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ベートーヴェン  :  ピアノ・ソナタ 第17番「テンペスト」 ニ短調
Beethoven, Ludwig van  :  Sonate für Klavier Nr.17 d-moll  Op.31-2
ピアノ独奏曲 [piano solo/ ソナタ

作品概要

楽章・曲名 演奏時間
1 第1楽章  /  1.Satz Largo-Allegro  9分 30秒 譜例
2 第2楽章  /  2.Satz Adagio  8分 30秒 譜例
3 第3楽章  /  3.Satz Allegretto  6分 30秒 譜例
24分 30秒
作曲年:1802
出版年:1803

楽曲解説

総説 2009年7月  執筆者: 岡田 安樹浩
このソナタの「テンペスト」という愛称の由来は、ベートーヴェンの秘書を自称するシントラーによって生み出された逸話(作り話)であると考えて、ほぼ間違いないだろう。このソナタの様式は――特に第1楽章については――シントラーの言う「シェークスピアのテンペスト(嵐)」というよりも、むしろ文学におけるシュトゥルム・ウント・ドランク(疾風怒濤)の影響を受けたハイドンの同名の作曲様式と親近性をもっているように思われる。というのも、短調でテンポとディナーミクの急激な変化は、この様式の特徴的な側面なのである。

第1楽章 ニ短調 2分の2拍子 ソナタ形式
(提示部)
属和音・第1転回形の分散和音によって開始されるLargo、Allegroの2度下降の動機の提示、Adagioでターンを伴った半終止、とわずか6小節間でめまぐるしい変化が起こるこの楽章冒頭はきわめて印象的である。ふたたびLargoにテンポを落とし、平行長調のヘ長調で確保(第7小節~)されると、今度は分散和音と8分3連音符の分散和音を伴奏とする、ダクテュルス・リズムの分散和音上行とターン音型の反行形が拡大された主題(第21小節~)があらわれる。つまり、これら2つの主要主題は共通の要素の異なる表出なのである。こちらの主題も、やはりヘ長調で確保(第29小節~)され、推移(第41小節~)を経て属調(イ短調)で副次主題(第55小節~)が提示される。
低音域で主和音の第1転回形より開始される副次主題は、その旋律線がターン音型の拡大によっており、ここにも主要主題との密な関連が見て取れる。第2拍目がsfで強調されるのも、2つ目の主要主題の確保におけるリズム的特徴に由来している。

(展開部+再現部)
冒頭と同じくLargoで開始される展開部(第93小節~)は、まず分散和音上行で調性を探る。まずト短調の属和音を匂わせるが、すぐに嬰ロ音上の減7和音へ向かい、嬰ヘ長調の主和音第2転回形に至る。これを半ば裏切る形で、調性は嬰ヘ短調へ向かい、Allegroとなって2つ目の主要主題が展開される。副次主題の和音がばらされた形であらわれ(第122小節~)、再現部(第142小節~)をむかえる。
Largoはレチタティーヴォ風の単旋律の挿入によって拡大され、2つ目の主要主題はその原型をとどめず、カデンツァ風の分散和音へ変容してほとんど推移の一部分に様変わりする。副次主題を主調で再現し、そのまま沈み込むように楽章を閉じる。

第2楽章 変ロ長調 4分の3拍子
第1楽章のニ短調に対して、VI度調にあたる変ロ長調をとる。主和音の分散和音上行による開始は、誰しも第1楽章の冒頭を思い起こすことだろう。
複付点リズムによって特徴づけられた主調の主題と、断続的な属音のトレモロを伴奏とする属調(ヘ長調)の主題(第22小節~)をもち、後半(第43小節~)で両主題が主調再現するというソナタ形式的な調性構造に基づいた2部分形式をとっている。この再現部分では、最初の主題は32分音符の分散和音を伴って変形されている。

第3楽章 ニ短調 8分の3拍子 ソナタ形式
(提示部)
主要主題はプレリュード風とでも言って良さそうな、16分音符の連鎖によって音型化されたテクスチュアによって切れ間なく続く。拍節のずれと2拍子的な特徴をもち、第1楽章と通底した2度下降動機による副次主題(第43小節~)は属調のイ短調であらわれ、オクターヴによって確保(第51小節~)される。

(展開部+再現部)
展開部(第95小節~)ではもっぱら主要主題の音型のみが扱われる。テクスチュアの連鎖によってひたすら転調が繰り返される。まずト短調にはじまり、イ短調、ニ短調、ハ短調、変ロ短調へ至る。変イ長調を経て再び変ロ短調にて主要主題があらわれる。これがさらに、ニ短調の属和音上に展開され、ヘミオラの単旋律パッセージによって再現部(第215小節~)が準備される。
両主題が主調のニ短調であらわれた後、やはり拡大されたコーダ(第323小節~)がこのソナタを締めくくる。主要主題の音型化されたパッセージによって、ト短調、イ短調を経由し、ニ短調で属音を強調した形の主要主題が回帰する。提示部においてあらわれた急速な半音階下降を経て、音型の連鎖の中、主和音の分散下降で楽曲を締めくくる。

音源 音源情報

コンサート この曲が演奏されるコンサート

  2017 New Year Concert 横山幸雄 Piano Recital
 [後援]  [ピティナ会員]
埼玉/ 彩の国さいたま芸術劇場音楽ホール

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