継続する力を育むことは、当団体の大切な使命の一つです。
コンペティションのA1~F級コンプリート賞は、10年にわたる挑戦を称える賞です。今年は144名が受賞されました。結果に一喜一憂するのではなく、自らの意志で挑み続ける姿勢こそが、人間的な成長につながると信じています。
またステップのパスポートには記録を積み重ねる喜びがありますし、参加回数に応じた継続表彰をしています。さらに提携するバッハコンクールでは、今年「全曲コンプリート賞」が新設されました。
これらの取り組みに共通するのは、続けることそのものを応援する想いです。ピアノを軸に歩み続けることで得られる充実感は、生涯を豊かに過ごす力となります。well-beingという言葉が指すのも、まさにこうした心の豊かさではないでしょうか。
どうか皆さんが、ピアノと共に、自分らしい人生を歩まれますように。
執筆:専務理事 福田成康
現代社会で求められる非認知能力とは、学力テストでは測れない意欲や協調性などです。一方で、そのような「生きる力」を育むはずの「体験」の格差が問題視されています。
2025年10月現在、南房総市・千葉市・長野市・大阪市・吹田市・福岡市の6つの自治体では、学習塾に加え文化・スポーツ教室も対象とする習い事助成事業が展開されています。
音楽教育は子どもの集中力、創造力、自信、協調性を伸ばす力を持っています。今回のトップニュースでは、この助成事業に参画するピティナ会員の先生方や、助成を活用しピアノを継続できている生徒さん、保護者からの喜びの声をご紹介します。
私たちは、より多くの子どもたちが等しく学びの機会を得られるよう、塾だけでなく習い事にも使える教育バウチャーが全国の自治体で広がることを願い、その普及を目指します。
執筆:専務理事 福田成康
5年に一度のショパン国際コンクールが佳境を迎えています。日本人コンテスタントの演奏や新たな才能の発見をYouTubeで楽しんでいる方も多いと思います。
ピティナでは2000年から毎回ワルシャワにレポーターを派遣して記事をお届けしています。
今では全ステージが動画で配信されていますが、それでもレポーターを派遣するのには理由があります。
徹夜ですべての演奏を聴くことは難しいため、レポーターの記事を読んでアーカイブを選択できます。自分の感想とレポーターの視点を比較することで、自分の聴き方について考える機会にもなるでしょう。
ショパンコンクールに出場する日本人の多くがピティナのコンペ卒業生です。若い頃は指導者がピアニストを育てますが、独り立ち後は聴衆が育てます。ピアニストを聴衆に引き渡すまでが、ピティナの責務だと考えています。コンクール取材を通じて、聴く楽しみを会員の皆様と共有していきたいと思います。
執筆:専務理事 福田成康
ピティナの公式キャラクター「ぴてぃにゃんとピィ先生」が誕生して5年が経ちました。LINEスタンプ、マンガ、グッズと活躍の場を広げ、多くの皆さまに親しまれる存在となっています。
これまで特級グランプリの皆さんや、セミナー講師を務める先生方が各所で「ピティナの顔」として貢献してくださいました。それは今後も変わりません。一方で、ぴてぃにゃんが新たに仲間入りし、主にウェブサイトやSNSなどでピティナの顔として果たした役割は大きいと感じています。
ピアノとともにある日々の喜びを表現するぴてぃにゃん、その歩みを温かく見守るピィ先生という二人の存在は、まさに先生と生徒さんの絆を表しています。
これからも音楽の楽しさを発信し続けてくれる彼らの姿を通じて、ピティナと皆さまとのつながりがより身近なものになればと願っています。
執筆:専務理事 福田成康
全国各地で先生方が「サロン」を開き、地域に根差した交流を紡いでいることをご存じでしょうか。
古民家を改築した畳敷き、天井8メートルの木造空間、イギリスのアンティークで統一された洋館風。それぞれの想いが込められた空間で、コンサートや勉強会が開かれています。先生方の想いが地域に新たな文化の拠点を生み出しています。
サロンには、大きなホールでは得られない親密さがあります。その場に集った人々が深くつながることで新たな音楽文化が育まれ、音楽の枠に留まらない交流の場として発展する可能性を秘めています。
ピティナでは、「サロン型ステップ」や「グランミューズサロン」といった少人数制のイベントを通じて、参加者同士が語り、学び合える場を提供しています。サロンで生まれた人々の輪が、コンサートの聴衆として、またパーティでの交流を通じて、ピアニストを支えるコミュニティへと育っていくことを願っています。
