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> カーター, エリオット/Carter, Elliott Cook
カーター, エリオット Carter, Elliott Cook 1908
カーター, エリオット
Carter, Elliott Cook
[
アメリカ
] 1908
作曲家解説
岡田 安樹浩
2009年1月 執筆者:
岡田 安樹浩
エリオット・カーターは1908年ニューヨーク生まれ。青年期にウィーン旅行する機会にめぐまれ、新ウィーン楽派傾倒すると同時にストラヴィンスキーにも興味をもつ。
ハーバード大学で英文学と音楽を学んだ後、ロンギー音楽院にて学ぶ。ロンギー音楽院での学友ウォルター・ピストンのすすめでパリに渡り、エコール・ノルマル・ド・ミュジックで学ぶかたわら、ナディア・ブーランジェにも個人的に師事する。
カーターはキャリアの初期にあたる1930年代には新古典主義に傾倒し、ストラヴィンスキーやヒンデミット、バーバーなどの影響がみられるが、ドイツの表現主義へ傾倒はみられない。
カーターによれば、「あの時点(1930年代)における表現主義的美感は、ヒトラーへと通じる狂気の一部のように思われた」という。
その後徐々に独自の作法を模索し、1940年代にはディアトニック的から多調性の作品、ストラヴィンスキー的なクロス・リズムを用いた作品など作風の幅を広げていった。
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この時代はカーターが新古典主義から離れていった時代でもあり、《ピアノ・ソナタ》(1945-46)は楽器の奏法と、それに固有の音色との相互関係に着目した作品である。
この作品にみられるように、カーターは楽器固有の奏法や音色を重視するようになり、《チェロとピアノのためのソナタ》(1948)ではそうした「楽器ごとの特徴違い」を意図的に強調した作品であり、この時代はカーター作品における「対照性」という特徴を確立してゆく時代である。
その一方で、同時期には同じアメリカ人作曲家であるヘンリー・カウエルの著書『New Music Resources』やコンロン・ナンカロウによる自動ピアノからも影響を受けた。
1950年代にはセリー技法傾倒し、弦楽四重奏曲などにその成果を残しているが、カーターにとって重要だったのはセリー技法の実用的な面よりも、むしろ限定された素材によってテクスチュアを構成してゆく面であろう。
1960年代には「対照性」がさらに追求され、故意に限定され制約を課せられた素材を自由に応用した作曲技法を確立してゆく。《二重協奏曲》(1961)や《ピアノ協奏曲》(1964-65)、《管弦楽のための協奏曲》(1969)はその代表的な作品である。
1970年代には、こうした「対照性」が作品の内部に応用されるようになる。たとえば、《弦楽四重奏曲第3番》において、第1ヴァイオリンとチェロの「ルバートにquasi rubato」という指示に対し、第2ヴァイオリンとヴィオラには「常に正確にgiusto sempre」という指示を与えられている。《ピアノとヴァイオリンのためのソナタ》(1973-74)もこのスタイルで書かれた作品である。
1980年代以降のカーターは、複雑なエクリチュールによる作風へ接近する一方で、「現在性」をより意識した作品が目立つ。とりわけ1990年代以降は、カーターに傾倒する優れた演奏家たちの協力を得て、楽器固有の特徴を一層クローズアップする作品の数々が生み出されている。近年の作品に協奏曲が非常に多いのはこのためである。また、オペラ《What Next》(1997)は「現在性」を意識したカーターを考える上でも重要な作品である。
ピアノ関連の作品だけでも、《2つのダイヴァージョン》(1999)、《ピアノと管弦楽のための対話》(2003)、《ピアノのためのIntermittences》(2005)、《ピアノのためのCatenaires》(2005)、《ピアノと管弦楽のためのInterventions》(2007)などが生み出されている。
2009年現在、100歳を超えてもなお創作活動を続けている。
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