指導者賞の授与規定を改訂します

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2017/02/03
指導者賞の授与規定を2017年度に改訂します

優秀な指導者であることは、生徒をどのように育てているか、によって測られるべきである。また、常に現在の実力を測り直すべきである――このピティナの理念がストレートに象徴されているのが、ピアノ指導者のための賞「指導者賞」です。
2017年度より、この指導者賞の授与規定を改訂することになりました。

指導者賞表彰式の写真
(1)コンペティションの成績によるもの
(2)当該年度の指導者ポイントによるもののうち、 (1)の規定が改訂されます。
コンペティションの成績によるもの

これまでの授与規定では、全国決勝大会進出者を要件とする項目がありましたが、本選での(決勝大会進出の次点である)本選優秀賞以上を基準とすることに変更しました。

また、ピティナは当コンクールを四期の課題曲を学ぶコンクールと位置付けていることから、予選を通過するだけでなく、本選での結果(本選優秀賞以上)を重視することと致しました。

改訂後の規定

以下(ア)~(エ)のいずれかの基準を満たした指導者に授与する。

(ア)
地区本選(第二次予選)に8名以上の生徒が参加していること 【2017/3/1追記】
基準(ア)について、「8名以上の生徒が本選に参加し、かつそのうち1名以上が本選優秀賞以上を受賞」としていたが、従来通り「8名以上の生徒が本選に参加」のままとする。
(イ)
地区本選(第二次予選)に6名以上の生徒が参加し、かつ、そのうち2名以上が本選優秀賞以上を受賞していること
(ウ)
3名以上の生徒が本選優秀賞以上を受賞していること
(エ)
ソロ部門G級、Jr.G級、特級で2名以上の生徒が全国決勝大会または特級セミファイナルに参加していること
  • 本選優秀賞以上」とは「決勝進出(本選第〇位)」および「本選優秀賞」を指します。昨年度のコンペでは、決勝進出者681組に対して、本選優秀賞以上は2,439組でした。
新人指導者賞の授与規定に変更はありません。

こちらのページをご覧ください。

<注意事項>
  • G級・特級については、第一次予選奨励賞を地区本選参加、第ニ次予選奨励賞を全国決勝大会参加扱いとする。
  • A2級入賞者記念コンサートは全国決勝大会参加扱いとする。
  • デュオ部門2台ピアノ各級、コンチェルト部門の全国決勝大会は地区本選参加扱いとする。
  • デュオ部門およびグランミューズ部門Dカテゴリーは1ペアで1名分とする。ただし、同一ペアで異なる部門に参加した場合はそれぞれ1名分とする。
  • 同一人物が同一級・カテゴリーで複数の地区本選に参加した場合は1名分とみなす。
  • 以下の部門間の併願はいずれも1名分とみなす。
    ソロ部門、グランミューズ部門(A・B・Y・Jカテゴリー)、コンチェルト部門
  • 指導者賞の対象は個人のみで、音楽教室など団体は受賞の対象にはならない。
  • 参加申込時に指定された期間内に所定の登録手続きが完了している指導者のみが授与対象となる。
当該年度の指導者ポイントによるもの
指導者賞の第2の授与規定は、「当該年度の指導者ポイントが170ポイントに達した指導者」です。受賞者は、年度末の翌月の4月に発表されます。

指導者ポイントは、年度ごとに算出されます。
ポイントは毎年4月1日に0ポイントからスタートし、生徒さんがピティナのステージ(ステップ、コンペティション予選、演奏検定、指導者検定実技など)に参加した場合のほか、先生ご自身が当該年度のピティナのステージに参加された場合、また論文・研究レポートの提出、セミナーのレポート提出によっても指導者ポイントが加算されます。 指導者ポイントの計算基準の詳細は、こちらをご覧下さい。

ご自身の参加、研究等の活動が活発な方にもポイントが加算されますが、とりわけ「生徒さんが継続してステージに参加しているかどうか」が問われます。
ステップの継続表彰の考えにも現れている通り、継続していることは、ピアノが楽しく、また向上していることであり、それが長年にわたって実践されているとすれば、教室の総合力の高さ以外の何物でもありません。
このようにピティナでは、第1の授与規定(コンクールの成績)であれ、第2の授与規定(指導者ポイント)であれ、「育てた生徒で評価する」「現在の実力を計り直す」の二種類の基本思想によって、指導者賞のありかたを定めています。

受賞者の活動

指導者賞受賞している先生方はどのような活動をしているのでしょうか?

①受賞経験者の49.5%の方が、審査員、アドバイザーを務めています。
(⇔正会員、指導会員全体では8%)
②69.0%の方が、セミナーやレッスン見学を受講し、自ら学ばれています。
(⇔正会員・指導会員全体では47.2%)
③33.4%の方が、指導のかたわら、コンペやステップに参加しています。
(⇔正会員・指導会員全体では21.2%)
インタビュー

昨年の指導者賞受賞者にお話を聞きました!

