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    <title>驚異の小曲集 エスキス</title>
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    <updated>2010-10-15T06:52:30Z</updated>
    <subtitle>人生のすべてを表現しつくしたような音楽とはどんなものだろうか。そんなことを考えたとき、真っ先に思い浮かぶのが――アルカンの小曲集、『エスキス』作品63だ。
この驚異の名作を、第1曲から順にひとつずつ紹介していこう、というのがこの連載の主旨です。</subtitle>
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    <title>最終回「神を讃えん」</title>
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    <published>2010-10-15T06:11:26Z</published>
    <updated>2010-10-15T06:52:30Z</updated>

    <summary>最後の音楽は「祈り」。アルカンが終曲に託したものとは？</summary>
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        <name>admin</name>
        
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        <![CDATA[<table border="0" cellspacing="0" cellpadding="0" width="180" style="border-collpase:collapse;float:right;margin-left:15px;">
<tr>
<td style="background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightt.gif');background-repeat:no-repeat;height:5px;">
</td></tr>
<tr><td style="padding:10px;background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightm.gif');text-align:center;">
<!-- 右中身 -->
<div style="color:#777DA7;padding-left:5px;padding-top:2px;padding-bottom:2px;background-color:#E3ECF5" align="left">■ <span style="font-size:110%;">第49回「神を讃えん」</span></div>

<a href="http://www.youtube.com/watch?v=GFENaw-uaC4"><img src="/report/01cmp/alkan63/images/mp3.gif" alt="音源を試聴する" width="152" height="27" style="padding-bottom:1px;padding-top:10px;" border="0" onmouseover="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/mp32.gif'" onmouseout="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/mp3.gif'"><br />(YouTubeにて配信中)</a><br />
<object width="152" height="128"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/GFENaw-uaC4&hl=ja_JP&fs=1&"></param><param name="allowFullScreen" value="true"></param><param name="allowscriptaccess" value="always"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/GFENaw-uaC4&hl=ja_JP&fs=1&" type="application/x-shockwave-flash" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true" width="152" height="128"></embed></object>

<div style="padding-top:10px;">
<a href="http://www.morishitayui.jp/esquisses/" target="_blank"><img src="/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-2.gif" alt="著者のホームページで楽譜配信中" width="152" height="40" style="padding-bottom:5px;" border="0" onmouseover="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-1.gif'" onmouseout="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-2.gif'"><br />
<img src="/report/01cmp/alkan63/images/alkan_op63_49.gif" alt="第49回楽譜" width="150" height="212" style="padding-bottom:3px;" border="0" /></a></div>

<div class="curve-01" style="background-color:#FFF9C2;"><div class="curve-head"><div></div></div><div style="text-align: left;margin:0px 5px">■ リサイタル情報<br />
2010年10月30日（土）東京文化会館小ホールにて森下唯ピアノ・リサイタル。アルカン作品も演奏予定
<strong>⇒<a href="http://www.morishitayui.jp/" target="_blank">詳細情報</a></strong></div>

<div class="curve-01" style="background-color:#FFF9C2;"><div class="curve-head"><div></div></div><div style="text-align: left;margin:0px 5px">■ エスキスの楽譜が出版されました<br />
<strong>⇒<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4904931198" target="_blank">アマゾンの商品ページへ</a></strong></div><div class="curve-bottom"><div></div></div></div>

<!-- /右中身 -->
</td></tr>
<tr><td style="height:5px;background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightb.gif');background-repeat:no-repeat;">
</td></tr>
</table>

<p>ついにこの連載も最終回。アルカンの圧倒的にカラフルな世界、楽しんでいただけたでしょうか。続けて読んでくださった方、長いあいだ本当にありがとうございました。</p>

<p>最後だから、私の思う「アルカンここが凄い」をきちんとまとめておこうかな、などとも考えたのですが、結局いろいろと挙げすぎてわけがわからなくなりそうなので断念。ただ、ひとつだけ言えることがあります。アルカンの音楽は、人間という存在そのものに寄り添っている。「奇抜」「過激」「変態」......そんなイメージの強いアルカンだから、こんなことを言うと意外に思われるかもしれませんが、私はそう感じます。</p>

<p>なんだかまあこの世界というのは大変なもので、人は死ぬし殺し合うし、愛が消えることもあるし、人と人は原理的にわかりあえないし、自然は厳しいし、物理法則は絶対だし、その他、不条理にも程があるほど悲しいことがたくさんある。けれども、そうかと思えば新しい命だって生まれるし、恋だって芽生えるし、友情の固い絆だってあるし、自然は美しいし、万物理論は精妙極まりないし、嬉しいこと、楽しいこと、笑えること、そして笑いすぎて涙が出るほどアホらしいことまで、もうなんでもかんでもたくさんある。</p>

<p>人はそんな世の中で生きています。アルカンは、それらすべてを音楽で描写してみせようとした。世界はあんまり彩りに満ちているから、過去の作品の模倣だって用いた。自分のアイディアをよく理解してもらうために、多くの曲に題名をつけた。ちょっと伝わりにくい気分の表現には、珍しい指示語の使用も躊躇わなかった。アルカンにとって音楽は何よりも世界を語るための言葉だった。</p>

<p>こういう姿勢は、芸術音楽を語る人の一部からは一段低く見られてしまう原因と成り得るのかもしれない。音楽はこの世界とは切り離されて、それそのもので完結した美的な概念として昇華されているべきだ、みたいな意見もある。けれど、私は思うのです。人と何らかの気分を共有することを目指した音楽は、果たして本当に「純粋音楽」よりも芸術的価値が下なのか？</p>

<p>音楽とは何なのでしょうか？　慰めになったり、鼓舞してくれたり、すべてを忘れさせてくれたり、効能はさまざまだと思うけれど、やはり人に何かしらの影響を与える力を持つ存在だと思う。もちろん、そんな情動とは関係なく、数学的・数秘術的な構造物として音楽を捉えるやり方もある。けれどもやはり、そもそも音楽が生まれたのは人の心と響き合うためだったはずなのです。自然界にはなかった綺麗な響きを生み出せることを知って、そしてその響きがなぜか心を揺さぶることを知って、人は感動したはずなのです。アルカンはその基本を忘れることがなかった。</p>

<p>現代的な視点から話をすれば、美しい響きに数学的根拠があり、良い音楽に法則性が見られるのは、要するに人間の脳が音を解析するプログラムがそのように設計されているから、というところに落ち着くでしょう。「聴いたときの面白さ」を通り越して音楽に構造物としての美を見出そうとするのは、錬金術や黒魔術の方向性と重なるものがあると私は思います。錬金術や魔術の体系は複雑怪奇で奥深く、実に興味深いものですが、目指していたはずのホムンクルスや賢者の石には決してたどり着けない袋小路でもあったのです。</p>

<p>作曲家たちはしばしば「今までになかった自分だけの音」を求めて苦労しますが、そうこうするうちに、自分の心の声から離れてしまうこともあるでしょう。なんだかんだ言っても結局は時代の風にあおられ、流行に影響され、似通った作風になっていくこともしばしばです。そんなに力まなくても自然と表れてくるものが本当の個性というものではないか。</p>

<p>アルカンの作品には、他者の模倣があちこちに見受けられるし、「絶対音楽」と比較して蔑まれたりもする「標題音楽」の数も多い。にもかかわらず、彼の音楽世界は深くて、独創的です。流行の最先端には興味を示さず幅広い時代の音楽を模倣してみせたことが、彼の音楽語法をかえって特別に豊かで、個性的なものにしたと言うこともできるのではないでしょうか。</p>

<p>自分の語法をどこまでも信じたり、新しい法則を見つけることに腐心したりして、誰の影響も受けない独自の切り口を探すという表現方法ももちろん有りです。それで一点突破、驚嘆すべき作品ができることだってある。けれど、アルカンの選んだ道は違った。世界は複雑で、人の心も複雑で、それをできるだけ取りこぼさずに形に残すためには、さまざまな遺産を利用することも辞さなかった。宇宙にある多様性は、自分ひとりの力ではとても表わしきれないものだから。そのように考え、模倣を踏み台とすることで、アルカンは前衛的な表現にもらくらく手を届かせられた。</p>

<p>なんだか、現代の表現のあり方を見ているような気がするのです。古いものも新しいものも一緒になってデジタルデータ化され、誰でもアクセスできるようになっている世の中。そこから自分の気に入ったものを何でもかんでも咀嚼し、あるいは切り貼りして利用しながら作品を生み出す人々の群れ。作品たちは少しずつ系統樹をたどるように進化し、変化し、文化を形成する。アルカンの感性はたぶん、ここにぴったりはまる。生まれるのが早すぎた天才、という言葉を思い浮かべずにいられません。</p>

<p>アルカンが『エスキス』の最後に番号なしで残したのが今回の「神を讃えん」。皮肉屋で、実は照れ屋なところがあって、いつもユーモアを身にまとって斜に構えがちな彼の、最も真ん中にある部分。神への信仰は、我々現代日本人がいちばん踏み込み難い領域かもしれない。けれど、この世に生きている以上、自分の核心部分に何かの「祈り」があるような感覚は、誰しも抱いたことがあるのではないか。アルカンの音楽は決して理屈だけのものではなくて、何よりも自分の内にある「気分」を表現したものだから、彼がこの曲に託した祈りは宗教も時代も超え、たくさんの人に届くものだと私は信じます。</p>

<p>アルカンの心に共鳴した（つもりの）私が奏でた音楽が、そしてこうして綴った言葉が、誰かの心をまた響かせますように。もしも誰かの作ったものを「いいな」「面白いな」と少しでも感じられたなら。それはきっと、ただそれだけで本当に素敵なことだと思うのです。</p>

<p>アルカンの音楽は、いかがでしたか？</p>

]]>
        
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    <title>第４８回「夢の中で」</title>
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    <published>2010-09-13T01:25:50Z</published>
    <updated>2010-09-13T01:57:09Z</updated>

    <summary>穏やかな終曲「夢の中で」。衝撃的な最後は何を意味する？</summary>
    <author>
        <name>admin</name>
        
    </author>
    
        <category term="第四巻" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
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<tr>
<td style="background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightt.gif');background-repeat:no-repeat;height:5px;">
</td></tr>
<tr><td style="padding:10px;background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightm.gif');text-align:center;">
<!-- 右中身 -->
<div style="color:#777DA7;padding-left:5px;padding-top:2px;padding-bottom:2px;background-color:#E3ECF5" align="left">■ <span style="font-size:110%;">第48回「夢の中で」</span></div>

<a href="http://www.youtube.com/watch?v=hZfz0MtxbBk"><img src="/report/01cmp/alkan63/images/mp3.gif" alt="音源を試聴する" width="152" height="27" style="padding-bottom:1px;padding-top:10px;" border="0" onmouseover="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/mp32.gif'" onmouseout="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/mp3.gif'"><br />(YouTubeにて配信中)</a><br />
<object width="152" height="128"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/hZfz0MtxbBk&hl=ja_JP&fs=1&"></param><param name="allowFullScreen" value="true"></param><param name="allowscriptaccess" value="always"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/hZfz0MtxbBk&hl=ja_JP&fs=1&" type="application/x-shockwave-flash" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true" width="152" height="128"></embed></object>

<div style="padding-top:10px;">
<a href="http://www.morishitayui.jp/esquisses/" target="_blank"><img src="/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-2.gif" alt="著者のホームページで楽譜配信中" width="152" height="40" style="padding-bottom:5px;" border="0" onmouseover="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-1.gif'" onmouseout="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-2.gif'"><br />
<img src="/report/01cmp/alkan63/images/alkan_op63_48.gif" alt="第48回楽譜" width="150" height="212" style="padding-bottom:3px;" border="0" /></a></div>

<div class="curve-01" style="background-color:#FFF9C2;"><div class="curve-head"><div></div></div><div style="text-align: left;margin:0px 5px">■ エスキスの楽譜が出版されました<br />
<strong>⇒<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4904831198" target="_blank">アマゾンの商品ページへ</a></strong></div><div class="curve-bottom"><div></div></div></div>

<!-- /右中身 -->
</td></tr>
<tr><td style="height:5px;background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightb.gif');background-repeat:no-repeat;">
</td></tr>
</table>


<p>クラシック音楽というものには、真面目くさっているとか、頭でっかちとか、気取っているとか、小難しいとか、そんな印象がつきまとうようです。「そんなことはないんだ」ということを訴えかけたがる向きも常にあるのだけれど、なかなか人の心に広くは届かない。</p>

<p>個人的には、「クラシックは難しくないよ！」なんて言葉が広くは届かないのは当然だと思うのです。だって、人々に支持され長く残ってきた曲たちは、一筋縄ではいかないものばかりのはずだから。そりゃあ、作曲家が手遊びで作ったのだろう、本当に大した中身もないような曲もたくさんあります。けれど、その手の作品を並べて「簡単でしょ」なんて言って聴かせるだけではたぶんダメなんですよね。</p>

<p>音楽を聴くというのはどういう行為なのだろう、と考えることがある。あるいは、音楽を演奏するとはどういう行為なのか、そしてまた音楽とは何なのか。少なくとも、コミュニケーションのひとつの形ではあるに違いない、と私は考えるのです。誰かに聴かれ、その誰かに影響を与えてこそ音楽の存在意義はあるだろう、と。</p>

<p>コミュニケーションであるなら、言葉の重みがそれぞれ違うように、音楽にもそれぞれ自ずと重みの差があるでしょう。そして、クラシックの真髄は、圧倒的に重い音楽にこそあるに違いないのです。つまり、生きる上での救いを託すように書かれた音楽を、その重みを歓迎しつつ受け取るような聴き方にこそ価値があるのではないか。</p>

<p>何しろ今の時代、楽しめるものはたくさんあります。小学生の子どもたちにとって、クラシックの中でも特にかる&#65374;い曲のかる&#65374;い演奏をわざわざ体育館に集められて聴くよりは、映画のひとつでも見るほうがずっと面白くて実り多い体験だったりするかもしれない。</p>

<p>映画なんて持ち出さず、話を音楽に限定したとしても、たとえばテンションを上げたいときには、クラシックの中から良さそうな曲を探すより、ハッピーハードコアでも聴いていれば効果は上がるのじゃないかナア、などと思うわけです。携帯音楽プレーヤーのある世の中は、音楽が聴きたかったら自分で演奏するしかなかった時代とは違うのです。</p>

<p>そもそも、たかだか300年前から100年前あたりの西洋音楽だけを何故ことさら取り上げて世の中に伝え続けねばならぬのだ、と問われれば、答えを出すのはたいへん難しい。いや、あえて答えを出さぬようにしているだけで、本当はあんまり有り難くない答えが既にそこに見えている気すらする。</p>

