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ピアノ独奏曲 [piano solo/ 曲集・小品集

作品概要

楽章・曲名 演奏時間
1 ウィンナー・ワルツ  /  In old Vienna  1分 00秒
2 コラールプレリュード  /  Choral Prelude 
3 舞曲  /  At the Ballet 
4 悲しいワルツ  /  Valse triste  1分 30秒
5 手品師  /  The juggler  0分 50秒
6 古い農民歌  /  Old plantation 
7 フランス人形  /  French doll 
8 カプリッチエット  /  Capriccietto 
9 タランテラ  /  Tarantella 
10 森の伝説  /  A woodland legend 
11 森の妖精  /  Ariel 
12 教会の鐘  /  Mission bells 
13 魔法の木  /  The haunted tree 
14 祭り  /  Festive piece 
15 サラバンド  /  Sarabande 
16 エチュード  /  Etude 
17 ワルツ・エチュード  /  Valse Etude  3分 00秒
18 雨の日のふんすい  /  Fountain in the rain  1分 30秒
19 雪の日のソリのベル  /  Sleighbells in the snow  1分 30秒
20 クラシックカーニバル 1.宮廷のコンサート  /  Classic carnival 1.Royal Concert 
21 クラシックカーニバル 2.聖体行列  /  Classic carnival 2.Religious Procession 
22 クラシックカーニバル 3.カーニバルの舞踏会  /  Classic carnival 3.Carnival Ball 
23 金魚  /  Gold fish  2分 00秒
24 古典形式によるソナチネ  /  Sonatina in classic style 
25 ソナチネ  /  Sonatina  6分 00秒  -- 

楽曲解説

演奏のヒント 2015年10月  執筆者: 大井 和郎
15.サラバンド
 バロックのサラバンドの奏法よりも少しだけ自由に弾いて良いと思います。平坦にならないように注意することが最も大切なことかもしれません。1-16小節間がAとするのであれば、この16小節間には2つのフレーズがあり、それぞれ8小節単位で分けることができますね。1-8小節間のメロディラインを見てみましょう。Cから始まり、次はH、3小節目がA、4小節目がG、次にF、E、DC、最後にHで終わり、つまりは音階を順次進行で下行していることがわかります。もしも最後のHが一番音量的には弱いと考えるのであれば、逆算して、Cから徐々に音量を下げていったときに辻褄が合うように、Cを少し大きめに弾いておくと良いでしょう。

 全体を通じて注意することはペダル記号かもしれません、例えば2小節目と6小節目、ギロックはわざわざ1拍目にペダルを離すように指示しています。これは、たとえ1拍間でもペダルを踏みっぱなしにすると、濁りが生じるからで、察するに、そこまでロマンティックではなく、もっと粛々としているのかもしれません。

 途中の16分音符は語りかけるように弾きたいので、メトロノームのように正確になるよりは少しだけルバートをかけても良いと思います。8小節目、2拍目はメロディラインではありません。その音はレゾネンス(余韻)です。ppで弾いてください。1小節目からと9小節目からではダイナミックが異なります。mp と mf を守ります。

 17小節目、Bセクションに入り、深刻な雰囲気のAセクションとは打って変わって、夢うつつな平和なメロディが流れます。過去の穏やかな場面を思い出しているような心理です。同じくメロディラインは下行していますが、24小節目にはcrescendoがかかっていますので、この場合、最後のEがゴールの音となります。辛い現実に戻されるような雰囲気です。25小節目以降は17小節目からのエコーになります。

 33小節目、かなり大げさにゆっくりとアルペジオを弾いてください。音も大きくて構いません。最後の和音は再びレゾネンスですので、pまたはppで弾くと良いでしょう。
演奏のヒント 2015年10月  執筆者: 大井 和郎
12.教会の鐘
 鐘にはペダルがありません。例えばラフマニノフの「鐘」を演奏するにしても、鐘にはペダルが無く、ペダルチェンジができない楽器であることを前提にすると、濁って当たり前と考える人もいます。この曲のペダル記号もどちらかというとそちらの傾向にあります。1-2小節間、5-8小節間、などを見るとペダルを踏みっぱなしにする指示があることがわかります。一つの鐘では無く、多くの鐘が一斉に鳴ることを考えると、確かに濁りなどはどうでもよくなるのかも知れません。ペダリングは奏者の主観的な考え方によって変わってきます。絶対にこれが正しいということはありません。奏者の主観に委ねられて然るべきだと思います。

 しかしながらBセクション(17-32小節間)は、2小節単位で和音が変わります。2小節単位の最初の和音は最も低い位置にあることがわかります。これはバスの役割をも果たしている音と考えますので、低い位置にある和音は少なくとも、2小節間はペダルで伸ばして下さい。ここのペダルを1小節単位などで変えないようにします。

 さてメロディラインですが、本来であれば、メロディラインを明確にして、スムーズにするところなのですが、これは「鐘」です。むしろ、打楽器的に、フレージングなど考えずにアクセントをつけて鐘の効果を出したほうが良いと思います。

