2010年に始まった提携コンクール。8年間の経緯を振り返るとともに、その規模や多様性、そして果たしている使命や役割について、まとめてみました。
そもそも、提携コンクールとは、ピティナが主催するコンクールではなく、ピティナの支部やステーション、または関連団体が主催するコンクールで、ピティナは申込受付代行をサポートしています。
ステップやコンペティションと同じように、ピティナ・ウェブサイト内にWEB申込・支払いのページが提供され、申込者にはやはりステップ、コンペティションと同じく「ステージ・ポイント」が加算され、継続表彰の対象ステージとしてカウントされます。
2010年にわずか5つのコンクールからスタートした提携コンクールは、2017年度、28コンクール、地区数にして135を数え、2月14日現在11,723組の申込を受け付けるまでに広がりを見せています。
続いて、コンペティション(グラフの赤い部分)、ステップ(緑)との合計数、すなわち「ピティナ・ステージ」の数の推移を見てみましょう。2017年度、合計数は10万を大きく超え、提携コンクールが、ピティナが提供するステージの中で明らかに大きな存在感を示し始めていることがわかります。
- ピティナからの申込数(カッコ内はそのコンクール全体の申込に対する比率)
順位 | コンクール名 | ピティナからの申込数 ※ |
---|---|---|
1 | 日本バッハコンクール | 4,606(94.8%) |
2 | ブルグミュラーコンクール | 4,319(100%) |
3 | バスティンピアノコンクール | 722(67.6%) |
4 | かながわ音楽コンクール | 443(47.9%) |
5 | 愛知ピアノコンクール | 304(85.6%) |
6 | 寝屋川市アルカスピアノコンクール | 211(52.1%) |
7 | 栃木県ピアノコンクール | 151(59.4%) |
8 | ソナタコンクール | 138(100%) |
9 | 和幸ピアノコンクール | 100(39.4%) |
10 | クリスタルPianoコンクール | 89(100%) |
ピティナ全体としてみると、提携コンクールは、コンペティションと、ステップを外側から強力に補完しています。その端的な表現は、「初めて参加する人を増やしている」ということになります。
例えば、ピティナ・ピアノステップの参加者のうち、「初めてピティナのステージに立った」率は2014年度28.6%、2017年度27.6%と、ここ数年、徐々に減少しています。
それに対し、「ブルグミュラーコンクール」は、ブルグミュラーなど1曲で参加でき、地区大会からファイナルまでの期間も短く、またエリアごとに完結する(全国大会が無い)ことから、初参加者率38.1%を誇ります。
提携コンクールは、多様な特色を持つことで、それぞれのテーマを深めたい参加者にとって、コンクールに挑戦することのハードルを低くするのに成功していると言えます。
- 2017年度実績/カッコ内は、ピティナ・ウェブサイト経由での申込数に対する比率
順位 | コンクール名 | 人数 |
---|---|---|
1 | ブルグミュラーコンクール | 1,647名(38.1%) |
2 | 日本バッハコンクール | 965名(21.0%) |
3 | バスティンピアノコンクール | 321名(44.5%) |
4 | かながわ音楽コンクール | 233名(52.6%) |
5 | 寝屋川市アルカスピアノコンクール | 35名(16.6%) |
ピティナが受付事務、広報面でのバックアップをすることで、これまで、提携コンクールならではの、特徴のあるコンクールが誕生しました。
なかでも、黒田亜樹先生(Tokyo-Milano チャオ!ステーション)が主催するPiano Talents in Milano派遣オーディションは、CrossGivingで集めた会員からの寄付金を原資として、若い世代にミラノのジュニア国際コンクールに挑戦する権利を与えるものでした。すでに3回の開催を終え、毎回ダイヤモンドの原石のような参加者を見事に発掘し育成しています。
このコンクールをはじめ、受付が100%ピティナ経由(郵送などの申込ルートは置かない)という形が徐々に増えています。
「日本バッハコンクール」の特徴は「バロック」に特化した学習を可能にしたことですが、今回、中学生部門の全国大会で審査員長を務めた池川礼子先生にお話を聞いたところ、バッハコンクールは地区大会を通過すると、東京の「全国大会」に出場できるということから、地方から東京に応援に駆け付ける指導者が増える。そして全国大会を聴いて帰ることで、指導者が新たな知見を得ることができ、結果的に指導者を育てることにつながっているのでは、とおっしゃっていました。いまや全国大会出場者がピティナの3倍の2000人となったバッハコンクールを巨視的に捉えたときの特徴だと言えるかもしれません。
このほか、昨年より提携した市川市の「新人演奏家コンクール」、八潮市「新人オーディション」、また今や400名以上の参加を誇る「寝屋川市アルカスピアノコンクール」など、自治体、教育委員会の主催するコンクールの参入実績も出てきました。
提携コンクールの役割の基本中の基本として、申し込む方に利便性を提供していることを外すことはできません。ピティナのウェブサイトで、さまざまなコンクールやオーディションの中身を比較できることはもちろん、個々の都合に合わせていつでも申し込めるということで、夜間のご利用も多く、2017年度、夜21:00から朝7:00の時間帯に申込データのエントリーがあった件数は1,858件と、全体の15.8%に達していました。
また、今年から提携した「かながわ音楽コンクール」では、ヴァイオリン部門、フルート部門(現在も申込受付中)合わせて140名以上がエントリー。この数は、郵送申し込みを越えていることから、「ウェブサイトから簡単に申し込める」ということが広く受け入れられていることを示していると言えるでしょう。
2017年度は「東海音楽フェスティバル」「ローランド・ピアノ・ミュージックフェスティバル」「雪だるまピアノ検定」など、11種類のコンクールとパートナーシップを結び、ますますラインナップが充実しています。それぞれの学習テーマを深めるよすがとしていただき、3月に開幕する四期を学ぶコンクール、ピティナ・ピアノコンペティションにもぜひチャレンジしてください。