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ショパン  :  エチュード集(練習曲集)
Chopin, Frederic  :  12 Etudes  Op.10  CT14-25
ピアノ独奏曲 [piano solo/ 練習曲

作品概要

楽章・曲名 演奏時間
1 第1番 ハ長調  /  Op.10-1  C-Dur 2分 00秒 譜例
2 第2番 イ短調  /  Op.10-2  a-moll 1分 40秒 譜例
3 第3番 ホ長調 「別れの曲」  /  Op.10-3  E-Dur 4分 30秒 譜例
4 第4番 嬰ハ短調  /  Op.10-4  cis-moll 2分 00秒 譜例
5 第5番 変ト長調 「黒鍵」  /  Op.10-5  Ges-Dur 1分 40秒 譜例
6 第6番 変ホ短調  /  Op.10-6  es-moll 3分 30秒 譜例
7 第7番 ハ長調  /  Op.10-7  C-Dur 1分 40秒 譜例
8 第8番 ヘ長調  /  Op.10-8  F-Dur 3分 00秒 譜例
9 第9番 ヘ短調  /  Op.10-9  f-moll 2分 30秒 譜例
10 第10番 変イ長調  /  Op.10-10  As-Dur 2分 30秒 譜例
11 第11番 変ホ長調  /  Op.10-11  Es-Dur 2分 30秒 譜例
12 第12番 ハ短調 「革命」  /  Op.10-12  c-moll 3分 00秒 譜例
33分 30秒
作曲年:1829-32
出版年:1833
献呈先:Franz Liszt ("À" SON AMI)
初出版社:Kistner,Schlesinger,Wessel

楽曲解説

総説 2008年7月  執筆者: 朝山 奈津子
 ショパンの2つの《練習曲集》全24曲の起源は、2つある。
 ひとつは、バッハ《平均律クラヴィーア曲集》、すなわち24の調によるプレリュードとフーガである。もちろんこうした曲集の編み方自体はバッハの発明ではないが、音楽のあらゆる技法や形式の見本として、学習者のための規範として《平均律》こそが金字塔を打ち立てた。そして、ショパン以前には既に、クレメンティ、カルクブレンナーなど、ショパン以後にはリストバルトークラフマニノフ、ピアノ以外にもパガニーニなど、実に多くの作曲家がバッハへのオマージュを込めて《練習曲集》を世に送り出している。18世紀後半の間は、前奏曲と練習曲を一対としたものが、19世紀に入るとこうした組み合わせが時代に合わなくなり、それぞれ別の曲集として作られるようになった。ショパンもまた、《練習曲集》Op. 10, 25のほかに《24の前奏曲集》Op. 28を出版している。
 もうひとつの起源とは、もちろん、19世紀前半にさかんに書かれたピアノ教則本としての練習曲集である。これらは、楽曲形式や演奏技法の包括的範例であるとともに、実践的な訓練のためのプログラムだった。ショパンは特に、クレメンティ、モシェレスのものを参考としたが、先達の練習曲集にはない「独自の方法で」みずからの練習曲を書いた。すなわち各曲には、高度な練習曲は高度な音楽であるはずだ、というショパンの信念が反映されている。これが単なる学習課題の範疇を超えてこんにち広く愛されているのは、美しい旋律と和声が織り成す抒情性、まさに高度な音楽であるが故だろう。ただし、これらが実際に彼自身のための練習課題であったことは間違いない。つまり、リストがのちに行なったような、「練習曲」の語をひとつのジャンル名として捉え、当初から演奏会の曲目として、つまり技巧を聴衆に披露する手段としての楽曲をショパンは構想していない。そしてこれが、現代でもピアノ教育の最終段階における課題として学習者に必ず課せられるのは、24曲を通じて、技巧だけでなくショパンの音楽性の真髄をあますことなく学びとれるからである。

《練習曲集》Op.10 は、当代最高のピアニストとして敬意を表し、リストに献呈された(ただしショパンは、作曲家としてはリストをあまり評価せず、後年も友人としては距離を置いた)。この献呈はおそらく、この卓越したヴィルトゥオーゾからの賞賛を狙ったものであり、リストは望みどおり惜しみない賛辞を送った。
 12曲の調配列は、次のとおり。
C:-a:-E:-cis:-Ges:-es:-C:-F:-f:-As:-Es:-c:
第1番と第7番にハ長調を置き、前半をシャープ系、後半をフラット系にまとめようした痕跡が窺える(変ト長調は嬰ヘ長調の異名同音調である)。また各曲間には緩やかな調的連関が見られる。すなわち、各関係はつねに一定ではないにせよ、何らかの近親調の範囲にある。なお、《練習曲集》Op.25 第1番は変イ長調(As:)であり、2つの曲集を順番通りに通して演奏する際にも調的な違和感が生じない構成になっている。



