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【ピアノ曲の室内楽アレンジ:「悲愴ソナタ」】
掲載日:2013年2月25日

今日でも楽譜店に行くと、例えば映画音楽のピアノ編曲などが沢山見つかります。作品を別の編成で演奏することは昔も珍しくはありませんでした。作曲家へのオマージュか、経済的な理由か、など編曲という行為の意味は色々と考えられますが、少なくとも録音技術の無かった時代に、編曲は作品の普及にとって重要な役割を果たしていました。また編曲がどれほど出回っていたかということから、オリジナルの人気も計り知れます。

ではどんな編曲があったのでしょうか。作品普及のため、というと大編成から小編成への編曲がすぐに思いつきますが、実は逆のパターンも多いのです。ピアニストの主要レパートリーであるベートーヴェンの「悲愴ソナタ」を例にとりましょう。現在でいうオーストリア、ドイツ国内の出版社から1830年までに刊行された編曲だけを調べてみても、編曲者不明の管楽九重奏版、ホフマイスターによる弦楽五重奏版、ほかにも原曲の2手ピアノに対して4手ピアノ版と、オリジナルより大きな編成への編曲版が複数出版されていたのです。

原曲とは違う編成に移した時にどんな響きになるのか、当時の人たちがどんな形で作品を受容していたのか、原曲だけを聞いたり弾いたりするのではなく、原曲と編曲を比べてみるのも面白いかもしれません。(丸山)

フランツ・アントン・ホフマイスター(1754~1812):1783年からウィーンで未だ発展途上にあった出版業を開始、ハイドン、ヴァンハル、モーツァルト、ベートーヴェンをはじめ、ウィーンで活躍していた主要作曲家の出版に貢献した代表的な出版社の経営者として成功。自らも多作な作曲家として交響曲(約66曲)、協奏曲、オペラ、室内楽、鍵盤楽曲、その他非常に多くの教育的な器楽合奏曲の分野で作品を発表。ニ長調のヴィオラ協奏曲は今日でもしばしば演奏される。愛好家向けの編曲も多数あり、モーツァルトのソナタ「トルコ行進曲」付きの有名なソナタ(K331)のフルート、ヴィオラ、ヴァイオリン、チェロ用編曲などもある(PTNA編集部)。

参考: YouTubeで検索(ホフマイスターのヴィオラ協奏曲) [Hoffmeister Viola Concerto, D Major]
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