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    <title>ドビュッシー探求</title>
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    <updated>2010-06-21T09:29:06Z</updated>
    <subtitle>「20世紀最高の音楽家」ドビュッシーのピアノ音楽全曲演奏に取り組む金子一朗さんによる連載。音源試聴と曲の解説。
※2008年9月より、一時連載を停止します。再開をお楽しみにお待ち下さい。</subtitle>
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    <title>「子供の領分」より第6曲「ゴリウォーグのケークウォーク」</title>
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    <published>2008-09-18T15:00:02Z</published>
    <updated>2010-06-21T09:29:06Z</updated>

    <summary> 今回の曲目 「子供の領分」より第6曲「ゴリウォーグのケークウォーク」 2m58...</summary>
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        <name>admin</name>
        
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        <category term="子供の領分" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
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        <![CDATA[<table border="0">
<td colspan="2" height="15px;"><b>今回の曲目</b></td></tr>
<tr valign="top">
<td><img src="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/knk_dbsy/images/onpu.gif" alt="音源アイコン" width="14" height="14"></td>
<td>
<a href="http://www.youtube.com/watch?v=-TIez3dtAYo">「子供の領分」より第6曲「ゴリウォーグのケークウォーク」</a></td>
<td>2m58s/YouTube</td>
</tr></table>

<p>　当時はやっていた黒人の人形の印象を曲にしたといわれています。グロテスクでユーモラスな格好をした人形が、ぎくしゃくとぎこちない動きをしながら踊ったり、ころんだりしているさまが、やはり、当時ヨーロッパではやりはじめたジャズ音楽と組み合わされて表現されています。ドビュッシーは、ここでは教会旋法は特に用いず、和音についても、従来ロマン派までで使われてきたものを中心に用いています。リズムは、シンコペーションを効果的に使うなどとても刺激的です。また、強弱やアーティキュレーションは指示がとても細かく、それらをすべて守ることで、ドビュッシーが考えていた複雑な音楽世界が現れてきます。</p>

<p></p>

<p>演奏上の問題について<br />
　曲はEs-durで始まります。1小節から4小節の2拍目表までは借用のIV和音の6音付加の分散和音です。しかもただのユニゾンです。これだけ単純な開始は珍しいのですが、ドビュッシーは、当然のことながらこの4小節の間にもさりげなく複雑さを盛り込んでいます。まず、アーティキュレーションをよく見て違いを表現しなければいけません。例えば、1小節目のasにはスタッカートがついていますが、2小節目のfにはありません。また、1、2小節目の3、4番目の音符にはスラーがありません。また、3、4小節の16分音符はノンレガートです。強弱についても4小節目の最後の音が一番強く、それまでにff はありません。4小節目の最後の和音はドミナントですから、6小節の和音（2音付加）に連結します。6~9小節では、拍の裏の和音が厚くなっています。従って、拍の頭に響きの意識がないと拍子がわからなくなるので注意が必要です。強弱の細かな指示を守るべきです。</p>

<p>　10小節から第1主題が始まります。ここでも、メロディーのアーティキュレーションは冒頭と同じように注意深く表現するべきです。和音は冒頭から15小節までesとbのオルゲルプンクトが続き、10、11小節が借用IV和音6音付加、12、13小節が和音2、6音付加、14小節はV9、15小節がV9の借用、16小節は和音、17小節はVI和音というように、特別な進行をしているわけではありません。10小節はmf で18小節はf です。22小節では、B-durに転調していますから、音色を変えてsubitop で始めるのが効果的でしょう。22~25小節では、借用VI和音からV度上の借用V9和音、V13和音から和音に解決しています。この部分は、書いてある通りに演奏しても良いですが、22、23小節の下段の2、4番目の8分音符の和音の上のライン、すなわち、asabcesを右手でとっても良いでしょう。24、25小節の中声部のeesdのラインも注目して良いでしょう。</p>

<p>　26~46小節ではEs-durで推移部になります。和音はV和音、和音、IV和音、VI和音、借用IV和音などの単純な交替です。ここでは、和音の揺らぎを表現した上で、指示のあるアーティキュレーション、強弱を守ることで、ぎこちないニュアンスが表現できます。</p>

<p>　47小節からはGes-durに転調します。和音、V和音、V和音の上方変位などの単純な連結で60小節まで続きます。ここでは、少しテンポを落としてぎこちない雰囲気を出すと良いでしょう。61小節では「大きな動きで」という指示がありますが、これは、allargandoのイメージが近いと思います。この大げさな表現は他に65、66小節など6回繰り返されますが、伴奏音型、強弱やアーティキュレーションがすべて異なりますから、それらの違いをしっかりと表現しなければいけません。概ね、上声部以外の声部が徐々に複雑に絡み合うようになってきますから、それを表現することで単調さを避けることができます。63小節などですが、2分音符を残さなければいけないのですが、8分音符はスタッカートのニュアンスを表現したいところなので、ここはハーフペダルを利用して、2分音符がちょうど1小節間で消えるように調整すると良いでしょう。71、72小節は上声部のメロディーだけではなく、多声的に表現したいところです。75小節では、テノールにgesfesのラインが現れます。それが76、78小節に引き継がれます。69、70小節では、イタリアオペラのようなallargandoを表現されています。ところが、79、80小節ではその指示がありません。これは、同じ表現を繰り返すことで趣味が悪くなることをドビュッシーが嫌っていたと思われます。そのかわり、83~91小節までのこの部分はとても大げさな表現になっています。83小節からは、Ges-durのドミナントの響きの中にEs-durが複調的に響くことで再現部につながります。</p>

<p>　92小節からは10小節からの部分の再現になっています。細かいところで最初と異なる部分をチェックしておきたいところです。例えば92小節ではまだpp です。110~113小節では上段の和音がとても面白い変化をします。110小節ではE-durのV和音に半ずれしているところが響きのユーモアを醸し出しています。127、128小節では、重くしないために、一番上のesの音を響かせると良いと思います。</p>

<p>　これらの細かい指示をあくまでも自然に表現できるようにすると、とても趣味が良く、面白い音楽になると思います。</p>]]>
        
    </content>
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    <title>「子供の領分」より第5曲「小さな羊飼い」</title>
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    <published>2008-09-18T15:00:01Z</published>
    <updated>2010-06-21T09:30:20Z</updated>

    <summary> 今回の曲目 「子供の領分」より第5曲「小さな羊飼い」 2m35s/YouTub...</summary>
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        <name>admin</name>
        
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        <category term="子供の領分" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
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        <![CDATA[<table border="0">
<td colspan="2" height="15px;"><b>今回の曲目</b></td></tr>
<tr valign="top">
<td><img src="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/knk_dbsy/images/onpu.gif" alt="音源アイコン" width="14" height="14"></td>
<td>
<a href="http://www.youtube.com/watch?v=R2sHmPRd4so">「子供の領分」より第5曲「小さな羊飼い」</a></td>
<td>2m35s/YouTube</td>
</tr></table>

<p><br />
　草原で小さな羊飼いが静かに笛を吹いている、そういった情景が浮かびます。書いてある通り、とても柔らかく、デリケートで表情豊かなメロディーが空間に広がっていきます。曲全体に孤独感、寂寥感を感じます。シンプルですがとても感動的な音楽で、19小節から始まる曲の頂点は、ドビュッシーが書いたすべての作品の中でも最も感動的な部分の1つだと思います。</p>

<p></p>

<p>演奏上の問題について<br />
　この作品は特にそうですが、荒々しく、野太い直接的な響きを用いてはいけません。最強音はmf です。p からppp までの範囲で可能な限り多様な演奏を心がけなければいけません。また、テンポの微妙な変化の指示を完全に守らなければいけません。テンポはTresmodere、plusmouvemente、Pocoanimato、Unpeuretenuの4種類で、これら以外に、cedezの指示が3回ありますが、その長さが微妙に異なります。2回目は1回目よりも大げさに、そして3回目は、もともとUnpeuretenuからゆっくりし始めるので、やり過ぎて間延びしないような長さにしてあります。これらを、とても自然に、しかし確実に表現しなければいけません。また、19小節のunpocopiuforteは、ほんの少し強くするだけでやりすぎないようにという警笛です。全体にさりげない、微妙な変化が要求されます。</p>

<p>　1~4小節はdを主音とする教会旋法でメロディーが歌われます。悲しげで表情豊かな旋律です。3、4小節では微妙な抑揚が指示されています。5~7小節は舞曲のようで、活気をもって音楽が進むようですが一本調子では進みません。6小節では、それまで元気よく走ってきたのですが、ちょっと後ろを振り返って立ち止まるようなニュアンスです。テンポは変えません。5小節ではc-mollのようで、6小節ではH-dur、そして7小節からはA-durに安定します。8小節で、冒頭のテンポ、つまり、少しテンポが落ちてA-durの終止に向かいます。ここの部分はあまり大げさな終止にしないように演奏して、16~18小節との違いを出したいところです。11小節の休符は正しく表現するべきです。また、ただ休符を表すだけでなく、次のcis-mollの旋律を出すための緊張感を持つべきでしょう。</p>

<p>　12、13小節では、1、2小節に比べ、少し積極的な表現をします。そのために強弱の指示がありますが、これもあまり大げさにしない方が良いでしょう。また、フレーズを短くしないように、ドビュッシーはわざわざ13小節の2分音符にピークをもってきているところに注意が必要です。14~18小節はE-durです。上段では、テヌートの有無、強弱の指示の違いなどを守ることにより、単調な表現が回避できます。14~15小節では、テノールに対旋律ediscisdisediscis、バスにfisgisagisfisgisaがあり、反行していますから、これもさりげなく表現するべきでしょう。16~18小節は多少大げさにカデンツを表現します。</p>

<p>　19、20小節は、fis-mollで、とても緊張感が増します。21~26小節はcis-mollで、リタルダンドなどの指示がないことから考えて、一息で演奏したいところです。テノールのラインが23小節まであり、これと上段の2声をバランスよく演奏することが大切です。また、24、25小節のVI度上の和音の揺れはとても悲しい響きです。ここを音楽的に演奏できなければ、この作品を演奏してもあまり意味がありません。24小節に対し、25小節はエコーになっています。</p>

<p>　27小節からは7小節からの部分の再現ですが、曲の終わりを意識して、少しゆっくりめに、しかし、リズムなどの性格は保ったまま表現したいところです。31小節では、ソプラノの2分休符を表現するために、それ以外の和音を押さえ直す演奏家もいます。</p>]]>
        
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    <title>「子供の領分」より第4曲「雪が踊っている」</title>
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    <published>2008-09-04T15:00:02Z</published>
    <updated>2010-06-21T09:30:58Z</updated>

    <summary>今回の曲目  「子供の領分」より第4曲「雪が踊っている」　3m7s/YouTub...</summary>
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        <name>admin</name>
        
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        <category term="子供の領分" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
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        <![CDATA[<p><strong>今回の曲目</strong><br />
<img src="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/knk_dbsy/images/onpu.gif" alt="音源アイコン" width="14" height="14"> <a href="http://www.youtube.com/watch?v=11TNjZ5s9d0">「子供の領分」より第4曲「雪が踊っている」</a>　3m7s/YouTube</p>

<p><br />
自然界の厳しく凍てつく寒さを象徴する雪を題材にして、ドビュッシーは同じ時期に2種類の作品を作曲しています。1曲は前奏曲集第1巻の第6曲「雪の上の足跡」で、もう1曲がこの作品です。前者は、とても厳しい冬の情景を、まさにその場にいるかのような形でいわば直接的に表現していますが、この作品はどことなく間接的な感じを与えます。それは、子供のおとぎ話の中の印象か、または、窓の外の景色を子供が見た印象でしょうか。子供の感覚を通じた冬の世界をドビュッシーは象徴しているようです。</p>

<p>　16分音符の細かい音型は、まさに雪が降り続いているようで、その中に、子供が感じる印象が息の長い旋律で表現されているように思われます。デリケートな作品が揃ったこの曲集の中でも際立って繊細な作品だといえるでしょう。</p>

<p></p>

<p>演奏上の問題について<br />
　曲全体を通していえることですが、まず、16分音符はスタッカートがついているレガートであることをどう考えるかです。ドビュッシーの記譜法に従えば、これは右ペダルを使ったスタッカートだといえますが、前述の通り、雪のイメージからすると、ハーフペダルを効果的に使って表現することが必要だと思います。また、タッチについても、鋭く切るスタッカートでなく、柔らかく鍵盤から指を離すようにすると良いと思います。3~7小節に続く全音符は、楽譜上では左手で弾くようになっていますが、そうすると左手で弾く16分音符は指使いが5、4、3、2となり、しかも左手の1の指が黒鍵に来ることが多く、しかも左手としては音域が高いので弾きにくいかもしれません。その場合は、全音符のライン、bcbcis(d)を右手でとった方が楽かもしれません。</p>

<p>　冒頭はd-mollで、5小節まではII系の和音、6小節はV7、7小節は和音という形でカデンツになっています。全音符にはテヌートがついていますが、決してきつい音質ではなく、あくまでもニュアンスはPの範囲で、全音符の響きの中に16分音符を乗せる感じで演奏すると良いでしょう。また、6小節のcisと7小節のdは、限定進行音ですから、とても意味を持たせて演奏するべきです。そのつながりが、p からpiupp という形で表現されていると考えて良いでしょう。</p>

<p>　7、8小節は16分音符の上段はefgaで、下段のテノールはdcbaとなっていて互いに反行しています。また、ここは和音とIV和音の交替が2分音符ごとに起こっています。これによって、和音の動きが出て曲全体が動き始めます。そして9、10小節では和音交替が4分音符ごとに起こり、さらに動きが増してきます。11~13小節は1小節ごとにd-moll、f-mollのドミナント和音の交替があり、14小節では半ずれしてGes-durに転調しますから、ここでとても曇ったニュアンスに変わります。なお、14~21小節では、右手の上を左手が飛び越えて弾かなければいけないので、楽譜通りに演奏すると柔らかいニュアンスを表現しにくいと思います。その場合は、16分音符をすべて右手でとる方法があります。16小節では更に曇ったCes-durに転調し、20小節では少し明るいDes-durに転調しています。転調するたびに音色を変えることで単調になることを避けることができます。また、20、21小節では、バスのラインだけではなく、16分音符の上のライン、すなわち、esfの揺れを、指示された強弱にあわせて表現すると良いでしょう。</p>

<p>　22~28小節では全音階に変わり、それまでの少し暖かなニュアンスから冷たいニュアンスに変わります。音量の変化はほとんどありませんが、そのニュアンスの違いは明確に表現するべきです。26小節からは同じ全音階ですが、22~25小節の部分が長2度下にずれています。いわば2次下属調に転調しているのと同じ効果ですから、より暗いイメージで演奏すると良いでしょう。そのためにpiupの指示があると考えられます。同じ調子で29小節もいくところですが、ここでd-mollのIV和音的な響きに変更して30小節からの展開部につなげています。従って、この部分はIV和音から和音への連結をはっきりと表現するべきです。</p>