第1番
 ハ長調であること、同一音型で和声が少しずつ変化することなどから、明らかにバッハ《平均律クラヴィーア曲集》第1巻第1番のプレリュードへのオマージュである。
 練習課題は、右手首、右肘の柔軟な使い方と腕の疲労の処理。

第2番
 練習課題は右内声の処理。

第3番(「別れの曲」)
 練習課題は、両内声の処理、および上声のカンタービレな表現。

第4番
 こうした旋律の作り方は、バッハの時代に「紡ぎ出し」と呼ばれたもの。細かな動機が変奏や転回によって徐々に発展してゆく。
 練習課題は、正確で粒の揃った右手の発音、各部のコントラスト。

第5番(「黒鍵」)
 右手が黒鍵の音のみを使用するため、機能和声の力が殺がれ、一種エキゾティックな響きが生まれる。
 練習課題は黒鍵の奏法。

第6番
 非対位法的ポリフォニーの例。一貫して3つのパートが維持される。
 練習課題は、左内声の処理。

第7番
 練習課題は、重音のレガート奏法。

第8番
 練習課題は右手のパッセージワーク、特に幅広い音域に渡る分散和音音型。

第9番
 練習課題は左手の分散和音音型。

第10番
 ショパンの付けたスラーとアクセントによって、両手に異なる拍子が現われている。
 練習課題は、両手の対照的アクセント、左手の跳躍を含む分散和音音型。

第11番
 練習課題は、両手で幅広い分散和音をつかむこと。

第12番(「革命」)
 通称は、リストによる命名。ただし、ショパンがポーランドからパリに向かう途中、1831年にシュトゥットガルトで、前年12月に起こったロシア軍のワルシャワ侵攻を知ったのは事実だが、失望と憤怒のあまり〈革命〉のエチュードを一気に書き上げたというのは俗説である。そもそもこの曲の構想はそれ以前からあったとみられ、前年秋には作曲に着手していた可能性がある。また、確かに即興的なパッセージワークに満ちているが、ショパンの作品が常にそうであるように、即興性はあくまで演出であって、〈革命〉のエチュードもまた細部まで精緻に計算され、よく練られている。
 練習課題は、左手の細かな音型の正確な発音、右のオクターヴの奏法、そしておそらくはフォルティシモそのものの演奏。
演奏のヒント 2016年4月  執筆者: 大井 和郎
第1番 ハ長調

 最初にお伝えしておきますが、このエチュードが上手く弾けなくても全く落ち込む必要はありません。ショパンのエチュードは人によって得意不得意が異なります。例えば、こんなに速い10-1は今まで聴いたことがないという位、素晴らしい10-1を演奏する奏者が、10-5になると全く歯が立たないという信じられないケースもあるのです。またその逆もあります。10-2が弾けても25-11が弾けなかったりと、とにかくショパンエチュードの場合、全曲レコーディングをするような強
者もいますが、多くのピアニスト達はこの中で必ず得手不得手があります。ちなみに筆者はこれを弾いたことはありませんが、恐らく不得意であると思います。

 このエチュードを弾くにあたり、大きな手を持っている人が有利であることは間違い無いと思います。詰まるところ、例えば1小節目を例に取ってみると、C G C Eという4つの音に対して、1245という指が振り分けられ、1は問題が無いのですが、245がどれだけ確実に伴盤を捕らえているかという事が重要で、例えばこの4つの音を、C1 G2 C4 E5 C4 G2 C1 G2 C4 E5 C4 G2というふうに、10度以内で上行したり下行したり、行ったり来たりしてみて下さい。単純な話として、それが弾ければあとはオクターブ上に行ったり下に行ったりするだけの話です。ミスタッチが起こる音はどの指かを見つけて下さい。

 例えば1拍目だけを弾けば弾けるのに(CGCE)、次のCGCEに行くと弾けなくなるのはまた別の問題になってきます。基本はこの4つの音になります。そして一見、4つの音は問題なく弾けているように思えても、実はその中で弱い指があれば、スピードを上げたとき、その指が鳴らなかったり、ミスが起こったりします。

