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ショパン/Chopin, Frederic
> 2つのノクターン (第17・18番)/2 Nocturnes (H:/E:)
ショパン
: 2つのノクターン (第17・18番)
Chopin, Frederic
: 2 Nocturnes (H:/E:) Op.62 CT124-125
作品概要
楽章・曲名
演奏時間
譜例
1
第17番 ロ長調 No.17 H dur op.62-1
6分00秒
2
第18番 ホ長調 No.18 E dur op.62-2
5分00秒
出版情報
作曲年: 1846年 出版年: 1846年 初版出版地/出版社: Leipzig, Paris, London 献呈先: R.de Könneritz née Heygendorf
解説未満の曲情報
ノクターン番号はパデレフスキ版による。
作品解説
上田 泰史
執筆者:
上田 泰史
Deux Nocturnes Op.62
この二曲は1846年に作曲され、初版はパリ(Brandus, 1846)、ライプツィヒ(Breitkopf und Härtel, 1846)、ロンドン(Wessel, 1846)で出版された。彼の弟子と思われるR. フォン・ハイゲンドルフ=ケンネリッツ嬢に献呈。ショパンが生前に出版したノクターンとしては最後のものである。作品55の二曲に比べ、書法はますますポリフォニクになり、半音階によるうねりは消えて響きは透明度を増す。ここに至って、彼は常に憧れを抱き続けてきたポリフォニックな書法と歌唱的な様式の折り合いをつけ、自分なりの答えを見出したようである。
no.1 ロ長調
第1番は、他の多くのノクターンと同様、A-B-A’と図式化される三部形式による。作品55-2(第16番)と同様、唐突なカデンツかで開始される。冒頭に置かれた和音は第7音が付加されたⅡの和音である。
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この一見奇妙な出だしは、当時よく行われていた「プレリュード」と呼ばれる習慣に由来するものであろう。「プレリュード」は作品を演奏する前に聞き手の注意を演奏者に向けさせたり、タッチを確かめたりするために行われる短い即興的な前奏で、20世紀初期までは普通に行われていた。バックハウスやヨーゼフ・ホフマンのライヴ録音にはこうした「プレリュード」を聴くことができる。しかし、なぜショパンはわざわざそれを記譜したのだろうか。これはよく検討する価値のある問題であるが、個々での議論はよすとしよう。
「プレリュード」に続く主題は声部数が不定の擬似的なポリフォニーである。この曲の冒頭部分は、バロックのフーガにしばしば見られるように拍節が一定ではない。参照説目の第3拍目に出る主題は、7小節目で再び現れるとき、第1拍目にきている。この主題の下行音型は、第11~14小節目にかけて、右手の内声で利用される。こうしたモチーフによる一貫性の確保はバッハに代表されるフーガ書法の主要な特徴であるが、ショパンはおそらくそれを強く意識している。第14~21小節右手が常に2声となり、8分音符で動く。テクニックの点からみて、こうした多声の動きはクレメンティやクラーマーといった19世紀初期に活躍した先人が用い始めた比較的古いピアノ書法である。続く経過的な第21~25小節目には、Bで使用されるシンコペーションのリズム・オスティナートが現れている。その後に再び主題が回帰し、変イ長調の中間部Bに入る。Bで初めて現れるトリルは、そのままA’の主題再現(第68~75小節)で利用される。トリルの中に旋律を織り込むこの技法は、30年代末から40年代にデーラーのようなヴィルトゥオーゾ・ピアニスト兼作曲家によってしばしば用いられたいわば流行のテクニックであった。ショパンは古い技法だけでなく最新の流行も積極的に取り込んでいるのである。
第75小節で主題が遠隔調のト長調の属七に落ち着くと、再びロ長調に戻るために4小節間の巧みな経過部が続く(第76~80小節)。ここでは、4声部がとりわけ対位法的に扱われており、入念に書かれた部分である。第81小節に始まるコーダでは再び左手のシンコペーションによるリズム・オスティナートが回帰し、その上で右手が増二度を含むいくぶん「エギゾチック」な音階が漂い夢想的な雰囲気のうちに曲は閉じられる。
no.2 ホ長調
第2番の伴奏音型は、以前に作品55-1、作品48-1で使用されたものと同じで、バスと中声部を埋める和音からなる。これによって豊かな幅広い音響が実現されている。形式は他のノクターンと同じく3部形式による。
このノクターンは二つの特徴的な和声進行によって枠づけられている。冒頭小節における二拍目の経過的な和音はVI度(e-gis -cis)であり、それは直ちに三拍目でI度([e]-h-gis)に解決する。この二拍目の和音が冒頭、しかもLentoという遅いテンポで用いられると、フランス近代の響きを想起させる。この冒頭の進行は、最後の小節のカデンツにも聴くことができ、意図的に使用されているように思われる。
第32小節まで続く主題部(以下A)は、第1番のようなポリフォニーは見られないが、第25小節目で主題が反復されるときに見られる右手の華麗な装飾音型は、第1番との共通点である。
続く中間部(第32~57小節)の開始は、右手が波打つような音型で始まる。こうした左手の扱いは、《12の練習曲》作品10-12やカルクブレンナーの練習曲にみられるように、30年代前後から先駆的なピアニストたちによって用いられた左手訓練のための書法である。むろん、ショパンはこうしたテクニックを左手の訓練というよりは、Aにおいて確立された雰囲気に変化をもたらし、ドラマ性を生み出すために使用しいているのである。中間部の最も重要な特徴は続く40小節に始まるセクションに見られる声部間の模倣である。それは第42、49、51小節に現れる。いずれの小節でも最上声部におかれた第1、2拍目のモチーフがバス声部の第2、3拍目で模倣される。
主題は57小節で回帰し、一度だけ姿を見せたのち、第32~57小節に見られた左手の音型が現れ、コーダが導かれる。曲尾の三小節のカデンツの最上声のモチーフは、第40小節第1拍目から展開される動機の変形である。
解説を折りたたむにはこちらをクリックしてください。
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この曲が演奏されるコンサート
ショパン・フェスティバル2012in表参道 ピアノリサイタル
[名義後援]
2012年5月30日19時
東京/カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
矢澤一彦ピアノ・リサイタル
[名義後援]
[PTNA会員]
2012年7月14日14時
東京/東京オペラシティリサイタルホール
過去のコンサート履歴
音源情報
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