<p>だからクラシックを楽しむというのは、そういうレベルで伝えるべき話ではおそらくないのです。時代も、知識も、言語も、信仰も、何もかもが違う人間同士が、同じ音楽に救いを託せるという、奇跡みたいなコミュニケーション。そういう重たい存在としてクラシック音楽は機能するはずなのです。</p>

<p>などと書くと、いかにも小難しくて真面目くさってる感じに受け取られてしまいそうですが、そういうことでもないのです。特にロマン派時代の音楽には個人的な心情なんかがたっぷり詰まってるのだから、同じ喜怒哀楽を持った人間が、辛かったり楽しかったりしながら精魂込めて書いた音楽なのだぞ、ということを感じながら聴けば、お勉強じみた聴き方をせずにすむのではないかな、という話なのです。</p>

<p>とはいえ、長大な交響曲なんかになってきますと、まず「ソナタ形式」だとか「循環主題」だとか、そういうことをある程度は知った上でないと、どういう聴き方をすべきか、理解し共感するためのポイントがなんなのか、といったことがなかなか掴みづらいものです。だから今、『エスキス』なのです！　......って、どんなセールストークか。</p>

<p>しかし、１曲１曲が短く聴きやすい、しかもガイドとなるタイトルまで完備、それでいて内容の深さ、曲集としての構成の複雑さは意欲さえあればどこまでも掘り下げていけるという、これほど見事に完成された作品は、本心から申しますが、ほかにないと考える次第でございます。</p>

<p>さてさて、第４巻を締めくくる今回の「夢の中で」は、曲としての平易さとは裏腹に、複雑な味わいを秘めています。しあわせな夢を最後に断ち切るffの目覚めの和音は、「たとえ思いついても誰もやらなかっただろう」と思わされる、アルカンならではの強烈なアイディア。この曲を単体として捉えれば、これは単なる冗談として受け止めても良さそうなものですが、曲集の最後にわざわざ置かれたことでちょっと様相が変わってきそう。このラストにはもう少し、大きな意味合いが与えられているのではないか。ふと、シェイクスピアの書いた「人生は、夢と同じ素材でできており......」というセリフが思い起こされます。人生＝夢とすれば、目覚めの和音とは、つまり。</p>

<p>演奏に際しては、ともかく温かに、優しく、を心がけましょう。左手の伴奏形が、右手の旋律のカノンのようにして始まることにも注意。右手にも増して音色に気を配り、甘く歌うこと。終わり近くの "svaporandosi" は「蒸発するように」という意味です。珍しい言葉をわざわざ選んだ作曲者の心意気を汲み取りましょう。最後の和音は、どれだけこの曲を「ぶち壊せるか」の勝負です。遠慮せずいきましょう。</p>

<p>それではまた次回――ついに最終回、番号なしの終曲「神を讃えん」にて。</p>]]>
        
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    <title>第４７回「小スケルツォ」</title>
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    <published>2010-08-27T02:44:20Z</published>
    <updated>2010-10-07T09:10:56Z</updated>

    <summary>攻撃的なまでの情熱、苛烈さを秘めた自信。熱のこもった「小スケルツォ」</summary>
    <author>
        <name>admin</name>
        
    </author>
    
        <category term="第四巻" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
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<table border="0" cellspacing="0" cellpadding="0" width="180" style="border-collpase:collapse;float:right;margin-left:15px;">
<tr>
<td style="background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightt.gif');background-repeat:no-repeat;height:5px;">
</td></tr>
<tr><td style="padding:10px;background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightm.gif');text-align:center;">
<!-- 右中身 -->
<div style="color:#777DA7;padding-left:5px;padding-top:2px;padding-bottom:2px;background-color:#E3ECF5" align="left">■ <span style="font-size:110%;">第47回「小スケルツォ」</span></div>

<a href="http://www.youtube.com/watch?v=wah4qYFKNmU"><img src="/report/01cmp/alkan63/images/mp3.gif" alt="音源を試聴する" width="152" height="27" style="padding-bottom:1px;padding-top:10px;" border="0" onmouseover="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/mp32.gif'" onmouseout="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/mp3.gif'"><br />(YouTubeにて配信中)</a><br />
<object width="152" height="128"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/PeR4lo_5AUU&hl=ja_JP&fs=1&"></param><param name="allowFullScreen" value="true"></param><param name="allowscriptaccess" value="always"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/PeR4lo_5AUU&hl=ja_JP&fs=1&" type="application/x-shockwave-flash" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true" width="152" height="128"></embed></object>

<div style="padding-top:10px;">
<a href="http://www.morishitayui.jp/esquisses/" target="_blank"><img src="/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-2.gif" alt="著者のホームページで楽譜配信中" width="152" height="40" style="padding-bottom:5px;" border="0" onmouseover="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-1.gif'" onmouseout="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-2.gif'"><br />
<img src="/report/01cmp/alkan63/images/alkan_op63_47.gif" alt="第47回楽譜" width="150" height="212" style="padding-bottom:3px;" border="0" /></a></div>

<div class="curve-01" style="background-color:#FFF9C2;"><div class="curve-head"><div></div></div><div style="text-align: left;margin:0px 5px">■ エスキスの楽譜が出版されました<br />
<strong>⇒<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4904731198" target="_blank">アマゾンの商品ページへ</a></strong></div><div class="curve-bottom"><div></div></div></div>

<!-- /右中身 -->
</td></tr>
<tr><td style="height:5px;background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightb.gif');background-repeat:no-repeat;">
</td></tr>
</table>

<p>『エスキス』がどのようにして完成に至ったかについては<a href="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/2009/06/03_8745.html">連載第25回</a>でいちど考察を述べました。初期段階から相当な計画性のもとに着手された曲集なのではないか、と。複雑な調性の並びのルールはもちろん、どこにどんな雰囲気の曲を置くか、なんてことまで、事前にある程度は決めていたに違いないと思えるのです。</p>

<p>というわけで<a href="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/2009/06/03_8745.html">第25回</a>のときには、４巻それぞれの最初と最後の曲の性格の違いを取り上げて、そこにアルカンの意図を見出せるのではないか、という話をしました。そういう計画性を感じる部分はほかにも色々とあって、たとえば１巻の「<a href="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/2008/09/18_4575.html">叱責</a>」&#65374;「<a href="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/2008/10/01_4576.html">嘆息</a>」と続く流れや、３巻「<a href="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/2009/08/14_9161.html">熱狂</a>」と「<a href="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/2009/08/31_9248.html">悲しき小さな歌</a>」の対比などがあげられる。そしてこの４巻に２曲のスケルツォが含まれていることも、アルカンの思惑の表れたひとつの例ではないか、と私は感じます。</p>

<p>４巻は第37曲「<a href="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/2010/01/15_10104.html">小さな小さなスケルツォ</a>」から始まるのですが、最後から２番目となる今回の第47曲もまた「小スケルツォ」となっている。実はスケルツォと名のつく曲は『エスキス』全体で２曲しかない。アルカンはそれを最終巻に集めたのです。これはたぶん、彼がわざとそうしたのでしょう。</p>

<p>アルカンにとって、スケルツォという曲種は重要な意味を持っていたのだと思う。タイトルにスケルツォを冠した単独の作品として『<a href="http://www.piano.or.jp/enc/dictionary/composer/alkan/011119.html">スケルツォ・フォコーソ</a>』や、短調練習曲の中の「<a href="http://www.piano.or.jp/enc/dictionary/composer/alkan/011137.html">悪魔のスケルツォ</a>」を残しているし、『<a href="http://www.piano.or.jp/enc/dictionary/composer/alkan/009653.html">大ソナタ</a>』は華々しいスケルツォ楽章で幕を開け、『歌曲集第５巻』では曲集のクライマックスとしてスケルツォが現れます。</p>

<p>特に『<a href="http://www.piano.or.jp/enc/dictionary/composer/alkan/009653.html">大ソナタ</a>』には注目すべきでしょう。各楽章がそれぞれ人生の一時期を表すという壮大な仕掛けの曲なのですが、その中で最も活気に満ち、力強い20代を表現するために、スケルツォの形式が用いられているのです。攻撃的なまでの情熱、苛烈さを秘めた自信――アルカンのスケルツォは、<a href="/enc/dictionary/composer/chopin/">ショパン</a>の作り上げたジャンルイメージを踏襲しつつ、更に大きな熱量がこめられている。私には、彼がスケルツォをまるで生命力そのものの象徴として扱っているようにも思えるのです。</p>

<p>ギリシャ喜劇を愛し、自身の音楽でもしばしばひねくれたユーモアを表現してみせたアルカンにとって、スケルツォ＝諧謔曲という名も意味を持って響いたと考えられる。大雑把に言って悲劇が死に焦点を合わせるものであるとすれば、喜劇とは生に焦点を合わせるもの。そんなギリシャ式の考え方を下敷きにするなら、諧謔的な姿勢と生命力が結びつくのは自然なことと言えます。</p>

<p>アルカンが、彼の魂を駆り立てていた力のうねりをもっとも直接的に表現してみせた音楽がスケルツォなのかもしれない。家に引きこもり、人と会うこともなく、聖書の翻訳を日課として暮らしていたアルカン。そんな姿を思い浮かべながらスケルツォを聴くと、彼の心の奥底にふつふつと煮えたぎっていた情熱がよりはっきりと感じられる気がしてくるのです。</p>

<p>創作をするための力というのは、そういった行き場のない衝動や憧れと現実の落差から生まれてくるものだろうと思う。ダムに貯められた水が位置エネルギーによって発電機を回すがごとく。異郷・異教の人として当時の華やかなパリに生きたアルカンが抱えていた鬱積した思いの力は、きっと相当に大きなものだったでしょう。そして、彼はそのすべてを音楽に注ぎこんだ。諧謔的ではあっても、彼の音楽には冷めたところがありません。ひねくれているようで、自分自身の情熱にはまっすぐなのです。スケルツォからは、そんな彼の熱さがびんびんと伝わってきます。</p>

<p>さて、今回の「小スケルツォ」はスケルツォらしく技巧的な曲なので、指さばきはよく練習せねばなりません。右手と左手が同時にパッセージを弾く箇所も多いので、ずれたりしないようしっかり聴きながら弾きましょう。そんな中に擬似的にポリフォニックな表現が現れたりしますから、楽譜をよく読み、どの音が大事か判断することも忘れずに。</p>

<p>それではまた。次回はいよいよ番号の付いた最後の曲、「<a href="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/2010/09/13_11298.html">夢の中で</a>」となります。</p>]]>
        
    </content>
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    <title>第４６回「初めてのラブレター」</title>
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    <published>2010-07-12T08:57:59Z</published>
    <updated>2010-08-31T05:50:48Z</updated>

    <summary>いつの世にもあふれる恋愛の歌。甘酸っぱい「初めてのラブレター」のメロディー</summary>
    <author>
        <name>admin</name>
        
    </author>
    
        <category term="第四巻" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/">
        <![CDATA[<table border="0" cellspacing="0" cellpadding="0" width="180" style="border-collpase:collapse;float:right;margin-left:15px;">
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<td style="background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightt.gif');background-repeat:no-repeat;height:5px;">
</td></tr>
<tr><td style="padding:10px;background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightm.gif');text-align:center;">
<!-- 右中身 -->
<div style="color:#777DA7;padding-left:5px;padding-top:2px;padding-bottom:2px;background-color:#E3ECF5" align="left">■ <span style="font-size:110%;">第46回「初めてのラブレター」</span></div>

<a href="http://www.youtube.com/watch?v=HchoQQ_uzYA"><img src="/report/01cmp/alkan63/images/mp3.gif" alt="音源を試聴する" width="152" height="27" style="padding-bottom:1px;padding-top:10px;" border="0" onmouseover="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/mp32.gif'" onmouseout="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/mp3.gif'"><br />(YouTubeにて配信中)</a><br />
<object width="152" height="128"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/HchoQQ_uzYA&hl=ja_JP&fs=1&"></param><param name="allowFullScreen" value="true"></param><param name="allowscriptaccess" value="always"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/HchoQQ_uzYA&hl=ja_JP&fs=1&" type="application/x-shockwave-flash" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true" width="152" height="128"></embed></object>

<div style="padding-top:10px;">
<a href="http://www.morishitayui.jp/esquisses/" target="_blank"><img src="/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-2.gif" alt="著者のホームページで楽譜配信中" width="152" height="40" style="padding-bottom:5px;" border="0" onmouseover="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-1.gif'" onmouseout="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-2.gif'"><br />
<img src="/report/01cmp/alkan63/images/alkan_op63_46.gif" alt="第46回楽譜" width="150" height="212" style="padding-bottom:3px;" border="0" /></a></div>

<div class="curve-01" style="background-color:#FFF9C2;"><div class="curve-head"><div></div></div><div style="text-align: left;margin:0px 5px">■ エスキスの楽譜が出版されました<br />
<strong>⇒<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4904631198" target="_blank">アマゾンの商品ページへ</a></strong></div><div class="curve-bottom"><div></div></div></div>

<!-- /右中身 -->
</td></tr>
<tr><td style="height:5px;background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightb.gif');background-repeat:no-repeat;">
</td></tr>
</table>


<p>近年のポップスを見ると、その大半が男女の恋愛に関する内容で占められているように思われる。ごく最近のマス的音楽産業の崩壊っぷりと、その廃墟にちらほら見られる新たな萌芽を観察すれば、もしかしたらそれとは違った傾向も発見できるのかもしれませんが、少なくともちょっと前まではそんな感じでした。音楽というものはどうやらロマンチック・ラブと相性が良いらしい。</p>

<p>市場経済に飲み込まれる中で、音楽がここまで恋愛に特化してしまった経緯や理由について考察しだすと興味深くてキリがありません。そもそも「愛」という概念がどうやって現在あるような形に出来上がっていったのか、という辺りからきちんと追わねばならなくなってくる。そうやって辿ってみると、現代の恋愛至上主義的な幻想はロマン派の感受性をそのまま引きずったものであることがわかってきます。</p>

<p>ロマン派において恋愛がかくも神聖で重要なものと捉えられたのはなぜか、という問いに説明をつけようとすると、これがまたなかなか奥の深い問題のようです。たとえば――宗教的なもの、超越的なものへの志向が受け皿を失い、人々が卑近な対象に超越性を投影するロマン主義へと堕落していく中、12世紀から受け継がれた「気高き『宮廷風恋愛』」という思想が取り込まれ、その結果、ひとりの異性に神性を降臨させるような過大な幻想が生まれたのだ、とかなんとか。</p>

