ショパン : バラード第3番 変イ長調 / Ballade As-Dur Op.47


作品情報
標準演奏時間: 6m30s
解説
 ショパンがピアノ曲に用いたスタイルを観察する方法は幾通りもあるが、抒情的なものと物語的なもの、という分類がひとつ可能だろう。前者の代表は《ノクターン》、《マズルカ》であり、後者の典型が《バラード》と《スケルツォ》である。
 抒情的な構成において各フレーズや音型は羅列的で、その連結がきわめて緩やかであるのに対し、物語的な構成では、1曲の中にいわば起承転結を感じることができる。なぜ明確なドラマ性が生じるかといえば、まず、和声の進行が明解で、とりわけドミナント−トニック(転から結へ進む部分)の定型がよく守られるからである。また、各動機は変奏や転回、反復、拡張などの手法を用いて発展することもあり、ヴィーン古典派のソナタのような労作はなされなくとも、複数の主題が複雑に組み合わされて曲が作られている。
 つまり、《バラード》、《スケルツォ》、《ボレロ》など物語的構成を持つ作品では、ダイナミックでドラマティックな、始まりから終わりへ必然をもって突き進むような音楽的時間が生み出されるのであり、こうした要素が鑑賞上のポイントとなっている。(蛇足ながら、抒情的な作品では、わずかずつ変容しながらも留まり続け、戻りも進みもそれほど明確でない、いわば音楽的空間の中に、鑑賞者の耳を遊ばせることになる。)
 さて、では、各4曲が残されている《バラード》および《スケルツォ》の違いはどこにあるのか。
 これらがジャンルとしてショパンの創作の中で隣接していることは、音楽を見れば何より明らかである。しかも、両ジャンルを形式から明確に区別することはほとんどできないように思われる。ひとつには、これがショパンに固有のジャンルであるからで、それぞれが由来すると思われるジャンルの伝統を調べても手がかりは出てこない。しかし、音楽の外形からは区別できなくとも、それぞれの音楽内容、いわば物語の内容はやや異なっている。
《スケルツォ》はイタリア語で「冗談」を意味し、従来は簡明な形式で明るく軽く小規模な曲を指した。ベートーヴェンがメヌエットに代えてソナタの第3楽章に取り入れた時も、やはり極めて急速でユーモアに富んだ性格が与えられた。ショパンの《スケルツォ》は、一見するとこうした伝統にまったく反し、暗く深刻なうえに大規模である。だが、《バラード》と比べてみると、《スケルツォ》がいかにユーモアを内包しているかがよく判る。4つの《スケルツォ》にはいずれも、きわめて急速でレッジェーロな動機がひとつならず登場し、随所で「合いの手」を入れている。また、各部で短いサイクルで交代する音量のコントラストが指定されている。
 こうした手法が《バラード》にはほとんどない。各動機、各音は前後のしがらみに囚われており、逸脱を許されない。沈鬱な主題が次々と現われ、それらは鬱積して怒濤をなし、ついには破滅的な終末を迎える。《スケルツォ》が軽妙な音型や滑稽なまでのコントラストでこの種のストレスを解消するのとは、対照的である。
 なお、《バラード》4曲はすべて複合2拍子、《スケルツォ》は3拍子で書かれており、これが唯一の外形的な特徴といえなくもない。が、《スケルツォ》は全篇を通じてほとんどが2小節で1楽句を作るため、やはり2拍子の強烈な推進力を内包している。


《バラード》はショパンがピアノ作品に初めて用いた名称で、直接的には、ポーランドの詩人アダム・ミツキェヴィチのバラッドにインスピレーションを得た、といわれている。具体的にどの詩がどの曲に当てはまるのかは諸説あるが、どれも確証は得られず、俗説に留まっている。しかし、ショパンがたとえ実際にいずれかの詩をもとに作曲を進めたにせよ、これほど豊かな音楽性を秘めて結実した作品を何かひとつの筋書きに当てはめ、聴き手の想像力を制限することは、作曲家の本意ではあるまい。
 より広く視野をとるなら、1820年代にワルシャワ界隈ではバラッドなる歌曲が流行しており、こうした文学上のジャンルはショパンの精神生活にはなじみ深いものだったと考えられる。加えて、シューベルトのバラードや、パリのグランド・オペラに用いられたバラード風のアリアなどもショパンに大きな感銘を与えた。従って、あらゆる体験が集約して独自の新ジャンル《バラード》が誕生したとみるべきだろう。

《バラード》第3番は、全体に《スケルツォ》に近い性質を持つ。冒頭部ではとりわけ、音域を替えて反復される楽句、「紡ぎだし」の手法で変容する動機、思わぬ音域に突如現われる短い動機など、軽やかさと余裕に満ちている。
 形式上は、序奏付きロンドである。第52小節からロンド主題が始まる。第1ルプリーズ(第66小節以降)はロンド主題を変奏し、第2ルプリーズ(第116小節以降)は華麗なパッセージワークで埋められる。第3ルプリーズ(第157小節以降)はやや様相を異にし、第1ルプリーズで見出した動機、すなわちロンド主題の変奏形に16分音符を加え、音量を徐々に増してゆく。それはロンド主題の4回目の登場(第194小節)にも影響を与える。主題はもはや高音から降り注ぐような軽やかさを失い、低音部から這い上がろうと繰り返し試みては阻まれる。しかし第213小節でようやく抜け出し、冒頭の旋律が再現されると、華やかな走句に彩られて幕引きとなる。

(朝山奈津子 2008/07)


出版情報作曲年: 1840-41 出版年: 1841 初版出版地/出版社: Schlesinger
献呈先: Pauline de Noailles

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C(o^-^)尸~''/テーマ:作品そのものについて/インプレ:♪♪♪♪♪文化遺産!
ピアノ曲の中で一番好きな曲です。今年の夏、発表会で弾きました。この作品にはもとになった水の精と騎士とのお話があるのでそのこともふまえて弾くと、いいと思いますっ(*'ー'*)
ポプラの枝/テーマ:/インプレ:♪♪♪♪♪文化遺産!
円熟期の傑作。第4番と比べると規模が小さいが、詩的な点においてはショパンらしい作品といえる。
ピアノwoman!/テーマ:作品そのものについて/インプレ:♪♪♪♪♪文化遺産!
私はこの曲が大好きです。私は今度の発表会でこの曲を弾きます。先生にこの曲を選んでもらった時「こんな曲を私が弾けるのだろうか」とすごく不安でした。でもこんなすごいのを弾けたら...★とにかく今は精一杯がんばっています!
*BALLADE*/テーマ:作品そのものについて/インプレ:♪♪♪♪♪文化遺産!
私が今までの中で一番心を打たれた曲です。 最初の穏やかさから一遍、後半部分から激しい曲想に変化し、言葉では表現できないような部分になるところが本当に泣きそうになるほど好きで好きでたまりません。 本当にいい曲で、初めてこんなに感動しました。 とにかく本当に好きです。そして本当にいい曲です。 本当に、本当にいい曲です。感動の曲です。             
しります/テーマ:作品そのものについて/インプレ:♪♪♪♪♪文化遺産!
この曲っていいですね!この曲で凡作駄作?のひといないんじゃないですか?僕的には100%文化遺産!ですね。やっぱりショパンっていいですねぇ?。僕はこの曲がはじめから最後までずっと好きですよ。バラードは素晴らしい!!僕はこの曲をCDで聴いてからずっと好きです。




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矢印 バラード 第3番 変イ長調 Op.47 (原典版) -Peters-

矢印 バラード 第3番 変イ長調 Op.47 -Peters-