<p>　30、31小節ではPP とありますが、ここでは、幻想的な雰囲気を出すと良いでしょう。この部分はdを主音とする教会旋法で、和音とVII和音の交替になっています。32~36小節の2拍目まではcを主音とする教会旋法で、36小節の3拍目から37小節まではf-moll、38~39小節はCes-dur、40~42小節まではf-moll、43小節から47小節1拍目まではf-moll、47小節2拍目から48小節まではAs-dur、49小節から52小節はGes-durとAs-durの交替、52~56小節は半音階進行しながら57小節からのd-mollにつながります。めまぐるしい転調を丁寧に表現することと、細かな強弱やテンポの揺らぎを正しく表現することが必要です。また、33、34小節でdesfgの音型を滑らかにつなぐこと、そして、38小節からの16分音符のトリルを滑らかにつなぐことも大切です。</p>

<p>　64小節からはf-mollとas-mollの交替をしながら同じ音型が順次下降し、67小節でGes-durに転調します。これが70小節のd-mollのIV和音の半ずれになっています。この部分は、音量を落とすことも大切ですが、細くてデリケートな音質で演奏するように心がけたいところです。</p>]]>
        
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    <title>「子供の領分」より第3曲「人形のセレナーデ」</title>
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    <published>2008-09-04T15:00:01Z</published>
    <updated>2010-06-21T09:32:34Z</updated>

    <summary>今回の曲目  「子供の領分」より第3曲「人形のセレナーデ」 　2m58s/You...</summary>
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        <name>admin</name>
        
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        <category term="子供の領分" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
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        <![CDATA[<p><strong>今回の曲目</strong><br />
<img src="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/knk_dbsy/images/onpu.gif" alt="音源アイコン" width="14" height="14"> <a href="http://www.youtube.com/watch?v=RDoGuxOUMEE">「子供の領分」より第3曲「人形のセレナーデ」 </a>　2m58s/YouTube</p>

<p>　冒頭からギターの音色をイメージさせるスペイン風の作品です。ドビュッシーはこういったスペイン風のギターを模した作品をいくつか書いています。たとえば、「版画」の「グラナダの夕べ」、「前奏曲集第1巻」の「とだえたセレナード」などがあります。可愛らしい人形に、ギターの伴奏で歌を歌いながら誘いかける、そういう夢の世界を表現したのでしょうか。この作品には興味深い注釈がついています。「曲の全体にわたり、ソフトペダルをつかうように。フォルテとかかれた部分でも同様にすること」とあるのです。ドビュッシーには、この作品のような、とても柔らかく、軽やかな作品が多いのですが、そういった作品にソフトペダルを用いた響きを用いることを好んでいたと思われます。</p>

<p></p>

<p>演奏上の問題について<br />
　冒頭から13小節までは落ち着いたE-durの音楽です。両手で交互に現れるオルゲルプンクトがギターの音型を模しています。そこに4度音程の前打音を含む第1主題が3~7小節まで現れ、その5度上に9小節から第1主題が現れます。第1主題はとてもデリケートに、軽やかに歌われるべきです。9小節から現れる2回目の第1主題では、11、13小節に強弱の指示がある通り、1回目よりも少し豊かに表現するべきでしょう。</p>

<p>　14小節では5度上のH-durに転調して、第2主題が出てきます。第1主題は4度、5度の跳躍が中心ですが、第2主題は順次進行、半音階進行が中心です。17小節からはCis-durで2度上がり、20小節からはgis-mollに転調し、24小節の頂点に向かいます。ここまで、ほんの少しずつクレッシェンドしていくのですが、大きくするというよりも、転調することで高揚していく感じをもって演奏すると良いでしょう。28、29小節ではa-mollの響きが突然現れ、30小節のE-durの和音に向かいます。従って、28小節はsubitop と考えた方が良いでしょう。28~30小節のバスのライン、すなわち、gisgfisfe　と下段の2拍目にあるddisのラインをうまくバランスをとりながら30小節の和音に向かうようにすると良いでしょう。30小節からは第1主題が現れますが、3小節からと比べると音域が高く響きが厚いので、多少活発にはっきりと表現すると良いでしょう。それが強弱やアーティキュレーションの指示に出ています。中声部にある和音の連打の伴奏は音量を押さえ、上声のメロディーとバスに現れるdisとcisの揺れで作られるラインの響きのバランスをとる必要があるので、比較的表現が難しいところです。このバスのラインは第2主題の性格をもっています。これが35小節からはソプラノに引き継がれ、さらに39小節からはテノールに引き継がれ、バスの下降ラインとバランス師ながら43小節のH-durの和音（空5度）に向かいます。ここはいわば提示部の終わりにあたりますから、42小節にも指示がある通り、丁寧にフレーズを閉じると良いでしょう。</p>

<p>　45小節からは第2主題に起因すると思われる順次進行が中心の息の長いフレーズが現れます。61小節まで、うねりながら盛り上がっていきます。途中、細かい強弱の指示がありますが、これは45、46、49、50小節がh-moll、47、48、51、52小節がC-dur、53~56小節がd-moll、57~60小節がf-mollというように、転調に呼応しています。従って、調の色の違いを意識して表現すると良いでしょう。これは、たとえば47、48小節は、本来、h-mollのV和音がくるはずなのですが、これが半ずれしているので、その意外性を表現すれば良いと思います。57小節でも、本来はd-mollの和音に解決するところを転調によってはぐらかしていますから、そういう意味でsubitop であると考えて良いでしょう。61小節では、subitopp になり、f-mollの和音に解決しますがすぐにc-mollに転調します。この部分は教会旋法的です。また、ここでは、人形に愛の告白の歌を歌っていたのが、思いが伝わらず一度あきらめるような感じです。65小節で一度休んだ後、気を取り直して別の歌を歌い始めるような雰囲気です。調はDes-durですから、77小節までは、それまでよりも柔らかいニュアンスで演奏されるべきでしょう。また、69小節からの部分では、特に右手のフレーズに細かな強弱指示があります。71小節では、右手が8分の6拍子に変わります。従って、書いてありませんが、その前後にある強弱の指示が逆であると考えるべきでしょう。それによって、単調な繰り返しになることを避けているといえます。また、69小節からは、Des-dur、Es-dur、F-dur、As-dur、H-durのドミナントが揺れながらも全体としては音域が上にずれていきます。従って,80小節をピークとして揺れながら盛り上がっていくようなイメージで演奏すると良いでしょう。</p>

<p>　84小節からは98小節のE-durの和音を目指した動きになります。fis-mollからcis-mollを経由して90~94小節でE-durのカデンツが現れて安定します。この部分は強弱指示がとても凝った形になっていますが、丁寧にカデンツを表現すると良いと思います。</p>

<p>　94小節から最後まではE-durでコーダになりますが、96、97小節では、F-durのドミナントになって、本来のE-durのドミナントが上に半ずれしています。その意外な響きを十分に感じて表現するべきです。100からの部分も同じです。そして、105小節の3拍目で、本来あるべきE-durのドミナントがとても短く表現されて、E-durのカデンツが作られます。107小節からは第1主題が断片的に繰り返されますが、細かな強弱記号を完全に守らないと単調になります。Pの部分は曇った響き、mf の部分は明るい響きといったように、強弱というよりも音色の変化に気をつけるとうまく表現できると思います。</p>

<p>　繊細なタッチとペダリング、そして音色の使い分け、多声的な表現など、この作品で要求される音楽的な表現はとても高度なものだと思います。</p>]]>
        
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    <title>「版画」より第3曲「雨の庭」</title>
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    <published>2008-08-14T15:00:03Z</published>
    <updated>2010-06-21T09:32:08Z</updated>

    <summary>今回の曲目  「版画」より第3曲「雨の庭」　4m02s/YouTube 　この作...</summary>
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        <category term="版画" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/knk_dbsy/">
        <![CDATA[<p><strong>今回の曲目</strong><br />
<img src="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/knk_dbsy/images/onpu.gif" alt="音源アイコン" width="14" height="14"> <a href="http://www.youtube.com/watch?v=0Y0T1_puiIo">「版画」より第3曲「雨の庭」</a>　4m02s/YouTube</p>

<p>　この作品は、「ねんねよ坊や」、「もう森へは行かない」の2曲のフランスの童謡からモチーフがとられています。それが理由の1つでしょうか、この作品は初演のときに聴衆からアンコールを求められました。3曲の中では演奏機会はこの作品が最も多いですが、それは、この作品が他の2曲よりは親しみやすい表現方法であるからかもしれません。</p>

<p>　よく考えてみると、この「版画」という曲集は、1曲目がジャワなどのアジア、2曲目がスペイン、そしてこの3曲目がフランスというように、フランスからみて、異国情緒の強いものから順にフランスへと向かった曲順になっていることがわかります。</p>

<p>　この作品には、物語的な情景を当てはめることが容易で、そういったことがよく書かれています。それは、恐らく、126小節の部分でしょうか、この部分をドビュッシーが、「これは虹だ」と言ったことも理由の1つでしょう。確かにそういう捉え方はあって良いと思いますが、後年のドビュッシーが「音楽は絵はがきではない」と言っていることからも、純粋音楽的な見地で表現することが大切ではないかと思います。</p>

<p>　ちなみに、よく語られているお話は、最初、少しずつ雨が落ちてきて、黒い雲が不気味に広がってきて大雨になり、遊んでいた子供たちは雨宿りをする、その後、空が少し明るくなってきて、小鳥のさえずりが戻り、そして虹が広がって雨が上がり、また子供たちは喜びながら遊び始める、そういったものでしょうか。</p>

<p><br />
　 <br />
演奏上の問題について<br />
　この作品は、音楽の語法としては比較的わかりやすく書かれています。</p>

<p>　1~3小節で、「ねんねよ坊や」の主題からとられた第1主題が下段に現れます。「ねんねよ坊や」の主題は長調ですが、これはe-mollです。この部分の16分音符の音型は、「子供の領分」の第1曲「グラドス・アド・パルナッスム博士」の音型に似ています。メロディーを滑らかに演奏しなければいけませんが、同音連打が含まれるために響きとタッチをよく工夫しなければいけません。また、この部分はpp ですから、20小節まではとても押さえた表現が必要です。しかし、同音連打があるので、音がかすれない程度で演奏します。この部分を強い音で演奏することは曲想を台無しにしてしまいます。20小節までの細かい強弱の指示は、音量をp の範囲でやるべきです。10小節からの部分は、dfedcなどのラインをさりげなく出すと良いでしょう。6小節では下属調a-mollに転調し、その前よりもより響きが暗い感じにすると良いでしょう。10~15小節では、指示がありませんが、1小節ごとに強弱の細かいふくらみをもたせながら全体としてdim. していくと良いと思います。16小節が前半部分の底になっています。ここからは全音階的な響きで、落ち着かず、不気味な表情を出すと良いでしょう。2分音符ごとに、さまざまな調のV系和音が連結され、全体として最初のピークである25小節に向かいます。注意したいのは、ここはff ではないということです。</p>

<p>　27小節では、Fis-durに転調し、第1主題が長調で歌われます。この4小節ははっきりと音量を落とし、明るい音色で演奏し、前後とのコントラストをつけるべきです。31小節からはfis-mollで第1主題が歌われます。37小節からは推移部で、各調のV系和音が連結されます。下段は多声的に書かれていますから、響きのバランスをとりながら立体的に表現したいところです。また、この部分は細かなふくらみが指示されていますが、単調にならないように、強弱のふくらみが、38小節までと39小節からの部分、そして42小節の部分が異なりますから、この違いも表現するべきでしょう。更に注意するべきことは、43小節がf で、本当のクレッシェンドは42小節からであるということです。42小節の冒頭がきちんとpで演奏されなければいけません。</p>

<p>　43、44小節はとても難しいところです。それは、下段の最低音が第1主題なのでこれを一番響かせなければいけないのですが、とても鳴らしにくいからです。このバスの第1主題を響かせるためには、その最大音量から逆算して他の声部の音量を決めるべきですから、fはバスで、他の声部はmp 程度だと思います。そして45小節から一気にクレッシェンドして第2のピークである47小節に到達します。46小節から47小節へ行くときに跳躍がありますが、ここで間をあけるとロマン派的になるのであけてはいけないと思います。48~49小節のdim. は、ハーフペダルでバスのdesasの音量を下げると効果的です。</p>

<p>　50、51小節ではDes-durでバスに第1主題が現れます。52~55小節では、2拍ごとに調の異なる3和音が連結されていますから、音色を2拍ごとに変えながら2小節単位の小さなクレッシェンドを表現するべきです。</p>

<p>　56~59小節は全音階和音で細かい抑揚がつけられています。この部分から徐々にクレッシェンドとアッチェレランドをかけるように指示がありますが、この部分から始めるとピークが71小節なのでとても続きません。響きの差で表現するべきです。60~63小節では、同じ全音階和音ですが、前に比べ、短3度、つまり、上に半ずれしているような効果がありますから、56~59小節よりもより活発なニュアンスで表現します。64、65小節は半音階進行と増3和音の並進行が組合わさっています。細かな強弱の指示は、バスのラインと他のラインが反進行しているニュアンスを表現するためのものです。66、67小節では長2度上にずれていますから、より活発なニュアンスを表現します。68~70小節は、それまでの部分が縮節されて3回繰り返されます。細かな強弱は小節の最初を落とすことで音量を大きくしないで盛り上げる方法だと思った方が良いでしょう。71小節はfであってff ではありませんから金切り声のような音を立てないようにしたいところです。73、74小節のfisは、Cis-durのV7和音の第7音で、限定進行音として76小節のeisに解決するニュアンスを持たせるべきでしょう。</p>

<p>　75小節からは「もう森へは行かない」のメロディー（第2主題）の断片が上段に提示されます。少しルバートをかけても良い所ですが、拍子がわかる範囲で少しだけにした方が良いと思います。また、この部分は断片ですが、1小節ごとに切れているだけではないところに注意が必要です。77、78小節はスラーが2小節にわたっているので、この違いをはっきり出すことで単調さを避けることができます。また、バスのラインは半音階で下降していますからこのラインもしっかりと響かせてソプラノとのバランスをとるべきです。83小節からは和音としてはCis-durのV9和音ですが、バスに第1主題が全音階的に表現されています。90小節からは同じような繰り返しですが、バスにtenutoがかかっていませんから、少しエコーのように表現すると良いかもしれません。</p>

<p>　100~115小節の部分は、Gを主音とする教会旋法でフォブルドン的に和音が順次進行していきます。112小節からはテノールに第1主題がオクターブで現れます。この部分は「神秘的に」表現しなければいけません。また、クレッシェンドやアッチェレランドはずっと我慢して、116小節の頂点まで徐々に盛り上がるようにします。また、頂点はfなので大きく盛り上げすぎないようにします。音量やテンポに頼るよりも、情念的に盛り上げるような気持ちで良いと思います。118小節からは崩れ落ちるように「急速に」演奏します。ここは様々な調のV系和音が連結されています。122小節からは全音階で極限まで音量を落とします。</p>

