ホーム コンクール ステップ セミナー コンサート 指導力アップ ピアノ教室紹介 ピアノ曲事典 読み物・連載
ショパン  :  エチュード集(練習曲集)
Chopin, Frederic  :  12 Etudes  Op.25  CT26-37
ピアノ独奏曲 [piano solo/ 練習曲

作品概要

楽章・曲名 演奏時間
1 第1番 変イ長調 「エオリアンハープ」  /  Op.25-1  As-Dur 3分 00秒 譜例
2 第2番 ヘ短調  /  Op.25-2  f-moll 1分 40秒 譜例
3 第3番 ヘ長調  /  Op.25-3  F-Dur 2分 00秒 譜例
4 第4番 イ短調  /  Op.25-4  a-moll 1分 50秒 譜例
5 第5番 ホ短調  /  Op.25-5  e-moll 4分 00秒 譜例
6 第6番 嬰ト短調  /  Op.25-6  gis-moll 2分 30秒 譜例
7 第7番 嬰ハ短調  /  Op.25-7  cis-moll 5分 30秒 譜例
8 第8番 変ニ長調  /  Op.25-8  Des-Dur 1分 20秒 譜例
9 第9番 変ト長調 「蝶々」  /  Op.25-9  Ges-Dur 1分 10秒 譜例
10 第10番 ロ短調  /  Op.25-10  h-moll 4分 30秒 譜例
11 第11番 イ短調 「木枯らし」  /  Op.25-11  a-moll 4分 00秒 譜例
12 第12番 ハ短調 「大洋」  /  Op.25-12  c-moll 3分 00秒 譜例
35分 30秒
作曲年:1835-37
出版年:1837
献呈先:Marie d'Agoult
初出版社:Breitkopf & Härtel

楽曲解説

総説 2008年7月  執筆者: 朝山 奈津子
 ショパンの2つの《練習曲集》全24曲の起源は、2つある。
 ひとつは、バッハ《平均律クラヴィーア曲集》、すなわち24の調によるプレリュードとフーガである。もちろんこうした曲集の編み方自体はバッハの発明ではないが、音楽のあらゆる技法や形式の見本として、学習者のための規範として《平均律》こそが金字塔を打ち立てた。そして、ショパン以前には既に、クレメンティ、カルクブレンナーなど、ショパン以後にはリストバルトークラフマニノフ、ピアノ以外にもパガニーニなど、実に多くの作曲家がバッハへのオマージュを込めて《練習曲集》を世に送り出している。18世紀後半の間は、前奏曲と練習曲を1対としたものが、19世紀に入るとこうした組み合わせが時代に合わなくなり、それぞれ別の曲集として作られるようになった。ショパンもまた、《練習曲集》Op. 10, 24のほかに《24の前奏曲集》Op. 28を出版している。
 もうひとつの起源とは、もちろん、19世紀前半にさかんに書かれたピアノ教則本としての練習曲集である。これらは、楽曲形式や演奏技法の包括的範例であるとともに、実践的な訓練のためのプログラムだった。ショパンは特に、クレメンティ、モシェレスのものを参考としたが、先達の練習曲集にはない「独自の方法で」みずからの練習曲を書いた。すなわち各曲には、高度な練習曲は高度な音楽であるはずだ、というショパンの信念が反映されている。これが単なる学習課題の範疇を超えてこんにち広く愛されているのは、美しい旋律と和声が織り成す抒情性、まさに高度な音楽であるが故だろう。ただし、これらが少なくとも当初は、実際に彼自身のための練習課題であったことは間違いない。つまり、リストがのちに行なったような、「練習曲」の語をひとつのジャンル名として捉え、演奏会の曲目として、技巧を聴衆に披露する手段として作曲されたものではなかった。そしてこれが、現代でもピアノ教育の最終段階における課題として学習者に必ず課せられるのは、24曲を通じて、技巧だけでなくショパンの音楽性の真髄をあますことなく学びとれるからである。
 

