第3番 変イ長調「おお、愛しうる限り愛せ」 / No.3 As dur
リストの作品の中でも最もポピュラーな小品の一つである。ドイツの詩人ヘルマン・フェルディナント・フライリヒラート(1810-1876)の詩による独唱歌曲(S298)として、1843年末頃に作曲され、その初版は1847年に出版される。第二稿は1850年に完成し、同年出版。
「おお、愛しうる限り愛せ O lieb, so lang du lieben kannst!」から始まる詩は、恋愛のことではなく、人間愛をうたったもの。「あなたがお墓の前で嘆き悲しむその時は来る。だから、愛しうる限り愛しなさい。自分に心を開く者がいれば、その者の為に尽くし、どんな時も悲しませてはならない。そして口のきき方に気をつけなさい、悪い言葉はすぐに口から出てしまう。『神よ、それは誤解なのです!』と言っても、その者は嘆いて立ち去ってしまうだろう」という内容である。
歌曲版との相違は、冒頭主題が再現される直前の箇所である。この部分は歌曲においては「そして口のきき方に… Und huete deine Zunge wohl, …」の一連があてられており、歌のパートとピアノのパートが交互に演奏する形を取る、レチタティーヴォ(オペラ、オラトリオ、カンタータなどに置かれる状況説明や個人の心情を説明する為に用いられる曲、叙唱)風の部分となっている。ピアノ編曲においてはこの箇所が存在しないが、別の旋律を用いて、豊かな装飾に彩られた曲の頂点を形成しており、冒頭主題の再現へと続いている。 解説を折りたたむにはこちらをクリックしてください。