)(準備中)

マリンバのマレットの妙技にあぜん!!

鴨川小では、生徒さんたちが一生懸命きれいに飾りつけてくれた音楽室でお出迎え。生徒たちは教室に入ると、置いてあるマリンバの大きさにびっくり!!「木琴と似てるけど、こんなに大きかったんだ!」

クラスコンサートがスタートすると、いきなり2人は「剣の舞」を演奏し始めた。ものすごい速さで小さな体を飛ぶように左右に動かす浜さんと佐藤さんの指さばきに、みな唖然。あっという間に1曲を弾き終え、盛んな拍手!

浜さんは用意してきたたくさんのマレットを取り出すと「これはみんなが木琴をたたいているのと同じ、"バチ"、世界共通の言葉では"マレット"と言います。何でこんなにたくさんあるのかというと、実はそれぞれ大きさが違って、弾く所によって使い分けているんです。」と説明。

「これは、低い音の部分をたたくマレット。こんな音がします。」"ボーンボーン..."「では、こっちの、高い音をたたく方のマレットでたたくと...」"カンカンカン..."「えーっ、出ないの!?」「それでは逆に、こっちが高い音をたたくマレットでは」"ポンポンポン..."「低い方のマレットに変えると...」"テンテンテン..."「今は、みんなこんな近くにいるから、かろうじて聞こえるけれど、大きなホールだったら、まず聞こえません。」「えーっ、そうだったんだ!」

「木の幅も、低い方は太くて、高い方は細いよね。だから、同じ1オクターブでも、高い方の1オクターブはこのくらいマレットを広げればいいけれど、低い方の1オクターブでは、こーんなに広げて持たなければなりません。」「すごーい、持てないよー!」「だから、曲を弾く時には、瞬時にその幅を調節しながら、弾いているんですよ。」

「このマレットは、最大で片手に3本、両手で6本まで同時に持つことができます。今日は6本マレットの曲はないのですが、かわりにこの"カシシ"という楽器をつけて、演奏したいと思います。どこにつけると思いますか?」「腕?」「楽器のどこか?」「足?」「...そう、足です!」と、みなの前でつけてみせる。「ちゃんと、どこで鳴らすか、っていうことも決まっているんです。」と、スタンバイ。雨が降っている原生林が思い浮かぶような、『レインダンス』を演奏。マリンバの深い音とカシシの「シャン...」という神秘的な音が、音楽室を包み込んだ。


こんなに音が響く秘密は...?

続いては、ピアノの周りに集まって ピアノのふたの中、鍵盤、そしてピアノの下をのぞいてみる。 「マリンバも大きな楽器だけれど、ピアノもふたを開けるとこんなに大きな楽器。 鍵盤が注目されるけれど、実はこの大きな中身がすごく重要なの。」

「1つ1つの鍵盤から、弦がたくさん張っているでしょう?こんなにたくさんの弦を張っても壊れないように、頑丈なフレームでできています。ピアノもこうやってふたを開けて音を遠くまで飛ばしたり、それから、下のこの何もない空間も、音を響かせるために実は大切なんです。」と、ピアノの下の板を見せる。

「今年はみんな、モーツァルトの記念の年なんだけれど、知ってる?」「250年!」「そう、モーツァルトが生まれてから、250周年です。250年前のピアノは、このピアノではありませんでした。もっと小さくて、鍵盤もこのくらいしかありませんでした。それから鍵盤の数も増えて、枠の方も改良が重ねられて、ここまで来ました。これから弾くトルコ行進曲はその時代のものだから、真ん中あたりしか弾かないので、見て確かめてみてね。」と、軽やかに『トルコ行進曲』を演奏。速いパッセージでは、「すごーい!」とため息が漏れ、首を伸ばしてのぞきこむ。