《練習曲集》Op.25 もまたピアニストとしてのリストに敬意を表し、そのパートナーであったダグー伯爵夫人に献呈された。
 調的連関はop.10に比べるといっそう緩やかである。
As:-f:-F:-a:-e:-gis:-cis:-Des:-Ges:-h:-a:-c:
強いていうならば、同じ調が2回登場することがないよう意識されているが、調ツィクルスとしての構想はあまり明確でない。
 作曲年代は Op.10 にほぼ続いているが、大半がパリで書かれた。パリで最初の2年間はショパンにとって不遇の期間であったが、やがてサロン・ピアニストとして、またサロンを飾る女性達のためのピアノ教師として注目されるようになる。そこで《練習曲》はきわめてに有効な商品となった。演奏技法を習得できるばかりでなく、練習成果がそのまま、サロン・コンサートでのちょっとした演目として通用するからである。ショパンは《練習課題 Exercices》と呼んでいたものを《練習曲集 Etudes》に改名してまず Op.10 を出版した。さらに12の練習曲を作り、これが Op.25 となった。後者が前者に比して抒情性豊かで個性的だと感じられるなら、それは、ショパン自身の音楽的発展とともに、パリにおけるレッスン課題ないしサロンでの演目としての機能を意識したからと考えられる。
Op.25はまた、ショパン自身が自らの演奏会で好んで取り上げた。


第1番(「エオリアン・ハープ」)
通称はシューマンの批評による。
練習課題は、五指の独立。

第2番
練習課題は、両手で異なる拍子の演奏、および一貫したピアノの音量コントロール。

第3番
右手のいわゆる逆付点リズムは「ロンバルディア・リズム」とも呼ばれる。
練習課題は、食い違うリズムの正確な演奏と、両手のポジション移動。

第4番
練習課題は正確な跳躍。

第5番
優美な中間部には、きわめてショパンらしい旋律を持つ。
練習課題は、右手の拡張と左手の幅広い分散和音。

第6番
ショパンには珍しく、トリルによる曲。
練習課題は、右手の3度重音奏法。

第7番
練習課題は、右の外声と内声の処理、左手によるカンタービレ。

第8番
練習課題は、両手の6度重音奏法。

第9番(「蝶々」)
練習課題は、右手のレガートとスタッカートの交代。

第10番
練習課題は、オクターヴの奏法、および腕の重みの効果的な使い方。

第11番(「木枯らし」)
問いかけるような前奏の4小節は、のちに友人の提案によって付加された。これによって、超絶的な技巧を伴うとはいえ同じ旋律の単調な反復に陥るところだったこの曲が、にわかに抒情性を増した。
練習課題は、右手のパッセージワークと披露の処理。

第12番(「大洋」)
実際に書かれた譜面はもっぱら16分音符の無窮動であるにも関わらず、そのアクセントの効果によってみごとに旋律が浮かび上がる奇跡的手法には、驚嘆を禁じ得ない。
練習課題は、俊敏な両手のポジション移動。
演奏のヒント 2016年4月  執筆者: 大井 和郎
第2番 ヘ短調

 ショパンのエチュードの中では比較的、技術が楽なエチュードです。故に、ショパンのエチュードを初めて弾く学習者にも適しています。しかしながら時にこのエチュードは誤った解釈をされます。典型的な誤解は音質です。このエチュードを演奏する前にショパンのソナタ2番の4楽章を聴いてみてください。この楽章は風が吹く音を描写した楽章ですが、まさにこの、クリアーでは無い音質がこのエチュードに要求されます。決して明るく、クリアーではなく、暗く、線がぼけた感じの音質が欲しいところです。marcatoを避け、鍵盤の奥深くまで到達しないような音質を選んでください。硬い音でマシンガンのように弾かないこと。これに尽きます。

ペダルについて:
 このエチュードのバスの音を抜粋するとき、例えば1小節目から8小節目まで、バスの音は一小節間に1つあると考えます。もしも1小節間に2つのバスがあったと仮定すると、1-8小節間のバスは、E B F As G Des As C …etcと非常に不自然なバスの進行になり、一小節間に1個と仮定した際の、E F G As B C C F のほうがよほどバスの動きとしては自然ですね。さて、ペダルは何もバスの動きに対して変えなければならないという事はないのですが、ここからが課題です。一小節間に2回踏み換えるか、1回だけにするかという議論になります。1回だけにしますと、濁りが気になる方もいらっしゃると思います。また、2回変えてしまうと今度はバスを失う結果となります。
 学習者の方は、先生とよく相談の上、ペダリングを決定してください。ちなみに筆者がこれを弾くときは、一小節間に2回のペダルを使いますが、2回目はハーフにします。ご参考まで。

