50周年企画「対談インタビュー」 第6回 田口博之×栗林聡

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2017/02/03
50周年企画「対談インタビュー」
6
田口博之×栗林聡

2月28日の50周年記念コンサートに向けていろいろな観点や切り口からピティナを語って頂く対談シリーズ。今回は、全国のピティナ組織の要である支部を担う楽器店として、象徴的な活動をされてきたお二人をご紹介します。なぜここまで深めていただいたのか? そのあたりをお伺いしました。

田口博之 株式会社伊藤楽器 執行役員 エリアミュージック事業部長、ピティナ船橋支部事務局

栗林聡 株式会社わたじん楽器 ピアノ技術営業部 次長、ピティナ新潟支部事務局

◆ 聞き手:堀明久(本部事務局)

まずは、自己紹介を兼ねてピティナとの関わりをお話し下さいませんか

田口

2001年に連絡所でスタートし、当初は楽器店中心の運営でしたが、2006年に会員の先生方による運営委員会が発足したのを機に、船橋支部は本格的に「先生と楽器店で」運営していく方向になりました。以前は集まりの良くなかった総会やイベントにも人が集まるようになりました。大きな転機でしたね。所属会員は今では516名、そのひとつひとつがご縁の積み重ねです。

2001年11月といえば、創立者の福田靖子先生が亡くなった年。つまり、船橋支部は、過去のピティナへの先入観なしに立ち上がったわけですね。
一方、栗林さんの新潟エリアはいろいろ難しい地域で、少なくとも支部の事務局が3回くらい変わりました。

栗林

はい。ようやく、2010年11月に現体制での発会式を迎えました。もう一度、先生方を集めて話し合いましょうと、戸沢睦子先生にもいらして頂きました。ピティナをやり直します、と、翌年から新潟支部を引き継ぎました。実は、ステップはやっていたもののコンペの経験はなく、初めは何も分からないままでした。でもそのうち、ピティナをやってよかったな、と思うようになりましたね。例えば、今まで何十年通っても、見向きもされなかった先生が、お声をかけて下さるようになったんです。向かい風から追い風へ、というのでしょうか、勉強する先生は、どんどん伸びていく。ピアノを販売する楽器店としては、1台売るのがどんなに大変かということを痛感していますが、今は、気づいたら「選んで」頂いている、という状況です。

田口

新潟エリアは、他の楽器店とも仲良くされていますよね。普通、そうはうまくいかない。対立関係にならないのがすごいところ。

栗林

昔から喧嘩しない土地柄で、そういう土壌はあったんです。それがうまくいったパターンですね。いろいろありましたが、指導者は指導に専念して頂き、面倒くさい作業はこちらでやりましょう、と。

それぞれ、非常に安定軌道に乗られていて、支部のモデル的な存在です。さて、お二人は、ピティナ50年の歴史の深さ、みたいなものを感じることはありますか?

田口

ヤマハが低年齢層から音楽を普及させてきた意義は大きいと思いますが、ピティナはコンクールをここまで身近なものにさせたことがすごいですね。35年前、私が入社した頃は、コンクールは雲の上の存在でした。地元主催のコンクールでさえ関係ない感じで。。今は、私自身も運営に参加していますし(笑)。それから、メーカーならば、普及=楽器販売、が目的ですが、ピティナは、コンクール=指導者が育つこと、が目的となります。つまり、コンクールに生徒を出すことは、自分自身が勉強すること、それが大前提。たくさんの人を開拓しよう、という意思があったのだと思います。

栗林

生徒さんが成長し、同時に先生方も一緒に成長する、これがいいですね。やっていることは間違いないんだなと実感します。初めは新潟エリアのコンペの参加人数はもう伸びないと言われていたのですが、いざ蓋をあけたら、予想以上の集まりで・・。2日間が3日間に、いまや4日開催です(!)。いつか新潟県内で本選を開催したい夢もありますね。お店と直接関わりのない先生方が生徒さんを出して下さったり、従来の社内コンクールからピティナの予選にでる流れができてきたり。子どもたちのやる気につながります。そして、グランドピアノを手に入れた子は、ピアノをやめないです、当たり前ですけど。 長く続ける生徒を育てるには、親はもちろん、先生との協力体制が大切です。我々の役割はそこを支えること、それで伸びていけると思います。

お二人の主要な業務は、田口さんは店頭営業、栗林さんは調律、それぞれのやりがいの感じ方は違うのでは?

田口

出会い、ご縁。これの積み重ねですね。忘れもしない出来事として、30年前に、ある先生から「ピアノ指導者の組織はないか」と問合せを受けたけれど、対応できず、よそへ行かれてしまった・・・。悔しい思いをしました。それから20年後、ステップで参加者が初めて200人を超えたとき、出ていた生徒の一人の先生として、再会しました。私が司会をやっていたのですが、おもしろいおじさんだと思って下さったのでしょうね、自宅に呼んでいただき、ピティナに入りたいとおっしゃって下さった。そこで「実は20年前に会っているんですよ、ばっちりお名前覚えていましたからね!」という話になったんです(笑)。信じがたいですね。そういう出会いとご縁がたくさんあります。
大切なのは、それを感じた時に活かす力ですね。「発想」と「行動力」。言ったらやるぞ、発想したら実現するぞ、と日々やっていますね。

栗林

全国決勝大会に出る子は一定数いますが、それをどうしたら応援できるのでしょうね。だんだんそういう子が出てくると、ああ、こういうことかな、と分かることもあります。決勝大会が全てではないですが、ピアノだけでなく何でもできるようになるんですよね。そういう子をたくさん増やしたい。必ずしもピアノで音大にいくというばかりでなく、就職して今こうしてますよ、と調律していたお客様からメールや手紙をもらうと、本当に良かったな、って思います。生徒やご家族が、ピアノをやっていてよかった、という気持ちになるのが嬉しいです。

田口

その場限りでない。調律っておもしろいのは、先生と生徒の関係が変わっても、ずっとつきあっていけるんですよね?