<p>　126小節からはH-durの和音（6音付加）で、128小節から上段に第2主題の断片が現れます。132小節までは2回同じような繰り返しになっていますが、133小節で盛り上げるために、126小節のrfはあまり強くしない方が良いでしょう。また、128、129小節にあるクレッシェンドと131，132小節にあるクレッシェンドは長さが異なり、しかも131小節からは下段の部分にクレッシェンドの指示があります。このことは、2回ある繰り返しのうち、1回目は盛り上げず、2回目は大きく盛り上げるということを意味していると思います。</p>

<p>　133小節からはE-durで、金管楽器のように下段に第2主題が現れます。136小節からはgis-mollで第1主題が現れます。和音は、100小節からの部分と同じように並進行しています。ここは軽い音質でscherzandoを表現します。同じような繰り返しが146小節まで続きます。147小節からはE-durで、ソプラノに第1主題が現れ、バスの進行と2声の進行をしますから、響きのバランスを考えて演奏します。この部分も早くからクレッシェンドをかけすぎないことが大切です。V7からIV6を経て、和音に解決して全曲を閉じます。155小節からの部分は硬くない音で響かせるようにすると良いと思います。</p>

<p>　全体を通じて、調、和音、旋法の色の違いを明確にすること、そして、クレッシェンドを我慢することが良い演奏をするコツだと思います。</p>]]>
        
    </content>
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    <title>「子どもの領分」より第1曲「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」</title>
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    <published>2008-08-14T15:00:02Z</published>
    <updated>2010-06-21T09:33:31Z</updated>

    <summary>今回の曲目  「子どもの領分」より第1曲「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」　...</summary>
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        <name>admin</name>
        
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        <category term="子供の領分" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/knk_dbsy/">
        <![CDATA[<p><strong>今回の曲目</strong><br />
<img src="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/knk_dbsy/images/onpu.gif" alt="音源アイコン" width="14" height="14"> <a href="http://www.youtube.com/watch?v=hXHmxcgxEt0">「子どもの領分」より第1曲「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」</a>　2m26s/YouTube</p>

<p>ドビュッシーは一人娘シュシュを溺愛していました。そのシュシュに捧げたこの6曲からなる組曲は、子供の好むおとぎ話のような題材に音楽をつけているように見えます。しかし、誤解してはいけないのは、決して、子供向けの作品ではないということです。ドビュッシーが最も愛した人に捧げた作品ですから、隅々まで考え抜かれています。さまざまな音楽を知り、技術を得ないと、なかなか表現は難しいものです。作曲された年は1909年で、この作品の少し前に、傑作「映像1、2集」が完成され、翌1910年には、代表作「前奏曲集第1巻」が完成されます。これらの音楽はどれも複雑です。子供の領分は、音の個数こそ少ないですが、あらゆる可能性を1音1音に託しています。細かな強弱、アーティキュレーションなど、とても凝っています。ピアノ曲では、このような、一見子供向けのように見えて、実はそうでないという作品はいくつかあります。例えば、ラヴェルの連弾曲「マ・メール・ロワ」もそうです。大人がこういう作品を演奏するには、力強い表現が邪魔になり、かえって難しさがあると思います。</p>

<p><br />
第1曲「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」　クレメンティの練習曲集が題名になっています。これは、1915年作曲の12の練習曲の第1曲と同様に、無味乾燥な練習曲をいやいややっている子供の姿を連想させます。練習曲の第1曲では、とても露骨に、練習曲のつまらなさを表現していますが、この作品ではそれほどでもありません。ただし、冒頭の2小節に対し、その後は複雑な変化が連続します。文学的に考えると、子供の自由なイメージといい加減な練習風景が描写されているように思いますが、むしろ、分散和音のさまざまな変容ととらえた方が表現しやすいのではないかと思います。</p>

<p></p>

<p>演奏上の問題について<br />
　この作品を音楽的に演奏するには、和声に対する理解が欠かせないと思います。まず、出だしの2小節ですが、いくつかポイントがあります。1つ目は、バスのcのオルゲルプンクトの響きを聴きながら右手の16分音符を演奏しなければいけないことです。避けたいのは、バスが全く響かない状態で右手だけが鳴っている状態です。2つ目は、右手の表現です。解釈は2通り考えられるでしょう。つまり、1つは、書いてある通りに16分音符をすべて均等に弾く方法です。もう一つは、右手を分散和音ととらえ、自然な和音の連結として線を表現する方法です。3小節以降では、楽譜に16分音符とともに8分音符や4分音符が書かれていますからそう演奏することは明らかですが、冒頭の2小節は16分音符のみなのでどうすべきかということです。恐らく、ドビュッシーは2小節ごとに、徐々にラインを明確に出していくようにという発想で記譜したのではないかと思われます。従って、最初の2小節は、右手を和音ととらえたときの上のライン、つまり、edfegfa(g)と揺れながら上昇していくラインをさりげなく浮かび上がらせ、和音の下のライン、つまり、gfaghah(c)をそれに従属させ、結果として和声の揺らぎを表現すると良いのではないかと思います。3、4小節では、その上のラインがよりリズミカルに表現され、5、6小節ではレガートで多少ロマンティックに表現されるといった形です。そして、3小節からはバスのラインも動きが出て、ソプラノのラインとの2声体を形成します。並進行、反進行をよく意識するべきだと思います。この部分は、12の練習曲の第1曲と同じで、冒頭から徐々に音楽的に変容していくという形になっていると思います。</p>

<p>　7小節からは、IV7和音の分散和音ですが、これはV、そして和音につながることを意識させます。しかし、9小節で借用IV7になって雲行きが怪しくなり、ついには11小節でa-mollにいってしまいます。さて、この部分ですが、7小節に対し、8小節はそのエコーのように演奏するべきでしょう。9、10小節も同様です。しかし、9小節では借用和音ですから、8小節よりはより曇った音色にするべきです。また、10小節は9小節のエコーですから、結果として7小節をあまり音量を落としすぎないようにしなければいけないでしょう。また、10小節の3、4拍は全音階になっていますから、これは響きとして意識して良いところです。11、12小節はa-mollのV和音で新たな展開を感じさせます。ところが、13~16小節はeを主音とする教会旋法的で、緩んだ経過的な感じが出ています。20小節までは、4分音符ごとに、3和音に2音または9音が付加された分散和音が接続されています。17、18小節はa-moll,h-mollのV9和音の交替ですが、19、20小節はまた教会旋法的で、21小節でa-mollのV7和音の響きですが、その中にC-durのV9（借用）の響きが隠されていて、22小節のC-durに接続します。この部分は経過的な雰囲気を持っていますが、17、19小節などでは音色を変えないと単調になってしまいます。</p>

<p>　22小節からは冒頭と同じ形が始まります。展開部のようにとらえることができるでしょう。冒頭と異なるのは、23小節でバスが動くことです。したがって、上段の4分音符ごとの音符のライン、すなわち、egfisa(g)とバスのライン、すなわちcadh(e)をバランスよく2声体で響かせるべきでしょう。ここでもeを主音とする教会旋法が続きます。24~29小節では、バス、ソプラノの2声をバランスよく歌いながら和音の揺らぎを表現します。また、27小節では、ソプラノは柔らかいスタッカートで演奏するなど、アーティキュレーションや微妙な強弱にも注意が必要です。</p>

<p>　33小節ではB-durに転調します。特に、33、34小節の右手は冒頭の主題のモチーフが2倍の音価になり、しかも2声でかけあいをしていますから、それをさりげなく表現しなければいけません。37小節ではDes-durに転調し、さらに曇った音色で演奏します。テンポはその前より多少早いですが、それは冒頭の雰囲気よりは遅いというイメージの方が演奏しやすいかもしれません。38小節からは下段に右手を飛び越えて新しいラインが出てきます。表情豊かにという指示はありますが、右手のニュアンスは冒頭のニュアンスと寸分変わらない表現を忘れないようにしたいところです。</p>

<p>　45小節では、半ずれして、C-durに転調して再現部が始まります。46、47小節に、冒頭とは違う、カデンツを意識させる強弱指示があります。また、49、50小節では強弱指示がやはり冒頭と異なっています。冒頭より多少表情豊かに表現するように、という指示に見えます。55小節はc-mollのVI和音の5音上方変位和音でしょうか、一瞬不安げで緊張感を与えています。これが57小節からの部分をとても効果的にしています。</p>

<p>　57小節からは、注意する点がいくつかあります。まず、フォルティシモは73小節まで出てこないことです。クレッシェンドは我慢しなければいけません。これは、細かな強弱指示を守ることで、変化にとんだ抑揚を表現できます。速さも、67小節からの部分が音楽的に表現できるテンポから逆算して、あまり速くしすぎないことが大切です。バスにメロディーラインがあります。これは比較的簡単に歌うことができますが、借用和音による音色の変化も同時に表現するべきです。例えば、58小節、60小節の3、4拍、62小節、64小節の3、4拍です。こういったことを注意して最後まで演奏すれば良いと思います。</p>

<p>　和声の質感による音色の変化がないと、本当に練習曲のようになってしまいますが、ドビュッシーはとてもよく考え抜いてこの作品を書いていることを理解しなければいけません。</p>]]>
        
    </content>
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    <title>「子どもの領分」より第2曲「象の子守唄」</title>
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    <published>2008-08-14T15:00:01Z</published>
    <updated>2010-06-21T09:34:20Z</updated>

    <summary>今回の曲目  「子どもの領分」より第2曲「象の子守唄」　3m21s/YouTub...</summary>
    <author>
        <name>admin</name>
        
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        <category term="子供の領分" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/knk_dbsy/">
        <![CDATA[<p><strong>今回の曲目</strong><br />
<img src="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/knk_dbsy/images/onpu.gif" alt="音源アイコン" width="14" height="14"> <a href="http://www.youtube.com/watch?v=j14SQQjlQFo">「子どもの領分」より第2曲「象の子守唄」</a>　3m21s/YouTube<br />
　ユーモラスで可愛らしい象のぬいぐるみを思わせる音楽です。冒頭から5音階や全音階が用いられ、とてもニュアンスが豊かです。また、音の個数も少ないので、ただ弾くだけなら、6曲中で最も易しい作品の1つです。しかし、この作品は、表情はとても優しいのですが、表現の意味はとても深く、考え抜かれています。2つの主題が用いられていますが、これらの断片が曲中の至る所に現れ、最後は2つが同化するような構造になっています。そういう意味では、ベートーヴェンのいくつかのソナタの発想が用いられていると考えても良いと思います。</p>

<p>　演奏者の楽曲についての把握力が露骨に現れてしまう難しい音楽だと思います。</p>

<p></p>

<p>演奏上の問題について<br />
　1~9小節まで、ドビュッシーとしては珍しく、とても息の長い第1主題が5音階で歌われます。柔らかく、さりげない抑揚をつけて歌わなければいけません。しかし、明白に抑揚を表現するのは8小節だけです。4、5小節に上段に出てくるfgという長2度の和音はいろいろな解釈ができるでしょう。クラスター和音と考えることもできますが、第1小節の4拍目の音が断片として同時音で表現されていると考える方が自然かもしれません。9、10小節はG-durを感じさせますが、11~16小節は全音階和音で不安げな響きに変わります。17、18小節はB-durの借用VI和音でしょうか。いずれにしても、5音階ですが、19小節からのB-durに続きます。</p>

<p>　19、20小節は、21小節から始まる第1主題の前奏ですが、厄介なことに、2拍目にテヌートがついていて、しかも表現のしにくい強弱指示があります。この上段の音型は、第1小節の4拍目、第2小節の1拍目の音型がそれぞれ同時音になったものと考えて良いでしょう。つまり、この歌い方のニュアンスがそのまま19、20小節のテヌート指示になっていると考えられます。21小節からはsemprepp でメロディーを歌うべきです。25小節から中声部に長2度の保続音が出てきますが、これも第2小節の1拍目の同時化による和音です。</p>

<p>　29~32小節ではこの長2度の和音、つまり、第1主題の断片が組み合わされて、33小節から始まる第2主題がおぼろげに出てきます。38~46小節は、この2度音程のモチーフが左手の伴奏に現れ、中声部にも現れています。そして、響きとしては全音階和音になっています。47小節からはGes-durで第2主題が出てきますが、49~52小節では第1主題の断片がD-durで現れます。この間、Ges-durのV音がオルゲルプンクトで鳴り続けていますが、49小節で明白に明るい音色に変えるべきです。54~58小節ではまた第2主題の断片がバスからソプラノに現れます。また、56小節で縮節が起こっています。57小節からes-mollに転調しています。細かい強弱の指示を守らないととても単調になってしまいます。63小節からは、B-durで、上段は第1主題と第2主題が同時に現れます。ほぼ同格の音量できれいに歌うべきです。70小節からはバスに第2主題が現れます。テンポを落とさずに徐々に消え入るように演奏します。78、79小節のソプラノに39小節のモチーフが現れ、また曲が展開されるような期待を持たせますが、そのまま消え入るように終わります。</p>

<p>　響きが薄いですが、アーティキュレーションと強弱を丁寧に表現し、しかも立体的に響くようにすることが大切だと思います。</p>]]>
        
    </content>
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    <title>「版画」より第1曲「塔」</title>
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    <published>2008-07-31T15:00:01Z</published>
    <updated>2010-06-21T09:35:10Z</updated>

    <summary>今回の曲目  「版画」より第1曲「塔」　5m50s/YouTube 　「塔」、「...</summary>
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        <name>admin</name>
        
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        <category term="版画" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/knk_dbsy/">
        <![CDATA[<p><strong>今回の曲目</strong><br />
<img src="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/knk_dbsy/images/onpu.gif" alt="音源アイコン" width="14" height="14"> <a href="http://www.youtube.com/watch?v=N1xVlXuzsWo">「版画」より第1曲「塔」</a>　5m50s/YouTube</p>

<p>　「塔」、「グラナダの夕べ」、「雨の庭」の3曲からなるこの曲集は1903年、 ドビュッシーが41歳のときに作曲されました。この作品は、ただの標題音楽ではあ りません。音によって、視覚的なイメージだけではなく、絵画、詩、大自然、異国情 緒などがすべて表現されています。この世界は、その後、映像1、2集、子供の領分 などを経て、不滅の傑作、前奏曲集第1巻、第2巻へと発展していくのです。</p>

