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ピアソラ  :  アディオス・ノニーノ
Piazzolla, Astor  :  Adios Nonino
ピアノ独奏曲 [pf/ 種々の作品

作品概要

演奏時間 譜例  
7分 30秒  --- 

楽曲解説

総説 2016年4月  執筆者: 小林 由希絵
 ピアソラがニューヨークを拠点に不遇のアメリカ生活をしていた1959年に作曲。ピアソラはこの曲を、自身の作曲した作品の中で最高の曲と称し、「それ以上の作品書こうと何度も試みたが、書けなかった」と語っている。
 曲のタイトルの「ノニーノ」とはイタリア語で「おじいちゃん」という意味で、ピアソラの父ビセンテの愛称。ビセンテはピアソラに音楽を教え、バンドネオンを与え、タンゴの道へと導いてくれた人物で、ピアソラにとって、実の父親であると同時に、音楽の父でもあった。そんな最愛の父の死に際して書かれた曲がこの曲であり、ピアソラから父への鎮魂歌でもある。
 ピアソラは、この曲を作曲する前の1950年代前半にタンゴに限界を感じ、コープランドやバーンスタイン、バレンボイムなど数々の音楽家を指導したナディア・ブーランジェ女史の門をたたく。しかし、彼女はピアソラに「あなた自身の音楽をやりなさい」と進言し、ピアソラは再びタンゴの世界へと戻ることになる。この曲は、そんなパリ留学時代のモチーフが元となっている。
父が教えてくれたタンゴと一度は決別し、再びタンゴに戻ってくるも不遇のニューヨーク暮らし。そんな矢先に、音楽との出逢いを与えてくれた父を亡くしたピアソラの胸の苦しみはいかばかりであっただろうか。
 
この曲は、大きく分けて2つのパートで構成されているが、作曲された当初は前奏のカデンツァ部分はなかったという。以下、カデンツァに関するエピソードである。

・・・1969年に五重奏団が再結成された時に、ダンテ・アミカレリというピアニストが加入する。彼は、ジャズ出身のピアニストで、大変にテクニックに優れた技巧派で、なおかつ初見もお手のものという凄腕であった。ある日、ピアソラは彼のピアノの腕前を試すべく、コンサート前日にたった一晩でこのカデンツァを書き上げた。もちろんアミカレリもピアソラの期待に答えるべく、初見で見事に弾きこなしたそうだ。”

 このカデンツァは、ピアソラの曲の中でも一二を争う技巧的なピアノパートなので、腕に自信のある方は是非一度挑戦してみてほしい。

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