 このエチュードはしかしながら1-2小節目が弾ければ他も弾けるという事にはなりません。これは曲中に書かれてある数多くのパターンを1つ1つ解決して行くしか方法がありません。例えば30小節目や32小節目は多くの学習者が悲鳴を上げる小節です。筆者がこれを弾かなければならないとき、もしかしたらこれらのような小節は左手を足すかもしれません。筆者の5の指は極端に短いため、このような方法でしか弾けないかもしれません。

 例えば、1-2小節間だけを丹念に練習し、2-3日で弾けるようになり、確かな指の感触を得られ、「この曲は割と自分は得意かもしれない」と感じたら是非勉強を続ければ良いでしょう。

 これより、このエチュードの音楽的な奏法をお話しします。分散された和音のみで1-2小節分かかる曲は珍しくありません。例えばバッハ平均律の1巻の1番のプレリュードです。構成は似ていますね。このような曲に遭遇したらまず全部の和音を分散せずに1つの和音で弾いてみると良いでしょう。そうすると1つの和音から次の和音への時間がかなり短縮され、和音同士の進行や解決がとてもよく分かります。

 コツとしては、この曲の場合、8小節で一区切りと考えます。この8小節間にいくつの和音がくるのかはそれぞれのユニットによって異なります。最初の1-8小節間を例にとりましょう。 1-2小節間はCEG、3小節目がFAC、4小節目がFis A C E、5小節目がGBD、6小節目がD Fis AC、7小節目はバスのGがペダルポイントとなっていますので、借用和音と考え、その上で、D F As C、8小節目が D F G H になります。例えば、5小節目は、4小節目のテンションであるFisがGに解決されるとも考えられますので、このGは弱いかもしれません。また7小節目のAsは8小節目でGに、CはHにそれぞれ解決されると考えたとき、7小節目よりも8小節目のほうが音量は小さい事がわかりますね。これはただ単なる例に過ぎません。色々な考え方があると思いますので、最終的には奏者に委ねられるのですが、奏者はこれらの和声進行を繊細に考え、決してのっぺらぼうのような演奏にならないように注意します。

 また、バスの動きにも注目します。17小節目から24小節目までをご覧下さい。バスはここでAですが、その先は、H A Gis A G F E という進行ですね。そうするとこの8小節間でゴールは21小節のFでここが最もテンションの高まるところです。続いてそのFは、次の小節でEに解決されますので、23-24小節間は、21-22小節間よりも弱くするといった具合です。

 その上で、和音のカラーも考えます。例えば25小節目の和音はとてもショッキングです。突然別世界に行くような柔らかな和音ですね。このような和音はソフトペダルなどを踏んで、色を変えます。

 そしてさらに、前述した8小節単位で進む事を鑑みたとき、1つの8小節間ともう1つの8小節間では、ストレートに進みたいところと、少し時間が欲しいところがあるはずです。例えば、8小節目は最初の8小節間の最後ですが、9小節目に入ることはそれほど待たなくても良いのではないでしょうか?しかしながら、16小節目は、文章の「。」のように、1つのセンテンスの最後のような感じを受けないでしょうか?そうすると次のA-mollのセクションが全く新しいストーリーが始まるようなセクションですので、少し時間をとってから17小節目に入ります。そうするととても聴きやすく、構成がはっきりしてきます。必要な箇所には躊躇無くブレスを取って頂いて構わないと思います。
演奏のヒント 2016年8月  執筆者: 大井 和郎
第2番 イ短調

 最も難しい部類に入るエチュードです。音楽的なことはさておいて、まずは指が言うことを聞いてくれない事には話が先に進みません。筆者はこのエチュードを弾いたことはありませんが、指導したことはあります。ここで少し、練習のヒントとなる方法をお伝えいたしますので、試してみて下さい。

 例えば29小節目を例に取ってみましょう。まず確かめることは、和音を取り除いた状態で、16分音符の音階のみを、和音を付けたときと同じ指番号で弾けるかどうか試します。

 この時点でスケールを弾くことに問題が生じたのであれば、勿論和音をつけた状態で弾くのはほぼ不可能です。まずは、543の指だけで音階を弾けるように練習します。

 練習はフォルテで1音1音に力を入れて練習します。そして、345の指ががっちりと伴盤に入った状態で音階を弾けるようになったら、次の練習に入ります。同じく29小節目を例に取ります。まず、3つの音のグループを作ります。1つ目は、1拍目裏拍のA As と、2拍目表拍のG です。勿論このGには下にBとEsという音があり、これも一緒に弾きます。そして次のループを作ります。

