ハイドンは50曲以上のピアノソナタを作曲しており、第23番のピアノソナタは中期の作品にあたる。
当時の演奏技法からすると、技巧的な要素が多く、難曲だったようだが、今日では第52番のピアノソナタと並んで、多くのピアニストが取り上げる人気のある作品である。
第1楽章 アレグロ・モデラート
ソナタ形式。リズミカルな第1主題、軽やかに歌う推移部、流れるような第2主題など、提示部だけでも魅力的なテーマが次から次へと現れる。さらに、中間部では減七の和音が連続するドラマティックな場面もあり、落ち着くことのない活発な印象を与える。
第2楽章 アダージョ
2部形式。シチリアーノ風で、とてもロマンティックな楽章。いくつかのテーマの間にカデンツを思わせる旋律も現れ、即興的でロマン派に近い印象も与える。
第3楽章 プレスト
ソナタ形式。曲全体を通して、調性やアーティキュレーションを変化させるなどの工夫によりつつ、最初のテーマが一貫して用いられている。この楽章も第1楽章同様、中間部では減七の和音の連続が現れるなど、第1楽章との共通点が多いが、第3楽章の方がより展開が少なく、簡潔に書かれている。