「鍵盤楽器事典」はじめます

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2015/06/19
「鍵盤楽器事典」はじめます

皆さんの「ピアノ」はグランド?アップライト?それとも電子でしょうか。
クラシックを学ばれるみなさんはピアノと呼ばれる楽器をお使いだと思います。しかし弾いている作品は必ずしもピアノのためのものではありません。たとえばバッハ(1685年生まれ)は「ピアノのため」には曲を書かなかったと考えられています。 また、ショパン(1810年生まれ)のピアノは、現代のものとはだいぶ違います。いっぽうクラシックでは作曲家が書いたままに演奏します。「当時の楽器はどんなもの?」と興味がわくのは自然なことですよね。
もちろん学ぶ効果もあります。たとえばピティナのコンペ課題曲は「4期」に分かれていて、時代ごとに「弾き分ける」のが課題です。では「その時代らしい」とはなんでしょう?それを知る近道の一つが、当時の楽器に触れることです。
「鍵盤楽器事典」は様々な方法で楽器の魅力を皆さまにお伝えし、音楽の楽しみを深めるお手伝いをします。どうぞご期待ください。

(ピティナ・ピアノ曲事典 編集長)

『鍵盤楽器事典』の記事リストと今後の紹介予定
「当時の楽器」に触れる意義 ~ピアノ指導者・ピアニストからのコメント
"hear"が"listen"になる!
林苑子先生

林苑子先生は「ステップ・目白バロック地区」を開催し続けた目白カンタービレステーションの代表者です。先生が主宰するステップでは、毎回、舞台上にピアノとともにチェンバロを設置し、出場される方は、チェンバロを弾くこともできます。こういった歴史的楽器を使う試みは、いまでこそ、複数のステップで行われていますが、林先生が始められたころは、まだ大変珍しい試みでした。

チェンバロをステップに取り入れて期待したことはともかく触って欲しい。聴くだけでも経験してほしいということでした。チェンバロのデリケートな音にふれると、多くの人は目つきが変わります。音の消える先を辿ろうと真剣になるのです。聞く(hear)から聴く(listen)に変わる瞬間です。先日のステップでは他のアドバイザーの先生から『この地区の参加者はバロックの曲を弾くのが上手ですね』と言っていただき、この取組を続けて良かったと思えました。ロマン期の曲でもなんでも演奏が変わるはずです。
目白カンタービレステーション
楽器の魅力を知ることから広がる発想
本多昌子先生

東京・杉並公会堂で毎年末、盛況のステップを主宰されている本多昌子先生。 2015年春には、ステーション活動の一環として、スピネットとクラヴィコードに触れることから、モダンピアノでの演奏に活用することを目的としたセミナーを企画・実行されました。

チェンバロ特有のタッチ、クリアーな音からは、音楽の流れをつくるアーティキュレーションを強く意識することができます。クラヴィコードという楽器に触れることからは、音の減衰を最後まで聴き取ることの大切さを、改めて思うことができました。今後はバロックだけでなく、ベートーヴェンのソナタにおける時代ごとの作風の変化と、楽器の変遷との関係を体感してみたい、などと考えています。
杉並ステーション
一歩を踏み出すと想像以上の世界が...!
末永 匡先生

末永匡先生はコンサート・ピアニストとして活躍されるいっぽう、旺盛な探究心をもって「楽器」や「音律」についての勉強会を開催し、魅力的な演奏とお話でもって、「学び続けること」の深さ、楽しさを広める活動に、積極的に取り組んでいます。

「留学先で日常的に傍にあったチェンバロ。フランスのリヨンで印象的な出会いをしたクラヴィコード。ユーロピアノの工房で触れたローゼンベルガーのフォルテピアノ。歴史的な楽器とは幾つもの印象的な出会いがありましたが、その瞬間にだけではなく、その積み重ねによって後々意味を見出したことも多いです。ピアノという切り口から広がる壮大な世界。全ては同じライン上、フィールド上に有機的な関係によって存在しています。古い鍵盤楽器や色々なメーカーのピアノに触れることは様々な経験の中の一つに過ぎませんが、それらは確実に私の音楽に、テクニックや表現に、新たな「命」を吹き込んでくれました。あまりにも多くの魅力に溢れている「学び」。「なぜなのだろう?」と疑問に思い探り始める森の中。それは一つの冒険のようなものです。何かを学んだ先にどうなるか、知って何になるかはその時には解らないことも多々あります。しかし「経験を積むこと、体感すること」が全てに通じているという事を知る時が必ず訪れるでしょう。踏み出せば必ず想像以上の世界が開けてきます。まずは『なぜ』という疑問をもって一歩、未知の場所に踏み出してはいかがでしょうか!」
過去の「工房コンサート」の紹介ページ(ユーロピアノ株式会社ウェブサイト内)
ご協力御礼

「鍵盤楽器事典」開始にあたって浜松市楽器博物館の楽器、20点を取材させて頂きました。また、取材に際しては博物館の鍵盤楽器メンテナンス全般を担当しておられ、クリストフォリ・レプリカ製作者でもある技術者の中山真氏に数多くの貴重なお話を伺いました。また、この企画開始当初より、鍵盤楽器奏者の小倉貴久子先生には多くのご助言とお力添えを頂いています。その他、ご協力くださった皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。


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