第1変奏:L’istesso tempo
主題旋律と和声進行はそのままに、内声に十六分音符の動きが加わった変奏。テーマと同じpに始まるが、後半部分は徐々に音域が広がり、オルガンを思わせる重厚な響きで締めくくられる。
第2変奏:Sempre espressico ed assai legato
第1変奏と同じく、内声部に変奏が施される。音楽の流れとしては第1変奏とほぼ変わらないが、内声部の動きが三連の十六分音符となったことで、音楽に動きある流れが加えられる。
第3変奏:Grave assai
冒頭は序奏的な部分から始まるが、これはそれまでの音楽と対照的に、半音階的進行と音域の広がりが特徴的な音楽である。pの静かな半音階下行ののち、主題旋律の冒頭が奏でられたかと思うと、急激なデュナーミクの変化と共に、重音のアルペッジョが即興的な動きで一気に奏される(49小節目)。その後再び主題旋律の冒頭が現れるも、断片的なままに終わり、その余韻を残したままpppで消え入るように曲がとじられる。このような、極端なデュナーミクの使用や音色の変化や半音階的な手法は、レーガーのオルガン作品によく見られ、彼の音楽を特徴づけるものの一つである。
第9変奏:Grave e sempre molt espressivo
ここは、呼吸を置くようにゆったりとした変奏となる。調性がH durに変わり、長調の響きの中で主題の冒頭が提示される。しかし、音楽を支えているのは主題旋律ではなく、その下声部に置かれた三連符の半音階的進行する和音である。主題旋律は、非常にゆったりとしたテンポのなか基本的に単音で奏でられているが、下声部の和音が音楽を一貫して支配しており、独特の響きを生み出している。