<p>このような考察が正しいのかどうか別として、ともかく、特にドイツロマン派の作品において「愛」は思想的に大変に重要なものであったことは事実です。いや、作品だけの話ではなく、多くの人々にとって、「恋愛」は人生観の中心に居座る概念となっていたのでしょう。もともと恋というのは感情的な面と観念的な面の双方を備えたものに違いないんですが、観念的な部分だけがそうやってどんどん肥大化してくるとまあ大抵いいことありません。</p>

<p>恋の終わりはほぼ世界の終わりと同じくらいの意味を持ってしまうので、たとえば連作歌曲なんかだと大体が失恋しては「もうダメだ、死ぬしかない」といった展開になります。あるいは本当に死ぬための気合が足りない場合には、「死んだように生きていこう」みたいな感じになります。「今となってはいい思い出だよ」などと前向きに受け入れる姿勢を見せる主人公はあまり見当たりません。たぶん、（実際の自分がどうであれ）諦めて新しい恋を探そう、なんて態度を表向きに認めると「至上の恋愛」という観念が崩壊してしまうので、そんな軽めの考え方は存在しないものとして扱おう、ということなのでしょう。</p>

<p>今回の「初めてのラブレター」、チャーミングなタイトルと切な甘酸っぱいメロディーで、個人的にも良くアンコールピースとして取り上げてしまう作品。『エスキス』の中でも特に、誰もが共感しやすい曲と言えそうなのですが、しかしロマン派的な感受性を前提に考えてみると、この「深刻さの一切ない追想」という切り口、実は割と珍しいものかもしれない。そして、こういう観念的な呪縛からふっと離れた素朴と言ってもいいようなイメージがあるからこそ、『エスキス』の世界はこれほど豊かになったのだと思います。</p>

<p>観念的に物事を突き詰め、全てに深い精神性を求めるのもひとつの真っ当な態度ですが、それだけでは取りこぼしてしまうものも確かにある。対象物に過剰なまでの意味合いと重みを投影するのがロマン主義の真髄かもしれないけれど、幻想にも様々な深度があって、浅い領域にだって捨て置けない独自の魅力が存在します。アルカンはそのバランス感覚を大事にできた人で、そこがロマン派的な感性からすれば弱みであり、逆に現代的な視点で捉えれば強みでもあるのだと感じます。</p>

<p>さて、演奏にあたっての注意点。この曲はかなり細かな指示の多い譜面となっていますが、そちらに目を向ける前に、まずは楽曲の構成や転調のタイミングそのものをしっかりつかんでおきましょう。音楽を柔軟に動かせるよう、標示をよく読み、それに沿った形で音量やテンポを思い切って変化させてみるのも良いかもしれません。仕上げとして、旋律に付けられたスラーやスタッカートひとつひとつを繊細に表現することも忘れず心がけること。</p>

<p>それではまた。次回は「<a href="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/2010/08/27_11208.html">小スケルツォ</a>」です。</p>]]>
        
    </content>
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    <title>第４５回「小悪魔たち」</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/2010/06/22_10937.html" />
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    <published>2010-06-22T07:26:08Z</published>
    <updated>2010-08-18T01:44:12Z</updated>

    <summary>ロマン派時代の一人気ジャンル？怪奇趣味の小品「小悪魔たち」</summary>
    <author>
        <name>admin</name>
        
    </author>
    
        <category term="第四巻" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/">
        <![CDATA[<table border="0" cellspacing="0" cellpadding="0" width="180" style="border-collpase:collapse;float:right;margin-left:15px;">
<tr>
<td style="background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightt.gif');background-repeat:no-repeat;height:5px;">
</td></tr>
<tr><td style="padding:10px;background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightm.gif');text-align:center;">
<!-- 右中身 -->
<div style="color:#777DA7;padding-left:5px;padding-top:2px;padding-bottom:2px;background-color:#E3ECF5" align="left">■ <span style="font-size:110%;">第45回「小悪魔たち」</span></div>

<a href="http://www.youtube.com/watch?v=wah4qYFKNmU"><img src="/report/01cmp/alkan63/images/mp3.gif" alt="音源を試聴する" width="152" height="27" style="padding-bottom:1px;padding-top:10px;" border="0" onmouseover="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/mp32.gif'" onmouseout="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/mp3.gif'"><br />(YouTubeにて配信中)</a><br />
<object width="152" height="128"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/wah4qYFKNmU&hl=ja_JP&fs=1&"></param><param name="allowFullScreen" value="true"></param><param name="allowscriptaccess" value="always"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/wah4qYFKNmU&hl=ja_JP&fs=1&" type="application/x-shockwave-flash" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true" width="152" height="128"></embed></object>

<div style="padding-top:10px;">
<a href="http://www.morishitayui.jp/esquisses/" target="_blank"><img src="/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-2.gif" alt="著者のホームページで楽譜配信中" width="152" height="40" style="padding-bottom:5px;" border="0" onmouseover="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-1.gif'" onmouseout="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-2.gif'"><br />
<img src="/report/01cmp/alkan63/images/alkan_op63_45.gif" alt="第45回楽譜" width="150" height="212" style="padding-bottom:3px;" border="0" /></a></div>

<div class="curve-01" style="background-color:#FFF9C2;"><div class="curve-head"><div></div></div><div style="text-align: left;margin:0px 5px">■ エスキスの楽譜が出版されました<br />
<strong>⇒<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4904531198" target="_blank">アマゾンの商品ページへ</a></strong></div><div class="curve-bottom"><div></div></div></div>

<!-- /右中身 -->
</td></tr>
<tr><td style="height:5px;background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightb.gif');background-repeat:no-repeat;">
</td></tr>
</table>


<p>悪魔やら地獄やら、薄暗いものに何らかの魅力を見出すのがロマン主義の特徴でして、音楽の分野においてもロマン派作曲家の多くがそうした主題による作品を残しています。たとえば<a href="/enc/dictionary/composer/schumann_c/">クララ・ヴィーク（シューマン）</a>が10代で残した小品集などを見ると、当時の怪奇趣味の浸透具合がわかろうというもの。少女が「魔女集会」などと題した曲を書いてしまうほど、そのような題材は身近なものであったわけです（もちろん、彼女が非常に特異な感性と知性の持ち主であったことは差っ引いて考える必要がありますけれど！）。</p>

<p>音楽の世界に怪奇趣味が大々的に持ち込まれる直接の切っ掛けとなったのは、<a href="/enc/dictionary/composer/berlioz/">ベルリオーズ</a>の『幻想交響曲』の成功でしょうけれど、あのサイケデリックな作品が熱狂的に受け入れられたのは、文学の分野でのドイツロマン主義の流行という背景あってのことでした。特に、何と言ってもゲーテの『ファウスト』の与えた影響たるや恐るべきものがあった（「ロマン主義嫌い」のゲーテ作品がロマン主義であるや否や、という話はここでは取りあえず置いておくとして）。</p>

<p>『ファウスト』は作曲家たちの霊感も大いに刺激しました。アルカンと同時代に生きた作曲家たちだけを並べてみても、<a href="/enc/dictionary/composer/berlioz/">ベルリオーズ</a>『ファウストの劫罰』、<a href="/enc/dictionary/composer/liszt/">リスト</a>『ファウスト交響曲』、<a href="/enc/dictionary/composer/schumann/">シューマン</a>『ファウストからの情景』など、こぞって『ファウスト』を題材に大作を仕上げている。アルカンだって『大ソナタ 作品33』の中核となる第２楽章に「ファウストのように」という副題を与えており、その例に漏れないと言えます。</p>

<p>かように、文学界からの流れを汲んでロマン派の幻想の深みへと分け入って行く段階にあったのが当時のパリ音楽界。そんな風潮の中、アルカンは先陣を切るかのように、ほかの作曲家に比べてもかなり直接的と言いますか、真っ向勝負で怪奇へと切り込むオドロオドロしい音楽を残しています。</p>

<p>特に、ヴァイオリンとピアノのための『協奏的大二重奏曲』の第２楽章「地獄」の迫力などは凄い。ピアノの低音で奏でられる重厚な不協和音とトリル、そして怪しげなヴァイオリンの半音階的旋律。それらは中間部でのシンプルで美しい祈りと相まって雰囲気バツグンです。こんな思い切りの良い絵画的表現、後の印象派の登場を待たねばお目にかかれません。</p>

<p>そしてまた『エスキス』の「小悪魔たち」――今回取り上げている曲ですが――も、ある意味「地獄」に匹敵するような斬新な内容を持っている。怪奇趣味に加えてユーモアまで備わっているぶん、アルカンらしさという面では上かもしれない。この曲集からいくつか抜粋して紹介するとしたら......といった話を「異名同音」の回にしましたが、ご記憶でしょうか。「小悪魔たち」は、そんなとき選ばれやすい代表選手ナンバー１と言っても良い曲だと思います。</p>

<p>譜面を見たインパクトもかなりのもの。ブドウのごとく音符の密集したトーンクラスターっぽい和音の並びが、この世ならざるものを視覚的にも体現しているように思えます。「トーンクラスターっぽい和音」なんてものは当時の常識では使われるはずのない音で、だからこそ記譜したときの見た目も普通ではないものになる。以前も触れた通り、アルカンが楽譜そのものの見栄えにこだわっていたことは確実ですから、きっと彼はこの変態的な譜面を書き記しながらほくそ笑んでいたんではないかなあ。</p>

<p>そしてまた、この曲でも途中で挟まれるコラール風の祈りパートが効いている。まったく異なる楽想を同居・対比させることで表現の鋭さを増幅させるというのは、アルカンの得意技とも言える手法です。言ってみれば『エスキス』という曲集自体、各曲の発想の振れ幅やバラエティを最大限に活用することで、作品全体としての世界観を深めているわけですね。</p>

<p>弾くときには、とにかくコミカルさを強調する方向でいきましょう。私見ですが、この音楽は「教会に遊びに来たイタズラ好きの小悪魔（小鬼？）どもが悪さをしようと企み、抜き足差し足してるシーン」に違いないと思う。リズムの感じ方、休符の扱い方ひとつでどれだけ雰囲気が出るか決まります。おろそかにしないようにしましょう。最後に突然２倍速になる大騒ぎの部分は、直前までこれっぽっちもそんな気配を感じさせないよう、「sempre pp」を厳守！　聴き手が呆気に取られて笑ってしまう、というのが理想です。</p>

<p>それではまた次回。こんどは打って変わってセンチメンタルに、「<a href="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/2010/07/12_11016.html">初めてのラブレター</a>」です。</p>
]]>
        
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    <title>第４４回「有頂天」</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/2010/05/24_10803.html" />
    <id>tag:www.piano.or.jp,2010:/report/01cmp/alkan63//19.10803</id>

    <published>2010-05-24T07:42:18Z</published>
    <updated>2010-05-24T07:45:56Z</updated>

    <summary>アルカンの楽譜は黒い？「７つのシャープ」に込められた意味。</summary>
    <author>
        <name>admin</name>
        
    </author>
    
        <category term="第四巻" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/">
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<tr>
<td style="background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightt.gif');background-repeat:no-repeat;height:5px;">
</td></tr>
<tr><td style="padding:10px;background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightm.gif');text-align:center;">
<!-- 右中身 -->
<div style="color:#777DA7;padding-left:5px;padding-top:2px;padding-bottom:2px;background-color:#E3ECF5" align="left">■ <span style="font-size:110%;">第44回「有頂天」</span></div>

<a href="http://www.youtube.com/watch?v=xAz4DyWdAcc"><img src="/report/01cmp/alkan63/images/mp3.gif" alt="音源を試聴する" width="152" height="27" style="padding-bottom:1px;padding-top:10px;" border="0" onmouseover="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/mp32.gif'" onmouseout="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/mp3.gif'"></a><br />(YouTubeにて配信中)<br />
<object width="152" height="128"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/xAz4DyWdAcc&hl=ja_JP&fs=1&"></param><param name="allowFullScreen" value="true"></param><param name="allowscriptaccess" value="always"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/xAz4DyWdAcc&hl=ja_JP&fs=1&" type="application/x-shockwave-flash" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true" width="152" height="128"></embed></object>

<div style="padding-top:10px;">
<a href="http://www.morishitayui.jp/esquisses/" target="_blank"><img src="/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-2.gif" alt="著者のホームページで楽譜配信中" width="152" height="40" style="padding-bottom:5px;" border="0" onmouseover="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-1.gif'" onmouseout="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-2.gif'"><br />
<img src="/report/01cmp/alkan63/images/alkan_op63_44.gif" alt="第44回楽譜" width="150" height="212" style="padding-bottom:3px;" border="0" /></a></div>

<div class="curve-01" style="background-color:#FFF9C2;"><div class="curve-head"><div></div></div><div style="text-align: left;margin:0px 5px">■ エスキスの楽譜が出版されました<br />
<strong>⇒<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4904431198" target="_blank">アマゾンの商品ページへ</a></strong></div><div class="curve-bottom"><div></div></div></div>

<!-- /右中身 -->
</td></tr>
<tr><td style="height:5px;background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightb.gif');background-repeat:no-repeat;">
</td></tr>
</table>


<p>アルカンの楽譜には、なんだか黒っぽいのが多い。つまり、譜面はインクだらけで、紙の白がそのまま見えている部分が少ない。この「黒っぽい」印象こそ、演奏者をして敬遠させるいちばんの原因なのではないかと思ったりもします。</p>

<p>黒っぽいのには２つ理由があって、まずひとつは音の数が多い。『エスキス』の場合はそうでもないのですが、彼の残した数々の練習曲には、分厚い和音の連打やら128分音符のパッセージやらがわらわらと出てきて、結果としてインクが紙面を埋め尽くすことになる。細かい音符がたくさんあれば、楽譜が真っ黒になるのも必定です。</p>

<p>しかしそればかりでなく、調号や臨時記号の多さというのも理由に挙げられそうなのです。たとえばアルカンは、調号の７つついた調性（嬰ハ長調、変イ短調）で曲を書くことがある。特に嬰ハ長調はかなりお気に入りの様子で、しばしば用いています。通常、調号というのは最大で６つまでしかつかないはずなので、アルカンの書く五線の左端は他の作曲家より濃いめになっているわけですね。特に譜読みの苦手な人などは、７つも調号がついていたらそれだけで「うわっ」となってしまうかもしれない。</p>

<p>調号が最大６つというのは、それより調号が多い場合は、異名同音で読みかえて逆の調号（＃なら♭、♭なら＃）を用いた方がすっきりと書き表せるためです（＃６つの調は異名同音で読みかえると♭６つとなります）。</p>