<p>　また、この頃のドビュッシーの作品は、仮面、喜びの島など、ピアニスティックな ものが多いのですが、この曲集も例外ではありません。</p>

<p></p>

<p>第1曲「塔」　ドビュッシーは1889年にパリで行われた万国博覧会でさまざまな影響を得たのですが、その中でもジャワのガムラン音楽に衝撃を受けました。東洋の異国情緒に惹かれた結果、ドビュッシーはほぼ15年ほどの歳月をかけて、このような東洋の音楽や風景などを、物まねではなく、独自の表現で表すことに成功しました。バッハはフーガ形式で対位法をつきつめました。バッハに代表される、いわゆるフーガは、主題が繰り返し現れ、複雑にからみあってきます。ドビュッシーは、主題を組み合わせるだけでなく、リズムや和音を組み合わせることで対位法の新しい概念を生み出しました。この作品を演奏するために、実際のガムラン音楽を映像付きで楽しむことはとても重要だと思います。東洋風の5音階、鐘の音、いろいろな打楽器の音色などが複雑に絡み合った作品です。発表された当時からとても高い評価と人気を誇った作品です。</p>

<p></p>

<p>演奏上の問題について<br />
　様々なモチーフが出てきますが、それらの音質、音色を決定して、同じモチーフは常に同じ音質、音色で表現するようにすると良いと思います。例えば、3小節からソプラノで出てくるモチーフの性格、7小節からテノールで出てくるモチーフの性格、11小節から中段で出てくるモチーフの性格、15小節から上段で出てくるモチーフ の性格、これらを決定し、更にリズムを刻む和音などと組み合わせることで拡張された対位法が表現できると思います。</p>

<p>　曲はH-durで始まります。1~10小節ではバスにI和音（3音省略）のオルゲルプンクトが鳴り響き続けます。1、2小節はI和音（3音省略、6音付加）が柔らかい シンコペーションを伴って提示されます。これに第3音、第2音を付け加えることで東洋風の5音階が出来上がり、それが3、4小節になっています。ソプラノに現れる主題は「繊細に、ほとんどニュアンスなしに」と指示があります。細い音質で表現するべきですが、3小節のソプラノは全体として音型が上昇して下降する形になっていますから、ごく自然に、ほんの少しだけフレーズ感をつけると良いでしょう。4小節 のrit. は、ごく軽くしないと2小節ごとに音楽が停滞してしまうと思います。4拍目の3連符にテヌートをかけるようなイメージで良いと思います。5、6小節はIV度上のV7和音ですから、より柔らかい響きに変化させるべきでしょう。7小節から10小節の2拍目まではIV和音（6、7音付加）で、10小節3、4拍目はgis-mollのV和音とVI和音が混ざった響きですが、11小節でgis-mollのI和音に向かうようにした いところです。ここまで偶数小節でついていたrit. が10小節にないのはこれが理由だと思います。この部分までを見ると、ソプラノは2小節ごとに同じモチーフが繰り返され、バスはh, fisのオルゲルプンクトになっていますから、変化している部分は、結局、今述べてきた和声だけです。従って、10小節までを音楽的に表現するには、ソプラノのモチーフとオルゲルプンクトを一定に表現し、和声のニュアンスの変化をしっかりと表現する、そういった対比の感覚が必要になるでしょう。</p>

<p>　11~14小節では、ソプラノは3小節のソプラノで出てきた主題の拡大形で、 アーティキュレーションが変奏されています。しかし、性格は3小節からの部分と同様に、あまりロマン的に歌わない方が良いでしょう。バスはI和音の根音gisのオルゲルプンクトで変化はありません。従って、表情豊かにするのは中声部に新たに出てくる主題でしょう。ソプラノのモチーフと音質、音色を変えて表現するべきでしょう。 ここでは、ダンパーペダル、ソフトペダルを両方使うようにという指示があります。 しかし、音量は、それまでのpp からp に変化しています。1~10小節はソフトペダルを使わないという解釈も成り立つのでしょうが、むしろ、1~10小節は、3小節目にある指示を考えても、ソフトペダルを使うのは当たり前で、11~14小節ではまだ引き続きソフトペダルを使い、盛り上げすぎないようにという指示であると解釈することができます。15小節からは経過的な部分です。バスにはdisとcのトリル音型 が22小節までオルゲルプンクトで響き続けます。これはgis-mollのV7和音のオルゲ ルプンクトと考えても良いでしょう。ソプラノに新たな主題が出てきますが、指示通りの強弱を守るべきです。ここからは動きが出てきますから、ソフトペダルを使わない方が良いでしょう。この上段の部分は、ソプラノ以外の和音の揺れを表現するべきです。特に、ソプラノとそれ以外の部分がほぼ反行形になっているので、収縮する感 じを表現すると良いでしょう。18小節の4拍目から19小節にかけては、IV和音か らI和音への進行を意識したいところです。この部分の上段のgisの有無や#の有無については諸説あるようですが、どちらともいえない部分だと思います。</p>

<p>　19~22小節のメロディーは、11~14小節の中声部のものと同じと考えるべきです。従って、20小節の上段のgisのオクターブは、4分音符のgisのオクターブが重なっていて、それが省略されていて、19小節の2拍目以降の中段のオクター ブ、つまりdis cis fisのオクターブにつながっていると考えるべきです。つまり、こ のオクターブの旋律を1本でつながっているように演奏する必要があります。20~22小節の上段のオクターブの線と下段のバスのオクターブの線の響きのバランスをとりながら、dis cisのトリル音型を滑らかにつなげ、なおかつ、今述べた旋律を11~14小節の旋律と同じように歌わなければいけないので、この部分は多声的な表現をする意味でとても難しいところです。19小節の左右の手の配分は楽譜通りでも良いですが、3番目の8分音符のdisのオクターブの下と、2拍目のhのオクターブの下、3拍目のgisのオクターブの下、4拍目のfisのオクターブの8分音符の下を左手でとって演奏した方が楽な場合はそうしても良いと思います。また、19~22小節 では、69~72小節の部分と異なり、ほとんどmp までの音量に落として演奏するべきです。23~26小節では、3、4小節の上段の主題が2声で線的対位法でからみあっています。性格は3、4小節の上段のものと同じである必要があります。なお、24、25小節の間には大きな跳躍があり、しかも、25小節でsubito pp にしなければいけないのですが、この部分の間をあけてしまうとロマン派的な表現になってしまうので避けるべきでしょう。同じ理由で22小節の終わりではrit. をしないように、また、19小節で少しテンポが速くなったまま23小節以降もそのテンポを持続する必要があります。この部分もテンポを保つのはなかなか難しいところです。</p>

<p>　27~30小節の下段の旋律は一息で、しかも、フレーズ感を出すと良いでしょう。これは33小節からの旋律の予出です。また、ここでsubito で冒頭のテンポにし、しかもsubito pp にしなければいけません。</p>

<p>　33小節からは上段に新たな主題が現れます。これも5音階です。結局、すべての主題が5音階であることがとても興味深いところです。5音階は特徴的なので、どうしてもメロディーのニュアンスが似てしまうのですが、すべての主題を5音階にして、単調にならないのは素晴らしいことです。37小節から現れる下段の主題は大き なうねりとなって41小節からのクライマックスで繰り返されます。同じような繰り返しが46小節から続き、53小節で3小節目からの部分が再現されます。この部分はH-durのI和音に戻るのですが、V和音、IV和音などでカデンツを形成しない特徴があります。特に53小節の3拍目裏で冒頭のテンポに戻る指示を正確に守るべきです。あとはほぼ忠実な再現になっています。73~77小節のcis disのトリル音型は、19小節からの部分と同様になめらかに表現されるべきで、そのために、左右の 手の配分を弾きやすいように変えても良いと思います。19小節からの部分に比べ、このトリル音型は音が厚くなっていますから、大きく弾きすぎるとバランスが悪くなります。響きとしては従属的であることに注意してバランス良く響きを作ると良いでしょう。</p>

<p>　80小節からのコーダは、バスがh a e d cis hと下降していき、中声部では、3~10小節の主題、そして37~39小節の主題が息長く歌われます。上声部では5音 階和音のアルペジオが伴奏になっています。響きのバランスとしてはバスとソプラノの響きをバランスよく配置し、そこに中声部のメロディーを浮かび上がらせると良いでしょう。決して、上声部のみが目立つようなバランスは避けるべきです。また、和 声の変化による色彩の変化もつけると良いでしょう。80、81小節はI和音、82、83小節はIV度上のV度和音、84、85小節はIV7和音、86、87小節はVI和音、88~94小節はV度上のV度系和音、95小節以降がI和音となっています。 94~95小節はフレーズを大きめにとって良いと思います。80小節以降の強弱の指示は、いま述べた和声の変化を表現するためについていると考えて良いでしょう。 上段のアルペジオですが、同時和音のポジション移動としてとらえるとうまく弾けると思います。例えば、80小節では、下降するときと上昇するとき、2の指はcisからdisにポジションがかわり、他は変わりません。それを認識すると良いでしょう。</p>

<p>　常にバスの全音符の音を聴きながら他の声部を演奏するように心がけると響きのバランスが良くなり、立体的な響きを作ることができると思います。</p>]]>
        
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    <title>「版画」より第2曲「グラナダの夕べ」</title>
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    <published>2008-07-31T15:00:00Z</published>
    <updated>2010-06-21T09:35:47Z</updated>

    <summary>今回の曲目  「版画」 より第2曲「グラナダの夕べ」　5m53s/YouTube...</summary>
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        <name>admin</name>
        
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        <category term="版画" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/knk_dbsy/">
        <![CDATA[<p><strong>今回の曲目</strong><br />
<img src="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/knk_dbsy/images/onpu.gif" alt="音源アイコン" width="14" height="14"> <a href="http://www.youtube.com/watch?v=NNR5aseEcxc">「版画」 より第2曲「グラナダの夕べ」</a>　5m53s/YouTube<br />
　スペイン南部のアンダルシア州のグラナダ県には、世界遺産にも登録されているアルハンブラ宮殿があります。この宮殿が夕日に染まり、けだるい夜が始まる。そこにはハバネラのリズムがあり、ギターをかき鳴らす音、強烈な甘い香水の香り、こうい ったさまざまな要素が複雑に絡み合い、融合している作品です。ドビュッシーは、 我々にこの作品の質の高さで驚嘆させますが、それだけではありません。実は、ドビュッシーは、ここまでスペイン的な作品を作曲したにも関わらず、一度もスペインには行ったことがないのです。しかも、ドビュッシーの死後、スペインの大作曲家、マニュエル・ド・ファリャは、この作品が最もスペイン的な作品であると述べていま す。想像のみで、しかもスペインの民謡も一切使わずにこういう作品を作曲したことは、我々に興味深いことを教えてくれます。つまり、高い知性さえあれば、真実は実物に触れなくてもわかり得るということです。現代の我々は、インターネットやテレビなど、各種メディアを通じて、ドビュッシーの時代には想像もできないような多くの情報を瞬時に得ることができます。大いに活用し、想像力を高めたいものです。</p>

<p></p>

<p>演奏上の問題について<br />
　まず、ハバネラのリズムが冒頭から始まります。ドビュッシーは、「気取らない優雅なリズムでゆっくりと始める」と指示しています。テンポは、7小節からの下段の主題を表情豊かに歌える速さです。cisはオルゲルプンクトですが、それ以上に、ハバネラのリズム自体がオルゲルプンクトになっています。従って、テンポは決して崩れてはいけません。ドビュッシーはこのハバネラのリズムを、細かいアーティキュレー ションの指示によって正確に表記しています。最初の4小節でリズムを提示した後、5、6小節は縮節になり、7小節から始まる、下段の旋律が間延びせずに出現するように工夫してあります。旋律はアラビア音階的で息の長いものです。たとえば、7小 節の最初のdは、cisの倚音ですから、dの方が強勢です。しかし、cisは消えないようにして、8小節2拍目のdにつなげなければいけませんから、十分音の響きを聴いて、その響きの上に上段の響きを乗せなければいけません。上段のテンポは一定で、下段の主題はあるていどのルバートが必要です。17小節からの部分のテンポを速くする考え方もありますが、Tempo Giustoとは、正確なテンポということなので、16分音 符の音価を均質にすることが大切で、実は、そうすると、少しテンポが速くなったような錯覚を与えるので、速くする必要はないと思います。この部分は、明らかにギターの音楽です。</p>

<p>　23小節からはルバートと指示されていますが、それは上段の主題の歌い方がある 程度自由であるという意味で、下段のハバネラのリズムがオルゲルプンクトである以 上、26小節までテンポは一定です。ここでは全音階和音が用いられていますから、 不安げな表情をつけると良いでしょう。29小節からは、17小節からの部分に比べ音域が高いですから、少し活発な印象を与えて33小節につなげるとよいでしょう。 33小節からの部分もテンポは一定ですが、上段は、16分音符、付点8分音符、3連8分音符の音価を正確にするべきです。それによって、自然なルバートがかかったように聞こえます。特に、テヌートのかかっている音符は十分丁寧に響かせる必要があります。ここまで、調を特定するカデンツは1度も出てきません。38~60小節 はA-durを認識できます。ここでは、やはり、ハバネラのリズムを一定に刻むことが大切です。そして息の長い第2主題を、決して硬くない、堂々とした音で演奏します。 38小節はmf で、41小節2拍目裏のff までなめらかにクレッシェンドします。45~49小節には、強弱の指示が細かくありますが、45~47小節までと48、49 小節ではピークの位置が異なります。この間、全く同じ強弱の揺れにすると単調にな るので注意が必要です。また、45~49小節の響きのバランスは、旋律の上下関係 が変わる51小節以降も守らなければいけません。58、59小節でも、上段から下段に移る中声部のメロディーを滑らかに連結するべきです。61~66小節は23~ 28小節と同様ですが、何カ所か音が異なっています。違いを注意深く調べるべきで す。67小節からはFis-durに転調します。「更に無造作に」という指示があります。また、PPは とてもデリケートに演奏するべきでしょう。また、69~77小節の上段 はオクターブの声部とそれ以外の声部の2声体になっています。ルバートは必要です が、16分音符、8分音符、3連8分音符の音価の違い、テヌートをはっきりと表現すべきです。また、72、73小節の強弱の指示は、73小節2拍目だけが強弱の向 きが異なり、しかも3連符になっています。76、77小節はさらにテノールにも声部が増え、多声的になります。76小節のsubito p 、78小節のsubito pp は、間をあけずに瞬時に音色も変えるべきでしょう。78小節からの部分は23小節からの部分と似ていますが、ここは全音階和音ではありません。</p>

<p>　84、85小節では、リズム動機として、84小節の上段と、85小節下段のバス がDuxとComesの関係になっています。他の部分も同様です。92~97小節は、17 ~20小節の再現ですが、バスの音型が微妙に違います。テノールをさりげなく際立たせると良いでしょう。また、96、97小節では、Gis-durでかかれていますが、97小節2拍目裏で、半ずれしたA-durに解決します。間をあけず、はっきりと音色を変 えなければいけません。ここからは41小節からの主題が中声部にオクターブで現れ、ソプラノにハバネラのリズム動機が、和声の変化を伴って一種のリズムのオルゲルプンクトになっていて、しかも、バスにはV音eのオルゲルプンクトが続きます。従って、真に安定した状態ではなく音楽は続きます。ここの中段と下段は左手だけで弾きますが、とても困難なところです。音量はとてもおさえ、しかも中段を際立たせ、バスの響きも残し続けなければいけないからです。99小節以降は左手の脱力した広範囲な平行移動が必要です。この左手の跳躍のために間があくことは絶対に避けるべきです。和音のポジションなどをよく確かめながら、音を鳴り終わるまで良く聴いて演奏するとうまく演奏できることが多いです。しかし、リズムは決して緩んではいけません。</p>