 Bセクションはそれでも少しpから始まり、29小節目をゴールと定めて、徐々にcrescendoをかけていきます。しかしここで注意することが一つあります。18-19小節間はa-mollのV7(EGisHD)、20-21小節間はa-mollの I (ACE) です。つまりは、V7が I に解決されますので、20-21小節は、18-19小節よりも弱くなります。同じく21-22小節はC-durのV7(GHDF)23-24小節は I (CEG)に解決されます(ここのセクション、厳密にはハーモニックシークエンスになります)。つまり、2小節単位でV-Iが来ますので、後ろ2小節は前2小節よりも小さく弾いてください。

 この曲には特別なルバートをかけません。holding back(ゆっくり)や、in time(もとのテンポに)以外、指示が書かれていないところは全てテンポを保ってください。鐘の音がルバートをかけないのと同じことです。
演奏のヒント 2015年10月  執筆者: 大井 和郎
10.森の伝説
 たった1ページの曲ですが、1分半弱位はかけて演奏したいゆっくりで自由な曲です。この曲を演奏するにあたって大切な事は、音楽が縦割りにならないように注意し、聴いている人に拍を感じさせず、さながら弦楽四重奏のように横に流れていかなければならない事です。そのためには、奏者はルバートを十分用いて、テンポが常に固定されないように注意してください。表示記号にもありますが、Slowly, with much freedomは、「とても自由にゆっくりと」という意味です。

 加えて、和音の一番上の音を出す事も重要課題です。メロディラインは常に一番上にあると考えて間違いありません。

 また、各フレーズ毎に微妙な和声の変化があります。それらの変化はムードの変化につながりますので、各フレーズ同じように弾かないよう注意します。例えば、1-4小節目はまで1つのフレーズです。5-8小節目は次のフレーズで、一見同じように見えますが、7-8小節目は、左手が半音階で下行しています。また、右手のメロディも異なります。これがタイトルのように、「伝説」を語っているのであれば、1つ目のフレーズ(1-4小節)よりも2つ目のフレーズ(5-8小節)のほうが、より繊細に、少しだけ感情面を見せているように感じます。

 この曲を2つに分けるとするのであれば、1-16小節目までと17-最後までに分ける事ができますね。その時前半の1-16小節間で、ピークに達する部分は11-12小節です。9小節目からは緊張感を保って12小節目に達してください。後は、徐々に気持ちが穏やかになるように演奏します。

 23-24小節目は、内声に、いままで出てこなかった主題が右手に登場します。各音符にテヌートが付いています。特に遅くという事ではありませんが、これら7つの音を十分に歌うように演奏し、ピークポイントである25小節目に導かれてください。前半のピークよりも、後半のピークポイントは(25-26小節)より一層感情的になる部分です。表示記号のbroadlyとは、「大きく少しゆっくり」と解釈してください。

 しかしながら、曲全体がそこまでフォルテを要求される性格の曲ではありませんので、極端なフォルテが出ないように、しかし平坦にならないように、注意します。
演奏のヒント 2015年10月  執筆者: 大井 和郎
7.フランス人形
 短い曲ですが、とても色々な弾き方を耳にします。表示記号は、Delicately, gracefullyとありますね。デリケートに、優雅に、という意味です。どうしたらデリケートに、優雅になるかという話になりますが、失敗例として耳にしてきたのは、極端にテンポが遅い場合でした。この曲は確かに3/4拍子ですが、拍を感じさせてしまうような弾き方になると音楽が縦割りになり、横に流れません。横にスムーズに流れることでデリケートさや優雅さが出ます。筆者がこれを演奏する場合、0:35秒で終ります。つまり割とテンポは速いです。

 人形のサイズが自分の何倍もある大きなものであればともかく、通常小さな人形をイメージした場合、そこに寄せる想いは決して重たく大きいものではなく、むしろ軽く、快速で良いと思います。その速いテンポで弾いた時、9小節目から14小節目のタイミングは心地よいものになり、音楽が理に叶います。

 曲のムードは2小節単位、または4小節単位で変化します。例えば、1-4小節間は楽しくおしゃべりをしている様子、5-8小節間は少しわがままな感じを出し、9-10小節間は何か良いことを思い出し、11-12小節間はそれに納得し、13-14小節間は期待を膨らまし、15-16小節間は大きなスマイルを浮かべる、などです。奏者は想像力を膨らませて、それぞれの和音に対して、感じるムードを読み取ってください。

 ギロックという作曲家は実に細かくテンポ変化の指示を出しています。この曲も後半になるに従って多くのテンポを変化させる指示が出ています。確実に、そして不自然にならないように、指示を守ってください。なお、ペダル記号に関しては、このペダリングの通りで良いと思います。
演奏のヒント 2015年10月  執筆者: 大井 和郎
4.悲しいワルツ
 この曲で考えなければならないことはテンポです。テンポ表示は Lent としてあり、その横に(slowly)と英語で書かれています。ゆっくりという意味です。しかしこの曲をどのくらいゆっくりにするのかは非常に微妙なところで、あまりゆっくりすぎたり、テンポを動かさないと、とても退屈で間が持ちません。ですからある程度の速度で進まなければならないのですが、そのような状況下で「ゆっくり、ゆったり」聴かせるには、かなり大げさなルバートが必要になります。

