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バッハ/Bach, Johann Sebastian
> 5つの小前奏曲/5 kleine Praeludien
バッハ
: 5つの小前奏曲
Bach, Johann Sebastian
: 5 kleine Praeludien BWV 939-943
作品概要
楽章・曲名
演奏時間
譜例
1
ハ長調 C Dur BWV939
No Data
No Image
2
ニ短調 d Moll BWV940
No Data
No Image
3
ホ短調 e Moll BWV941
No Data
No Image
4
イ短調 a Moll BWV942
No Data
No Image
5
ハ長調 C Dur BWV943
No Data
No Image
出版情報
作曲年: 1725-27年 出版年: 1843年 初版出版地/出版社: Peters
作品解説
朝山 奈津子
2008年6月 執筆者:
朝山 奈津子
バッハは《
平均律クラヴィーア曲集
》、《
インヴェンション
》、《
シンフォニア
》など、内容も曲数もひじょうに豊かな学習教材を制作している。それらは当初から明確かつ綿密な計画を持って進められていたが、その際にはいくつかの候補の中からそれぞれの主旨に合わせて選択したり、移調や改訂を加えたりすることがあった。従って一方では、曲集に取り込まれずに残された作品や異なる調の原曲とおぼしきもの、簡略な初期稿なども多数存在する。
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9つ、6つ、および5つの小前奏曲は、おそらくそうした小品を後生がまとめたもので、やはり学習教材として弟子から弟子へと伝承された。19世紀半ばのペータース社の鍵盤作品集(チェルニー/グリーペンケルル編)によって、曲集のまとめ方が定着、普及したとみられる。
《5つの小前奏曲》は、バッハより一世代若いヨハン・ペーター・ケルナー(1705-1772)の筆写譜によってのみ伝えられる曲群である。ケルナーはバッハの信奉者でバッハ・コレクターだった。数多くの作品を入手しており、コレクションには貴重な資料も含まれている。しかしこの作品群に関しては、ケルナーより他の誰も筆写しておらず、ケルナー自身も作曲者名を書き添えていないことから、真贋問題に決着がついていない。また、以前には
《前奏曲》BWV999
を加えて「6つの小前奏曲」と呼ばれたこともあったが、第6番に当たるBWV999は原曲がリュートであると見られ、現在では「5つの小前奏曲」とするのが慣習になっている。
第1番 ハ長調 BWV 939
ハ長調のカデンツの分散和音で開始する。どことなく《
インヴェンション
》や《
平均律 第2巻
》の第1番プレリュードを思わせる。下属調続和音のb音と、属調属和音のfis音とが織り成すそれぞれの領域が、主調を通じて自然に連結している。最終4小節では、両手に8分音符を配して突然テクスチュアの厚みを増したところで、16分音符の華麗なパッセージワークが入り、8分音符、4分音符とテンポを徐々に落として終始する。こうした作曲上の組み立ては、小品ながらよくできている。
第2番 ニ短調 BWV 940
最初の3小節、両手で主題の完全形が3回提示されたのちは、その素材のみを組み合わせて曲が進む。両手で分担して主題を導こうとするが、主題はどんどん断片化し、最後までとうとう完成されることがない。
第3番 ホ短調 BWV 941
3拍子の舞曲風小品。後半は小節の中心すなわち1.5拍で両手が交代し、このわずかなパートの重なりが陰影を生んでいる。複雑な和声進行や対位法技法は用いられないが、リリシズム溢れる優美な作品である。
第4番 イ短調 BWV942
この作品の独特な響きと雰囲気は、半音階というよりもむしろ、摸続進行によってもたらされている。最初の2小節はすでに主調が曖昧で、第3小節以降は二重倚音(複数の声部で同時に倚音、すなわち短2度の装飾非和声音が現れること)のため、ますます到達点がぼかされてゆく。こうした運び方はバッハには珍しく、確たる証拠がなければ真作とはなかなか信じがたい。が、風変わりでゴツゴツした響きが楽しめる小品である。
第5番 ハ長調 BWV943
一転して、バッハのハ長調の典型を示す作品。《
シンフォニア
》第1番や《
平均律 第1巻
》第1番のフーガに似る。先の4曲と比べると3倍以上長いため、調推移にも工夫が見られる。属調で開始する中間部(第16小節)からの4小節は、属調(ト長調)とその属調(ニ長調)の同主短調(ニ短調)が並び、第21小節で長三和音に終始することでニ長調へ転じる。第29小節で中間部前半が属調に終止、以降は下属調和音をときおり引き込みながら主調へと向かう。この2つの中間部に、シャープ系の鋭い明るさとフラット系の朗らかな暖かみがよく対比されている。ピアノ、チェンバロは無論のこと、オルガンでも美しく響く佳作である。
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