今月、この曲

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21世紀ヴァリエーション ミュージックトレード社『Musician』2015年1月号 掲載コラム

 2015年の新年を迎えるにあたりまして、多くの方が犠牲になられた御嶽山噴火や、世界中を巻き込む勢いの急性ウィルス性感染症・エボラ出血熱などの不安要素を払拭し、明るい前向きな話題の多い1年でありますように、と願わずにはおれません。だからこそ、心を癒し、豊かにしてくれる音楽がなおのこと"大切なもの"として心に響くのだと思います。
 さて、1月はモーツァルトの誕生月。年のはじめ、新たな気分でピアノの前に座るとき、是非ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの曲を。私のおすすめの曲は、モーツァルトの「トルコ行進曲付きピアノソナタ第1楽章」を、連弾曲として春畑セロリ先生が編曲した「21世紀ヴァリエーション」(『モーツァルト連弾パーティー』収載)です。この楽譜の中には歌曲や室内楽曲、交響曲、オペラ等より選ばれし有名な曲たちが、セロリ先生の魔法=アレンジによって、どの曲も見事な大変身を遂げています。
 話を「21世紀ヴァリエーション」に戻しましょう。ソナタのテーマそのものから始まります。が、すぐにそのテーマはジャズ風に。テンションも高まったと所へ、うっとりスローなテーマに変身し、次には何やら宇宙語ピ・ポ・パ! のワールドに突入し宇宙的拡がりを持つハーモニーで幕を閉じます。
 モーツァルトの曲が、不思議なハーモニーと近未来的な魅力あるサウンドの中で、どんどん展開していき、演奏者も聴き手もワクワクドキドキ楽しめる曲になっています。ここで、春畑セロリ先生にこの曲へのメッセージをお願いしましたところ、快くお引き受けいただきましたのでご紹介いたします。
 "アレンジの意図を解読したら、それを思い切り大げさな音に紡ぎだす、という2人の楽しい時間を満喫していただきたい。演奏力というより音の演技力が問われるかもしれません。各スタイルとそれぞれの場面転換をのびのびとお茶目に演じて下さい。音の遊びを楽しんで!"

 素敵な1年になりますように。

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