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モーツァルト  :  ソナチネ ハ長調
Mozart, Wolfgang Amadeus  :  Sonatina C-Dur
ピアノ独奏曲 [pf/ 種々の作品

作品概要

楽章・曲名 演奏時間
1 第1楽章   1分 10秒  -- 
2 第2楽章  /  Rondo  0分 50秒  -- 

楽曲解説

演奏のヒント 2017年5月  執筆者: 大井 和郎
ソナチネ ハ長調 第1楽章

 まずこのソナチネの第1楽章は、テンポもゆっくりですので一見技術的にそれほど難しいとは感じられないかもしれませんが、実際は細かなテクニックが不可欠になります。また、ペダルも必須です。ペダル無しでこの曲の演奏はほぼ不可能とお考え頂いても大げさではありません。それほどこの曲にはペダルが必要になります。

 全体を通して、メロディーラインは3度や6度で書かれている箇所も多くあります。故に、TOPが出る演奏が望ましく、4-5の指が弱い学習者には厳しい曲となる可能性もあります。

 全体的な音楽的アイデアとしては、オペラのアリアのシーンを想像して下さい。女性歌手がソロを歌う部分です。それがデュオでも構いません。美しい声で美しい詩を歌い上げるイメージです。

 冒頭4小節、既に3度と6度が出てきます。6度の場合は特に、下方の音が1か2の指が担当し、どうしても指だけではレガートがかけられない状況が出てきます。そこでペダルを使い、声部を繋いでいきます。6度1つにつき、ペダルを1回使います。例えば1小節目には3-4拍間に2つの6度がありますので、1拍毎にペダルを切り替えます。

 加えて特に6度の場合、下方の音が大きく鳴りがちで、そうなってしまってはとても固く苦しく聞こえます。1-2の指の力を抜き、4-5の指に神経を集中させ、メロディーラインをハッキリと出すようにします。

 4小節目、1拍目ににサスペンションが来ます。これは非和声音の一種で、強調しなければなりません。故に、3-4小節間のフレーズのゴールは4小節目の1拍目のこのサスペンションに定めます。当然、非和声音は和声音に変わって解決されますので、2拍目のHDはppで消えるように演奏します。

 5小節目、クレシェンドがかかっている楽譜もありますが、5小節目の4拍目から6小節目の1拍目の2つの和音は、必ず2つめ(6小節目1拍目)の方を弱くして下さい。続いて、2-3拍間も同じです。後ろの音を弱くします。6小節目4拍目から7小節目1拍目も同じです。

 8小節目1拍目、再びサスペンションが来ます。4小節目と同様、ここをゴールに定め、後に解決音に向かって消えるように弾いて下さい。

 9-16小節間、ペダルを使い、左手の伴奏をできる限りppでスムーズに横に流して下さい。

 以降、フレーズマーキングを守り、フレーズの最後の音は決して大きくならないようにして、3度と6度のバランスに気を遣ってください。
演奏のヒント 2017年5月  執筆者: 久元 祐子
ウィーン・ソナチネ 第8番 ハ長調 第1楽章

■古典派を代表する天才作曲家、モーツァルト
 1756年にオーストリアのザルツブルクで生まれたモーツァルトは、古典派を代表する作曲家です。25歳のときザルツブルクの大司教と決裂し、後半の人生10年間は故郷を飛び出し、ウィーンで活躍しました。35歳の短い人生の中で多くの名曲を残し、時代を超え愛され続けているスーパースターです。この曲は、モーツァルトの死後、ライプツィッヒの出版社から「モーツァルトの12の小品」として出版された曲の一つですが、モーツァルトの作品である確証はありません。著作権などのなかった当時、モーツァルト人気にあやかってモーツァルトの他のジャンルの曲をピアノ用に編曲したり、他の作曲家の作品を「モーツァルトの作品」として出版したりすることも行われていたのです。