 その他典型的な注意点です。
◎ 19小節目は、18小節目の2拍目のバス、Cでペダルを完全に切り替え、20小節目に入るところまで踏み続けます。テンポは微妙に衰退させます。
◎ 35小節目、2拍目のFesは非和声音ですので少し強調し、同じ小節内のEsに解決します。
◎ 11小節目、カラーを変えて良いと思います。
◎ 最後の2小節、多くの奏者がテンポを狂わせる部分です。多くの奏者は必要以上にここでテンポを落としてしまいます。2拍子を忘れずに、ritenがかかっていても前の小節と辻褄を合わせてください。
演奏のヒント 2016年8月  執筆者: 大井 和郎
第12番 ハ短調

 コンクールや試験によってはこのエチュードを除くように指示が出ている事もあります。察するに、ペダルを多く使うことで1つ1つの音の粒立ちが聞こえづらくなってしまい、公平な審査がしづらいという理由からであると思います。この曲を演奏するときのヒントはとにかくわかりやすく聴かせることを目指します。ただ淡々と弾くのではなく、形式を良く理解することで演奏がよりわかりやすくなります。冒頭から説明していきましょう。

 1-7小節間、それぞれの小節に1つだけメロディー音が入っています。即ち、1-7小節間では、Es D F Es D Es C という7つのメロディー音が、それぞれ小節の1拍目頭にアクセントが付いて書かれてあります。奏者はこの Es D F Es D Es C をはっきりと聴かせなければなりません。そのばあい、シェーピング的には、高音の位置にあるFが最も大きく出るべきと思いがちですが、6小節目の和音の性格から考えても後ろに行くに従ってテンションは高まると考えます。故に、Es D F Es D Es C は最後のCに向かってクレシェンドをかけていくという考え方でも良いと思います。そして、このEs D F Es D Es C 以外のアルペジオの音は実はmpくらいで十分です。それほど音量を落としてでも、最初のメロディー音をハッキリ聴かせなければなりません。このエチュードの演奏失敗例はまさにそこにあり、全ての音が同じ扱いを受けてしまうとき、演奏はとてもわかりにくくなり、失敗に終わります。

 さて、この一蓮のEs D F Es D Es Cが終わったら、7小節目1拍目裏拍から、全く別の素材が出てきます。素材2とします。それは、C B As G G F F になります。今までとは打って変わって、感傷的で、旋律的な歌の部分です。pやmpで演奏し、全く別の気持ちの表現であると考えます。

 9小節目からは再び素材1が来ます。今度は12小節目に長調の主和音が出てきて、15小節目にはそのまま長調の主和音でフレーズを終え、先ほどよりもドラマティックな終わり方になります。メロディーラインは、Es D F E As G E そして16小節目より2-4拍間EDF(G)というメロディーが1拍ずつ、そして17小節目のEで終わり、18小節目で再び今度は、EDCというメロディーラインが来て19小節目のDに達し、DCA C と続き、22小節目でもう一度Cがメロディーに来て、長調の主和音で終わります。

 ここからAs-durに転調しますが、ここからのメロディーを書いておきます。
C C B Es C C B As B B As F As As Fis G As C H H C Es D D Es G F As G

45小節目より:
G G G GG

47小節目より:
Es D F Es D Es C (C B As G G F F)

55小節目より:
Es D E F F E F G As G C B As F D G As As G

71小節目より:
E E D F E E D C D D C A C C C D C C C D E E

 これらがメロディーになりますので、これらの音をハッキリと出し、適切なシェーピングをしてください。
その他注記事項

音源 音源情報

Youtube PTNAチャンネル音源

外部動画

コンサート この曲が演奏されるコンサート

  浦川 うらら、湧口 さくら デュオリサイタル
 [名義後援]  [PTNA会員]
2016年11月20日 14時00分
東京/ 代官山エナスタジオ

ミュッセアイコン 楽譜情報

 エイブルマート楽譜一覧 原曲作品 編曲作品

(株)全音楽譜出版社
(株)全音楽譜出版社
㈱シンコーミュージックエンタテイメント
㈱シンコーミュージックエンタテイメント
㈱シンコーミュージックエンタテイメント
㈱シンコーミュージックエンタテイメント

 輸入楽譜 

 ミュッセ楽譜一覧

NMLicon NAXOS 
※ マイページへのログインが必要です
※ スマートフォン等の利用について