<p>だから、アルカンの好む嬰ハ長調というのは、変ニ長調として書けば♭５つになるので、一般的には使われない調性と言えます。彼がわざわざこうした調性を選んだ理由とはなんだったのでしょうか？</p>

<p>ひとつには、彼が同主調の関係性を大事にしていたのだろう、ということが挙げられる。つまり、＃７つの長調である嬰ハ長調の同主調は嬰ハ短調で＃４つで書けますが、これを変ニ短調で書き換えるとダブル♭まで必要な無茶な譜面になってしまう。だから同主調を行き来することを念頭に置くと、変ニ調より嬰ハ調で統一した方が美しい。また、♭７つの短調である変イ短調の同主調は♭４つの変イ長調ですが、これは＃で書きなおすとダブル＃まで必要となる。だから同じく、変イ短調にしておいた方が同主調間の行き来は書きやすい。</p>

<p>同主調の行き来を意識した良い例が、<a href="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/2009/09/30_9413.html">『エスキス』第32曲の「小メヌエット」</a>でしょう。全体は嬰ハ短調の曲ですが、トリオ部分は嬰ハ長調に転調しています。もちろん変ニ長調で書き換えたって演奏して出てくる音は同じなのだから構わないんですが、そこは生真面目なアルカンのこと、きちんと「同主調」として書式を整えないと気持ちが悪かったのだと思う。</p>

<p>しかし、明らかに同主調とは関係ない場合もあります。今回の「有頂天」はそういう例。どんな解釈をしようとも、この曲の中に嬰ハ短調になるような部分は一切出てきません。純粋に、「これは断じて変ニ長調ではなく、嬰ハ長調の曲なのだ」という主張のために、このように書かれているのです。さて、わざわざ調号の多い書き方をすることに、どんな効果があるのか？</p>

<p>これはもう、作曲家と演奏家のコミュニケーションの問題だと言えます。一般的に音楽家はそれぞれの調に対して特定のイメージを持っているものです。これは共感覚を元にした先天的なものであったり、古い調律法に基づく調ごとの和音の響きの違いから想像されたものであったり様々で、人によっても大幅に違ったりするものなのですが、ひとつだけ、観念的なレベルで多くの人々が共通して持っている感覚があります。</p>

<p>それはごく単純に「＃が多い調ほど外向的で起伏に富んでおり、♭の多い調ほど内向的で落ち着いている」といったもの。これは文化として醸成されたかなり後天的な感覚だろうと思うのですが、だからこそ人々が安心して共有できもする。アルカンはその文化的な共通認識をここで用いているのです。</p>

<p>『エスキス』の「有頂天」の７つの＃にははじけんばかりの喜びが表れている。対して<a href="/enc/dictionary/composer/alkan/011117.html">『前奏曲集』の「波打ち際の狂女の歌」</a>の７つの♭には、重苦しいまでの悲しみが表れている。ただ「調号多いよ！」ではなくて、そういうふうに捉えてみると、譜読みもより楽しくなるんではないでしょうか。</p>

<p>作曲家と演奏家の意識の共有、ということについて、アルカンは非常に真剣に考えていた。曲に具体的なタイトルを与えたり、一般的には楽語として用いられていないような単語で事細かな指示を書き込んだりするのも、その表れです。逆に、若い頃にはあえて音符以外の指示をひとつも書かずに出版する、などという実験的なこともしていた。そんな彼にとって、記譜上の調性というのも、重要な情報伝達手段のひとつだったのです。</p>

<p>演奏にあたっては、すばやく交代する和音をすべて捕まえるための機敏さが必要になります。黒鍵が多いので、「きちんと揃えてつかもう」という意識た大切。和音としてだけでなく、各声部の横のつながりとしても捉えられるよう、片手ずつに分けるなどして注意深く練習すると効果的でしょう。</p>

<p>それでは。次回は「小悪魔たち」です。お楽しみに。</p>
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    <title>第４３回「小夜想曲―魅惑」</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/2010/05/07_10665.html" />
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    <published>2010-05-07T08:14:30Z</published>
    <updated>2010-06-17T05:25:41Z</updated>

    <summary>アルカンによる比較的穏当な（？）美しいノクターン。</summary>
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        <name>admin</name>
        
    </author>
    
        <category term="第四巻" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
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        <![CDATA[ <table border="0" cellspacing="0" cellpadding="0" width="180" style="border-collpase:collapse;float:right;margin-left:15px;">
<tr>
<td style="background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightt.gif');background-repeat:no-repeat;height:5px;">
</td></tr>
<tr><td style="padding:10px;background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightm.gif');text-align:center;">
<!-- 右中身 -->
<div style="color:#777DA7;padding-left:5px;padding-top:2px;padding-bottom:2px;background-color:#E3ECF5" align="left">■ <span style="font-size:110%;">第43回「小夜想曲―魅惑」</span></div>

<a href="http://www.youtube.com/watch?v=6Ywy8dE7BmI"><img src="/report/01cmp/alkan63/images/mp3.gif" alt="音源を試聴する" width="152" height="27" style="padding-bottom:1px;padding-top:10px;" border="0" onmouseover="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/mp32.gif'" onmouseout="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/mp3.gif'"></a><br />(YouTubeにて配信中)<br />
<object width="152" height="128"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/6Ywy8dE7BmI&hl=ja_JP&fs=1&"></param><param name="allowFullScreen" value="true"></param><param name="allowscriptaccess" value="always"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/6Ywy8dE7BmI&hl=ja_JP&fs=1&" type="application/x-shockwave-flash" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true" width="152" height="128"></embed></object>

<div style="padding-top:10px;">
<a href="http://www.morishitayui.jp/esquisses/" target="_blank"><img src="/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-2.gif" alt="著者のホームページで楽譜配信中" width="152" height="40" style="padding-bottom:5px;" border="0" onmouseover="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-1.gif'" onmouseout="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-2.gif'"><br />
<img src="/report/01cmp/alkan63/images/alkan_op63_43.gif" alt="第43回楽譜" width="150" height="212" style="padding-bottom:3px;" border="0" /></a></div>

<div class="curve-01" style="background-color:#FFF9C2;"><div class="curve-head"><div></div></div><div style="text-align: left;margin:0px 5px">■ エスキスの楽譜が出版されました<br />
<strong>⇒<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4904331198" target="_blank">アマゾンの商品ページへ</a></strong></div><div class="curve-bottom"><div></div></div></div>

<!-- /右中身 -->
</td></tr>
<tr><td style="height:5px;background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightb.gif');background-repeat:no-repeat;">
</td></tr>
</table>



<p>実験的要素を意欲的に取り入れたり、悪ふざけを詰め込んだりして、一風変わった作品をたくさん残したアルカン。しかし彼の初期の作品を見ると、出発点はある意味ごく真っ当だったということがよくわかります。</p>

<p>20歳ごろまでのアルカンの作品には華麗な技巧を前面に押し出したオペラアリアの変奏曲などが多く、ピアノ奏者として当時のヴィルトゥオーゾ礼賛の風潮に憧れていた彼の姿が浮き彫りになっています。</p>

<p><a href="http://www.piano.or.jp/enc/dictionary/composer/alkan/009641.html">作品15の『悲愴な様式による３つの曲（思い出）』</a>などは、既にアルカンらしい挑戦的な書法で染め上げられてはいますが、内容はと言えば（まず間違いなく）失恋を題材に取った、いかにもロマン派のど真ん中といった風情の音楽。</p>

<p>アルカンは当時の音楽に馴染めなかったから、あんなにロマン派主流に対して斜に構えたような曲を作っていたんだろう、なんて考えてしまいそうですが、本当はそういうことではないんじゃないか。ロマン派の王道に憧れ続けてもいたのではないか、と私は勝手に想像しています。アルカンはただ、面白さを見つけるのに貪欲で正直で、だから流行のスタイルだけに乗っかるだけでは満足できなかったのだ、と。</p>

<p>晩年にアルカン自身がピアニストとして開いたコンサートのプログラムが残っているのですが、この選曲が相当に興味深い。アルカンは「本当に素晴らしい曲しか弾かない演奏会」と公言していたそうなので、このラインナップを見れば、彼の音楽の趣味がはっきりとわかるはずです。</p>

<p><a href="/enc/dictionary/composer/bach_j_s/">大バッハ</a>、<a href="/enc/dictionary/composer/mozart_a/">モーツァルト</a>、<a href="/enc/dictionary/composer/beethoven/">ベートーヴェン</a>、<a href="/enc/dictionary/composer/schubert/">シューベルト</a>、<a href="/enc/dictionary/composer/mendelssohn/">メンデルスゾーン</a>、<a href="/enc/dictionary/composer/schumann/">シューマン</a>といった馴染みのドイツ系作曲家たち。<a href="http://www.piano.or.jp/enc/dictionary/composer/couperin_f/index.html">クープラン</a>、<a href="/enc/dictionary/composer/scarlatti_d/">スカルラッティ</a>、<a href="http://www.piano.or.jp/enc/dictionary/composer/rameau/index.html">ラモー</a>といったバロック時代の鍵盤音楽奏者たち。<a href="/enc/dictionary/composer/czerny/">チェルニー</a>、モシェレスなど練習曲の作者。そして<a href="/enc/dictionary/composer/chopin/">ショパン</a>にアルカン自身。あとは<a href="/enc/dictionary/composer/handel/">ヘンデル</a>、<a href="http://www.piano.or.jp/enc/dictionary/composer/hummel/index.html">フンメル</a>、<a href="http://www.piano.or.jp/enc/dictionary/composer/weber/index.html">ヴェーバー</a>、<a href="/enc/dictionary/composer/clementi/">クレメンティ</a>、グルック、<a href="http://www.piano.or.jp/enc/dictionary/composer/field/index.html">フィールド</a>、ケスラー、<a href="/enc/dictionary/composer/saint_s/">サン＝サーンス</a>。</p>

<p>古い物は200年近く昔の作品から、後輩にあたる若者の音楽まで、別け隔てなく接していたアルカンの態度が目に浮かびます。近い世代では、<a href="/enc/dictionary/composer/mendelssohn/">メンデルスゾーン</a>、<a href="/enc/dictionary/composer/schumann/">シューマン</a>、<a href="/enc/dictionary/composer/chopin/">ショパン</a>などが選ばれていて<a href="/enc/dictionary/composer/liszt/">リスト</a>はいないこと、そして何よりここに選ばれた作曲家の名前のほとんどが現代の我々にとっても馴染み深いものであることなど、示唆に富んだプログラムです。</p>

<p>同時代の作曲家の中で、アルカンが最も敬愛していたのはたぶんショパンで間違いない。生前の交流や、コンサートで取り上げている曲の数などからはそのように見受けられます。アルカン自身は<a href="/enc/dictionary/composer/chopin/">ショパン</a>のような繊細で感傷的な音楽をあまり好んで作りはしませんでしたが、恐らくは自分が<a href="/enc/dictionary/composer/chopin/">ショパン</a>と同じ方向性で勝負しても決して勝てないことを知っていたからでしょう。それに、自分の中の私的・詩的な部分をショパンのように歌い上げるには、アルカンはシャイに過ぎたのだ、と私は思います。</p>

<p>アルカンは演奏会でフィールドの曲も取り上げています。フィールドはショパンに影響を与えた作曲家として知られ、甘い旋律で聴かせる「ノクターン」を得意としていました。やっぱりアルカンはそういう甘々の音楽も実は好きだったんだ、ということ。ただ、そういう気分に完全に浸ろうとしても、ついつい自制が働いてしまって駄目だったんでしょう。そこがアルカンの良さでもあり、勿体なさでもあったように感じられます。</p>

<p>アルカン自身も「ノクターン」と名のつく曲はいくつか書いているのですが、その中には「蟋蟀（コオロギ）」なんて副題をつけた作品もあったりする。なんだか自分の心の中の感傷だけに陶酔し切れないアルカンの態度の表れのように思えてなりません。</p>

<p>今回の曲「小夜想曲――魅惑」はしかし、純粋に陶酔的な「ノクターン」の世界。『エスキス』という大きな曲集の中だからこそ、恥ずかしがらずに少しはこういう面を出せたのかな、などと想像します。</p>

<p>この曲を演奏するときには、<a href="/enc/dictionary/composer/chopin/">ショパン</a>の曲同様、指先のタッチをどれだけ繊細にコントロールできるかが勝負になります。中間部の長調になった "dolcissimo" 部分は特にそう。こういう場面こそ、お腹にきちんと力を入れて支える必要があります。お腹に力を入れたぶん、肩甲骨から手首までは力を抜いて柔らかく、自由自在に動ける状態を保ってください。旋律はせめて４小節のフレーズがきちんとまとまるように、アゴーギクに注意しながら歌うこと。最後、長調の分散和音から一瞬で短調へ変わりますが、これはおいしい聴かせどころです。大切に弾きましょう。</p>

<p>ではではまた次回、「<a href="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/2010/05/24_10803.html">有頂天</a>」にて。</p>]]>
        
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    <title>第４２回「５声の小さな歌」</title>
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    <published>2010-04-09T05:30:45Z</published>
    <updated>2010-05-24T03:25:35Z</updated>

    <summary>楽譜ににじみ出る作曲家の性格。。几帳面な記譜から読みとれるもの</summary>
    <author>
        <name>admin</name>
        
    </author>
    
        <category term="第四巻" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
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        <![CDATA[ <table border="0" cellspacing="0" cellpadding="0" width="180" style="border-collpase:collapse;float:right;margin-left:15px;">
<tr>
<td style="background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightt.gif');background-repeat:no-repeat;height:5px;">
</td></tr>
<tr><td style="padding:10px;background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightm.gif');text-align:center;">
<!-- 右中身 -->
<div style="color:#777DA7;padding-left:5px;padding-top:2px;padding-bottom:2px;background-color:#E3ECF5" align="left">■ <span style="font-size:110%;">第42回「5声の小さな歌」</span></div>
<a href="http://www.youtube.com/watch?v=bzHA1w4btS4"><img src="/report/01cmp/alkan63/images/mp3.gif" alt="音源を試聴する" width="152" height="27" style="padding-bottom:1px;padding-top:10px;" border="0" onmouseover="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/mp32.gif'" onmouseout="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/mp3.gif'"></a><br />(YouTubeにて配信中)<br />
<object width="152" height="128"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/bzHA1w4btS4&hl=ja_JP&fs=1&"></param><param name="allowFullScreen" value="true"></param><param name="allowscriptaccess" value="always"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/bzHA1w4btS4&hl=ja_JP&fs=1&" type="application/x-shockwave-flash" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true" width="152" height="128"></embed></object>

