【実施レポ】シンポジウム ピアノ指導者のための保護者対応(山本美芽先生 三輪昌代先生 古内奈津子先生)

文字サイズ: |
2017/09/26
山本美芽先生 三輪昌代先生 古内奈津子先生 「シンポジウム ピアノ指導者のための保護者対応」
文・萩本亜矢(ピアノ講師)

講師:山本美芽
日程:2017年9月14日
会場:カワイ横浜

今回のシンポジウムは、山本美芽先生のピアノ教本セミナーの続編として、「保護者対応」をテーマに開催されました。山本先生が司会、パネリストに三輪昌代先生、古内奈津子先生をお迎えしています。
実際にピアノのレッスンを受けるのは子どもですが、レッスンの継続・非継続を選択するのは保護者であり、コンクールや発表会への参加・不参加を決定するのも保護者。さらに、楽器購入や練習への声かけなど、自宅練習の環境も保護者次第で大きく変わるので、レッスンを円滑に進めるには保護者が大事です。

現在、共働き世帯の増加、教本やコンクールの多様化、情報の増加、楽器選択肢の増加など、時代の変化に応じて、保護者対応も多様化しています。子どもにピアノを習わせている保護者によくある事例を4つ取り上げ、パネリストの先生、参加者、楽器店スタッフによる実例の寸劇を交えてのディスカッションとなりました。

まず、保護者による「過干渉」。レッスン中に横から口を出したり、講師の質問に子どもより先に答えてしまったりする保護者について話し合いました。裏を返せば、とても熱心な保護者ということで、そのエネルギーを違った形で生かせるよう指導者の希望を伝えると最強の味方になるとのことでした。

次に「無関心」。これは、子どものピアノに本当に関心がない保護者と、関心があるのにあえて口を出さないようにしている保護者と2通りあるとのこと。関心がない保護者には、生徒手作りの招待状を保護者へ渡しレパートリーコンサートをしたり、ビデオや写真を保護者に発信するなどして、興味を持っていただくようにアプローチすることが紹介されました。

3つ目は「練習の習慣づけ」。ピアノの上達には、毎日の自宅練習が必須だが、練習の習慣化には保護者の協力が必要です。まず、体験レッスン時に毎日練習の重要性をしっかりと説くこと。忙しい保護者でも、自宅練習をサポートしやすい状況を一緒に考え整えること。そして、練習の成果をしっかりと保護者に伝えていくことが、自宅練習の習慣化に繋がるそうです。

4つ目は「コンクール」。一昔前に比べ、今ではコンクールの種類が増え、誰でも気軽に参加できるようになりました。コンクールの種類が増えても、コンクールの本質は"生徒の成長"で変わリません。本質がぶれず、先生・生徒・保護者の3者が同じところを向いていれば、次に行けるとのこと。

山本先生は、日頃からfacebookでピアノ講師のグループを主宰されており、ピアノ教本の情報以外にも、日々のレッスンの悩みの共有、楽器工場見学の遠足など、ピアノ講師の見識と繋がりを深める活動をされています。
今後も、山本先生が発信する情報には、目が離せません。

★山本美芽先生 最新セミナースケジュールは こちら

山本美芽

やまもと・みめ◎音楽ライター、ピアノ教本研究家。東京学芸大学大学院教育学研究科音楽教育専攻修了。中学校(音楽)、養護学校にて教諭と勤務したのち、執筆活動をはじめる。ピアノ指導者としても大学在学中から現在までレッスンを行う。「ムジカノーヴァ」「ジャズジャパン」等の音楽専門誌にて、国内外の一流アーティストに多数取材。「もっと知りたいピアノ教本」(大半を執筆、音楽之友社)「21世紀へのチェルニー」(単著、ショパン)などを執筆、ピアノ教本についての研究をライフワークとして続ける。中村菊子「レッスンのハンドブック」の中で一部を取材執筆、呉暁「練習しないで上達する」において文章作成などを担当し、多くのピアノ教本の著者・訳者に直接取材した経験を持つ。  2006年―2010年の間、夫の転勤のためアメリカ・カリフォルニア州在住。カリフォルニア州立シエラカレッジにて単位取得。アメリカのピアノ教本事情を研究。帰国後、2013年より著書「自分の音、聴いてる?」(春秋社)をテーマにしたセミナー、また音楽指導者のためのライティングセミナーを全国各地で行う。音楽教育学の知識と、音楽ライターとしてプロの音楽家・教育者との膨大なインタビュー経験、自分自身のピアノ指導・子育て経験、ピアノ学習、全国のピアノ指導者との密接な交流から得た現場発の問題点など、理論と実践を融合しながらピアノ教育が進むべき道を先導している。  2012年よりピアノを多喜靖美氏に師事。室内楽を多喜靖美、松本裕子の両氏に師事。2015年より「ピアノ教本、かしこく選ぼう」セミナーを全国で行う。あわせて指導者向けの「ライティングセミナー」、参加者が実際に弾き合いながら学ぶ「ひきあいセミナー」なども開催中。オフィシャルサイト http://www.mimeyama.com
ホームページ
山本美芽セミナースケジュール
facebook

執筆者:萩本亜矢(H.I.M.木更津主宰)

千葉県木更津市にて「H.I.M.木更津」を主宰するピアノ講師。武蔵野音楽大学音楽学部ピアノ専攻卒業。"ピアノレッスンによる音楽の基礎知識の習得を通じて、地域の文化の発展に貢献する"を理念に日々活動。2014年4月開校の木更津市立真舟小学校校歌「スタートライン」作曲者。


【GoogleAdsense】
ホーム > ピアノセミナー > ニュース > 02レポート> 【実施レポ】シンポジ...