林 公子先生

ピティナ正会員、常滑ステーション代表。ピティナ・ピアノコンペティション審査員、ピティナ・ピアノステップアドバイザー、指導者賞14回

林先生の教室からは、昨夏のコンペで全国大会進出が9組など、成績上位に入られるだけでなく、たくさんの生徒さんが10年以上の単位で長年継続されています(指導者ポイントが2017年1月現在で「870」)。どんな方針で指導されているのでしょうか。

何を一番大事にしているかというと、ステップの継続表彰の賞状に書かれている通り、「音楽を人生の友にしてほしい」ということ、それと人生で私とも長く良いお付き合いをしてほしいということです。生徒のお母様とおしゃべりしたり、生徒達が成人式の帰りに挨拶にと、大雨の中立ち寄ってくれたり。教室を巣立って大人になった生徒達とランチしたり。そんな生活の一コマ一コマが、一番の喜びです。

金賞受賞をはじめ、良い結果を出し続けるのは大変ですよね。

良い結果が続くなんてとんでもないです。思い通りの結果でないことばかりです。でも、そんな時に人は反省するし、発見します。結果が悪い時ほど、生徒にとって大事です。例えば、そんなときに、大人がどういう声掛けをすればよいか。
その声掛け、接し方によって、子どもを傷つけることもあるし、逆に大きく成長させることも出来る、と話しています。

もちろん、指導者としては、良い結果が出るように、大事に作品と向き合って、気持ちよく演奏できるよう、全力を尽くします。教室の方針としては、早期にピアノを弾く為の基礎力を身につけさせて、ピアノに自信を持たせること、ピアノを弾くことは楽しいと感じさせてあげること、この2点に重点をおいています。そして、レッスンはとにかく楽しく、笑顔で迎え、笑顔で帰すことを心掛けています(笑)

保護者も、ピアノレッスンを通じて、子どもにどう接したらよいかが学べていて、そんな環境で子供たちがのびのび育っているということなんですね。

私の教室はお母さまどうし、とても仲がいいんです。コンクールのときは、みんな我が子みたいな感じで、応援しますし、お母さまどうしで励まし合ったり。常滑ステーションのステップでは、お母さま同志のペアの連弾が登場するんですよ。私も、せっかくのピアノを子供だけに弾かせて家に置くのは勿体ない!活用しましょうと呼びかけています。お母さんが一生懸命演奏するのを子供たちが見ていて、応援する。それはいろいろな面でとてもいい影響があると感じています。ステップではアドバイザーの先生方が本当にあたたかいコメントを下さるので、感謝しております。常滑ステーションができてからは、皆でいい気持ちになって年越しができるようになりました(笑)

そんな教室が大好きになって、10年、15年と在籍する生徒さんばかりなんですね。

頑張ることは素敵だし、一生懸命になることは気持ちがいい、ということを、親にも子にも話しています。今では親となってわが子をレッスンに通わせてくれる生徒も出てきました。生徒のひたむきな姿を見ること、「第二の母親のような存在」として生徒と触れ合えることが、私にとって何よりのエネルギーになっています。

親と子が同時に、また他の親子といっしょに、ピアノのこともピアノ以外のことも大いに学べる教室なのだと感じました。なんだか街全体が元気になっていくのが見えるような気がしました。今日はありがとうございました。

高橋佳代先生

ピティナ評議員、ピティナ・ピアノコンペティション審査員、指導者賞受賞28回

まだ駆け出しで指導者賞を受賞し始めた頃は、無我夢中で、コンクールの結果にも左右されて、時には自信を無くしたり、採点に疑問を持つような時期もありました。
しかし長年経験を積むにしたがって、良い結果が出なかったとしても、結局は自分がやってきたことがすべて、そこに現れるものだと、自然に受け入れられるようになりました。また、結果が出なくても、生徒との関係から学べること、分かち合ってきたことは必ず残るんですよね。
私にとって、生徒たちと世代を超えて人間関係を紡いでこれたのは何よりの喜びです。ピアノ指導者は、歳をとるほどに豊かなものをいただける、ありがたい職業だと思っています。

奥村 真先生

ピティナ正会員、コンペティション審査員・アドバイザー、指導者賞18回受賞

教え始めた頃の自分にとって指導者賞はまさにあこがれの賞であり、それを目標にすることでモチベーションをあげることができました。
ところが、ある時「どうすれば受賞できるか」ということを起点にして生徒の参加級や部門を決めたり、何か要領よく指導しようとしている自分に気がつきました。
コンクールでの賞は、生徒が受け取るものですし、指導者が賞を目指す過程で子供たちの進む道を動かしたりするのは、絶対におかしい。それからは指導者賞がなければなくても全然構わない、と考えをがらりと変え、今日に至っています。もともと、指導者賞は狙ったところで獲れるものではないですし、日頃の積み重ねがすべてではないでしょうか。

おわりに

「指導者賞は、生徒を第一に考え、懸命に指導した、その結果でしかない」ということを3人の先生が異口同音におっしゃいました。
しかし、結果としてそうした勤勉で謙虚な先生方が指導者賞を受賞し、まさに、次に続く世代の指導者たちの目標になっていると思います。これからもピティナは優れた指導者が社会全体から称えられるような、仕組みづくりをし続けます。


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