 A As G As A As G As A As G As etc  Gの下の2つの音も含め、これら3つの音のグループを指番号通りに上行下行します。慣れてきたら次のグループに入ります。

 次は、2拍目裏拍の F E と、3拍目表拍のEs の3つです。勿論Esの下にある和音も含めます。そして:
F E Es E F E Es E F E Es E とループを作り練習します。後は同じ要領で練習をしてみます。筆者がこの方法で29小節目を練習すると3拍目裏拍から4拍目に来る、Des C B が最もきつかったです。理由は単純で、このBの下にある2つの音が離れている位置にあり、和音が掴みにくいからです。特に難しいと感じたグループを多く練習してみてください。
演奏のヒント 2016年4月  執筆者: 大井 和郎
第3番 ホ長調「別れの曲」

 どんなに層が厚い部分でも、和音の一番上の音を出し、硬く聴かせないことがこの曲のポイントとなりますが、やはりなんと言ってもBセクションがネックになります。特に手の小さな学習者にとって、Bセクションは本当に難しくなります。手の小さな人でも弾けるように工夫をしてみましたのでご参考まで。なお、譜例がありませんので説明がかなり難しくなります。

 Bセクションでは、ショパンは小節をまたいで16分音符のペアを書いています。拍の表とか裏という説明では非常に分かりづらいので、1つ目の16分のペア、2つ目のペア、と言うように説明します。

 まず42小節目と44小節目です。手段は同じなので、42小節目でやり方が分かれば同じ事を44小節目で行います。42小節目には、16分音符のペアが4つ入ってきます。厳密には3つと半分で、4つ目のペアの2つ目が次の43小節目に食い込んでいるのですが、今はそれを考慮せず、「4つのペア」とします。これはとても簡単で、まず1つ目のペアである、Dis HとA Fisの説明です。この際に、Dis H FIsを右手で取り、Aのみを左手で取ります。つまり右手が3つ左手は1つになります。

 本来であれば4つとも右手で取るのですが、そうしないで左手の力を借ります。次のペアは左手が取ることになっていますが、そうしないで、先ほどと同じように、Dis H FIs を右手、Aを左手でとります。3つ目のペアも4つ目のペアも同じです。

 これと同じ事を44小節目でも行います。手の小さな人にはとても楽になるはずです。

 加えて、46小節目以降です。これは手が普通のサイズの人にとっても辛い部分ですので、手の小さな人にはなおさらです。ここからも、ペアで説明します。
46小節目:
1つ目のペア 右手 D1 H5 Gis1 F5
左手 D5 H1 Gis4 F1
2つ目のペア 右手 F1 D3 H1 Gis4
左手 F5 D1 H5 Gis1
3つ目のペア 右手 C1 A5 Fis1 Dis5
左手 C4 A1 Fis4 Dis1
4つ目のペア 右手 Dis1 C3 A1 Fis4
左手 Dis5 C1 A5 Fis2
47小節目: 
1つ目のペア 右手 C1 A5 Fis1 Dis4
左手 C5 A1 Fis4 Dis1
以下同様です。つまりはペアで5-2、4-1などの指使いを16分音符1個分ずらしてしまった形です。そうすると楽になるはずです。お試し下さい。

 その他の注意点:21小節目、に右手の装飾であるGis と Fisは、 Gisが前の小節のGisからタイで繋がれていますので弾き直しません。版によってはタイが書いていない版があり、奏者は21小節目で再びGisを弾き直しますが、このようなリピート音はショパンは絶対に使いません。ミスプリントであることは明らかです。
演奏のヒント 2016年4月  執筆者: 大井 和郎
第9番 ヘ短調

 まずこのエチュードは、molto agitato と書かれてあることをしっかりと覚えておきます。拍の頭(表拍)が休符になっているとき、音楽は時にとてもagitatoになります。本来音があるべき場所に音が無いと、とても精神的に落ち着かない様子になります。1小節目、今、拍の頭には1拍目も2拍目も8分休符が書かれていますが、このメロディーラインである、F-G As-Bを、拍の頭まで左にずらして、8分休符を各拍の最後に持ってきてみましょう。左手の音とクラッシュするものの、それを工夫さえすれば一応曲にはなりますが、そこまで不安定な感じには聞こえないと思います。ところがショパンはあえて、拍の頭を休符にしています。とても落ち着かない様子の表現になります。