<div style="padding-top:10px;">
<a href="http://www.morishitayui.jp/esquisses/" target="_blank"><img src="/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-2.gif" alt="著者のホームページで楽譜配信中" width="152" height="40" style="padding-bottom:5px;" border="0" onmouseover="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-1.gif'" onmouseout="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-2.gif'"><br />
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<div class="curve-01" style="background-color:#FFF9C2;"><div class="curve-head"><div></div></div><div style="text-align: left;margin:0px 5px">■ エスキスの楽譜が出版されました<br />
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<!-- /右中身 -->
</td></tr>
<tr><td style="height:5px;background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightb.gif');background-repeat:no-repeat;">
</td></tr>
</table>




<p>生真面目さ。アルカンを語るのに欠かせない言葉です。</p>

<p>いやいや、なんか奇人ぽいし曲も変なの多いし、真面目ではないだろう、と考えてしまいそうなんですが、自信を持って言わせていただきます。彼はものすごく真面目だ。いっけん暴挙としか思えないことも、全部きちんと考えてから「あえて」やっているのに違いないのです。楽譜を見ればわかります。彼がどれほど思慮深かったか、そしてどれほど几帳面であったか。</p>

<p>たとえば、警告の臨時記号の振り方。警告の臨時記号というのは、記譜法のルールの上では臨時記号をつける必要がない箇所に、間違い防止を目的として念のためにつけられる臨時記号を指します。アルカンはこの警告の臨時記号を決して怠らない。それどころか、そこまで念を押さなくてもいいんじゃないか、というくらい、同じ小節内であっても繰り返しつけたりするのです。この連載のための楽譜を作りながら、毎回のように「親切な警告だなぁ」と感心させられています。</p>

<p><a href="/report/01cmp/alkan63/2010/03/26_10453.html">前回の「異名同音」</a>の楽譜を見ていただければわかりやすいでしょう。あの曲は臨時記号が多く複雑ですから、そのぶん特に正確を期したのは当然のことかもしれません。が、それにしたって、たとえば10小節目などはすべての音符に臨時記号をつけるという念の入れようではありませんか。普通の感覚なら最後の和音の臨時記号なんかは書かないと思います。</p>

<p>アルカンの曲には、たまに「トリプル＃」のような特殊な臨時記号が出てくる場面も見受けられます。たとえば「ドのトリプル＃」は「レの＃」か「ミの♭」に相当するので、簡単に書きたければどちらかで代用するのが普通です。というより、一般的にはそんな臨時記号が出てこないように＃の調と♭の調を書き換える。そうした方が書きやすく、読みやすいからです。</p>

<p>しかし彼は、その場面は＃で書くべき転調だ、と判断すればためらわずにトリプル＃だって使ってしまう。はっきりとした自分の判断基準に従い、律儀な記譜をしていることがよくわかります。</p>

<p>臨時記号だけではありません。声部ごとにクレッシェンド、デクレッシェンドの記号をいくつも書いたりとか、長い音符にまとめてしまえば手間が少なくなるような場面でも、拍子による記譜の基本を守るためにきっちり全部タイで書いたりとか、そんな場面にいくらでも出くわします。</p>

<p><a href="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/2008/05/25_4567.html">第２曲の「スタッカーティッシモ」</a>なども良い例だと思う。これ、普通の感覚ならスタッカートの点を打つのがめんどくさくなって、途中で "simile" とでも書いて終わりにしたっておかしくない。でも、アルカンはあくまで全部の音符に点をつけることを選ぶんです。楽譜としての見た目の美しさやわかりやすさ、完成度までも大事にしていたからでしょう。だから手抜きはしない。彼はそういう人なのです。</p>

<p>ところで、アルカンの譜面をパッと見ていちばん気になるのは、彼独自の小節線の使い方でしょう。曲の途中になぜか終止線が繰り返し出てくる。初めて見た人は、これには大いに戸惑うことでしょう。私もそうでした。よそで見たことのない書き方なので、どう解釈すべきなのか即座にはわからない。しかし、譜読みを進めていくとだんだん、「これはほかの作曲家も真似すべき優れた改良なのではないか」などと思えてくる。</p>

<p>思いつきでやっていることでは決してありません。音楽の構造を一目で演奏者に伝えられるように、という強い目的意識のもと、アルカンがあえて人と違う小節線の使い方を選び、出版各社にも忠実な浄書を頼んでいたことは明らかです。曲中の終止線の多用は、10代半ばで出版された最初期の作品から首尾一貫して続けられている。まだ少年と呼べそうな年齢にして既に、彼は記譜法について考え抜き、独自のアイディアを育んでいたのです。</p>

<p>さて今回の「５声の小さな歌」ですが、これは音楽の作りそのものからアルカンの丁寧さ、真面目さが読み取れる作品。タイトル通り、本当に男女５人で歌えるように注意深く作られているんです。音域もちょうど歌いやすい範囲にとどめられている。結局のところ実際はピアノで弾くわけだから、ちょっとくらいはみ出ていたって構わないはずなんですが、アルカンはその辺りきっちり自分で決めて守る。彼の筋の通し方、私はとても好きです。</p>

<p>ですから、演奏の際には何よりもまず自分の中で人の声をイメージしてみましょう。５つのパートすべてをきちんと歌にできるよう、横の流れをしっかり捕まえること。また、sfがついている場所も決して器楽的にならぬよう、唐突なアクセントは避けましょう。</p>

<p>それではまた。次回のタイトルは「<a href="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/2010/05/07_10665.html">小夜想曲――魅惑</a>」です。</p>

]]>
        
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    <title>第４１回「異名同音」</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/2010/03/26_10453.html" />
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    <published>2010-03-26T06:36:34Z</published>
    <updated>2010-04-21T02:29:41Z</updated>

    <summary>「とんがった曲代表候補」《異名同音》の大胆な音響</summary>
    <author>
        <name>admin</name>
        
    </author>
    
        <category term="第四巻" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/">
        <![CDATA[ <table border="0" cellspacing="0" cellpadding="0" width="180" style="border-collpase:collapse;float:right;margin-left:15px;">
<tr>
<td style="background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightt.gif');background-repeat:no-repeat;height:5px;">
</td></tr>
<tr><td style="padding:10px;background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightm.gif');text-align:center;">
<!-- 右中身 -->
<div style="color:#777DA7;padding-left:5px;padding-top:2px;padding-bottom:2px;background-color:#E3ECF5" align="left">■ <span style="font-size:110%;">第41回<br />「異名同音」</span></div>
<a href="http://www.youtube.com/watch?v=BeA70omgmsM"><img src="/report/01cmp/alkan63/images/mp3.gif" alt="音源を試聴する" width="152" height="27" style="padding-bottom:1px;padding-top:10px;" border="0" onmouseover="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/mp32.gif'" onmouseout="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/mp3.gif'"></a><br />(YouTubeにて配信中)<br />
<object width="152" height="128"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/BeA70omgmsM&hl=ja_JP&fs=1&"></param><param name="allowFullScreen" value="true"></param><param name="allowscriptaccess" value="always"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/BeA70omgmsM&hl=ja_JP&fs=1&" type="application/x-shockwave-flash" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true" width="152" height="128"></embed></object>

<div style="padding-top:10px;">
<a href="http://www.morishitayui.jp/esquisses/" target="_blank"><img src="/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-2.gif" alt="著者のホームページで楽譜配信中" width="152" height="40" style="padding-bottom:5px;" border="0" onmouseover="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-1.gif'" onmouseout="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-2.gif'"><br />
<img src="/report/01cmp/alkan63/images/alkan_op63_41.gif" alt="第41回楽譜" width="150" height="212" style="padding-bottom:3px;" border="0" /></a></div>

<div class="curve-01" style="background-color:#FFF9C2;"><div class="curve-head"><div></div></div><div style="text-align: left;margin:0px 5px">■ エスキスの楽譜が出版されました<br />
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<!-- /右中身 -->
</td></tr>
<tr><td style="height:5px;background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightb.gif');background-repeat:no-repeat;">
</td></tr>
</table>


<p>『エスキス』の魅力をひとくちで伝えるのはいかにも難しい。なにしろ、この曲集のいちばんの特長は何といってもその恐ろしいばかりの多様性で、それを実感するためには本来49曲すべてを知る必要があるからです。けれどもいきなり「全曲聴いてみてくれ」と言われたって、なかなかその気にはなれませんよね。中身について何か語った上で「あとは聴いてくれ」と言わないとダメだ。</p>

<p>まずは「たとえばこれこれこんな曲が入ってるんですよ！」と、特別とんがった曲をいくつか選んで紹介してみるのがわかりやすい方法でしょうか。曲単体のアイディアの妙味を伝えると同時に、多彩さのアピールにもなる。決してとんがったところばかりが魅力の曲集ではないけれど、とっかかりとしてはその辺りが最適でしょう。</p>

<p>そんなとき、「とんがった曲候補」としてどうしても選びたいものがいくつか出てきます。人によってそのチョイスは違うかもしれませんが、きっと誰が選んでもだいたい候補に残るだろう、と思える曲のひとつが、今回の「異名同音」。アルカンの非凡さや遊び心が存分に発揮されていて、前衛的な部分と伝統に連なる部分の両方が色濃く感じられる小品です。</p>

<p>「異名同音」という言葉についてちょっとご説明。たとえば「ソの＃」と「ラの♭」は名前は違いますが、平均律で考えれば音の高さはまったく同じです。ピアノでも同じ黒鍵にあたりますね。こういう関係を「異名同音」と呼びます。ただそれだけの単純なことなのですが、12平均律の自由自在な転調の仕組みを象徴する言葉でもあり、深く考えればキリがない概念です。</p>

<p>で、そのキリのなさを実際に掘り下げてみたのがこの曲というわけ。面白い転調が頻出し、一部では無調の世界に踏み込むような前衛的な作品となっています。特に前半に出てくる、すべての音符に臨時記号がついたフレーズなど、見た目も響きも現代音楽そのもので、ついつい「調性からの脱却を果たした最初の作曲家はアルカン！」などと叫んでみたくなる。</p>

<p>少々専門的な話になりますが、アルカンがこの曲でどんなことを試みているのか解説してみましょう。</p>

<p>まずひとつめは、１小節目の２拍目頭に出てくる和音のような例です。変位（和音を構成する音を本来の音からずらすこと）を駆使して、ひとつの和音の中に異名同音となる２音を共存させる、という手法により、本来の機能和声からはずれた見せかけの協和音を作り出している。</p>

<p>この音、耳で聴くと普通の「レファラ」の和音のように響きますが、実は譜面上では「レ、ミ＃、ファ、ソ＃＃」という構成。理論的にはまともな和音ではないはずですが、異名同音のおかげで綺麗に響くわけです。</p>

<p>次に、９小節目の２拍目裏などに見られる不協和音の作り方。この和音の構成音、音符だけ見れば「ファ」と「レ」だけでできているのだけれど、「ファ」と「ファ＃＃」、「レ」と「レ＃＃」が共存しているので、響きはグチャグチャです。理屈としては、減七の和音を基本に、二重の変位を用いて不協和音を作り出しているだけなのですが、完全に調性が崩壊しているように聴こえる。ロマン派の時代にこれほど大胆な音の使い方をした作曲家はちょっとほかに見当たりません。</p>

<p>もうひとつ重要な実験が、和声の構成音を異名同音で読み換えることによる転調です。特にわかりやすいのが32小節。１拍目の変イ長調の属七の和音のうち、「ソ」と「ミ♭」のふたつを変位音として捉え直すことで、２拍目でロ長調の属七へと変化させ、一瞬で転調を果たしています。これは、理論的には問題なく解釈可能な機能和声の利用なのですが、耳で聴くと強烈な違和感が残ります。和声理論を推し進めるだけで、通常の調性感から逸脱してしまえるということの証とも言えるでしょう。</p>

<p>――これらの実験的要素こそがこの曲の主眼となっていることは明らかで、つまりアルカンは「異名同音」という概念をいじって楽しむ、ただそれだけのために１曲書いたということ。ロマン派の音楽観からかけ離れていることがよくわかります。</p>

<p>実はこの曲の前衛性というのは、バロック時代フランスの重要な作曲家である<a href="http://www.piano.or.jp/enc/dictionary/composer/rameau/index.html">ラモー</a>の意識を受け継いだものでもあるんですね。<a href="http://www.piano.or.jp/enc/dictionary/composer/rameau/index.html">ラモー</a>は作曲家であると同時に、機能和声の仕組みを最初期に体系化した理論家でもあった。だから、和声理論拡張の可能性には大きな関心を抱いていました。実は<a href="http://www.piano.or.jp/enc/dictionary/composer/rameau/index.html">ラモー</a>の作品にも、実験的な転調を駆使した「異名同音」というタイトルのクラヴサン小品が存在する。アルカンは間違いなくその作品を意識していたことでしょう。</p>

<p>ちなみに日本語にするとどちらも「異名同音」になってしまいますが、原語ではちょっと違います。<a href="http://www.piano.or.jp/enc/dictionary/composer/rameau/index.html">ラモー</a>の曲のタイトルは "L'enharmonique" で、アルカンの曲はそれを複数形にした "Les enharmoniques" なのです。複数形にすることで、<a href="http://www.piano.or.jp/enc/dictionary/composer/rameau/index.html">ラモー</a>より面白いことやってやろう、という意思を表しているんでしょう。</p>

<p>「異名同音って、<a href="http://www.piano.or.jp/enc/dictionary/composer/rameau/index.html">ラモー</a>が考えてたよりずっと奇抜な使い方ができるよね」</p>

<p>というアルカンのつぶやきが聞こえてきそうです。</p>

<p>演奏の際は、強弱の指示や楽語標示によく注意してください。異名同音による強烈な和音や転調を、どうやって活かしていくか、アルカンは細かく伝えてくれています。なるべく「当たり前」な音楽からかけ離れたものにできるよう、変化すべき場所では大げさに。変り身の早さを心がけましょう。</p>

<p>ではでは次回、「<a href="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/2010/04/09_10552.html">５声の小さな歌</a>」にて。</p>


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    <title>第４０回「待ってても行かないよ」</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/2010/03/04_10366.html" />
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    <published>2010-03-04T05:29:29Z</published>
    <updated>2010-04-06T07:01:08Z</updated>

    <summary>慣用表現「楡の木の下で待ってて」をタイトルとする曲がもつ雰囲気とは</summary>
    <author>
        <name>admin</name>
        