これにあわせて浜さんは「今ピアノで、音を響かせる楽器の工夫のお話があったけれど、マリンバではこの"共鳴管"がその役割を果たしています。」と、木をはずしてみる。「中が空洞になっていて、木をたたいた時の振動が、ここを伝わって響くんです。試しに、誰かお手伝いしてくれるかな?」というと、すかさず「はい!!」と前に。

「じゃあ、マレットを持ってこの音をずっと同じように叩いてくれるかな。...そこで、紙を入れて、この穴をふさいでみます...」すると、"カツン..."としか音が出ない。紙を出してみるとまた"ボーン"と大きな音が響く。「うわーっ、そんなに違うんだ!」「大きくて邪魔だと思うかもしれないけれど、マリンバもこの共鳴管がなければ音が響かないから、こんな形をしているんですね。」と実験をもって示してくれた。

そして、華麗なる技の競演!ということで、ピアノでショパンの『華麗なる大円舞曲』と、マリンバとのデュオでモンティの『チャールダーシュ』を披露した。ワルツの3拍子にのって華やかに、大胆に、繊細に...と表情を変える佐藤さんの演奏と、哀愁のあるゆったりとした前半と、激しい早業の後半とでがらっと雰囲気を変える浜さんの演奏に、みな吸い込まれるように聴き入っていた。

アンコールには、『リベルタンゴ』。「今日のテーマは、"ダンス"です。最後のダンスは、情熱的な踊りですので、楽しんでくださいね。」と、みんなのタンゴの手拍子にのせて格好いい演奏が届けられた。


心をこめてすてきなお礼の演奏...負けないぞ!

最後にはみんなからの"お礼"に、それぞれのクラスの得意な演奏をプレゼントしてくれた。「蝶が海峡を渡る」の合唱では、澄んだ声で全身を使って歌声を届けようという気持ちがいっぱいにあふれた演奏。合奏では、「ラバースコンチェルト」、「カルメン」、「ソーラン節」「八木節」と、「ソイヤ!」などの元気なかけ声とともに、それぞれの楽器を一生懸命に演奏し、マレットを3本持ってがんばる生徒の姿も。佐藤さんと浜さんにもその場で楽譜が渡され、即興で参加することに。

「先生たちだけの演奏も聴きたいね?」と促されると、渡されたばかりの楽譜で、もう一段速いで、息もぴったりの「カルメン」を披露した2人。「ええーっ、私たち、あんなに練習したのに!しかももっと速いなんて!!」とみんなびっくり。くやしかったみんなは、「もう1回!」と、さっきよりちょっとテンポを上げて必死で演奏。弾き終わった顔は、みな満足気な充実感にあふれていた。

感想より~私も人を感動させることをしたい!!

初めてあんなに近くで、ピアノのふたを開けてやる演奏を聞いて、ふたを開けるのと開けないのでは、全然ちがうように聞こえるのでびっくりしました。(6年1組)

マリンバの演奏は、はじけていた音で、とってもきれいでした。ふだん音楽の時間に使っているピアノも、いい音できれいでした。今でも耳に残っています。(6年1組)

私はよく木琴を使って合奏をしていますが、マリンバは大きさが2倍ほどあり、その大きなマリンバをたくさんのバチで、正確に、そしてきれいな音色を出せることがとてもすばらしく感じました。(6年1組)

同じピアノなのに音がちがってきこえたのは「なぜだろう。」と思いました。(6年1組)

『トルコ行進曲』は、ピアノができて間もない頃の曲だそうで、使うけんばんは少ないのに、あんなに思いを表現できていて、すてきだと思いました。(5年2組)

あのマリンバの大きさはシャレになりませんでした(6年1組)

下のパイプをふさぐと、全然音が出なくてカンッくらいしか出なかった。(5年2組)

最後の2本持ちのマレットの時の速さに、ぼくはあぜんとしてしまいました。(6年2組)

