ラフマニノフが1896年に作曲した、6曲から成る作品集。作曲家でありながら20世紀最高のピアニストとしても活躍したラフマニノフらしく、演奏には極めて高度な技巧を必要とする。奇数番目の曲は比較的ゆっくりと、偶数番目の曲は対照的にきわめて速く劇的な雰囲気を持ち、全体が、ロシアの荒涼とした大地を覆う刹那の集積と仄暗く美しい情景に彩られている。
1.変ロ短調 / Moments musicaux op.16-1 b moll
冒頭から絶対零度の世界に落ちていくような儚げな哀しみを湛えた作品。
2.変ホ短調 / Moments musicaux op.16-2 es moll
やるせない感情の激昂を劇的に表現した急速な作品。
3.ロ短調 / Moments musicaux op.16-3 h moll
「アンダンテ・カンタービレ」の指示のとおり、ゆっくりと息の長い叙情的な美しい旋律が、綿々たる情緒を感じさせる。
4.ホ短調 / Moments musicaux op.16-4 e moll
急速な左手のパッセージに乗って情熱的なメロディが奏される。
5.変ニ長調 / Moments musicaux op.16-5 Des dur
曲集に淡い光が差し込むように、優しさに満ちた長調の作品。ショパンのノクターンの影響などもあるといわれている。
6.ハ長調 / Moments musicaux op.16-6 C dur
全曲を締めくくる堂々とした作品。