    </author>
    
        <category term="第四巻" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/">
        <![CDATA[ <table border="0" cellspacing="0" cellpadding="0" width="180" style="border-collpase:collapse;float:right;margin-left:15px;">
<tr>
<td style="background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightt.gif');background-repeat:no-repeat;height:5px;">
</td></tr>
<tr><td style="padding:10px;background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightm.gif');text-align:center;">
<!-- 右中身 -->
<div style="color:#777DA7;padding-left:5px;padding-top:2px;padding-bottom:2px;background-color:#E3ECF5" align="left">■ <span style="font-size:110%;">第40回<br />「待ってても行かないよ」</span></div>
<a href="http://www.youtube.com/watch?v=SHm-AqE64ss"><img src="/report/01cmp/alkan63/images/mp3.gif" alt="音源を試聴する" width="152" height="27" style="padding-bottom:1px;padding-top:10px;" border="0" onmouseover="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/mp32.gif'" onmouseout="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/mp3.gif'"></a><br />(YouTubeにて配信中)<br />
<object width="152" height="128"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/yXrmKA_7zOw&hl=ja_JP&fs=1&"></param><param name="allowFullScreen" value="true"></param><param name="allowscriptaccess" value="always"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/yXrmKA_7zOw&hl=ja_JP&fs=1&" type="application/x-shockwave-flash" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true" width="152" height="128"></embed></object>

<div style="padding-top:10px;">
<a href="http://www.morishitayui.jp/esquisses/" target="_blank"><img src="/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-2.gif" alt="著者のホームページで楽譜配信中" width="152" height="40" style="padding-bottom:5px;" border="0" onmouseover="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-1.gif'" onmouseout="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-2.gif'"><br />
<img src="/report/01cmp/alkan63/images/alkan_op63_40.gif" alt="第40回楽譜" width="150" height="212" style="padding-bottom:3px;" border="0" /></a></div>

<div class="curve-01" style="background-color:#FFF9C2;"><div class="curve-head"><div></div></div><div style="text-align: left;margin:0px 5px">■ エスキスの楽譜が出版されました<br />
<strong>⇒<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4904231198" target="_blank">アマゾンの商品ページへ</a></strong></div><div class="curve-bottom"><div></div></div></div>

<!-- /右中身 -->
</td></tr>
<tr><td style="height:5px;background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightb.gif');background-repeat:no-repeat;">
</td></tr>
</table>


<p>最近は機械による翻訳技術も発展してきて、とあるブラウザなど他言語のサイトを訪れると親切にも「これは◯◯語のページです。翻訳しますか？」なんていう提案を出してくれる。たとえばアルファベットの読み方からして見当がつかないような謎のページも「これはブルガリア語のページです」とあれば、ふむふむブルガリア語か、とわかったりします。</p>

<p>それだけでも十分にありがたいことなのですが、肝心の翻訳に関しても、特に印欧諸語間の相互翻訳は、既にある程度は実用的なレベルに達しているという印象。私はブルガリア語のページなんてもちろん単語のひとつも読めませんが、英語に翻訳させてみればおおまかな内容くらいは把握できてしまう。感動的です。</p>

<p>残念ながら他言語から日本語への訳はまだまだ意味不明なたわごとレベルで、実際に使う気にはとてもなれません。それでも、筆者のような勉強ギライは「もう少ししたら外国語は勉強しなくて済むようになるんじゃないか」などという期待を抱いてしまうのです。そうすれば語学の苦手なクラシックの演奏者だって、原語の論文がスラスラ読めるようになって色々と研究しやすいだろうに......。</p>

<p>とまあ夢も広がる日進月歩の世の中なわけですが、言語ごとにある特有の慣用表現や地口などは、いくら機械翻訳が進歩してもなかなか対応しづらい部分でしょう。単語の連なりの裏に、本来とは違う意味合いが隠されているわけで、それを拾い出すのがまず難しい。そこをクリアしても、翻訳のときにどう置き換えるかがこれまた難しい。単語ごとの意味を律儀に訳すのでは内容が伝わらないし、内容だけを伝えるのではわざわざ慣用表現を使った機微が失われてしまう。もっとも、これは人間が翻訳する場合でも同じく難しい部分ではありましょうが。</p>

<p>今回の曲の題名『待ってても行かないよ』というのはまさにそういうもので、元のフランス語を逐語訳すると『楡の木の下で待ってて』というような意味になる。これが皮肉な慣用句となったのにはいろいろと複雑な理由や由来があったようです。</p>

<p>ちょっと調べてみたところ、もともとは中世の裁判に関する表現から来た言い回しらしい。当時、田舎には裁判所というものがなく、領主の館のような場所で裁判が行われるのが普通だったのですが、そういった邸宅の周りにはたいてい楡の木が植わっていた。そんなところから、17世紀頃には「楡の木の下で待つ」という表現は「裁判に勝つ自信がある」というような意味合いで使われていました。</p>

<p>が、やがて、そこに「楡の木の下の裁判官＝田舎の小物裁判官」とか、「楡の木の下で待っている＝依頼人もおらず暇な弁護士」みたいなイメージが被さってきたためか、「楡の木の下で待つ」の持つ意味はやがて変化し、かいもなく長時間待ち続ける行為を表すようになってしまった。</p>

<p>そして1694年には、ジャン＝フランソワ・ルニャールという有名な喜劇作家が『楡の木の下で待ってて』というそのものズバリなタイトルの作品を書いている。この劇のおかげもあって「楡の木の下で待ってて（＝待ってても行かないよ）」のセリフは広く世間で用いられるようになった、ということのようです。</p>

<p>このフランス語表現に含まれた裏腹な皮肉を知るだけでも、アルカンの曲のユーモラスな響きが聴き取りやすくなるのではないかな、と思うのですが、ここでもう一点、喜劇を通して広まった、という事実にも注目しておくべきかもしれません。</p>

<p>アルカンはどうやら喜劇というものがかなり好きだった様子。彼がギリシャ時代に強い興味を抱いていたことは度々述べてきましたが、そのギリシャ時代の演劇にしても、彼は悲劇より喜劇を一段上に見ていた節がある。あるいは、年齢とともに喜劇を上に見るようになった、と考えるのがより正解に近いかもしれない。</p>

<p>アルカンの『<a href="http://www.piano.or.jp/enc/dictionary/composer/alkan/009653.html">大ソナタ 作品33</a>』(1847)の譜面には、アイスキュロス作の悲劇『縛られたプロメテウス』からの引用が置かれており、若き日の彼がギリシャ悲劇に親しんでいたことがうかがえます。しかし、だいぶ後に出版された<a href="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/2008/06/30_4570.html">『エスキス 作品63』(1861)の第5曲</a>では、アリストパネスの『蛙』が引用されている。これは、アイスキュロスを含め、３大悲劇詩人と言われた作家たちを面白おかしく批判した内容の喜劇なのです。</p>

<p>『エスキス』をこれまで見てきた皆さんには、アルカンが常にユーモアを大事にしていたことがおわかりでしょうし、そんな彼が喜劇を重視しただろうことも当然に思えるかもしれません。けれど、「楡の木の下で待ってて」という言い回しが喜劇のタイトルでもあった、というのは、彼の趣味を知るための手がかりのひとつになるのではないでしょうか。</p>

<p>演奏の際は、４小節のフレーズの前半と後半で音楽の動き方が変わるような意識を持つと良いでしょう。後半２小節の方で多めに動いて見せることで、はぐらかすような雰囲気を作りやすくなると思います。最後に出てくる両手の16分音符は指先をよく意識してコントロールしましょう。</p>

<p>それではまた今度。次の曲は「<a href="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/2010/03/26_10453.html">異名同音</a>」です。</p>
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    <title>第３９回「ヘラクレイトスとデモクリトス」</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/2010/02/16_10270.html" />
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    <published>2010-02-16T02:01:27Z</published>
    <updated>2010-04-06T07:01:27Z</updated>

    <summary>「暗い」「明るい」哲学者の会話。音楽は面白おかしくあれば良いけれど。。</summary>
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        <name>admin</name>
        
    </author>
    
        <category term="第四巻" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/">
        <![CDATA[ <table border="0" cellspacing="0" cellpadding="0" width="180" style="border-collpase:collapse;float:right;margin-left:15px;">
<tr>
<td style="background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightt.gif');background-repeat:no-repeat;height:5px;">
</td></tr>
<tr><td style="padding:10px;background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightm.gif');text-align:center;">
<!-- 右中身 -->
<div style="color:#777DA7;padding-left:5px;padding-top:2px;padding-bottom:2px;background-color:#E3ECF5" align="left">■ <span style="font-size:110%;">第39回<br />「ヘラクレイトスとデモクリトス」</span></div>
<a href="http://www.youtube.com/watch?v=SHm-AqE64ss"><img src="/report/01cmp/alkan63/images/mp3.gif" alt="音源を試聴する" width="152" height="27" style="padding-bottom:1px;padding-top:10px;" border="0" onmouseover="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/mp32.gif'" onmouseout="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/mp3.gif'"></a><br />(YouTubeにて配信中)<br />
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<div style="padding-top:10px;">
<a href="http://www.morishitayui.jp/esquisses/" target="_blank"><img src="/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-2.gif" alt="著者のホームページで楽譜配信中" width="152" height="40" style="padding-bottom:5px;" border="0" onmouseover="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-1.gif'" onmouseout="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-2.gif'"><br />
<img src="/report/01cmp/alkan63/images/alkan_op63_39.gif" alt="第39回楽譜" width="150" height="212" style="padding-bottom:3px;" border="0" /></a></div>

<div class="curve-01" style="background-color:#FFF9C2;"><div class="curve-head"><div></div></div><div style="text-align: left;margin:0px 5px">■ エスキスの楽譜が出版されました<br />
<strong>⇒<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4904231198" target="_blank">アマゾンの商品ページへ</a></strong></div><div class="curve-bottom"><div></div></div></div>

<!-- /右中身 -->
</td></tr>
<tr><td style="height:5px;background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightb.gif');background-repeat:no-repeat;">
</td></tr>
</table>


<p>「ヘラクレイトスとデモクリトス」という今回の曲はコミカルでユーモアたっぷり。暗そうなヘラクレイトスのテーマと愉快なデモクリトスのテーマが登場し、最後には議論するかのように絡み合うという明快な構成です。しかしその中には、アルカンという作曲家に近づくための興味深い手がかりがいくつも隠されているように思えてなりません。</p>

<p>まず、この題材の選び方。ヘラクレイトスは紀元前500年ごろの、デモクリトスは紀元前400年ごろのギリシアの哲学者です。アルカンが古い時代、特にギリシャ時代に対して並ならぬ関心を抱いていたことについては前にも触れましたが、それが直接的に表れていると言えます。が、この人選からはそれ以上のものが読み取れる気がしてならない。彼はソクラテスでもアリストテレスでもなく、ヘラクレイトスとデモクリトスの２人に目をつけたのです。これは重要なことではないでしょうか。</p>

<p>いや、それほど大した意味はなくて、２人のキャラクターの対比が面白かったから音楽にしてみたかっただけなんじゃないか。そうとも考えられます。人嫌いで思想の内容も暗いというので、「泣く哲学者」などと呼ばれたヘラクレイトス。対して、元気な笑顔に過ごしてればぜったい幸せになれるよ、ってな前向き一辺倒、「笑う哲学者」と呼ばれていた快活なデモクリトス。確かに、対照的な存在として戯画化するにはうってつけだと言えましょう。</p>

<p>しかし、アルカンがこの２人のキャラクターの対比に目をつけ、面白がることができたのは、まずは彼らの語る哲学の内容に共感を覚え、研究していたからこそなのではないか。愛着のないものを曲の題材にするとは考えがたい。そして、古代の哲学者に対して愛着を抱くというのは、つまり彼らの言葉に共鳴したということに他なりません。</p>

<p>だから、ヘラクレイトスとデモクリトスの思想を少し紐解いてみると、さらにこの曲に隠された秘密が見えてくる......かもしれない。</p>

<p>ヘラクレイトスという人は、何より「ロゴス」を説いたことで知られています。曰く、この世界は絶え間ない変化を続けながら存在しており、その変化は万物の対立によって成り立っている。また、対立する物事とは――上り坂と下り坂、光と闇、生と死など――実はすべて同じ物の変化した姿に過ぎない。その対立や変化を司るものを神と呼べば良いのであり、神とはつまりロゴス（摂理）である。......とまあ、私なりの解釈ではこういった主張をした哲学者。</p>

<p>面白いのは、神というものを擬人化して捉えたりせず「ロゴス」という概念に当てはめ、対立する万物の姿や仕組みそのものを世界の基礎に置いた点です。これは現在も「万物理論」を追究している理論物理学に通じるものがあるように感じます。</p>

<p>対してデモクリトスは、「アトム（原子）」という概念で世界の成り立ちを説明しようとしたことで知られています。この世界にはまず「空虚」が存在し、その中を物質の最小単位たる「アトム」が動き回っている。「アトム」そのものは何の性質もなく、永遠不滅の存在であるが、これが何らかの法則によって組み合わさったり離れたりすることによって、この世のすべての物事が引き起こされている。......彼の主張はこんな感じです。</p>

<p>紀元前の世の中でよくもまあこれほどの思想を展開できたものです。「アトム（原子）」は後に物理学の中でも用いられる語となったわけですし（今では最小単位はクオークだ、いや超ひもだ、などという話になっておりますが）、20世紀の科学者が解き明かした世界の仕組みを驚くほどうまく言い当てていますよね。</p>

<p>この２人の思想は別々のものではあるけれど、どこか唯物論的という面では似ている気がします。すべての物事の奥底には何かの法則が隠れており、宇宙はその法則に則って運行されている。２人ともそのような発想をもとに理論を組み立てているのであり、それは科学に親しんだ我々現代人にとって身近に感じられる考え方でもあります。</p>

<p>アルカンも２人の思想の根底に何かしら重要な共通点を感じ取っていたのでしょう。まるで雰囲気の違うヘラクレイトスのテーマとデモクリトスのテーマですが、実は３度下がって２度上がるターンの音型が共通して出てくる。これを意図的なものと考えるのは、無理なこじつけではないと思います。</p>

<p>ユダヤ教徒でありながら新約聖書にも興味を抱いていた、というようなアルカンの独特の感覚を思い起こせば、こうした唯物論的哲学思想も彼の中では無理なく信仰と同居できていたのかもしれない、などと想像してしまう。思想家としても何か著作などを残していてくれれば、と夢想せずにはいられません。</p>

<p>また、譜面上の表記の前衛的な工夫もこの曲のひとつの見所で、左手が四分の二拍子で八分音符ひとつ弾くあいだに右手は四分の四拍子で四分音符をふたつ弾いている、というようなビックリするような場面が出てくる。こういう大胆な記譜は、近・現代の先取りとも言えるもので、アルカンの型破りな面がよく表れています。</p>

