リストはピアニストとして活躍していたためにピアノ作品は非常に多いが、ピアノ協奏曲と呼ばれる作品は、2曲しか残されていない。この2曲のピアノ協奏曲は、いずれもピアノの華やかな技巧が前面に押し出されており、演奏時間にして20分前後という比較的小さめの規模で、いくつかの楽章(部分)を連続して演奏される点に特徴がある。
この第1番の協奏曲は1830年に作曲が始まっているが、大部分は1846年頃から1849年にかけて作曲され、初演後も何度か改訂された。初演はベルリオーズの指揮とリスト自身のピアノで1852年にワイマールで行われたが、これを聴いた批評家ハンスリック(1825~1904)は第3楽章のトライアングルが活躍する部分を皮肉って‘トライアングル協奏曲’と呼んだというエピソードが伝えられている。いずれにせよ、第2番の協奏曲に比べてピアノのきらびやかなテクニックが散りばめられ、またオーケストラも充実した書法を見せ、ロマン派のピアノ協奏曲の中でも最も好んで演奏される1曲となっている。
・第1楽章 アレグロ・マエストーソ 変ホ長調 4分の4拍子
自由なソナタ形式で書かれ、衝撃的で力強く登場する冒頭部やカデンツァの多用など、華々しい協奏曲の幕開けとなる。
・第2楽章 クワジ・アダージョ ロ長調 8分の12拍子
3部形式による緩徐楽章。優美なノクターン風なメロディが流れるが、やがて様々な楽器とやり取りを始めて、華いでいく。
・第3楽章 アレグレット・ヴィヴァーチェ 変ホ長調 4分の3拍子
自由な形式のスケルツォ。軽快なピアノとトライアングルが交互に登場、後に第1楽章冒頭の音型が現れて、続く楽章へと突入する。
・第4楽章 アレグロ・マルチアーレ・アニマート~プレスト 変ホ長調 4分の4拍子
自由な形式のフィナーレ。これまでに登場したメロディが次から次へと顔を出し、豪華なクライマックスへ発展する。