 果たして、この曲全体は非常にagitatoで演奏されなければならない事を理解して下さい。

◎ 1小節目、2つの8分音符の連符でスラーがかかっているものは、1つめの音符にストレスが入り、2つめの音符は抜くようにします。2つめの音符にアクセントが付かないように。
 
◎ 1小節目、1拍目よりも2拍目、それよりも2小節目1拍目の方が大きくなるように、前述した2つの音符の秩序を守りながらクレシェンドをかけ、テンションを上げていきます。
◎ 1つのフレーズが1小節目から始まり4小節目で終わると仮定したとき、このフレーズの中で一番高い音は2小節目のAsですが、そこは大きくせず、4小節目の最後のメロディーラインである、Cに向かうようにします。つまりはCが一番大きくなります。2つめのフレーズである、5小節目から8小節目まででは、8小節目の1拍目のAsが最も大きくなります。以降、同じフレーズは同じダイレクション(方向性)になります。
◎ 2小節目2拍目のCからAsに飛ぶとき、普通に聴いていては分からないくらいの微量の時間を取ります。同様に、6小節目の2拍目、Cからオクターブ上のCに飛ぶときも同じです。
◎ 奏者が気をつけなければならないのは25小節目のように、メロディーラインがオクターブになったときです。硬く聞こえてしまいがちです。単旋律の半分の力で十分です。また、2つとして同じ音量のオクターブを作らないようにします。
◎ 29小節目、Desが4つ、メロディーにあります。4つめのDesに向かっていきます。この場合も、Des4つが同じ音量にならないようにします。同じ音だと特に目立ちます。以下同様。
◎ 硬く聞こえてしまう最たる例が35小節目の右手です。フォルテと書いてあっても始めからフォルテでは無く、最後のCに向かうようにします。ここも決して音量を上げすぎず、また、2つとして同じ音量のオクターブを作らないようにします。
◎ 53小節目から始まり、56小節目のDesまで達する長いフレーズは特に音量に注意します。始めから音量を上げてしまうと行き所が無くなります。
◎ 1小節目、奏者が苦労するのは2拍目の左手、CからDesに飛ぶところです。Desまでは遠いので、しっかりとDesが鳴っていることを確認して下さい。以降、全ての広いリーチに気をつけます。
演奏のヒント 2016年4月  執筆者: 大井 和郎
第12番 ハ短調「革命」

 特に音楽的理解という事で全体的に特筆すべき注意点はありませんが、多くの装飾的音符が右手に入ってくるとき、左手は16分音符が休み無く並べられており、右手を優先しつつ音楽を止めないようにすることが重要でしょうか。このエチュードに関しては、実に様々な演奏法があり、奏者によってもかなり異なってくるエチュードです。どれが正しくてどれが間違っていると言うことはありません。これからお話をすることも一例として活用して下さい。

ペダルについて:
 まず、冒頭、ペダルの問題は8小節目まで続くと思って頂いて良いです。つまりは、多くの学習者がペダルを多用し過ぎてしまい、16分音符に濁りが発生してしまうことです。この冒頭8小節間はペダルは最小限にとどめ、控え、16分音符の濁りを避けて下さい。濁る、濁らない という主観的な問題は、ロマン派の曲を演奏する際に実に際どい例も出てきます。基本的にはバスを最優先します。例えば、9小節目、この小節ではペダルを一切変えることなく1小節間ペダルを伸ばし続けます。この場合、バスは最初の左手のCであり、この小節内ではこれより低い音はありません。
 従ってCのバスを伸ばし続けるわけですが、途中、例えば3拍目でペダルを変えてしまおうものなら、バスをその瞬間に失います。
 10小節目、ここではバスが1拍目頭と3拍目頭の両方にありますね。このような場合はペダルを3拍目で変えて良いと思います。特に12小節目のような、メロディーラインが短2度の関係になってしまう場合、3拍目で変えることは必須です。15小節目など、和音が2拍毎に変わりますので、勿論ペダルをその都度変えます。
 17小節目のように、1拍目表拍のみにバスが書かれてあるのにも関わらず、その先は半音階的進行の場合、奏者の判断に委ねられますが、筆者であればバスを2拍分は伸ばし、その後でペダルを控えめにすると思います。29小節目のような箇所の場合、ここもバスは1つしかありませんのでこの音はある程度ペダルで伸ばしますが、3-4拍目などは細かに変えるか、あるいはペダルは不要かもしれません。
また、36小節目のように、フォルテッシモに向かってクレッシェンドをかける場合については、左手の16分音符が音階を辿ろうとも、ペダルを十分につけて厚みを出します。基本的にはペダルの多用には注意して下さい。

