【ミュッセ】もじゃもじゃペーター~パパからのクリスマスプレゼント~
「もじゃもじゃペーター」E.C.ショルツ
絵本「もじゃもじゃペーター」をご存知でしょうか。
作者は西ドイツのハインリヒ・ホフマン(1809~1894)です。優れた精神科医でもあった彼が、3歳の自分の息子のために作ったクリスマスプレゼントがこの絵本でした。
10編の短編より成っていますが、火遊びして燃えちゃった女の子だの、好き嫌いして食べないでいるうちに糸みたいになって死んじゃった男の子だの...。「言うこときかない子はこうなっちゃうよ!」というお話が、どれも容赦ない結末と共に語られます。
いかにもお父さんらしいストレートな語り口と強烈な絵で、ファンタジーとは言いがたい世界なのですが、ホフマンの息子は大喜び、その後たちまち世界中に広まる人気絵本となりました。
自分でもやらかしそうな大人が眉をひそめること、が本の中で次々と、潔くも徹底的に実現される様子に、子供達が拍手を持って迎えたのではないかという気がします。
この「もじゃもじゃペーター」より4つの物語、
「もじゃもじゃペーター」
Op.23-1
「きらわれもののかりうどのはなし」Op.23-2
「大空のぞきのハンスのはなし」Op.23-3
「ばたばたフィリップのはなし」Op.23-4
が4つのピアノ小品として音楽で表されています。
オーストリアの作曲家E.C.ショルツ(1910~1977)によるもので、共感を呼ぶ素直な表現、テクニックレベルはソナチネ程度と、子供達にとっては弾くのも聞くのも、きっと両方楽しい作品です。
絵本の世界の強烈さを受け継いで、細かい部分には大胆で愉快な表現を使いながらも、全体は音楽としてのまとまりをきちんと持った、風格あるものになっています。上質のアニメや人形劇のBGMのようでもあります。
例えば1曲めの「もじゃもじゃペーター」のなんて堂々としたこと!
つめや髪のお手入れをしないでいるとこうなっちゃうよ!という、いましめの物語のはずなのに、聞こえて来るのは誇らしげなマーチではありませんか。
「もじゃもじゃペーター」は実は子供達のヒーローであり、そしてそのことをショルツはちゃんと知っていたのかも知れません。
ミュッセスペシャルとして、楽譜には4曲の元になった物語のあらすじも添えました。
日本語版の絵本も出版されています。
物語と共に、この愉快な曲集を是非子供達とお楽しみください。