<p>とはいえ、演奏の際はあまり難しいことは考えず、２人の性格の違いをよく表現し、面白おかしく聴かせられればオーケー。せいいっぱい誇張するつもりでやりましょう。右手は２人どちらのテーマにおいても旋律と和音を同時に扱うので、そのバランスの取り方には注意せねばなりません。特にデモクリトスのテーマの八分音符は弾きづらいと思いますので、旋律を担当する外側の指にしっかり腕の重みをかけ、意識を集中して練習すると良いでしょう。</p>

<p>ではまた次回、『<a href="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/2010/03/04_10366.html">待ってても行かないよ</a>』にて。</p>

]]>
        
    </content>
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    <title>第３８回「あなたに常に天の恵みのありますように」</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/2010/01/28_10181.html" />
    <id>tag:www.piano.or.jp,2010:/report/01cmp/alkan63//19.10181</id>

    <published>2010-01-28T03:45:32Z</published>
    <updated>2010-04-06T07:01:38Z</updated>

    <summary>音楽はまるで生き物。創作とは、工事よりむしろ発掘作業のような。。</summary>
    <author>
        <name>admin</name>
        
    </author>
    
        <category term="第四巻" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/">
        <![CDATA[ <table border="0" cellspacing="0" cellpadding="0" width="180" style="border-collpase:collapse;float:right;margin-left:15px;">
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</td></tr>
<tr><td style="padding:10px;background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightm.gif');text-align:center;">
<!-- 右中身 -->
<div style="color:#777DA7;padding-left:5px;padding-top:2px;padding-bottom:2px;background-color:#E3ECF5" align="left">■ <span style="font-size:110%;">第38回<br />「あなたに常に天の恵みのありますように」</span></div>
<a href="http://www.youtube.com/watch?v=SHm-AqE64ss"><img src="/report/01cmp/alkan63/images/mp3.gif" alt="音源を試聴する" width="152" height="27" style="padding-bottom:1px;padding-top:10px;" border="0" onmouseover="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/mp32.gif'" onmouseout="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/mp3.gif'"></a><br />(YouTubeにて配信中)<br />
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<div style="padding-top:10px;">
<a href="http://www.morishitayui.jp/esquisses/" target="_blank"><img src="/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-2.gif" alt="著者のホームページで楽譜配信中" width="152" height="40" style="padding-bottom:5px;" border="0" onmouseover="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-1.gif'" onmouseout="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-2.gif'"><br />
<img src="/report/01cmp/alkan63/images/alkan_op63_38.gif" alt="第38回楽譜" width="150" height="212" style="padding-bottom:3px;" border="0" /></a></div>

<div class="curve-01" style="background-color:#FFF9C2;"><div class="curve-head"><div></div></div><div style="text-align: left;margin:0px 5px">■ エスキスの楽譜が出版されました<br />
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<!-- /右中身 -->
</td></tr>
<tr><td style="height:5px;background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightb.gif');background-repeat:no-repeat;">
</td></tr>
</table>





<p>音楽はそれ自体がまるで生き物のように自己組織化する能力がある。その過程に人間の脳が介在しているに過ぎない。そんな風に考えることがあります。......なんじゃそりゃ？</p>

<p>創作するということは、工事よりむしろ発掘作業に似ている――そんな意味のことは、音楽に限らず色々な分野の人が述べているのではないかと思います。創作に携わる人の多くは、自分が何かをイチから作り出しているのではなくて、既にどこかに埋れている理想形をいかに理想形のまま上手に掘り出せるか、という挑戦をしているに過ぎない、と感じてしまう（ことがある）ようなのです。</p>

<p>作品は作品として勝手に成長していくので、作者にできるのはその手助けをすることだけ――といった表現もあちこちで聞かれますが、これも先ほどの感覚と似通ったものでしょう。何か作者の意思を超えた力が、作品の理想形を規定してしまう。</p>

<p>音楽には体系的な理論や法則があって、パーツさえ用意すればある程度は自動的に組み上がっていきやすい。つまりこれが自己組織化ということです。作曲家が果たすのは、その曲を組み上げる際に利用するルールを選び、組織化の道筋を示す役割、ということになりましょうか。</p>

<p>音楽が音楽自身として組み上がるというのはおかしい、そもそも音楽理論は人間が作り上げたもので、平均律みたいな根本的な仕組みさえ人工的な体系ではないか。そう思う人もいるかもしれない。しかし、音楽に関する理論は総じて、経験則をあとづけで言葉や形に表したようなところがあるのです。</p>

<p>たとえばクラシックの和声法や対位法の理論と、バークリー風ポピュラー和声やアヴェイラブル・ノート・スケールの理論は互いに援用可能で、多くの曲はどちらの理論を用いても分析することができます。しかし実のところ、それらは同じ和音や旋律を、まったく違う観点から捉えているのです。</p>

<p>たとえばクラシックの理論では「導音へと解決するための短２度下の倚音」という位置づけになるであろうメロディー中のある１音が、アヴェイラブル・ノート・スケールの考え方を用いて説明すると「9thのオルタード・テンション」だったりするわけです。</p>

<p>まるで宇宙の仕組みを解き明かそうとして次々に理論を考え出す物理学の世界みたいです。同じ音楽を説明しているはずなのに、解釈は何通りにもなりうる。音楽理論というのは、音楽の仕組みを解き明かそうとして考え出されるものに過ぎない気がします。</p>

<p>作曲というのは基本的に知識と経験を要する、試行錯誤を伴なう作業です。あの偉大なるバッハだって、曲を納得いく形で完成させるためには何度も推敲を重ねていました。しかし、その努力は、埋まっている音楽を壊さずに、完全な状態で掘り出すためのものなのかもしれません。あるいは、より面白い埋蔵物を発見するための。</p>

<p>曲が長大であれば、頭で考えて調整せねばならない部分も増えるし、試行錯誤を重ねる必要もあるでしょう。しかし、経験を積んだ作曲家が短くて簡潔な音楽を作るときというのは、まさに発掘作業に近い状態になるのではないか。しかも、楽々と完全に近い形で発掘できたりするのではないか。そんなことを思うわけです。</p>

<p>この『エスキス』には、割れたり欠けたりの一切ない「掘り出し物」が詰まっているような気がいたします。</p>

<p>今回の『あなたに常に天の恵みのありますように！』は弦楽四重奏スタイルで書かれた曲。スタイルを決めて書くというのは、音楽が自己組織化するための道筋をスッキリさせるための手として使えます。たとえば雪の結晶が６角形に成長するのは、水分子同士がくっつける角度が決まっているおかげ。４本の弦楽器が弾ける形で、という決まりごとがあればこそ、音楽は迷わず結晶してくれるというわけです。</p>

<p>演奏の際には、弦楽四重奏らしい４つの声部の絡み合いを心地よく感じてください。特に終盤の追いかけ合いはすべてのパートをよく歌うこと。全体に同じような音型、リズムが繰り返される音楽なので、転調する場所でいかに色合いを変えられるかが大事になります。12小節と13小節の境目など、十分に間を取って表現しましょう。</p>

<p>ではではまた。次回は「<a href="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/2010/02/16_10270.html">ヘラクレイトスとデモクリトス</a>」です。</p>
]]>
        
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    <title>第３７回「小さな小さなスケルツォ」</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/2010/01/15_10104.html" />
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    <published>2010-01-15T08:48:06Z</published>
    <updated>2010-04-06T07:01:49Z</updated>

    <summary>連載もいよいよ終盤、第4巻第1曲。これは精密な実験作？</summary>
    <author>
        <name>admin</name>
        
    </author>
    
        <category term="第四巻" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
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        <![CDATA[ <table border="0" cellspacing="0" cellpadding="0" width="180" style="border-collpase:collapse;float:right;margin-left:15px;">
<tr>
<td style="background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightt.gif');background-repeat:no-repeat;height:5px;">
</td></tr>
<tr><td style="padding:10px;background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightm.gif');text-align:center;">
<!-- 右中身 -->
<div style="color:#777DA7;padding-left:5px;padding-top:2px;padding-bottom:2px;background-color:#E3ECF5" align="left">■ <span style="font-size:110%;">第３７回<br />「小さな小さなスケルツォ」</span></div>
<a href="http://www.youtube.com/watch?v=1twZWIlwVp8"><img src="/report/01cmp/alkan63/images/mp3.gif" alt="音源を試聴する" width="152" height="27" style="padding-bottom:1px;padding-top:10px;" border="0" onmouseover="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/mp32.gif'" onmouseout="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/mp3.gif'"></a><br />(YouTubeにて配信中)<br />
<object width="152" height="128"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/1twZWIlwVp8&hl=ja_JP&fs=1&"></param><param name="allowFullScreen" value="true"></param><param name="allowscriptaccess" value="always"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/1twZWIlwVp8&hl=ja_JP&fs=1&" type="application/x-shockwave-flash" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true" width="152" height="128"></embed></object>

<div style="padding-top:10px;">
<a href="http://www.morishitayui.jp/esquisses/" target="_blank"><img src="/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-2.gif" alt="著者のホームページで楽譜配信中" width="152" height="40" style="padding-bottom:5px;" border="0" onmouseover="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-1.gif'" onmouseout="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-2.gif'"><br />
<img src="/report/01cmp/alkan63/images/alkan_op63_37.gif" alt="第37回楽譜" width="150" height="212" style="padding-bottom:3px;" border="0" /></a></div>

<div class="curve-01" style="background-color:#FFF9C2;"><div class="curve-head"><div></div></div><div style="text-align: left;margin:0px 5px">■ エスキスの楽譜が出版されました<br />
<strong>⇒<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4904231198" target="_blank">アマゾンの商品ページへ</a></strong></div><div class="curve-bottom"><div></div></div></div>

<!-- /右中身 -->
</td></tr>
<tr><td style="height:5px;background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightb.gif');background-repeat:no-repeat;">
</td></tr>
</table>


<p>形式というのは考えてみると不思議なものです。誰かが最初からこうと決めて作ったわけではなく、時代とともに少しずつ変化したりもする。守らないと物を知らない奴だと思われるけれど、ガチガチに守っているだけだとそれはそれで無能だと受け取られもする。</p>

<p>音楽にもやはり多くの形式があって、作曲家は誰でもそれらを学び、気にしながら曲を書くことになります。ただし、それが単なる枷であり、作曲を窮屈にするものだと考えるのはちょっと違う。どのように形式を守るか、あるいは発展させるか、はたまた破壊するか。作り手にとって、そのアプローチの仕方が意思表示の手段となる。形式そのものが、作品に意味内容を盛り付けるための土台として利用できるわけです。</p>

<p>受け取る側にとっても、形式に関する知識は役に立つ。大規模なソナタを聴くときなど、ソナタ形式について知っているのと知らないのでは理解の速度も深度も大違いでしょう。作曲家がどの部分に重点をおいて曲を組み立てているのか、受け手はどのモチーフに注目して聴けばよいのか、そんなことが形式という翻訳機を通して見えてくるわけです。</p>

<p>形式というのは、ある程度の規則性を保ちつつ作品に厚みと深みを与えるためのルールでもある。人に美しい、面白いと感じさせるものは、必ず適度な法則性と適度な複雑性を兼ね備えています。同じ構造が整然と並んでいるだけではつまらないし、完全なカオス状態ではぐちゃぐちゃで全くわけがわからない。</p>

<p>自然の有様、生命の有様について「カオスの縁（ふち）」などという言葉で表現します。これは複雑怪奇でいっけん混沌としているけれど、何らかの構造は保たれた状態を指すわけですが、この秩序と混沌の境目にこそ、この世がこれほど豊穣であるわけが隠されているらしい。音楽だって、このカオスの縁に位置する存在だと考えて間違いありません。</p>

<p>作り手と受け手の相互理解のための足がかりであり、作曲家が表現の幅を広げるための支えでもある形式。ひとたび確立されれば、それが時とともにより複雑化し、精緻化し、拡大していくのは自然なことでしょう。作り手はどんどん新たな工夫を凝らして楽しむし、受け手は「そう来たか」ってなもので貪欲に形式の新たな側面を求め続ける。</p>

<p>アルカンは、今回取り上げた「小さな小さなスケルツォ」で、そんな形式そのものに対するユーモアたっぷりの実験を行っています。形式とはどこまで縮小できるのか？　どこまで肉をそぎ落とせるのか？　その形式を支える骨格はどこにあるのか？――そんな実験。</p>

<p>この「小さな小さなスケルツォ」をリサイタルのアンコールで取り上げたことがあるのですが、そのときは弾き終わったときに笑いが起きたものです。曲の激しさと、その割にあまりにもあっという間に終わってしまう短さがユーモラスな印象を与えたのでしょう。そしてその印象はきっと正しい。アルカンにとっては何だってユーモアの種になってしまうんです。</p>

<p>ちなみにこの曲、演奏時間は１分に満たない小品ですが、スケルツォとしての要素はきちんと保持されている。激烈な主部、レガートのトリオ、密やかな再現、燃え上がるコーダ。主部とトリオ部分とのモチーフが共通していて区別が難しいなど、構成の緊密さは少々損なわれていますが、それはむしろここまで短く音楽をまとめるための一流の工夫であって、組み立ての失敗などではありません。スケルツォという形式のミニチュアとして、この曲は実に精巧にできていると思いませんか？</p>

<p>わずか１分できちんとスケルツォっぽさを表現することは、アイディアだけでは不可能です。小品を作る際のアルカンの腕前がいかに優れているか、改めて認識させてくれる１曲と言えましょう。複雑さや巨大さで腕前を見せつけるのではなく、そのギリギリのそぎ落とし加減や曲の小ささで腕前を見せつける。アルカンはやっぱり特別な作曲家です。</p>

<p>演奏にあたっては気が抜けない曲。立派なスケルツォを演奏するときと同じだけの激しい情熱が必要とされます。 "molto rf" と "p" の落差はいくらやってもやり過ぎということはありません。10度のトレモロは、素早く、かつ軽い音で。１小節６つの音がひと塊であるかのように意識できると、弾きやすいでしょう。最後の和音の連続は指でキュッとつかむ動きを意識して、歯切れよく鳴らしましょう。</p>

<p>それではまた次回、『<a href="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/2010/01/28_10181.html">あなたに常に天の恵みのありますように</a>』にて。</p>]]>
        
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    <title>第３６回「小トッカータ」</title>
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    <published>2009-12-16T05:34:40Z</published>
    <updated>2010-04-06T07:02:08Z</updated>