<p>　109~112小節はcを主音とする教会旋法です。恐らく、フラメンコのカスタネットを模していると思われます。テンポの指示は「四分音符は前の8分音符に相当する」とあります。また、「軽く、遠くで鳴っているように」と指示があります。108，109小節の間をあけず、音質、音色ともに即座に変化させます。</p>

<p>　113，114小節は、67小節からの部分の縮節で、c調の遠隔調Fis-durになっ ています。119~121小節も同様です。122小節からの部分は、コーダです が、テンポは冒頭のテンポと同じです。この下段の和音と上段のメロディーの両手の 配分はいろいろと工夫して、127小節までメロディーが途切れないようにしたいところです。</p>

<p>128小節からは17小節からの部分の縮節となり、130小節からはgis fisのモ チーフが1小節単位で3回繰り返され、それが倍の長さで133，134小節で出て きます。これらを1本の手で弾いているように滑らかに連結する練習が欠かせません。最後は消え入るように終わるべきです。</p>

<p>　テンポルバートの真の意味がこの作品で勉強できると思います。</p>]]>
        
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    <title>アラベスク第二番</title>
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    <published>2008-07-17T15:00:02Z</published>
    <updated>2010-06-21T09:37:46Z</updated>

    <summary>今回の曲目  アラベスク第二番　3m31s/YouTube 　この作品も、第１番...</summary>
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        <name>admin</name>
        
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        <category term="アラベスク" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/knk_dbsy/">
        <![CDATA[<p><strong>今回の曲目</strong><br />
<img src="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/knk_dbsy/images/onpu.gif" alt="音源アイコン" width="14" height="14"> <a href="http://www.youtube.com/watch?v=JHJmqUzx5gU">アラベスク第二番</a>　3m31s/YouTube</p>

<p>　この作品も、第１番ほどではありませんがとても有名な作品です。飛び跳ねるような軽やかなリズムが全曲を支配し、様々に異なる長さのフレーズが組み合わされることで単調になることが避けられています。演奏するにあたっては、記譜上で曖昧な点がいくつかあり悩ませる部分もありますが、軽やかな３連符の１６分音符と軽やかな和音のスタッカートをうまく表現したいです。そして、第１番と共通したリズムモチーフを用いていることも興味深いところです。性格的には１曲目がAndantino、２曲目がAllegrettoですから、似たようなテンポです。しかし、リズムの質感が異なる部分を表現すれば明確なコントラストを得ることができるでしょう。また、同じ時期に作曲されている「ベルガマスク組曲」の質感に通じるバロック的な世界をもっていると思います。一貫したテンポで、決して荒っぽっくならないように表現したい音楽です。</p>

<p></p>

<p>演奏上の問題について<br />
　拍子は４分４拍子でテンポはAllegrettoですから、あまり速く弾きすぎないことが大切だと思います。</p>

<p>　冒頭の４小節はG-durでV7　III　V7と進行して５小節でのIに解決します。この４小節の上段は、３連符が刺繍音になっています。たとえば、最初の３連符はe音の装飾と考えられます。そう考えると、上段は４小節の間、ずっとeが保続音として鳴り続け、その中で１小節はaのオクターブ、２小節目はhのオクターブ、３、４小節はcと順次進行していると考えて良いでしょう。そう考えると、バスのライン、cis　h a dと反行形になっていることがわかります。この反行形とV~Iの進行をあわせてdim。を表現すると良いでしょう。５小節でppになっていますが、音が抜けない程度の弱奏にすると考えると、そこから逆算して冒頭のpの音量を決めるべきです。あまり弱く始めてしまうとあとが大変ですから、そのあたりを計算すると良いでしょう。</p>

<p>　５~７小節はI和音とIV和音の交替です。この和音の交替を、バスのラインを中心に表現するべきです。５小節の下段最初のgを残すべきですが、ペダルを踏みすぎると上段が重く、濁ってしまいますから、軽く踏むべきです。また、和音は付点４分音符ですから、長く延ばしすぎないようにしなければいけません。７、８小節の細かな強弱ですが、２拍ごとにsubito ppになっていることに注意しましょう。また、７小節３拍目や８小節１拍目に入るときに間をあけないようにしなければいけません。この部分では、バスのライン、h c cis dは意識しなければいけないと思います。８~９小節ではV度上のV7からV9となっていますから、フレーズを閉じるべきです。なお、５小節からの下段の８分音符には７小節目までスタッカートがついていますが、８小節からはありません。これは、単にsimileのために省略されていると考えてよいと思います。</p>

<p>　１１小節後半からD-durに転調していきます。そのために、１１小節３拍目のバスのcisは大切な音です。１３小節は前半のピークですが、mfですからさりげない表現が大切です。１４小節でD-durでカデンツを閉じますが、Iの２転のあと、V13からIに解決しています。４個目の８分音符のfisが特徴的な音です。ちょっと普通の解決になっていないところも意識すると良いでしょう。また、この部分は属調ですから、始まりよりも少し明るく表現するべきでしょう。</p>

<p>　１５小節ではまたG-durになり、元の明るさにします。ここから、アラベスク第１番で特徴的であったリズムモチーフ、すなわち、４分音符、２分音符、４分音符の組み合わせが出てきます。その指示がmfであると考えられます。１８小節まで、細かい強弱を忠実に表現するべきです。特に１６、１８小節の強弱のピークは、装飾音の存在を考えてみても、上段のfisではなくaにあると考えてよいでしょう。これによってリズムが一層複雑になっています。１９小節ではしっかりとpにして経過句的な性格を表現し、２３小節のfに向かうべきです。この部分は、テーマが左手に出てきていると考えるべきで、右が強くなりすぎないようにしなければいけません。２３小節では、その左右の音量のバランスを突然交替することで、一層fを引き立てることができます。ここからは、５小節からと同様、I和音とIV和音の交替です。また、２３、２４小節の下段の４拍目は、軽いsfがついていると考えて表現すると良いでしょう。２５~２８小節はI（２転）、V7（５音上方変位）、Iと進行しています。２７小節冒頭のPに向かって、逆算したdim。をかけると良いでしょう。なお、２７小節はスタッカートがありません。恐らく、柔らかい音質を要求されているのだと思います。</p>

<p>　２８~３７小節は前半部分のコーダです。特に上段で、アクセントとスタッカートが区別して指示されています。この質感の違いをしっかりと表現したいところです。３２小節ではH-durに転調しています。属調ですから、普通に演奏してもpiu fの質感が表現できると思います。音量よりも、より明るくなった、そういう感じを表現すると良いでしょう。この部分は１０４小節からの部分と同じですが、和音の音符の長さ、スタッカートの有無などが微妙に異なります。これがミスプリではなく、ドビュッシーがこの違いをはっきりと区別して表現するように要求していたと考えるのなら、音符の長さを正確に表現する必要があります。また、３２小節からの上段の１６分音符はつぶれた音にならないようにクリアに表現すると良いでしょう。３７小節のgのオクターブもスタッカートがありませんから、ソフトな音質で表現するべきだと思います。</p>

<p>　３８小節からは下属調C-durですから、少し落ち着いた表情で表現するべきです。また、第１番と同様に、この作品も中間部は４声体の多声音楽でかかれています。４４小節までは単純なI和音とV和音の交替ですから、ラインのバランスをうまく表現しないと単調になります。</p>

<p>　３８~４１小節はソプラノとバスのラインが反行していて、それにあわせて強弱の揺らぎを表現します。なお、ソプラノはスタッカートのある部分とない部分があります。スタッカートを省略していると考えるか、これらを区別して表現するかは演奏者の判断だと思います。もし区別して表現するのであれば、表現はなかなか難しいと思います。中声部のgとfはシンコペーションリズムを伴った保続音ですから、この２音を右手の１の指で同時にとると左手のバスのラインが滑らかに演奏できます。４２、４３小節もシンコペーションと連動して強弱がついています。４４小節からは和音の第１展開形の並進行です。この中間部全体が落ち着いたニュアンスで統一されていますから、ここでのクレッシェンドとsfはほどほどにするべきでしょう。４５小節ではクレッシェンドの頂点で、E-durの和音が借用されています。より明るい雰囲気になるところです。</p>

<p>　４６小節ではsubito pにするとよいでしょう。ここでは３８小節からの部分と比べると、両外声の反進行は同じですが、アーティキュレーションが異なっています。明確に違いを表現するべきでしょう。５０小節では突然E-durに転調しています。音色を暖かく柔らかい質感に変えると良いかもしれません。５５~５６小節は半ずれしてEs-durに転調しますから、一気に曇った音色に変えると良いでしょう。５０~５３小節と５４~５７小節は同じような繰り返しですが、微妙に強弱の指示やアーティキュレーションが異なります。同じ繰り返しを避けるドビュッシーならではだと思います。音色の変化と連動して自然に区別できると単調にならないと思います。５８小節からの部分はG-durのVI度和音（借用）ですから６２小節のI和音に滑らかに連結するべきです。</p>

<p>　６２小節からは再現部です。５小節からの部分と異なるのは右手の２、４拍目の部分が同じリズムの繰り返しになっていないところです。</p>

<p>　７２小節からはC-dur（下属調）で柔らかい質感が必要です。７２~７５小節は長いドミナントです。２度同じフレーズが続きますが、細かい強弱の変化、アーティキュレーションの変化、休符の表現などに注意します。７６小節の冒頭が頂点ですが、ここはmf程度でしょう。揺れながらG-durに転調して８０~８２小節でカデンツを表します。少しリタルダンドしても良いかもしれません。</p>

<p>　８２小節は速度を落とします。最初の主題が拡大形で現れています。８３小節の３、４拍目はIV度和音（６音付加）ですから、和音の揺らぎを表現します。８６小節ではF-durに転調しますから、より曇った質感で表現します。バスのオルゲルプンクトがずっと鳴り響いているように表現するべきです。</p>

<p>　９０小節ではもとのテンポに戻ります。９５小節までは、まるでフガートのように、対位法的に表現すると良いでしょう。バスの４分音符が揺るぎない時を刻み、そこに決然とテーマが３回現れるようにすると良いでしょう。ただし、クレッシェンドは、頂点が１００小節目で、しかもフォルテなので、そこから逆算して、早くからフォルテにならないように慎重にクレッシェンドするべきです。また、９８、９９小節では、初めてソプラノとバスが反行するので、ここの部分で本格的にクレッシェンドすると良いでしょう。</p>

<p>　１００小節からは２８小節からの部分の再現です。やはり、微妙にアーティキュレーションや強弱の位置が違います。また、和音の音符の長さも微妙に違いますから、そこを音楽的に差をつけて表現できると良いでしょう。最後はとても低い音程を感じながら終わると良いでしょう。</p>

<p>　全体に軽やかで生き生きとしたリズムを刻みながら、一瞬の転調で音色を変えることなどに注意すると、とても繊細なスケルツォになると思います。</p>]]>
        
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    <title>アラベスク第一番</title>
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    <published>2008-07-17T15:00:01Z</published>
    <updated>2010-06-21T09:38:17Z</updated>

    <summary>今回の曲目  アラベスク第一番　4m40s/YouTube 　あまりにも有名なこ...</summary>
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        <name>admin</name>
        
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        <category term="アラベスク" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/knk_dbsy/">
        <![CDATA[<p><strong>今回の曲目</strong><br />
<img src="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/knk_dbsy/images/onpu.gif" alt="音源アイコン" width="14" height="14"> <a href="http://www.youtube.com/watch?v=hAeLhMj92ks">アラベスク第一番</a>　4m40s/YouTube</p>

<p>　あまりにも有名なこの作品は、ドビュッシーの初期、すなわち、１８９０年頃に作曲されています。また、ポピュラーにアレンジされたり、管弦楽に編曲されたり、発表会や子供のコンクールの課題曲になるなど、いろいろなところで耳にすることができます。前半と後半は分散和音が文字通り唐草模様のように組み合わさり、ロマンティックでみずみずしい世界が展開されます。分散和音はあたかも水面下を動くかのように滑らかに表現され、それがメロディーの一部になっています。後年の作品とは異なり、メロディーはとても息の長いものです。中間部分はやはり分散和音がありますが、美しい和声進行が少しずつ形を変えて表現され、これが前後と絶妙なコントラストを作っています。聴いた印象はとても心地よいものですが、ドビュッシーが書いた楽譜の指示の意味を汲み取って表現することは結構難しい作品です。</p>

<p><br />
　 <br />
演奏上の問題について<br />
　曲はE-dur、４分の４拍子、Andantino con moto（元気よく、適度に緩やかなテンポより少し速め）です。このテンポはいろいろ考えられますが、私は２分の２拍子ではないので、一般に演奏されるテンポは少し速すぎるように思います。もちろん、流れるように演奏しなければいけないので、あまり４分の４拍子を明白に感じさせる弾き方は良くないとは思いますが、テンポを速くしないで微妙な揺らぎを表現することが大切ではないかと思います。</p>

<p>　１、２小節は、和音が第１展開形で、IV、III、II、Iと順次進行していきながら解決します。これはルネッサンス期のフォブルドン様式です。３~６小節は通常の和声進行ですが、ソプラノのV9の第９音aは本来のgisに解決せずにeに向かうところが新鮮です。また、１~５小節のバスラインは、cis h a gis fis e dis cis h と順次下降進行して６小節のI和音の根音eに解決します。この大きな流れはさりげなく表現するべきでしょう。また、和声としても、例えば１小節目では、eからdisへ、２小節目ではaからgisへの揺らぎを意識したいところです。これらをふまえて、なおかつ線として１本に、滑らかにつながるように演奏しなければいけません。３小節目からは、バスのライン、ソプラノのメロディーの２声をバランスよく歌いながら、中声部の分散和音で色と動きを表現します。５小節では、７５小節と異なり、４拍目にdim。 がありません。最後の２つの８分音符はテヌートをかける感じでrit。すると良いのでしょうか。そして６小節目はsubito ppとしなければいけないようです。また、rit。 を早いうちから始める演奏が多いですが、書かれている通りに演奏すると、過度にロマンティックにならないように思います。このように、最初の５小節はとても難しいと思います。</p>