執筆:専務理事 福田成康
2025年6月のスポーツ基本法改正は「競技」という狭い枠組みを超え、スポーツを社会的価値や人権、環境への配慮などと結びつけた包括的な内容への転換が図られました。
このような流れを受け、ピアノ指導の現場でも、指導者と生徒・保護者の信頼関係を軸に誰もが安心して音楽を学べる環境を整備する必要があると考えてきました。
そこで各業界の専門家からの助言を得て「ピアノ指導者のための倫理・コンプライアンスガイドライン」を策定しました。これは強制的なルールではなく、より良い指導環境を築くための「羅針盤」です。
理解促進のため、オンライン「ガイドライン確認テスト」もご用意しました。先週の会員向け先行公開では一週間で930名の方が合格され、皆さまの高い関心がわかりました。
今後は、このガイドラインを基に議論を深め、時代に即した「生きた指針」として発展させます。ご理解とご協力をお願いいたします。
執筆:専務理事 福田成康
ピティナ・ピアノステップは、ステージ体験を「点」から「線」へとつなげます。
これまでの参加記録は「ピティナ・パスポート」に記録され、積み重ねが目に見える形になっています。また、ピアノ学習の継続的な取り組みの証となる「継続表彰授与証明書」は、受験や就職活動の際に活かせる貴重な資料となります。参加後に届く「ふりかえりシート」を活用すれば、本番直後の最もモチベーションが高まっているタイミングで自身の気づきを記録でき、具体的な課題を整理して次の目標設定ができます。
パスポートで成長の歩みを実感し、継続表彰で達成感を味わい、ふりかえりシートで次への意欲を高める一連の流れが、継続する力を育みます。ステップはこうした仕組みを通じて一人ひとりの音楽人生を豊かにする、学びと成長の場になっています。
執筆:専務理事 福田成康
コンペ・グランミューズ部門の課題は自由曲ですが、即興は認められず、楽譜が出版された曲を演奏することが求められます。
国や時代、世代を超えて同じ作品を多くの人が演奏し続けることは、クラシック音楽の大きな魅力です。曲を通じて演奏者や聴衆が結びつくことは、ピティナが掲げる「音楽がつなげる豊かな人生」という理念そのものです。
今年のグランミューズ部門では、徳山美奈子作曲《ムジカ・ナラ》を演奏した方がなんと32名もいらっしゃいました。そこでグランミューズ・オンライン座談会『ムジカ・ナラを語り尽くそう!』を開催することになりました。
「これまで聴いたなかで誰の演奏が印象的だったか」「この部分が難しくて苦労した」といった率直な話題を共有しながら、作品を軸とした新たな交流が広がることを期待しています。今後はムジカ・ナラに限らず、さまざまな曲を通じて人と人がつながる場を育てたいと思います。
執筆:専務理事 福田成康
第12回福田靖子賞選考会が終了しました。
海外からいらした3人の教授により二日間にわたるレッスンが行われ、最終審査会後には審査員9人からの直接フィードバックがありました。「選考会」でありながら「アカデミー」の要素がますます濃くなり、8人の奨学生が互いに刺激を受けながら学びました。
今回は生前の福田靖子とご縁のあった、ピアニストの若林顕さんも審査をされました。そのお力添えにより、奨学生が室内楽を学ぶ機会が作れそうです。また、海外審査員のお一人が健康上の理由で直前に辞退されたところ、アヴィラム・ライヒェルト先生が韓国から急きょ駆けつけてくださいました。人の「縁」を強く感じる選考会となりました。
今回新しい縁で繋がった奨学生8人の演奏動画とレッスンレポートを公開しています。ぜひご覧ください。
執筆:専務理事 福田成康
才能豊かなピアニストたちが全国から集う季節を迎えました。来たる8月17日より、予選・本選を勝ち抜いた約900名が参加する ピティナ・ピアノコンペティション全国大会が開幕します。
昨年、浜松国際ピアノコンクールで見事優勝を果たした鈴木愛美さんも、かつてこの舞台で挑戦を続けた一人です。鈴木さんは就学前のA2級から、2023年にグランプリに輝くまで全ての級に参加しました。
コンペを受け続けると、上手くいかなかったときの悔し涙や、努力が実ったときのとびきりの笑顔とともに、様々な経験を重ねることになります。先輩の快挙は、今まさに頑張っているコンテスタントにとって大きな目標となり、希望の光となるはずです。
たゆまぬ努力にもとづく自信と、支えてくださった方々への感謝を胸に、ステージではご自身の力を存分に発揮してください。情熱溢れる演奏が聴く人の心を震わせ、未来への飛躍となることを願っております。
執筆:専務理事 福田成康