    <summary>芸術性の域に達する「演奏技術」。アルカンにとっての「練習」とは？</summary>
    <author>
        <name>admin</name>
        
    </author>
    
        <category term="第三巻" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/">
        <![CDATA[ <table border="0" cellspacing="0" cellpadding="0" width="180" style="border-collpase:collapse;float:right;margin-left:15px;">
<tr>
<td style="background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightt.gif');background-repeat:no-repeat;height:5px;">
</td></tr>
<tr><td style="padding:10px;background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightm.gif');text-align:center;">
<!-- 右中身 -->
<div style="color:#777DA7;padding-left:5px;padding-top:2px;padding-bottom:2px;background-color:#E3ECF5" align="left">■ <span style="font-size:110%;">第３６回「小トッカータ」</span></div>
<img src="/report/01cmp/alkan63/images/mp3.gif" alt="音源を試聴する" width="152" height="27" style="padding-bottom:1px;padding-top:10px;" border="0" onmouseover="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/mp32.gif'" onmouseout="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/mp3.gif'"><br />
(YouTubeにて配信中)<br />
<object width="152" height="128"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/KX3dGTlvn2k&hl=ja_JP&fs=1&"></param><param name="allowFullScreen" value="true"></param><param name="allowscriptaccess" value="always"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/KX3dGTlvn2k&hl=ja_JP&fs=1&" type="application/x-shockwave-flash" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true" width="152" height="128"></embed></object>


<div style="padding-top:10px;">
<a href="http://www.morishitayui.jp/esquisses/" target="_blank"><img src="/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-2.gif" alt="著者のホームページで楽譜配信中" width="152" height="40" style="padding-bottom:5px;" border="0" onmouseover="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-1.gif'" onmouseout="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-2.gif'"><br />
<img src="/report/01cmp/alkan63/images/alkan_op63_36.gif" alt="第36回楽譜" width="150" height="212" style="padding-bottom:3px;" border="0" /></a></div>

<div class="curve-01" style="background-color:#FFF9C2;"><div class="curve-head"><div></div></div><div style="text-align: left;margin:0px 5px">■ エスキスの楽譜が出版されました<br />
<strong>⇒<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4904231198" target="_blank">アマゾンの商品ページへ</a></strong></div><div class="curve-bottom"><div></div></div></div>

<!-- /右中身 -->
</td></tr>
<tr><td style="height:5px;background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightb.gif');background-repeat:no-repeat;">
</td></tr>
</table>



<p>ロマン派の時代は芸術が深化した時代でもあったけれど、派手なパフォーマンスや技巧的な音楽がもてはやされた時代でもあった。――こう書くと、精神性を尊重した音楽と見栄えを強調した音楽という対極的なものが、相反するものとして競い合っていたように感じられるかもしれません。</p>

<p>しかし、楽器もできる作曲家にとって、特にトップレベルのコンポーザー・ピアニストにとって、芸術性と技巧性は分かちがたく結びついていた、というのが本当のところです。</p>

<p>およそどんな技術も、突き詰めれば芸術の域に達するものです。空中ブランコの技術も、スケートの技術も、寿司を握る技術もそうです。もっとコマゴマしたものでも十分です。皿回しでも独楽回しでも、ペン回しでだって、人を感動させることはできるのです。楽器の演奏技術そのものが芸術にならないわけがありません。</p>

<p>などと言うと、「それは確かにそうかもしれないが、音楽そのものの精神や芸術性とはまた別の話じゃないか」という反論もいただきそう。しかし、曲と演奏が組み合わさってようやく音楽芸術が生まれる、というのがクラシック音楽の世界です。演奏技術を芸術の域にまで高めてこそ、曲の持つ力を最大限に引き出せるはず。より圧倒的な精神の深みを音として表すためには、表現の幅を追求することが必要になってくるでしょう。それは必然的に楽器の限界を探り、演奏の限界を開拓することとつながっているのです。</p>

<p>アルカンは自らもピアノの名手でしたが、人前での演奏はあまり得意ではなかった。その分、技巧を単なる見世物としてではなく、芸術表現の一部として捉える感覚が、例えば<a href="/enc/dictionary/composer/liszt/">リスト</a>と比べても強かったようです。彼が「練習曲」と名付けたピアノ曲たちを見れば、それがよくわかる。</p>

<p>「練習曲」と題していながらも、純粋に指の訓練のために書かれたわけではない、演奏会用にも使えるような音楽。そんな作品は、19世紀中頃から数多く作られるようになった。代表格は何といってもショパンの練習曲集でしょう。「練習曲を芸術にまで昇華した」などと評されているのを耳にしたこともあろうかと思います。しかし、<a href="/enc/dictionary/composer/chopin/">ショパン</a>と比べてもアルカンの練習曲は際立っており、物理法則に縛られる肉体や楽器の限界に挑む、求道とも呼べそうな姿勢が見えてくるほどです。</p>

<p>何しろ、アルカンの残した最大最長のピアノ曲は練習曲集の中に収められている。『協奏曲』と題された50分を超えるその練習曲は、常人の感覚からすれば半ば狂気じみた代物と言えましょう。何が練習なものか。山岳部のトレーニングと称してヒマラヤ山脈を縦断させられるようなものです。</p>

<p><a href="/enc/dictionary/composer/chopin/">ショパン</a>の練習曲にはまだ、他の曲を弾きやすくするための特殊な技術の習得、という側面が核として存在していた。しかしアルカンの『協奏曲』は、もはや他の曲を演奏するための練習などではなく、『協奏曲』それそのものを完成させるための練習曲、として自己完結してしまっているのではないか。「練習曲を芸術にまで昇華した」どころではなく、「練習曲でしか到達できない芸術の極みを発見した」とでも言うべき作品なのです。</p>

<p>そんな風に、アルカンにとって「練習」というのは表現の一部としてとても大切なものだったので、ちょっとした小品の中にも驚くほどの技巧を詰め込むことが多々あります。『エスキス』には、技巧の面では平易な作品もたくさん含まれていますが、そこは驚異的な多彩さを誇るこの曲集のこと、当然ながら中には練習曲風の技術を要する作品も混ざっている。それら、一般的な軽い小品にはありえないほど激しい音楽たちが、曲集の雰囲気を要所々々でピリリと引き締めているようにも感じられます。</p>

<p>今回の「小トッカータ」はまさにそういう役割を担う１曲です。左手による連続するオクターブの跳躍、そして右手の細かく回転するパッセージ。両手とも指先の感覚をよく保って、しかし肩、肘や手首は柔らかく、腕の重さがすべて指だけにかかるような意識を忘れないで練習しましょう。速いパッセージでは指を動かすことに集中してしまいがちですが、むしろ腕の重みを移動させる感覚が大切です。それだけ意識していれば、音型は自然に弾けてしまう、そんなイメージが身につくと断然、弾きやすくなりますよ。</p>

<p>さて、これで第３巻も終わりまで辿りつきました。いよいよ次回から最終第４巻！　第４巻最初の曲は、「<a href="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/2010/01/15_10104.html">小さな小さなスケルツォ</a>」です。</p>]]>
        
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    <title>第３５回「軍楽」</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/2009/11/30_9834.html" />
    <id>tag:www.piano.or.jp,2009:/report/01cmp/alkan63//19.9834</id>

    <published>2009-11-30T14:22:20Z</published>
    <updated>2010-04-06T07:02:17Z</updated>

    <summary>「音楽でこんな遊びもできるのか！」アルカンにみる現代的感覚</summary>
    <author>
        <name>admin</name>
        
    </author>
    
        <category term="第三巻" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/alkan63/">
        <![CDATA[<table border="0" cellspacing="0" cellpadding="0" width="180" style="border-collpase:collapse;float:right;margin-left:15px;">
<tr>
<td style="background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightt.gif');background-repeat:no-repeat;height:5px;">
</td></tr>
<tr><td style="padding:10px;background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightm.gif');text-align:center;">
<!-- 右中身 -->
<div style="color:#777DA7;padding-left:5px;padding-top:2px;padding-bottom:2px;background-color:#E3ECF5" align="left">■ <span style="font-size:110%;">第３５回「軍楽」</span></div>

<img src="/report/01cmp/alkan63/images/mp3.gif" alt="音源を試聴する" width="152" height="27" style="padding-bottom:1px;padding-top:10px;" border="0" onmouseover="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/mp32.gif'" onmouseout="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/mp3.gif'"><br />
(YouTubeにて配信中)<br />
<object width="152" height="128"><param name="movie" value="http://www.youtube.com/v/mTy3MuroVrw&hl=ja_JP&fs=1&"></param><param name="allowFullScreen" value="true"></param><param name="allowscriptaccess" value="always"></param><embed src="http://www.youtube.com/v/mTy3MuroVrw&hl=ja_JP&fs=1&" type="application/x-shockwave-flash" allowscriptaccess="always" allowfullscreen="true" width="152" height="128"></embed></object>



<div style="padding-top:10px;">
<a href="http://www.morishitayui.jp/esquisses/" target="_blank"><img src="/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-2.gif" alt="著者のホームページで楽譜配信中" width="152" height="40" style="padding-bottom:5px;" border="0" onmouseover="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-1.gif'" onmouseout="this.src='/report/01cmp/alkan63/images/pdf2-2.gif'"><br />
<img src="/report/01cmp/alkan63/images/alkan_op63_351.gif" alt="第35回楽譜" width="150" height="212" style="padding-bottom:3px;" border="0" /></a></div>

<div class="curve-01" style="background-color:#FFF9C2;"><div class="curve-head"><div></div></div><div style="text-align: left;margin:0px 5px">■ エスキスの楽譜が出版されました<br />
<strong>⇒<a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4904231198" target="_blank">アマゾンの商品ページへ</a></strong></div><div class="curve-bottom"><div></div></div></div>

<!-- /右中身 -->
</td></tr>
<tr><td style="height:5px;background-image:url('/report/01cmp/alkan63/images/p_table_naka_rightb.gif');background-repeat:no-repeat;">
</td></tr>
</table>



<p>作曲家は何のために曲を書くのか？　これは突き詰めると哲学的な問いにもなり得ます。もちろん、お金のためだとか、仕事で頼まれたからだとか、そういうレベルの答え方もできる。けれども、もっと本質的なことまで考え出せば、音楽とは何ぞや、芸術とは何ぞや、みたいな問いにまでつながってしまいます。</p>

<p>しかし作曲家はあくまで曲を作らねばならない存在。哲学的問答のために思考をぐるぐる巡らせていたって作曲はできません。だから、結局はその時代に支配的な思想だとか、需要だとか、あるいは自身の生活だとかに影響されて、バランスの取れた場所で自分を納得させることになる。でなければ、「何のために」なんてことは一切考えず、呼吸するように音楽をする。</p>

<p>実際のところ、何のために音楽をやるのか、などという問いにきちんと答えるのは不可能なのです。それはもう色々な要素があって、あるひとりの作曲家だって、いつも同じように音楽を生み出すわけではない。たとえば自身の苦悩に耐え切れぬ余り、その痛みを作曲に向けるような場合もあれば、知り合いのお嬢様を喜ばせるために、ちょっとした可愛らしい小品を作ってみることだってある。</p>

<p>だから、何のためにやる、なんてことで深刻に悩むよりは、「音楽でこんな遊びもできるのか！」という発見をどんどん重ねて、そのことを純粋に楽しむのが正しい態度じゃあなかろうか――と、そんな考え方が現在では支配的になってきたように感じます。たとえば現代音楽の中にはアイディア勝負のジョークみたいな曲もたくさんありますよね。</p>

<p>ただし、そんな自由な発想が生まれ得たのは、現代だからこそ、というのも確かです。さまざまな時代を通過し、それぞれの時代の思想のもと極致を目指した先人たちの成果を見渡してこそ、我々が悟ることのできた真実なのでしょう。</p>

<p>それでも、アルカンという作曲家について考えたとき、彼が音楽というものに向かう態度は不思議と現代的であるように思えるのです。</p>

<p>ロマン派の時代には、音楽は精神世界や感情を表現し、それを伝達するものとして扱われる傾向にありました。それこそが目指すべき場所であり、音楽芸術の高みだというのがだいたいの共通認識だった。</p>

<p>それと同時に、ロマン派はヴィルトゥオーゾたちの時代でもあった。圧倒的な器楽演奏の技巧で聴衆を熱狂させることに腐心する人があとを絶たなかった。</p>

<p>俗っぽいとさえ思われる派手な技巧と、精神世界の掘り下げという要素が複雑に絡み合い、色とりどりで華やかな音楽世界が生み出されていった、音楽芸術にとって熱狂と興奮に包まれた時代だったと言えるでしょう。</p>

<p>しかしその一方、音楽におけるロマン主義は、ユーモアだとか滑稽なものなどとはどうもうまく相容れなかった、という印象が強いのです。たとえばシューマンなどは「フモール（≒ユーモア）」という概念をたいそう愛していたにも関わらず、彼の音楽からユーモアを読み取るのは難しく、努力を要することであるように思います。</p>

<p>そんな中、アルカンは軽妙なユーモアを忘れるこがなかった。アルカンの曲には必ずどこかしらツッコみどころがある、と言い切ってもあながち間違いではありません。音楽にユーモアをこめようとしても何故だか深刻路線に行ってしまいがちだったロマン派の空気の中、アルカンは圧倒的に「滑稽」を体現した作曲家だったのではないでしょうか。</p>

<p>今回の「軍楽」などは滑稽そのもの。軍楽隊による金管バリバリの合奏をパロディにした音楽なのですが、なんだか高音がぶら下がっていたり、調和を無視して力任せに吹いてみたり、ひどい出来の演奏だという表現がしこたま盛り込まれています。曲のテンポ表示は「お決まりのテンポで」だし、最後の方には「耳障りに」などという指示まで書く徹底ぶり。音楽でこんな意地悪なジョークまでできてしまうのです。楽しいね！</p>

<p>不出来な演奏を揶揄した作品とはいえ、ピアノ演奏自体は、もちろんしっかり歯切れ良くパリッと弾きこなすことが必要です。合奏をピアノ独奏で再現しているわけで、リストやラヴェル寄りの技巧的な書法も出てきます。分厚い和音の連続なども多いので、それらを掴むときの指のバネをよく意識すること。練習曲として弾きこなし、その上で「滑稽」さが演出できれば言うことなしです。音楽の流れや横のつながりより、唐突さや縦のリズムを強調してみましょう。</p>

<p>次回は「<a href="/report/01cmp/alkan63/2009/12/16_9976.html">小トッカータ</a>」。いよいよ第３巻の最後の曲となります。</p>
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