<p>　６~９小節はIとVI和音の交替で安定した揺れを表現し、１０~１６小節では息の長いクレッシェンドを表現します。６~９小節は上段が５音階で揺れながら下降する旋律、バスはeのオルゲルプンクトの響きの上に、１小節ごとにhとcisの揺れがあります。１０小節はVI度上のIV7和音が借用され、クレッシェンドの開始部分を一層効果的にしています。この部分はpoco a poco cresc。とありますが、最弱部分と考えるべきでしょう。１２小節では縮節がかかり、これがpoco a poco cresc。の意味だと思います。１３小節からはsemple cresc。とありますが、１６小節はフォルテではありませんから、感情の高揚を表すものであって音量はあまり大きくしないことが必要です。この部分はドッペルドミナントが長く続き、和音の変化はありませんから、バスライン、すなわち、ais cis e fis ais cisと続く上行音型に注意を払うと良いでしょう。また、上段は、フレーズが徐々に短くなって、１６小節の最後では１つずつにテヌートがかかるようになっています。ここも縮節が効果的に用いられています。</p>

<p>　１７、１８小節は冒頭と同じですが、ソプラノに２分音符の下降音型があります。これはバスのcis h a gisのラインと６度の関係になっていますから、この２声をバランスよく響かせると良いでしょう。１９小節からはめまぐるしく転調しながら２６小節に落ち着きます。細かいテンポの揺れなどを転調や和声の揺らぎと関連づけて表現することが求められます。１９小節では、３小節と異なりバスがfisisになっています。１９小節から２０小節２拍目まではgis-moll（III度調）で、この部分は少し憂いのある表情で演奏すると良いでしょう。そして、２０小節３拍目から２１小節２拍目まではE-durで突然明るくなりますが、２１小節３拍目から２３小節２拍目まではcis-moll（VI度調）のIV和音とV和音の交替になっています。この部分は１９小節からの部分よりもさらに憂いの感じを強く表現するところでしょう。２３小節３拍目から２６小節の冒頭まではA-durのII和音とV和音の交替です。ここは下属調ですから落ち着いた雰囲気になります。そして２６小節の冒頭でI和音に解決し、これが２拍目の上段gによってD-durのV7和音に変わり、２９小節で元のE-durに戻ります。そして、３１~３８小節は大きなカデンツで前半を閉じます。この部分はバスの長いラインの響きの上に旋律が乗っているように演奏するべきで、そうしないとソプラノばかりが目立つ薄っぺらい演奏になってしまいます。特に３５、３６小節の右手のラインを滑らかに演奏するのは難しいですが、それを克服するだけでなく、３５小節の冒頭の下段のhの響きを聴きながら、これが３７小節の冒頭の下段のeに解決するように演奏するべきです。</p>

<p>　３９小節からは中間部分で、下属調のA-durですから、前半部分よりも落ち着いた表現にするべきです。ドビュッシーはそれを強調するために、「少し遅くして」と指示しています。ここからの部分は４声の多声音楽ですから、バッハなどの対位法的作品を演奏する場合と同じような表現が求められます。この部分で結構難しいのは、３９、４０小節、４３、４４小節、５５、５６小節、５９、６０小節が、同じフレーズですが少しずつ、すべて異なることです。よく比較検討して違いを認識するべきです。まず、前２つと後ろ２つで異なるのは、２番目の小節の２回目の和音です。前２つはシンコペーションで２拍目にありますが、後ろ２つは３拍目にあります。この違いは、活発さの違いとして表現できます。１回目はA-dur:II7　V7 VI　V度上のV7、２回目はA-dur:II7　V9（借用）VI7　E-dur:II7 V7、３回目はA-dur:V7　IV7　V9（根音省略、借用）　I　V度上のV7、４回目はA-dur:II7　V9（借用）VI7 E-dur:II7　V7となっています。これらの和声進行を考えると、１回目ではtenorのd cisのラインでV　VIの和声感を表現すること、２回目では４３~４４小節にかけての中声部のf eのラインで借用和音特有の陰りを表現することです。３、４回目も同様ですが、さらに３回目では５５~５８小節のアルトでfis f e dis d cisという半音階下降ラインがあります。４回目では、ここまでの全体のフレーズを閉じるために、６０、６１小節で、４４、４５小節にあった強弱の指示がありません。ここはsotto voceでフレーズを閉じることと、６３小節の盛り上がりの準備の両方を表現すると良いでしょう。なお、曲全体を通して、４７小節のバスに代表される、４分休符、２分音符、４分音符を連結したモチーフが用いられていることで、曲の有機的なまとまりを感じさせます。５０小節のrit。は、遅くするというよりも１つずつの８分音符にテヌートをかけるような感じです。ここでは指示通りに演奏するとすれば、dim。なしで５１小節はsubito pで演奏するべきです。５４、５５小節も同様です。</p>

<p>　６３小節からは、ソプラノのメロディーも大切ですが、和声進行としての表現を大切にするべきでしょう。なお、ここには、３９小節からの部分と異なり、レガートがありません。１つずつの和音をテヌートで表現することも一案でしょう。６７小節に入る前にdim。する演奏がとても多いですが、dim。のあるところはまだdim。をしてはいけない、という重要な表現上のルールを守れば、６７小節は頂点です。音域としても最高音であるから妥当な解釈だと思います。</p>

<p>　７１小節からは前半部分の再現です。異なる部分を詳細に調べ、違いを明確に表現すると良いでしょう。例えば、７５小節の４拍目のdim。や７６小節のp、７７小節のフレーズ、８４小節のstringendoの位置などです。８９、９０小節は８７、８８小節の変奏ですが、小さなクレッシェンドがあります。９１小節ではA-dur（下属調）に転調しますから、ここはsubito pにして曇った感じが出ると良いでしょう。９３小節は一瞬II度調和音を借用していますが、９９小節に向かってE-durの大きなカデンツになります。９３、９４小節は縮節になり、９５小節はバスのfisと上段のaを９７小節のhとgisにつなげ、これらを９８小節のhとfisにつなげながら、細かい８分音符を演奏するべきです。９８小節は少しリタルダンドをしてもよいかもしれません。</p>

<p>　９９、１００小節はpで上段は高音域、１０１、１０２小節はppで上段はIオクターブ下がりますから、エコー効果を出すと良いでしょう。１０３小節からですが、クレッシェンドは１０４小節からであることに注意して抑揚をつけるととても上品なふくらみを表現できます。１０７小節は長く音を延ばしすぎないようにするべきでしょう。</p>

<p>　とても上品な作品ですが、表面的なだけでなく、細部にわたってとても工夫され、考え抜かれた作品であることがわかります。</p>]]>
        
    </content>
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    <title>夢想（夢）</title>
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    <published>2008-07-03T15:00:01Z</published>
    <updated>2010-01-31T04:40:16Z</updated>

    <summary> 今回の曲目  夢想（夢）　4m33s 　とても美しく、文字通り「夢見るような」...</summary>
    <author>
        <name>admin</name>
        
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/knk_dbsy/">
        <![CDATA[<p> <strong>今回の曲目</strong><br />
<img src="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/knk_dbsy/images/onpu.gif" alt="音源アイコン" width="14" height="14"> <a href="http://www.youtube.com/watch?v=lzjrU8bcAoM">夢想（夢）</a>　4m33s</p>

<p>　とても美しく、文字通り「夢見るような」この作品は、演奏機会が多く、編曲も数多く存在します。しかし、ドビュッシーは、この作品をとても嫌っていました。１８９０年以前の作品で、彼の生活がまだ豊かでなかった頃に「生活のために」書かれたため、本人は不本意だと思っていました。しかも、出版社は楽譜を受け取ってから出版するまでに何年もたってから、しかも、ドビュッシーに何の断りもなく出版していました。しかし、作品に対する作曲者本人の評価と人気は全く一致しません。例えば、この「夢想」と、最晩年の１２の練習曲集の第１０曲「対比音のための」を比べてみれば明らかです。後者は、前者に比べ、響きに対する表現において、全く次元の違う段階に達したピアノ音楽の最高傑作の１つですが、多くの人にとっては未知の作品です。こういうことは絵画の世界をみてもいくらでもあります。そういえば、料理でもそうですね。牛丼チェーン店の名前は誰でも知っていますが、東京の表参道のいくつかの素晴らしいフランス料理店の名前はそうではありません。もちろん、それらを比較することは無意味ですが、気軽に楽しめるものとそうでないものは同じ作曲家の作品の中にも必ずあります。しかし、これらを同じカテゴリーで評価しなければいいのです。ぼくはこの作品をとても魅力的な作品だと思っています。メロディーはとても美しく、伴奏は、ショパンのノクターンの最高傑作の１つ、Es-dur作品５５~２を彷彿とさせるようなもので、若い頃の作品であるのにとても考えぬかれています。 そういえば、誰でも作曲できるような作品ではないので、チェーン店の牛丼と「夢想」を比較することも無意味ですね。</p>

<p></p>

<p>演奏上の問題について<br />
　ドビュッシーの多くの作品の特徴として、和声や調がめまぐるしく変化し、また、調を特定することが困難であることが挙げられますが、この作品の冒頭では、同じ和音、同じ伴奏が６小節続きます。和音としては７小節の和音に解決することを考えれば、F-durのIV和音（６音付加、５音省略）になっています（c音は経過音）。しかし、３~６小節のメロディーはF-durとは感じません。Dを主音とするドリア旋法（教会旋法）に感じます。同じ繰り返しの伴奏と、このメロディーの旋法が組み合わさって、文字通り夢見心地な雰囲気が表されています。また、バスの部分は冒頭を除けば１拍目に音がありません。これも拍子をあまり明確にならず、不安定感を表現することにつながっています。あまりゆっくりしすぎないこと、とても柔らかく表情豊かに弾くことなどの指示がありますが、過度にロマンティックな表現は避けるべきだと思います。６小節後半からF-durを明確に感じ、以降、１０小節までの範囲でF-durを確 定します。また、７小節以降はバスの１拍目に音があり、１小節ごとに変化するバスのライン、a g fの流れはフレーズを閉じる意味でもとても大切です。９、１０小節の上段の８分音符では、dがトニックの６音ですが、これと２つ後のc音を組み合わさったラインで水の揺らぎのようなニュアンスを出すと良いでしょう。ドビュッシーがこの作品を嫌った理由を私なりに考えてみると、ドビュッシーの素晴らしい作品の特徴として、長いドミナントやサブドミナントの後には、決して素直にトニックに解決しないということが挙げられるのですが、この作品は、そういう意味では正直に解決しています。これがドビュッシーの気に入らない部分の１つだったかもしれません。</p>

<p>　１１~１４小節はF-durのVI和音とII和音の交替と考えることもできますが、 d-mollのI和音とIV音の揺らぎと感じます。１０小節までと異なり、メロディーにはっきりした調性を感じます。meno p 、mfはそれを意識したものでしょうか。１５小節から４小節かけて滑らかにdim. をかけます。１７小節で小さなゼクエンツァを経てF-durのカデンツを形成しようとしますが、１９小節では解決せずにB-durに転調しま す。この部分は冒頭の１０小節と同じメロディーですが、和声がV9からI和音とはっきりしているため、教会旋法をあまり感じさせません。また、とても広い音域のアルペジオで２小節で１単位となっています。１７、１８小節と、１９、２０小節を比べればわかるように、このアルペジオの長さがメロディーの質の変化や和声変化にあわせて微妙に変化していることで単調さを避けています。１９小節ではトニックに向か わないので、subito pp で、しかも音色を変えると良いでしょう。また、２２から２３小節にかけては、esからdへの進行を響きの中の変化として感じると良いと思います。</p>

<p>　２７~３２小節はC-durのV音のオルゲルプンクトの上に、IV和音（５音上方変位）とドミナントが交替することで緊張感を表し、それがf とp のsubito の交替になっています。３１小節から３４小節は大きなカデンツを表現します。</p>

<p>　３５小節からはg-mollで中間部分が始まります。ここまで、メロディーは右手で、伴奏は左手、しかも、バスのラインに特徴的なものもあまりありませんでした。しかし、ここからは、メロディーが左に出てきますから、少なくともそれまでと左右の響きのバランスを交替するべきです。また、３７小節のように、全音符の和音が響いている上にソプラノの分散和音とバスのラインが乗ってきます。こういう部分を多層的に表現しなければいけません。つまり、前半部分に比べ、ソプラノのラインが２分音符ごとに変化し、テノールのメロディー、和音などが対位的に表現されるべきです。４１小節では増和音で緊張感が増えますが、頂点の４３~４５小節はmf なので、大げさなクレッシェンドは避けるべきです。dim. とrit. は、４５~４９小節バスのライン、gis g f g c fに対して十分かけるべきです。また、４８小節では、中声部にあるメロディーが左手から右手に引き継がれます。この部分は滑らかに連結するべきで す。５１~５８小節では２小節単位で提示とエコーが２回繰り返されます。強弱の指 示はそういうイメージで表現するとよいでしょう。５１小節はa-mollで始まります が、４４小節では一瞬F-durの響きが入りますから、さりげなく音色を変えると良いでしょう。また、４７小節では、その前のa-mollからE-durに転調しますから、暖かく柔らかい音色で表現すると良いでしょう。いずれにしても、ここの８小節は、完全な４声体で書かれていますから、ソプラノだけを表現するのではなく、４声すべてをバランスよく表現するべきです。</p>

<p>　５９小節からはバスがE-durのV音のオルゲルプンクトで、上声部に３和音でメロディーが奏でられます。PP ですが、ここはオルゲルプンクトの響きを利用して、霞がかったように演奏すると良いでしょう。６５~６８小節はH-durでIV和音とI和音の交替とともにさりげないクライマックスが築かれますが、ここでもmf が頂点ですから、大げさにはしない方が良いでしょう。６９小節では、スティリー風タランテラの再現部でもそうだったように、頂点ですがsubito p となります。</p>

<p>　６９、７０小節はとても難しいところです。まず、C-durに転調しますから、音色を変えながらsubitoでp にします。右手はgのオクターブトレモロを軽やかに弾きながら、２分音符のライン、すなわちf eの揺れを4,3の指で演奏します。しかし、トレモロでこの２分音符がかき消されないようにしなければいけません。一方左手ですが、ドミナントとトニックの揺れをつかさどる２分音符のハーモニーをきれいに出しなが ら、バスに現れているメロディーを浮かび上がらせなければいけません。しかも、６９小節ではsubito p にしなければいけません。この２小節は５声体で書かれているので、バッハの作品を演奏するような声部の独立性の表現が必要となります。７１小節では、７０小節のメロディーが右手に滑らかにひきつがれなければいけません。また、subito piu p にすることも大切です。７２小節後半で中声部のbをきっかけにF-durに転調します。７６小節で再現部に入ります。メロディーを左右でうまく配分しながら演奏するのが一般的ですが、その際、滑らかにメロディーをつなげることが大切ですが、４音の８分音符のグループの最初の音がポジションの跳躍によって堅い音にならないようにすることも大切です。そして、和音の変化をペダルで表現する際、ハーフペダルなどをうまく使ってメロディーが切れないようにしなければいけません。なお、このメロディーを右手だけで演奏し、８分音符をすべて左手で弾く方法も考えられます。その場合、メロディーを滑らかに弾くことは簡単ですが８分音符を柔らかい音で弾くことが難しくなります。しかし、メロディーを切らずに和声の変化を表現するのは簡単になります。９１小節までは前半部分とほぼ同じような再現ですが、強弱などが微妙に異なりますから、違いを表現するべきです。</p>

