PTNA
ピティナ

今週のコラム

2025/10/02 公開

全国各地で先生方が「サロン」を開き、地域に根差した交流を紡いでいることをご存じでしょうか。

古民家を改築した畳敷き、天井8メートルの木造空間、イギリスのアンティークで統一された洋館風。それぞれの想いが込められた空間で、コンサートや勉強会が開かれています。先生方の想いが地域に新たな文化の拠点を生み出しています。

サロンには、大きなホールでは得られない親密さがあります。その場に集った人々が深くつながることで新たな音楽文化が育まれ、音楽の枠に留まらない交流の場として発展する可能性を秘めています。

ピティナでは、「サロン型ステップ」や「グランミューズサロン」といった少人数制のイベントを通じて、参加者同士が語り、学び合える場を提供しています。サロンで生まれた人々の輪が、コンサートの聴衆として、またパーティでの交流を通じて、ピアニストを支えるコミュニティへと育っていくことを願っています。

執筆:専務理事 福田成康

2025/09/25 公開

2025年6月のスポーツ基本法改正は「競技」という狭い枠組みを超え、スポーツを社会的価値や人権、環境への配慮などと結びつけた包括的な内容への転換が図られました。

このような流れを受け、ピアノ指導の現場でも、指導者と生徒・保護者の信頼関係を軸に誰もが安心して音楽を学べる環境を整備する必要があると考えてきました。

そこで各業界の専門家からの助言を得て「ピアノ指導者のための倫理・コンプライアンスガイドライン」を策定しました。これは強制的なルールではなく、より良い指導環境を築くための「羅針盤」です。

理解促進のため、オンライン「ガイドライン確認テスト」もご用意しました。先週の会員向け先行公開では一週間で930名の方が合格され、皆さまの高い関心がわかりました。

今後は、このガイドラインを基に議論を深め、時代に即した「生きた指針」として発展させます。ご理解とご協力をお願いいたします。

執筆:専務理事 福田成康

2025/09/18 公開

ピティナ・ピアノステップは、ステージ体験を「点」から「線」へとつなげます。

これまでの参加記録は「ピティナ・パスポート」に記録され、積み重ねが目に見える形になっています。また、ピアノ学習の継続的な取り組みの証となる「継続表彰授与証明書」は、受験や就職活動の際に活かせる貴重な資料となります。参加後に届く「ふりかえりシート」を活用すれば、本番直後の最もモチベーションが高まっているタイミングで自身の気づきを記録でき、具体的な課題を整理して次の目標設定ができます。

パスポートで成長の歩みを実感し、継続表彰で達成感を味わい、ふりかえりシートで次への意欲を高める一連の流れが、継続する力を育みます。ステップはこうした仕組みを通じて一人ひとりの音楽人生を豊かにする、学びと成長の場になっています。

執筆:専務理事 福田成康

2025/09/11 公開

コンペ・グランミューズ部門の課題は自由曲ですが、即興は認められず、楽譜が出版された曲を演奏することが求められます。

国や時代、世代を超えて同じ作品を多くの人が演奏し続けることは、クラシック音楽の大きな魅力です。曲を通じて演奏者や聴衆が結びつくことは、ピティナが掲げる「音楽がつなげる豊かな人生」という理念そのものです。

今年のグランミューズ部門では、徳山美奈子作曲《ムジカ・ナラ》を演奏した方がなんと32名もいらっしゃいました。そこでグランミューズ・オンライン座談会『ムジカ・ナラを語り尽くそう!』を開催することになりました。

「これまで聴いたなかで誰の演奏が印象的だったか」「この部分が難しくて苦労した」といった率直な話題を共有しながら、作品を軸とした新たな交流が広がることを期待しています。今後はムジカ・ナラに限らず、さまざまな曲を通じて人と人がつながる場を育てたいと思います。

執筆:専務理事 福田成康

2025/09/04 公開

第12回福田靖子賞選考会が終了しました。

海外からいらした3人の教授により二日間にわたるレッスンが行われ、最終審査会後には審査員9人からの直接フィードバックがありました。「選考会」でありながら「アカデミー」の要素がますます濃くなり、8人の奨学生が互いに刺激を受けながら学びました。

今回は生前の福田靖子とご縁のあった、ピアニストの若林顕さんも審査をされました。そのお力添えにより、奨学生が室内楽を学ぶ機会が作れそうです。また、海外審査員のお一人が健康上の理由で直前に辞退されたところ、アヴィラム・ライヒェルト先生が韓国から急きょ駆けつけてくださいました。人の「縁」を強く感じる選考会となりました。

今回新しい縁で繋がった奨学生8人の演奏動画とレッスンレポートを公開しています。ぜひご覧ください。

執筆:専務理事 福田成康

2025/08/14 公開

才能豊かなピアニストたちが全国から集う季節を迎えました。来たる8月17日より、予選・本選を勝ち抜いた約900名が参加する ピティナ・ピアノコンペティション全国大会が開幕します。