付点のリズムについて:
 この曲は、曲全体に付点のリズムが付いて回ります。その時の奏法により、音楽はガラリと変わってきます。これからお話しすることを是非習得して下さい。
2小節目の4拍目から3小節目の1拍目までを例に取ります。全ての付点リズムはこれを参考にして処理して下さい。2小節目の4拍目から3小節目の1拍目までに音が3つあると仮定します。
 勿論これは縦に見たとき3カ所にあるという意味です。AsとGとDです。Asが付点、Gが16分音符、Dが2分音符です。まずAsにはアクセントが書いてありますが、力を入れるのはこの音と、3小節目のDになります。この2つに力が入ります。故に、2小節目のGは力を入れず、恰もDにくっついている装飾音と考え、「1つのモーション」で「一気に」2つの音を弾きます。
 つまりは、GとDはほぼ同じタイミングで弾かれることになります。しかもGに力が殆どはいらなければ、スムーズに付点のリズムがきこえます。要はこれだけの話なのですが、これが後に、色々と厄介になってきます。GからDは5度離れていますので、これはできない人はあまりいないのですが、例えば、4小節目4拍目から、5小節目1拍目の同じリズムは、7度も離れています。そこで学習者はついついGに力を入れるか、Gから次のFへのタイミングが極端に遅くなるか、またその両方かになります。1回目はできて、2回目ができなくなるのは明らかにリーチが広いからです。7度も飛ぶとなると、ミスタッチを恐れ、どうしてもこのような現象が起こります。
 部分練習はこの場合、GからFの2つの音のみにします。Gをオクターブで弾いたらすぐにFまで手を素早くもっていってください。ただしFは弾かず、指は伴盤の上に置いた状態のみにします。これを何度か繰り返します。Fの上に指を置くとき、手は模索してたどり着いていないでしょうか?
 あるいは別の音の上に乗っかってしまわないでしょうか?何度か繰り返し、さっと手を右に移動したとき、Fの上にぴったりと乗ることを確認します。できるようになったら、Fの上に指を置いた状態で、伴盤を下に下ろします。これも何度か繰り返します。そうすることで、手はGからFまでの間隔を記憶します。
 念のために、FからGに下りてくる逆ヴァージョンも行うとさらに良いでしょう。そして、FからGまで問題なく当たるようになったら、今度はFの力を抜き、「1つのモーション」で「一気に」2つの音を弾きます。以降出てくる全ての付点はこのように処理して下さい。

音楽的な見方:
 この曲は、9小節目で初めてC-mollの主和音が出てきます。ここがC-mollを強く認識する場所ですし、大変運命的な場所でもありますのでフォルテで処理します。さて、その9小節目にたどり着く前に、7-8小節間、16分音符に長7度の跳躍が2回ありますね。このような場合、急いで飛ばずに、時間を少し取って跳躍してください。ダイナミックは3段階に分かれ、7小節目1-2拍目、7小節目3-4拍目、8小節目にそれぞれなります。mf, f , ff など音楽が進むにつれてダイナミックを上げて下さい。
 17小節目、メロディーラインのE㽇は本来E♭であるべきで、非常にショッキングな和音です。それなりの表現を試し見て下さい。
 50小節目以降、メロディーラインには多くの非和声音や装飾的な音符がメロディーラインに入ってきます。これらの場所を決してオンタイム(メトロノームの通りに)弾かずに、十分時間を取ってください。
 この曲は巷のレコーディングで、実に様々な演奏法をされる曲でもあります。筆者から皆様に、個人的助言をするのであれば、できる限りメトロノームから遠ざかり、ルバートを多く使い、十分に時間を取って欲しいと思います。例えば11小節目の左手のバスは、右手のメロディーラインがピークに達したときです。バスのCを弾いたら少し時間を取ってから次の音であるGをスタートさせると良いでしょう。メロディーラインのEsを音楽的に強く表現する目的の他、ペダルを濁らせずに変える目的も含んでいます。
 その他、ショパンが音符を連符に書いていない場所、例えば29-31小節間の左手の最初の音は連符ではありませんね。そういう箇所は十分に時間を取ります。

音源 音源情報

Youtube PTNAチャンネル音源

外部動画

コンサート この曲が演奏されるコンサート

  山田隆広ピアノリサイタル
 [名義後援]  [PTNA会員]
2016年09月4日 15時00分
埼玉/ ウエスタ川越 リハーサル室(可動式コンサートホール)

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