どうやったらあんなふうに、足でリズムをとりながら4本で速くひいたりできるのかなあと思いました。私たちが木琴で3本でひけるようになったのには、たくさんの練習をしました。4本でひけるようになったり、3本でゆっくりなのがせいいっぱいなのに、4本で速くひくなんてすごい量の練習が必要なんだなぁと思いました。(6年2組)

二人とも、なんだかとてもうれしそうでした。体の底まで伝わってきました。でもこの二人も練習をしてここまでこれたから、ぼくも練習をすれば何かできるはずだと思います(6年2組)

マリンバやピアノをひいてくれた人の顔はとてもかがやいていました。そしてその表情から、その人の気持ちや思いが、とてもよく伝わったから、私は心を打たれ、素敵なクラスコンサートになってうれしかったです。(6年1組)

どれもすごくきれいで、マリンバとピアノとの息もぴったりだったし、心がずーんと、引き込まれました。私は、そんな感動を自分たちが歌って、演奏した曲でも、浜まゆみ先生や佐藤展子先生に感じてほしいなぁと思い、一生懸命歌いました。私は、先生たちのような、人を感動させられるようなことを、どんなに時間がかかってもやりたいです。(6年1組)

特に楽しかったのはみんなで「ラバースコンチェルト」と「カルメン」を演奏したことです。その場で楽譜を渡したのにすぐ覚えたので、すごいなぁと思いました。(6年3組)

私の将来の夢はピアノの先生になることですが、最近練習はさぼっていました。でも佐藤先生の『トルコ行進曲』と『トロイメライ』を聞いて、「よしっ、家に帰ったら練習しよう」という気持ちになりました。(5年1組)

ぼくも練習して、片手に2本マレットをもって、木琴や鉄琴を演奏してみたいです。(5年2組)


演奏者

♪ ピアノ 佐藤 展子(さとう のりこ)
東京音楽大学ピアノ演奏家コースを経て、2002年同大学院修士課程修了。在学中、特待生奨学金を得る。 1997年モーツァルテウム音楽院サマーアカデミーに奨学金を得て参加、A.ヤシンスキ氏に師事。 1998年彩の国埼玉新進音楽家オーディションに合格。マラソンコンサートに出演。 2000年卒業演奏会、讀賣新人演奏会に出演。東京音楽大学シンフォニーオーケストラと共演。英国王立音楽院に奨学金を得て短期留学、C.ベンソン氏に師事。 2001年ピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリ受賞。 2002年沼尻竜典氏指揮・日本フィルハーモニー交響楽団と共演。
♪ マリンバ 浜 まゆみ(はま まゆみ)
桐朋学園大学音楽学部演奏学科打楽器科マリンバ専攻を首席で卒業。同大学研究科修了後、 アメリカミシガン大学打楽器科大学院留学。1999年世界マリンバコンクール第2位。マリンバを安倍圭子、Michael Udow、打楽器を佐野恭一、ドラムセットをMichael Gouldの各氏に師事。2000年、CD「Soundscapes」をアメリカよりリリースし高い評価を得ている。これまでに、 東京交響楽団との共演、NHK出演のほか、アメリカ、韓国、中国など国内外において多数の公演に招聘される。浜まゆみ公式ホームページ:http://www.h-mayumi.com/index.html

プログラム

○ハチャトゥリアン「剣の舞」(マリンバ)
○A.ゴーメッツ&M.ライフ「レインダンス」(マリンバ)
○モーツァルト「トルコ行進曲」(ピアノ)
○シューマン「トロイメライ」(ピアノ)
○ショパン「ワルツ第1番『華麗なる大円舞曲』」(ピアノ)
○モンティ「チャールダーシュ」(マリンバ)
○「リベルタンゴ」
○合唱:「蝶が海峡を渡る」/合奏:「ラバースコンチェルト」/ビゼー「『カルメン』より序曲」/「八木節」/「ソーラン節」

協力:上尾市立鴨川小学校/協賛:共立ラインサービス(株)/主催・問合:ピティナ学校クラスコンサート係

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