 このワルツの興味深いところは、「ワルツ」と言っておきながら伴奏部分が、典型的なワルツの伴奏、つまり1拍目がベース、2-3拍目が伴奏というパターンが一つも見当たりません。必ずどこかの拍に休符があったり、1拍目がメロディラインであったりして3拍全部伴奏で埋まることが無いのです。要するにそれだけゆったりと時間を取ってくださいという意味と考えて良いでしょう。また別の言葉で言えば、コンスタントに前へ前へ進まないように、という意味でもあります。

 1小節目から8小節目までを見てみましょう。1-6小節間、左手は2拍目までしかありません。3拍目の休符は左手を少し上に上げ、呼吸をゆっくりととります。7-8小節目はゆっくりとフェルマータにたどり着きます。

 9小節目、フォルテ記号があります。かなりゆっくり、大げさに時間を取ります。それから徐々にin tempoにして、15小節目で再びritをかけ、ゆっくり16小節目にたどり着きます。

 Bセクションは16小節目の3拍目から始まり、左手にメロディーラインがきます。注意することは途中に出てくる8分音符3つをひとまとめにして弾くこと。一つ一つ力を入れてはいけません。24小節目にスラッシュがありますね。ここは少し時間を取ってから次に進んでくださいと言う指示です。24小節目3拍目からは先ほどと同じメロディラインが来ますが、29-31小節間が異なった音になりますね。実は、29-30小節間は1つの和音で分析され、Fr65(フレンチシックスファイブ)という特殊な、増6度の和音です(Des F G H)。この和音は31小節目、f-mollのV(CEG)の和音で解決されます。故に31小節目は30小節目よりも大きくならないようにしてください。Fr65はとてもドラマティックな和音ですので、強調して良いと思います。
演奏のヒント 2015年10月  執筆者: 大井 和郎
1.ウィンナー・ワルツ
 技術的には難しくなく、発表会などではよく弾かれる曲ですが、音楽的に大変難しく、また楽譜から作曲家の真意を読み取ることも重要になってきます。たった1ページの1分弱の曲ですが、華やかに、優雅に弾くためには自由な即興性が求められます。この曲を演奏するためには、アコーギクの1種であるルバートを使います。指導者の皆様は、生徒さんに指導される時、このアコーギクでも、ルバートでもどちらでもよいので、簡単な説明をつけてあげてください。

 「ジェットコースターのように、上りは徐々にスピードが落ち、下りは徐々にスピードを増して、また上りでゆっくりになる」等の説明がわかりやすいかも知れません。大切なことは、テンポを前に進めて速くした場合、必ずその分を取り返すことです。ゆっくりのままとか、速いままではいけません。

 この曲は4小節で1つのフレーズになっていますので、4小節単位でルバートをかけても構いませんし、または8小節間を1つのフレーズと見なしても良いと思います。いずれにせよ、あたかも小節線が無いくらいに、自由に優雅に演奏します。9小節目からも同じで、徐々にテンポを上げ、13小節目辺りから今度は徐々にテンポを緩めて下さい。

 その他気をつけなければならない事を挙げていきます。8小節目2拍目裏拍から主題Bが始まりますが、8-12小節目と、それと同じ部分である24-28小節目を比較してみると、まず内声に変化が見られます。この内声は重要ですので、決して消えてしまうような事が無いように、しっかり耳で聴いて弾いてください。そして8-12小節目の反復が順次進行で上行しているのに対し、24-28小節目はいきなりV7/viに飛んでしまいます。これは驚きの心理状態ですので、十分に表現します。

 この曲でよく間違った演奏をされるのが最後のCodaの部分です。33小節目を見てみると、vivaceと書いてあります。するとここからテンポを倍くらいに速くしてしまう奏者がいます。vivaceとはイタリア語で「生き生きと」という意味があり、英語では「lively」という意味になります。これは決して「テンポを速く」という指示ではありません。むしろ、37小節目は逆にゆっくり演奏されてしかるべきだと考えます。

 また、33-34小節目と、37-38小節目に付けられているcrescendoも議論を呼ぶところです。フォルテ記号にcrescendoをかけるととんでもない音量になってしまいますね。ここはむしろdiminuendoしたいところですが、作曲家の意図としては、このレゾネンス(余韻)的なアルペジオを華やかに聴かせたかったのではと想像しています。個人的に筆者がこれを演奏するのであれば、crescendoは殆どかけないかもしれません。

コンサート この曲が演奏されるコンサート

  ピアノ名曲コンサート「欧州」×「船橋」
 [後援]  [ピティナ会員]
2017年09月17日 19時00分
千葉/ 船橋市民文化創造館 (きららホール)

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