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エルガー  :  威風堂々(シュミット編)
Elgar, Edward  :  Pomp and Circumstance (arr. A. Schmidt)  Op.39
ピアノ独奏曲 [pf/ 曲集・小品集

作品概要

楽章・曲名 演奏時間
1 第1番  /  March No.1   D-Dur 6分 50秒  -- 
2 第2番  /  March No.2   a-moll  -- 
3 第3番  /  March No.3   c-moll  -- 
4 第4番  /  March No.4   G-Dur  -- 
5 第5番  /  March No.5   C-Dur  -- 
作曲年:1900-1930

楽曲解説

総説 2016年8月  執筆者: 小林 由希絵
「威風堂々」はイギリスの国民的作曲家エドワード・エルガーの代表曲。
 原題は「Pomp and Circumstance」で、イギリスが誇る世界的劇作家ウィリアム・シェークスピアの戯曲「オセロ」の劇中の台詞から取られたもの。直訳すると「壮麗に、仰々しく」といういったような意味になるが、〈威風堂々〉という日本語題は多少意訳ではあるものの、この曲を一言で言い表す名訳といえよう。ピアノ版は、指揮者・編曲家として19世紀末から20世紀前半に活躍したアドルフ・シュミットの編曲によるもの。

■第1番
 1901年作曲。アレグロ・コン・モルト・フォーコ、ニ長調、4分の2拍子。三部形式。全5曲中でもっとも有名な曲。冒頭の印象的な序奏部分は頭打ちのように聴こえるが、実は2拍目の裏拍からはじまっている。この序奏は、冒頭のみならず、次の場面へ展開していく時には必ず現れ、音楽の要所を緊める役割も果たしている。続く主部は、第一主題・第二主題ともにきびきびとした軍楽行進曲らしい様相。特に有名な中間部のトリオについては、後ほど詳しく見ていくことにしたい。

■第2番
 第1番と同じく1901年に作曲。アレグロ・モルト、イ短調、4分の2拍子。三部形式。第1番に比べて短くはあるが、第2番の序奏も軍楽行進曲らしい勇壮な響きで、場面転換の重要なところで印象的に現れる。中間部のトリオは、イ短調の同主調であるイ長調へ転調。朗々と歌われる第1番のトリオに比べて、第2番のトリオは軽妙、かつ勇ましい面持ち。

■第3番
 1904年作曲。コン・フォーコ、ハ短調、4分の4拍子。三部形式。第1番・第2番には、いかにも軍楽行進曲らしい勇壮な序奏がついていたが、第3番以降には序奏は書かれていない。冒頭から第一主題が雄々しく厳かな存在感を放ち、第二主題はヴィヴァーチェとなり、躍動感に溢れ、音楽をどんどん盛り上げてゆく。続く中間部のトリオには、2つの主題があり、これは全5曲中で唯一の構成である。

■第4番
 1907年作曲。アレグロ・マルツァーレ、ト短調、4分の2拍子。三部形式。第1番に次いで有名な曲で、曲の構成や書法など、第1番との類似点が数多く見られる。中間部のトリオの部分は、のちにイギリスの文筆家であり、政治家のアラン・ハーバードによって歌詞が付けられ、〈自由の歌(Song of Liberty)〉という曲名で第2次世界大戦にはイギリス人たちによって愛唱され、辛い戦火の中で国民を勇気づけた。

■第5番
 ヴィヴァーチェ、ハ長調、三部形式。5曲中この曲のみ、曲の途中で拍子が変わっており、8分の6拍子と4分の2拍子が交互にあらわれる。第1〜4番はいずれも1910年代に作曲されているが、第5番はエルガーの晩年にあたる1930年に作曲。第1〜4番の作曲から20年以上を経て、エルガーの積み重ねて来た音楽手腕がいかんなく発揮され、〈威風堂々〉はいずれの曲も全て三部形式で書かれているものの、前の4曲とは違った複雑な構成で書かれている。

 先述したように、中でも特に有名なのが第1番で、初演当初から大人気となり、熱狂した観客たちが当時としては異例の2度のアンコールを求め、合計3回も演奏されたという逸話さえある。その評判は、時の英国国王エドワード7世の耳にも入り、演奏を聴いた国王は「世界中で有名になるであろう節だ」とエルガーを絶賛したと伝えられている。国王が絶賛した「節」とは、第1番の中間部に登場するトリオのメロディを指しており、のちに「トリオの部分に歌詞をつけてほしい」と国王からエルガーに要望が出たほど。エルガーは国王陛下直々のリクエストに応え、A.C.ベンソンの詩を付け、1902年に〈戴冠式頌歌〉を作曲し、終曲の〈希望と栄光の国〉(Land of hope and glory)に、このメロディを引用し、今も独立した歌曲としてよく演奏されている。
 また、イギリスの夏の風物詩となっている世界最大のクラシック音楽フェステバル「ザ・プロムス」では、約2ヶ月におよぶフェステバルの最終夜を彩る「ラストナイト」において、イギリス国歌や〈ルール・ブリタニカ〉、〈エルサレム〉、〈蛍の光〉などと並んで、この〈威風堂々〉第1番が演奏されるのが伝統となっている。ホールに詰めかけた1万人近くの観客たちが、国旗を掲げながら大合唱する光景はまさに圧巻であり、この曲が「イギリス第二の国歌」として、今も多くのイギリス国民に歌い継がれている証である。

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