<p>　９２小節からはコーダです。９２~９５小節では、d-mollでIV和音とV和音の交替があったあとにトニックに解決します。和声の揺らぎを、縦の響きのバランスをうまくとりながら表現します。９６小節からの部分も音域が高くなって同じような繰り返 しになりますが、rit. e perdendosi と同時にF-durに転調しますから、この部分は突然暖かくなったような感じで音色を変えると良いでしょう。</p>

<p>　全体にフォルテのニュアンスがないので、微妙な強弱や微妙なフレーズの出し入れが必要になります。とてもデリケートで、後のドビュッシーの音楽の質を勉強するのにとても良い作品だと思います。</p>]]>
        
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    <title>舞曲（スティリー風タランテラ）</title>
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    <published>2008-06-19T15:00:01Z</published>
    <updated>2010-06-21T09:39:13Z</updated>

    <summary>今回の曲目  舞曲（スティリー風タランテラ）　5m09s/YouTube 　ドビ...</summary>
    <author>
        <name>admin</name>
        
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        <category term="小曲・他" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/knk_dbsy/">
        <![CDATA[<p><strong>今回の曲目</strong><br />
<img src="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/knk_dbsy/images/onpu.gif" alt="音源アイコン" width="14" height="14"> <a href="http://www.youtube.com/watch?v=hAeLhMj92ks">舞曲（スティリー風タランテラ）</a>　5m09s/YouTube</p>

<p>　ドビュッシーの作品にはあまり精力的なエネルギーを感じさせる音楽がないと思われているかもしれませんが、この作品のように、素晴らしい推進力と静寂のコントラストをもった作品がいくつかあります。この作品は１８９０年に作曲されましたが、この１４年後に、隠れた傑作「仮面」が作曲されます。これら２曲はスタイルがとても似ています。「仮面」に比べ、この舞曲は響きにおいてより親しみやすく、日本ではあまり演奏されていないように思いますが、ラヴェルがドビュッシーの死後にこの作品を管弦楽用に編曲していることを考えると、ヨーロッパでは結構有名な作品であるようです。演奏効果がとても高く、初期の作品の中ではもっと演奏されてもよい作 品だと思います。</p>

<p>　拍子は８分の６拍子と４分の３拍子が頻繁に交替します。これがシンコペーションの効果を生み出し、素晴らしい推進力につながります。そもそも、ドビュッシーの作 品の素晴らしさとして、和声や響きの美しさを語ることが多いですが、リズムの多様さもまた素晴らしいのです。また、中間部分は前後と同じテンポですが、音価が長くなることでとても滑らかで息の長い、静寂な音楽が生み出されます。</p>

<p></p>

<p>演奏上の問題について<br />
　まず、テンポとリズムがとても正確であることが肝要です。跳躍したり弾きにくかったりすることでテンポを崩すことは絶対に避けなければいけません。もちろん、カデンツや転調があるときは、自然なルバートはかかりますが。</p>

<p>　大きく見れば、急緩急の３部形式で、前半の急の部分は更にABAの３分形式になっていて、後半の急の部分は前半のBが省略されています。また、中間部分の緩の部分は、 静寂なイントロのあとに息の長い美しい歌が歌われます。</p>

<p>　前半の１‐６１小節を見てみましょう。</p>

<p>　最初の１２小節はE-durで、旋律は左手で歌われます。途中、５‐７小節に、III、VI、借用のIII和音などがありますが、ほぼ普通の和声進行です。第１小節にもある通り、ピアニシモでとても軽く演奏されるべきです。「版画」の「雨の庭」と同様に、音量を落とすことはとても難しいですが、ニュアンスがピアニシモであるということを大切にしたいところです。理由は、大きく見ると、５１小節まで、ほぼ単調増加で音楽が盛り上がり、それを効果的に表現する必要があるからです。１２小節でIII和音になったあと、異名同音的転調で１３小節ではAs-durに転調します。１３‐２０小節では、バスがV音のオルゲルプンクトで、１３、１４、１７、１８小節はソプラノにも同じオルゲルプンクトがあります。和声的にはとても単純です。この４小節の右手のメロディー、すなわち、c h ais h c h ais hのラインは、特に最初のcを響かせる ことがとても困難です。ソプラノのesにかき消されないようにさりげなく聞こえるように演奏したいところです。１３‐１６小節は、最初の２小節は１小節単位で冒頭にアクセントがあり、１５、１６小節では小さなカデンツで抑揚がありますから、これらの歌い方を区別するべきです。なお、ここはフラット系の響きですから、その後の盛り上がりを考えて、落ち着いた響きにするべきです。２１小節からはその前の８小節と同様の繰り返しです。しかし、調は、異名同音的転調をしてH-durになっていますから、音量は同じピアノと書かれていますが、より明るい響きで演奏するべきです。 ２９‐３５小節はソプラノとバスのラインが反行形になっていますから、これのニュ アンスを表現するために強弱の指示があると考えるべきです。一般に、両外声が広がるとクレッシェンドし、狭まるとディミヌエンドします。また、バスのラインは教会 旋法的です。３２小節では借用のVI和音を使っていますから、そのためのsubito　PP だと考えれば良いでしょう。ピアニシモの中でも左手の最後の４分音符は小さなアクセントを付けてリズムの面白さを出したいところです。３３‐３５小節では縮節にな っています。３６‐４２小節は借用のVI和音の調、すなわち一時的にG-durに転調して いますが、ここでも３７小節の下段のcisを見ればわかるように教会旋法的です。３９小節はsubitoでフォルテですが、これはあくまでもピアノのニュアンスの中であって、あまり大げさでない方が良いでしょう。４４小節からは冒頭のテーマが右手オク ターブで初めて元気よく歌われますしかし、フォルティシモは５１小節からですので、この部分はあまり強く弾かないようにするべきです。そもそも、左手は厚い和音の連打ですから、これを押さえないと右のメロディーが消えてしまいます。また、全体に音が厚いので、強く弾こうとしなくても十分フォルテになります。この左手の和音の連打では、変化する声部、すなわち、gis→aのラインを浮き上がらせて表現すると良いでしょう。５１‐５４小節では、５２小節の２拍目、５４小節の２拍目が、それまでのgisの響きから借用のgの響きに変わるため、sfz がついていますが、これは強く弾くというよりはテヌートがかかっていると考えた方がいいでしょう。このgisとg のラインを意識すると左手の困難なパッセージが楽に弾けるようになると思います。 ５５‐５８小節ではgisとaの響きがトニックとドミナントの交替で１拍ごとに交替さ れるべきです。ここはずっとフォルティシモで、dim. が始まるのは５９小節からであることに注意したいところです。６１小節の左手は、それまでのeの連打とは違ってフレーズを新しく始めるべきです。</p>

<p>　６２小節からは前半部分の中間部分と考えられます。６２‐６９小節はcis-mollでV音のオルゲルプンクトの連打が続きます。右手の和音は軽く、そして一番上の音をラインとしてつなげると良いでしょう。７０‐７７小節はgis-mollになり、その前に比べてラインがより滑らかになっていますから、そのコントラストをさりげなく出すと良いでしょう。また、バスのラインとソプラノのラインが反行形になっているので、それに応じて細かい強弱の揺らぎをつけると自然なフレーズ感が得られると思います。７７小節の f は、そても乾いた、硬質な音で、その後のsubito　p と明確なコントラストをつけたいところです。７９‐９５小節は、６２‐７８小節の５度上の繰り返しです。少し明るめに表現すると良いでしょう。なお、これら２つの部分を比較すると、アクセントや強弱が微妙に異なります。この違いを音楽的にすべて説明するのはとても難しく、また、どこまで正確に記譜されているのかわからない部分もあり、判断に苦しみます。これは「仮面」にも見受けられる問題です。ドビュッシーは晩年の作品については、とても記譜にこだわっていますが、それ以前の作品についてはわかりかねる部分が多いと思います。９４小節の２拍目はsubito pp です。しかし、９６小節で更にsubito ppp なのであまりここで弱くしすぎない方が良いでしょう。また、ここではdis-mollから異名同音的転調でes-moll、そしてEs-durに転調しています。これはフラット系なので、このPPP は音色が一気に曇ったと考えても良いでしょう。</p>

<p>　９６‐１１１小節は音楽的には前半の最も静かな部分です。和声的にははっきりとしたカデンツを避け、I、III、IIの和音の交替とメロディーのうねり、そしてバスのオルゲルプンクトが素材の中心です。１０４‐１１１小節では、上段のcesのオルゲルプンクトが加わりますが、その上の２声部が反進行しています。下のラインはes dの交替による揺らぎですから、これをソプラノのラインとあわせて微妙な強弱で表現すると美しくなります。</p>

<p>　１１２小節ではA-durに転調します。ここで光が差し込んで暖かくなった感じを表現したいところです。音楽的にはその前の部分と同じですが、１３２小節に向かって徐々に盛り上げていきます。しかし、piu cresc. やmolto cresc. をしすぎないようにしないと頂点にいく前に強くなり過ぎてしまいます。１２０小節ではまだピアノ、１２４小節では一旦ピアノに落とし、１２８小節ではまだmf 程度でそれから一気にクレッシェンドすると良いかもしれません。</p>

<p>　１３２‐１４２小節は冒頭の再現ですが、ここではffでとても精力的に演奏するべきです。ただし、１４０小節では、一度mf 程度に音量を落とし頂点の１５１小節に至るまで、先ほどの部分と同様に音量を計画的に増やすべきでしょう。特に１４０小節ではバスがオクターブになるので、とても押さえた感じにしてちょうど良いくらいだと思います。１４７小節からは５１小節からの部分とほぼ同じです。１５１小節からは同じ繰り返しが続きますが、単調に弱くするのではなく、トニックとドミナントの揺らぎを表現しながら弱くすると良いでしょう。</p>

<p>　１５９小節からは中間部分です。速度は変わりませんが、音価が長くなるためにとてもゆっくりした楽想になり、コントラストが明白です。こういう部分ではテンポを揺らすと長い音符がどういう長さかわからなくなるので、テンポを変えずに揺らぎと立体感をもって表現すると良いでしょう。１小節を１拍と数えた４拍子と考えても良いでしょう。１６３‐１６６小節のように、長い音符の保続に分散和音と短い和音が高音部分で同時に鳴っている部分ですが、ここは長い音符が常に響いていて、その響きの上に細かい音符が鳴っているように演奏するべきです。１５９‐１７０小節はfis-mollで、トニックには解決せずに１７１‐１７８小節でE-durに転調します。ここでは突然明るくなったように音色を変えるべきですが、１７５小節では借用のドミナ ントなのでまた曇った響きにするべきです。ここでもトニックに解決せずに１７９‐１８２小節はG-durのドミナント、１８３‐１８６小節はh-mollのドミナントというように、ここでは異なる調のドミナントが連結されて、その度に音色を変えていきます。同じ繰り返しが１９４小節まで起こり、１９５‐２０２小節ではG-durで中間部分としては初めてトニックに解決します。それにあわせて強弱の変化の指示があります。しかし、２２７‐２３４小節の方ではH-durで、ここの部分よりもより響きが明るいですから、頂点の２００小節はmf 程度にしておいた方が良いでしょう。２０３‐２０６小節はe-mollでII和音とドミナントの揺れがあり、偽終止しながらG-durに転調して１７９小節からの部分が再現されます。今度は伴奏部分がトレモロからアルペジオに変わっています。ここでもメロディーのラインを消さないようにアルペジオを多層的に響かせるべきです。２１５小節はh-mollのV9和音（根音省略）で１８３小節より 強い和音ですから、バスのgはその前のfisからの流れをつけて強調するべきでしょう。同様の繰り返しが起こった後、２２７小節からは１９５小節からの部分の同主調、H-durですから、とても明るく表現します。内声部分のタイの有無など、違いをよく考えて表現したいところです。２３５小節からはG-durに転調しますが、ここではsubito p でニュアンスを突然変えると効果的です。２３９小節は再現部へ向かうス タートなので、十分音量を落とすべきです。ここからの部分も、D-dur、fis-moll、 E-durなどのドミナントが交替してトニックに解決せずに再現部へのエネルギーをためていきます。また、中間部分ではずっと８分の６拍子だったのですが、前半部分の拍子交替、すなわち、４分の３拍子が２５１~２５４小節、２５９‐２６６小節の部分に突然現れます。テヌートがついているのは当然です。また、拍子の交替ではスラーがかかっている部分とそうでない部分が交替しますから、そのニュアンスの差もしっ かりとつけたいところです。なお、２６３小節からはさらに盛り上がりを見せるためにテヌートがアクセントに書き換えられています。通常はこのまま盛り上がって２７１小節の再現部になだれ込むのですが、それをあえて避けてrit. をかけ、しかも２７１小節ではpp で再現しています。こういう部分はドイツ音楽的な表現と全く異なります。２７１小節からは１~５３小節とほぼ同じ再現ですが、一部３０２小節にアクセントが抜けていたりするなど、微妙に異なる部分があります。ここをどうするかは奏者にゆだねられると思います。最後への盛り上がりを考えると、３１４小節はmp 程度の意識でちょうどよいかもしれません。３２５小節からは指示通りに弾くとアラルガンドの効果が現れますから、ここではリタルダンドはしない方が良いでしょう。</p>

<p>　３２９小節からの部分は、ペダルを短く使って歯切れよく終わると良いと思います。</p>

<p>　とてもドライブ感のある傑作だと思います。</p>]]>
        
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    <title>ボヘミア舞曲</title>
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    <published>2008-05-15T15:00:02Z</published>
    <updated>2010-06-21T09:39:48Z</updated>

    <summary>今回の曲目  ボヘミア舞曲　2m27s/YouTube 　この作品は、ドビュッシ...</summary>
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        <![CDATA[<p><strong>今回の曲目</strong><br />
<img src="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/knk_dbsy/images/onpu.gif" alt="音源アイコン" width="14" height="14"> <a href="http://www.youtube.com/watch?v=53Mb5nhRMhc">ボヘミア舞曲</a>　2m27s/YouTube</p>

<p>　この作品は、ドビュッシー(1862-1918)が１８歳のとき、パリ音楽院の学生であった頃の作品で、生前は出版されなかった作品です。ドビュッシーの作品としては、現存する最も若い頃の作品です。ドビュッシーは、より成熟した1890年頃までに多くのピ アノ作品を書いていますが、出版社に出版の差し止めを頼んだりしている作品はとても多いのです。例えば、あの美しい「夢想」ですら。従って、この作品が日の目を見ることに、天国のドビュッシーはとてもいらついているかもしれません。</p>