■調と形式
 ソナチネは、「小さなソナタ」あるいは「易しいソナタ」という意味の言葉として使われ、この曲もソナタ形式をコンパクトにした形でできています。すっきりとした形式美の基本形を古典の曲で学ぶようにしましょう。

提示部(1~8)第1主題(ハ長調)第2主題(ト長調)
展開部(9~16)
再現部(17~24)第1主題(ハ長調)第2主題(ハ長調)
コーダ(終結部)(25~30)

 最初のテーマがハ長調で始まり、4小節目で半終止した後、属調のト長調の旋律が現れます。5小節目からの左手バスの音が半音階上行しながらハーモニーが変わっていくことをよく感じながら弾きましょう。反復記号のあとからが展開部です。ここでは歌うような4小節の旋律が2回出てきますが、ハーモニーも音域も変化させています。15小節の半音階の動きで減七の暗い響きに導かれますが、そこからまた内声に半音階を伴いながら、最初のメロディに自然に戻ってきます。光と影、明暗、強弱などの対比を表現しましょう。提示部と再現部の違いを明確に意識しておくことが大切です。※をつけた箇所からが、変わる場所です。この違いをはっきりと覚えておかなければなりません。
 この曲のCODA(終結部)は、すべてCのバス音が保持されています。曲の終わりに向けて収束していくように、テノールライン(B~A~F~E)をなるべく切らないように保持しながら弾きましょう。

■アーティキュレーション(音の区分法)とデュナーミク
 歌うような旋律を生き生きと演奏するには、息継ぎのタイミングと音の重さと強さのコントロールが重要です。たとえば最初の2小節の中で最も重い音は2小節目の1拍めです。このドミナントの音に向けてクレッシェンドがかかります。けれどクレッシェンドをかけようとするあまり、1小節めの弱拍である4拍目が強くなりすぎないよう気を付けましょう。
 そしてこの曲はアウフタクトで始まっています。アウフタクトの4拍めを軽やかに、次の1拍に繋げましょう。心の中で1,2,3と流れに乗って4拍目を弾くのです。この4拍目は、3度の重音でできていますが、ばらけたり、重くなったりしないよう注意しましょう。キー(鍵)を上から叩かずに、指を置いておいて静かにタッチするようにしてください。
 2小節目の重音連続は、しなやかに一息で弾きましょう。手が小さな生徒さんは6度の音程をつかむときに緊張して手首が硬くなり、結果として重音を乱暴に弾いてしまいがちです。ソプラノラインを出すようにして、アルトのラインは親指をスムーズに移動させて弾くようにしましょう。またスタッカートの点を見るとつい跳ね過ぎてしまう生徒さんが多いのですが、スラーとともに書かれているスタッカートは、ポルタメントの指示を意味します。スタッカートではなく、それぞれの音を大切に意識して、つなげずに離して弾く、というふうに捉えましょう。
 またスラーが書いてある2つの音はディミニュエンドのニュアンスです。なぜなら弦楽器の弓、歌や管楽器の息の場合、自然に息や重さが抜けるからです。そしてフレーズの終わりが乱暴にならないよう心がけましょう。

■タッチとペダル
 モーツァルトの時代のピアノは、軽やかなタッチで、透明感のある音色を持っていました。現代の重いハンマーのピアノで弾くときには、鍵の底(約10ミリ)まで押しつけずに8ミリくらいまで弾くようなつもりで軽やかなタッチを心がけましょう。大切な音、響かせる音では豊かに鳴らし、それ以外の弱拍や遊ぶようなパッサージュ、装飾音(26小節1拍目の裏)などは重くなりすぎないように留意しましょう。ハーモニーが変わるとき(たとえば1小節目から2小節目、5小節目から6小節目、6小節目から7小節目、17小節目から18小節目など)や半音進行(15小節など)では、ペダルの踏み替えを完全に行わないと響きが濁ってしまいます。浅めのペダル(ハーフペダル)などの工夫もしながら、透明な美しい演奏を目指して、常に耳をよく澄ませて響きを聴きながら演奏するようにしましょう。

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