昨年、浜松国際ピアノコンクールで見事優勝を果たした鈴木愛美さんも、かつてこの舞台で挑戦を続けた一人です。鈴木さんは就学前のA2級から、2023年にグランプリに輝くまで全ての級に参加しました。

コンペを受け続けると、上手くいかなかったときの悔し涙や、努力が実ったときのとびきりの笑顔とともに、様々な経験を重ねることになります。先輩の快挙は、今まさに頑張っているコンテスタントにとって大きな目標となり、希望の光となるはずです。

たゆまぬ努力にもとづく自信と、支えてくださった方々への感謝を胸に、ステージではご自身の力を存分に発揮してください。情熱溢れる演奏が聴く人の心を震わせ、未来への飛躍となることを願っております。

執筆:専務理事 福田成康

2025/08/07 公開

ピティナ・ピアノコンペティションでは選曲も重要です。ソロ部門は予選で2曲、本選で2曲、そして全国大会では4曲の課題曲を演奏します。そのために「どの曲とどの曲を組み合わせるか」を考えるのは、多くの方にとって最初のプログラム作りとなります。

プロのピアニストは、リサイタルのために膨大な数のピアノ作品から演奏する曲を選び、聴衆を惹きつける流れを考え抜きます。プログラムそのものが、ピアニストとしての個性やメッセージを表現します。コンペで2曲、4曲を選ぶ経験は、そのようなプログラムを目指すための大切な入口となります。

今回のニュースでは、恒例の課題曲組み合わせランキングを発表しています。自分と同じプログラミングを選んだ人、同じ曲でも全く違う曲と合わせた人など、多様な選曲のヒントが見つかるのではないでしょうか。

執筆:専務理事 福田成康

2025/07/31 公開

特級セミファイナリストが決まりました。毎年、私も皆さんと同じようにドキドキしながら結果発表を待ちます。 今年は、金﨑瑞希さんと津野絢音さんが昨年に続くセミファイナル進出、稲沢朋華さん・加藤皓介さん・高見真智人さんは昨年のPre特級全国大会出場者でした。また、仁宮花歌さんは育成企画としても力を入れているJr.G級の入賞者です。出場者の皆様がそれぞれに熱い思いをもっていることは、実際に話を聞いたり、SNSの投稿を読むことから伝わります。自分の成長のきっかけとしてピティナを活用し、特級という舞台にチャレンジされていることを、とても嬉しく思いました。 今回はドイツの一流オーケストラで活躍する弦楽器奏者をお迎えした室内楽の共通課題が加わるなど、皆様に新たな音楽の楽しみ方をお感じいただけると思います。特級のクライマックスをぜひ現地や配信で応援してください。

執筆:専務理事 福田成康

2025/07/24 公開

日本バッハコンクールで「バッハ全曲コンプリート賞」が創設されました。インヴェンションとシンフォニア、それぞれ全曲を公式ステージで演奏することで授与される新しい表彰制度です。 この賞をとるには長い時間を要しますが、動画提出で実績を積み重ねることができる「コンプリートチャレンジ」という新たな企画を提携コンクールでスタートしました。「今日からでも遅くない」という気持ちで参加でき、「あと○曲でコンプリート」という具体的な目標が見えます。コレクションのように学びを「貯める」楽しみがありますし、段階的な達成感を味わいながら、体系的な学習が自然に行えるのではないでしょうか。 インヴェンションとシンフォニアは300年前の作品ですが、練習曲として極めて優秀です。ピアノが上達することはもちろん、生涯ピアノを続ける確率が各段に上がる、言わば「奇跡の教材」です。 新しい方法で古典に触れられる、ピアノの世界で楽しく学んでみませんか。

執筆:専務理事 福田成康

2025/07/17 公開
夏休みは「やってみたい!」が芽生える特別な季節です。ピアノの中を覗く、ホールで音に包まれる、自分の手で楽器をつくってみる──そんな初めての体験が、子どもたちの「できるかも」という小さな自信を育みます。 自信はモチベーションとなり、次の行動へとつながります。「やってみた」という経験のなかに、小さな発見や手ごたえがあり、それが「もっとやってみたい」という気持ちを育てます。音楽との出会いも、そんな循環のきっかけになるかもしれません。 ピティナではこの夏も、

全国で多彩なイベントを開催します。なかでも特級ファイナルは、若きピアニストが人生をかけて挑む特別な舞台。オーケストラとの共演によって生まれる渾身の演奏を、ぜひ会場でご体感ください。 音楽と出会うひとときを、どうぞたくさん味わってください。素敵な夏休みを。

執筆:専務理事 福田成康

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