<p>　確かに、この作品を聴いて、ドビュッシーの作品であると認識することは困難です。ロマン派後期の、「タイスの瞑想曲」で有名なマスネーなどの影響を受けていると言われています。また、この頃、ドビュッシーはナジェダ・フォン・メック夫人という、チャイコフスキーへの有名なパトロンに援助されていましたが、そのチャイコフスキーにその未熟さを酷評された作品です。ここまで書くと、とてもひどい作品に 思われるかもしれませんが、私はチャーミングでとても好きな作品です。もちろん、 晩年のドビュッシーの、森羅万象のすべてを音で表現している世界とはかけ離れていますが、初期のドビュッシーの作品には、みずみずしく、ワーグナーのような重さのない、水菓子のようなロマンティシズムがあります。初期の作品群では、1990年頃に書かれた「２つのアラベスク」や「夢想」などがとても有名ですが、他の初期の作品も魅力的で、もっと演奏されても良いのではないかと思います。</p>

<p><br />
　 <br />
演奏上の問題について<br />
　この作品はh-mollで書かれています。最初の４小節をみてみましょう。この間、ずっとI音のオルゲルプンクトがリズムを舞曲的なリズムと同期して鳴り続けています。第１小節はトニックですが、第２小節は、ドミナントとしての性格がとても薄められています。それは、この和音をV9の根音省略形と考えると、導音aisが欠落しているからです。また、オルゲルプンクトのhを和声音として加えると、II7和音やIV6和音と考えることもできるでしょう。つまり、ドミナントとサブドミナントの間の子のような和音ですからはっきりしないわけです。ドビュッシーが後に、ドミナントモー ションをことごとく避けて作曲していくことを考えると、この部分ですら、既にその 価値観が芽生えていると思うのは私だけでしょうか。３、４小節は１、２小節の繰り返しです。こういう、単純な繰り返しは、晩年のドビュッシーにはほとんどありませ ん。演奏としては、１、３小節を強い踊りのリズムで、２、４小節を滑らかな質感にして１小節ごとを対比すると良いでしょう。５~８小節はfis-mollに転調しますが、７、８小節でFis-durになることで、１~８小節のフレーズの終わりに暖かさと明るさをもたせています。また、５~８小節では、５小節目上段の１拍目ウラから始まるリズム動機d e fisが６小節では下段、７小節では上段と下段、８小節では下段に現れ、対位法的に扱われていますから、バッハの作品を弾くのと同様の表現にするべきです。</p>

<p>　このように、１~８小節だけでも、結構凝った作品であることがわかります。</p>

<p>　９~１２小節は１~４小節の繰り返しですが、強弱の指示が異なります。より活発に演奏するべきです。１３、１４小節はII7和音で少しピアニスティックです。ここの １６分音符はきれいにdim.をかけなければいけません。私は１４小節の２拍目とその ウラの８分音符はフレーズとしては切ります。そのためにmf の指定があると考えています。この１６分音符のパッセージを滑らかに演奏するには、なるべくポジション移動がない方が良いでしょう。指使いは、たとえば、上段なら、cis gis、h e、gis cis、e h、gis cisの和音の順に、2 5、2 4、1 3、1 2、1 3とし、下段はe hの和音から順に、2 1、3 1、4 2、5 3、2 1とするのが一案です。１４小節２拍目ウラから１６ 小節にかけては、第１主題の楽節の終わりではっきりしたカデンツがありますから、しっかりとフレーズを閉じます。しかし、ここでも、ドビュッシーは後年がそうであるように、過度なロマンティシズムを嫌っているように見えます。スタッカートで和音を切ることで和音の連結を弱め、しかも、dim. をつけていないからです。</p>

<p>　１７小節からは２つ目の主題が１７~２４小節は中声部、２５~３２小節は上声部に現れます。和声はとても単純です。歌として注意するべきことは、古典派までの様式感に則り、これら２回の歌い回しを同じようにすることです。具体的には、１７~１８小節のh gの連結と、２１~２２小節のh hの連結は、前者より後者の方が音程が広いので少したっぷり歌うことなどです。この部分はとても演奏が難しいところです。たとえば、１７小節のバスのfis、hよりも、上声部の拍ウラの後打和音の方が弱く弾かれなければいけませんし、それぞれの部分で和声の変化を表現しなければいけないからです。演奏上、拍をしっかりと守ってメロディーを演奏するために、いくつ か提案があります。２０小節の最初のdを右手でとることは悪いことではありません。 同様に、２３小節２拍目のais hのトリルと２４小節下段最初のhは右で、２３小節上 段最後の和音と２４小節上段最初の和音は左でとることもアイデアとしてあって良いと思います。２５から２９小節の右手のメロディーを音楽的に滑らかに演奏するために、上段ウラ拍の和音はすべて左でとってもよいでしょう。これによって、過度なペダルの使用が必要なくなります。３０小節の右のウラ拍の和音h cisは、hを左、cisを右でとると良いでしょう。ここでも、１７小節からの部分はpで、２５小節からの部分はmf になっていますから、しっかりと音量の段差をつけるべきです。それを守りつつ、この２回のフレーズの繰り返しでは、メロディーとバスラインと和音の響きのバランスが同じように交換するべきです。こういう部分にはバッハの作品などを演奏するときに必要な表現が要求されています。</p>

<p>　３２小節２拍目からはG-durに転調します。h-mollのVI度調ですから、それまでよりも少し落ち着いたニュアンスで演奏するべきです。私は３７小節のmf と整合性をもたせるためにも、この部分の音量をsubitoでp にしています。ここから中間部が始まります。より活発な音楽になるために、３３~４４小節では、それまで拍ごとにあったバスラインが消滅し、後打の和音だけになることで不安定さを表し、音楽が盛り上がっていきます。３３~４０小節では、メロディーだけにならず、上段の和音の変化も表現するべきです。４１~４５小節では、初めて縮節が用いられていることと、２小節ごとにG-dur→A-dur→H-durと２つずつシャープを増やして転調していくことから、クレッシェンドとアッチェレランドに加え、音色も徐々に明るくしていくべきです。４５~６０小節では、３３~４０小節の変奏です。８小節ごとに同じように繰り返される楽節ですが、前半がmf、後半がf となっていますから、違いをしっかりと出すべきです。これまで同様に、メロディー、バスライン、和音の響きのバランスに注意をはらい、和音の変化のなかにある隠れたラインも表現するとよいでしょう。例えば５０~５２小節の下段の和音の中には、cis ais h his cis eのラインがあり、これが上段とほぼ反行して収束していくことでdim. が効果的に表現できます。５６~５８小節のバスに現れるリズム動機も大切に表現するべきです。４０~６０小節は、バスにhのオルゲルプンクトがあることにも気を配りましょう。</p>

<p>　さて、６０小節までの部分で面白い特徴があります。それは、同じような楽節を２回繰り返すとき、普通は２回目がエコーとなり、２回目をより弱く演奏するべきです が、１~１６小節、１７~３２小節、４５~６０小節ではいずれも逆で、２回目の方が強く演奏するようになっています。しかし、６１小節からは、同じ繰り返しでは２回目をエコーとして弱く演奏するようになっています。こういう部分にも工夫がみられます。</p>

<p>　６１~７０小節は再現部への橋渡しです。６１~６４小節はfisを主音とした教会旋法で少ししまらない感じを表現します。キーになるのはaの響きでしょうか。また、今述べた初めてのエコーをしっかりと表現します。６５~７０小節は分散和音で上行したあと、３和音の第１展開形が半音ずつおりてきています。和音のずれとして表現したい部分です。</p>

<p>　７１小節のアウフタクトから冒頭と同じh-mollで再現部ですが、ここははっきりとf で表現する指示になっています。指示がなければmpで表現してしまいそうですが、これは、最後に弱奏で効果的に終わるための措置でしょう。７１~７８小節は音量の指示を除けば１~８小節とまったく同じです。</p>

<p>　７９小節からコーダになります。７９~８５小節は、II7和音とVI和音の揺れで解決を延引しています。強弱、速度指示など、ドビュッシーが書いてある通りに演奏すると滑らかに減衰するニュアンスが表現できます。８５小節後半から８７小節では、カデンツをていねいに表現するべきです。面白いことに、８７小節からはIV和音とI和音の交替で、しかも最後はhとfisを連結しているだけで和音がありません。つまり、曲の最後に明白なカデンツをもってきていないのです。消えるように終わりたいから でしょうか。こういう部分にも、後年のドビュッシーの趣味が垣間見れます。</p>]]>
        
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    <title>マズルカ</title>
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    <published>2008-05-15T15:00:01Z</published>
    <updated>2010-06-21T09:40:26Z</updated>

    <summary>今回の曲目  マズルカ　3m09s/YouTube 　ドビュッシーは、音楽史上の...</summary>
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        <name>admin</name>
        
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        <![CDATA[<p><strong>今回の曲目</strong><br />
<img src="http://www.piano.or.jp/report/01cmp/knk_dbsy/images/onpu.gif" alt="音源アイコン" width="14" height="14"> <a href="http://www.youtube.com/watch?v=-F-wE1DlWWY">マズルカ</a>　3m09s/YouTube</p>

<p>　ドビュッシーは、音楽史上の重要な作曲家を必ずしも全員賞賛してはいませんでしたが、バッハなどと並んでショパンを心から尊敬していました。ショパンがポーラン ド民族舞曲のマズルカを５０曲以上作曲していて、それらが珠玉の作品であることは あまりにも有名ですが、ドビュッシーもショパンの影響の下にマズルカを作曲しました。作曲年代は1890年であるとするもの、1880年頃であるとするものなど諸説ありますが、いずれにしてもドビュッシーの若い時期の作品であることは間違いありません。ドビュッシーは他のいくつかの作品と同様、この作品をとても未熟でとるに足らない駄作で出版したくなかったと何度も言っています。1880頃といえば、ショパンの 弟子であったモーテ夫人にピアノを教わっていた頃で、年は１８歳です。しかし、ショパンのマズルカに比べると、明らかに質感が異なります。フランスの洗練された軽 さ、そして中間部はサンサーンスの趣味を感じさせる、薄い響きと滑稽さ、優雅さをもっています。私が、ショパンの素晴らしいいくつかのマズルカとこの作品を比べたらどっちをとるかと言われれば、もちろんショパンを選びますが、この作品も、最初期の「ボヘミア舞曲」と同様に、晩年のドビュッシーの萌芽が見られるという点でとても興味深いものだと思います。</p>

<p></p>

<p>演奏上の問題について<br />
　ここで舞曲としてのマズルカを論じることはあまり意味がないと思うので詳しくは書きませんが、前半と後半は一応オベレクのリズムで書かれています。そして、ショパンのマズルカがそうであったように、一応、最初の１０小節はfisを主音とする教会旋法（エオリア調）で書かれています。その特徴となるのは上段の６、１０小節のeの音です。ここでも、ドミナントからトニックへの単純な連結はなく、サブドミナント進行が中心です。細かな強弱やsf は、マズルカのリズムを意識したものと考えて演奏するべきです。１１、１２小節も、ドミナントはありますが、導音がなく、カデンツ進行は希薄です。１３、１４小節では突然A-durのドッペルドミナントになり、光が差し込むようなニュアンスになります。同じ繰り返しが１８小節まで続きます。１９小節から２６小節まではA-durで、牧歌的で落ち着いた曲想になりますが、２０、２４、２６小節の細かなクレッシェンドとアクセントなどの強弱をしっかりと表現しないと単調になります。また、２小節ごとに同じような強弱の繰り返しをすると下品になるため、２２小節ではクレッシェンドにせずにしずかにフレーズを閉じながら次に続けています。２１、２２小節のバスの下降ライン、すなわち、a gis fis e disはさりげなく出すべきでしょう。</p>

<p>　２７小節からはTempo rubatoとありますが、これはリズムを多少自由にするだけで全体のテンポを大きく揺らすべきではないと思います。ここでも４小節単位でフレーズが構成されていますが、同じリズムで同じアーティキュレーションにすると陳腐になるため、微妙な強弱の指示によってそれを避けているのが２７~３０小節です。冒頭はsubitoでp にするべきです。３１~３４小節は繰り返しです。３５小節では、やはりsubito piu p ですが、音量を突然落とすというよりも、ここからFis-durに転調し、 シャープ系の細くてとても暖かいニュアンスで演奏する指示だと考えた方が良さそうです。ここのバスの下降するラインはさりげなく表現したいところです。４６小節からは冒頭の再現になりますが、とても柔らかく演奏するべきです。Fis-mollに転調しますが、前半部分を終始するために、５０、５１小節に半音階で下降しながらクレッシェンドをして締めくくっています。</p>

<p>　５４小節からの中間部分はVI度調のD-durで始まります。４小節単位の繰り返しをエコー的に表現します。Subito p を忠実に守ってリズミカルな部分とそうでない部分の対比を作るべきです。６２~６７小節では２小節ごとに３度ずつ上昇することで盛り上がりを演出しています。大きなクレッシェンドにはしたいところですが最初から強くしすぎないことが大切です。６８、６９小節では縮節となって、７０小節からは、それまではっきりしなかった調性が明白になり、D-durのカデンツになります。７１~７８小節は５４小節からの部分と同じ繰り返しのようですが、クレッシェンドがないことに注意したいところです。そして、７５小節では突然フラット系のF-durに転調するために、曇ったニュアンスを表現するためにsubito pp になっています。７９~８１小節では教会旋法的に揺らぎを表現した後に、８２~８６小節で３度ずつ下降して徐々に響きが曇ってD-durのカデンツでフレーズと閉じています。８７小節では５音階 的なメロディーが４小節単位で数回繰り返されます。４小節ごとに強弱を明白に変えるべきですが、この部分はサンサーンスの音楽を少し感じさせます。１０３、１０４小節で縮節になり、微妙な和音の揺れ動きを経て、１１１小節の再現部がfis-mollで表現されます。調を明白にする効果を上げるために、バスはI音のオルゲルプンクトが１１６小節まで続いています。ここはV和音とVI和音の交替ではっきりしない揺れ 動きが続き、１１７，１１８小節で一気にカデンツになりますが、I和音は一瞬響くだけで単旋律でコーダに移ります。短い再現部にするのもショパンの趣味です。 Meno Tempoになってからは冒頭のテーマが、やはりはっきりしない和音の揺れ動きの中で表現されます。そして徐々にゆっくりとなりながら１２９小節からの縮節につな がります。ここでは音楽がほぼ停止しそうな感じです。ただし、１３３，１３４小節 では、拍子を正確にとるべきです。それは、音符の長さと休符がフェルマータ効果をもっているからです。１３５小節からは一気に高揚して終わりますが、ここでもはっきりしたドミナント和音がありません。意識的にドミナント進行を避けていることは明白です。</p>

<p>　ドビュッシーがとてもこの作品を嫌っていたことは共感できないわけではありませんが、愛らしい作品であると思います。</p>]]>
        
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