アドバイザーは手で語る vol.10 菊地 裕介先生

2009/11/12 | コメント(0)  | トラックバック(0)  | 
菊池裕介先生

記念すべき第10回のインタビューは、新進の若手ピアニスト、
菊地裕介先生をお迎えします!


きくちゆうすけ◎東京生まれ。高校2年の1994年、日本音楽コンクールで第2位。高校卒業と同時に渡欧し、パリ国立高等音楽院、ハノーファー音楽大学でさらに研鑽を積む。これまでに加藤伸佳、ジャック・ルヴィエ、アリエ・ヴァルディの各氏に師事。マリア・カナルス第1位、ポルト第1位、ジュネーブ第3位など、数多くの国際コンクールに上位入賞後2007年に帰国。2008年デビューアルバム「イマージュ・フランセーズ」、2009年にセカンド・アルバム「B-A-C-H」(レコード芸術誌特選盤)を発売。東京藝術大学、東京音楽大学の各校にて、後進の指導に当たっている。菊地裕介先生のブログはこちら


なるべく多くの曲を 手の内に入れておく

─ 2007年に帰国されてから、演奏活動を精力的に行っていらっしゃいますね。さぞお忙しいのではないですか?

帰国直後は、どのような生活が待っているのかもわからない状態でしたが、おかげさまで今は、演奏会に指導にと、かなり忙しい毎日です。寝ているか、教えているか、練習しているか、という毎日。「精一杯生きてる」というかんじですね。ついこの間も、夢の中で「この声部は、次に♯?それとも♭に行くんだっけ...」と考えていました(笑)ピアノを弾いていない時間も、常に頭の中で音楽を反芻しながら、熟成させている状態です。


─ 先生は、演奏会のレパートリーも非常に幅広くお持ちですね?
アドバイザーは手で語るvol10
▲「男性としては、細く薄い方ではないかな。特に困っているわけではないのですが、もう少し大きく太く、力強い手になればいいなと思いますね。」と菊地先生。

ありがとうございます。やはりコンサートによく来てくださる固定のお客さまがいらっしゃることを考えると、なるべく多くの曲を聴いていただきたいと思いますから。この30代前半の年齢で、固定レパートリーをつくってしまうことはよくないと思っていますし。僕の飽きっぽい性格もあって(笑)、レパートリーは広い方ですね。いろんな曲を弾くことで初めて見えてくるものがあると思いますし、それが僕の強みでもあると思っています。何より、今、生徒を指導する上でとても役立っていますね。やはり弾いていない曲を教えるより、手の内に入っている曲を教える方が内容の濃い指導をできると思います。


─ 大学でピアノ指導をされていますが、指導をすることで見えてきたことはありますか?

生徒たちを教えることが、自分の演奏を見直すことにつながっています。今まで、例えばあるパッセージを何故自分が弾けないのか、あるいは何故弾けるのかということを、自分自身でよくわからないところがありました。それが、生徒が弾けない部分をどのようにしたら弾けるようになるかを必死に考えているうちに、その方法が自分の演奏にも応用できるようになって、いろんなことがよく見えるようになった気がします。
学生たちを見ていると、「楽譜を読んで解釈する力」が不足しているなと感じることが多いんです。先生の指示のとおりうまく弾くのではなく、自分で考えて弾く力、作曲家のメッセージに触れる力を備えられるように手助けしたいと思っています。


ステージ経験の立会人の気持ちで皆さんの演奏を聞いています

アドバイザーは手で語るvol10
▲2009年4月5日春休みトークコンサート祭りの様子。ドビュシーの作品をテーマに15分のトークコンサートを組み立てた。
─ ステップのアドバイザーをされて、感じることをお聞かせください。

ステップは、自分の演奏を発表するステージの場ですよね。まず「人に聞かせるんだ」という気持ち、何かを伝えようとする気持ちを持つことが、何より大事なのだと思います。それは、小さいお子さんから大人の方まで、どの年代にも共通して言えることです。演奏家というのは、作品と聴衆の仲介役なのだと思っています。僕も20歳の頃は、ある種のスポーツ的感覚で、ぶっとばして弾いて「どうだ!」と得意げな気持ちで演奏してしまうことがありました。誰でも通る道だと思いますけどね(笑)でも、大事なのは、演奏によって何らかの感覚や感動を聴き手に届けられることです。
お子さんの場合は、ステージに立つときに感じる「恥ずかしかった」「緊張した」とかそういったあらゆる感情を大事にしていってほしいな、と思います。人前で注目されて弾くという経験がどれだけ尊いことか、それを感じてほしいです。僕は、そういった経験の立会人をやっているような気分ですね。子どもを持てば、もっと親の気持ちもわかってくるのでしょうけれど、現時点では、自分がかつて子どもだったときの感覚や習性を思い出しつつ、ちょっとだけ先輩という気持ちで接しています。


ピアノの新しい可能性を追求していきたい

─ 演奏家として今後の目標を聞かせてください。

以前から考えていることですが、僕の演奏会を何度かきいていただくと、ピアノの持つだいたいの可能性を伝えられるような演奏家になりたいと思っています。バランスよく、全てを網羅した百科事典的な演奏家、とでもいうのでしょうか。 やりたいことは山のようにあります。全曲演奏会的なハードなものもやりたいと考えていますし。何か突拍子もない、誰もやったことのないような新しい可能性を貪欲に追求していきたいと思っています。


【今後のコンサート予定】

第188回 毎日ゾリステン~菊地裕介ピアノリサイタル
・日時:2009年11月30日(月)19時開演
・会場:横浜みなとみらい小ホール
・ベートーヴェン:自作主題による6つの変奏曲 作品34、6つのバガテル作品126
 プロコフィエフ:ピアノソナタ 第7番 作品83
 ラフマニノフ:ピアノソナタ 第2番 作品36

◆ 菊地裕介ピアノリサイタル
・日時:2009年12月13日(日) 14時開演
・会場:京都府立府民ホール・アルティ
・プログラム同上


アドバイザーは手で語るvol10
【CD情報】

◆ B-A-C-H~変貌するバッハ、トランスクリプションズ
・コロムビアミュージックエンタテインメント
・ ¥ 2,940



【今後のステップアドバイザー予定】

12月6日 金沢冬季
3月22日 岡崎春季
◆ 5月30日 目白バロック ※トークコンサートあり


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