栗林

最近は、困った相談をされることもありますけれど(笑)。まずは、どうして? と話を聞いてあげますね。

将来にむけて理想的な在り方とは?

田口

支部の形は様々で、指導者と楽器店と半々の場合、楽器店が主体の場合、先生方が主体の場合、いろいろあります。僕は、栗林さんのやり方は理想だと思いますね。先生方が企画してそのあとはプロに任せなさい、と。やりたい企画をどんどん出していただき、こちらは運営や事務的なことをやっていく、これがセミナーのあるべき姿ですね。

栗林

採算性とかね(笑)。最後どうしようもない段階で言われるよりも、最初からご相談頂いて一緒にやった方が、結局、楽なんですよね。経費計算なども約束してやれますし。。
楽器店だけでやっていたときは集まらなかったのですが、ピティナでやると、いまは苦労はないですよ。

田口

理想的ですね。あと、「来てもらう」これは楽器店の感覚。ピティナの感覚は「自分で勉強したい」なんですよね。先生は学びながら、ヒントを与えてくださる。そうやってヒントを頂いて、なるほど、と思った時に、すぐに行動に移す!

栗林

やるか、やらないか、ですよね。

田口

楽器店とお客様の関係ではできないことが、支部の事務局なら同じ仲間ですから。そこが一番、理想的な形ですね。船橋支部の総会には120人参加しますが、これは事務的な会議でなくお楽しみコーナーも準備しているからです。アイデアを出しあって、セミナーやコンサートがあって、先生たちも楽しみにしている。僕たちのアイデアだけではできません。

栗林

支部総会のあと、ランチタイムもあるんですよね。

田口

ランチタイムの懇親会は80人くらい参加します。先生同士が、指導法を開けっ広げにどんどん話してくれる。本来ライバルなのに、皆話して下さるのは、素晴らしいです。

栗林

新潟では、先生方の発想で「模擬コンペ」もありますよ。審査の勉強にもなるし、お互い相乗効果があるんですよ。お店で関わっているわけではありませんが、来場者に記念品ひとつとおまけを袋にいれてお店のカタログを差しあげています。

田口

いい発想ですね。これも現場のアイデアですね。

ピティナは今後、どういう方向に進べきなのか。現場担当者としてはどう思っていらっしゃいますか。

田口

どれだけ数が伸びても、意外に、コンペもステップも参加させていない人はまだまだいますので、そこは大きな課題ですね。船橋支部は、「総会」を一つのコミュニケーションの場としているけれど、これがどう増えていくのか。250人のホールが満席になったとしても、それでも全会員の半分です。そういうところから、ステップやコンペにつなげていきたい。いまあるツールを利用して、自分自身が向上し、生徒さんを成長させる、そういったことに、もっと関わっていくのにお役に立ちたいと思っています。

栗林

メーカーからの支援がほぼなく楽器が流通するだけの時代では、なおのこと、先生や生徒さんとのつながりが大切になります。お客さん、先生たちの顔をみてやっていくしかない。そのやり方はイコール、楽器店、メーカーの垣根をとっぱらって、お客さんに対してどうやったら喜んでいただけるのか、それをどんどんやっていかないと。ニーズはどんどん変わっていますから。その方向性でフレキシブルなことをやっているのがピティナですね。新しいことをどんどん。どこのメーカーを扱っていたとしても、支部、ピティナで一緒に仕事をしている人たちすべてが潤うような、そういう考え方が定着していくとよいのではないかと思いますね。

(2017年1月19日 ピティナ本部事務局にて)

番外編

そういえば、今日は初めての対面なんですよね。お互いへの質問がありますか?

田口

いま、新潟県内には新潟支部しかないんですよね?

栗林

支部は1つですが、ステーションが9つ活動しています。先生方が一生懸命されているな、という実感があります。急に大きくはならないけれど、着実に浸透してきているようには思います。近い将来、長岡でも予選を開催でできたらいいなあ、と。新潟県ってとってもデカイので、長岡は真ん中なので、上越なども近くなります。

田口

そういわれると、うちは無謀だったかもしれないなあ。2年目に本選やっちゃったから(笑)。

田口

「うち」の充実、は大事ですね。本当に先生方に、活用してもらいたい。そのためには、ステーションの数も増やしたいですね。それがより支部への帰属意識を高めますし、我々が誘うより、やはり、指導者同士で誘い合った方が、いきやすいし。「出したことないわ・・・」という先生に、「なーんだ、出しちゃえばいいのよ!バーン」と背中を押される。結局、先生方が一番苦労を分かっていますからね。

栗林

うちも、「あなたやんなさいよ、バーン」みたいな感じで、石井なをみ先生から背中をおされた場面もありました。強烈にやられましたね(笑)。

田口

そいういう先生って大事です(笑)。

栗林

味方にする・・というか。どうしたら、皆がハッピーになれるのか、それに尽きますよね。

田口

一人勝ちではいけない。そうですよね、そのためにどうするか。

栗林

そのためにピティナをうまく利用する。

田口

先生が、生徒が、喜んで。組織も発展して。そして我々は・・・最後かな(笑)。




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