シューベルトのピアノ・ソナタの中でも1,2を争う人気の作品。死のわずか2ヶ月前、シューベルトが体調をくずしながらも一気に書き上げた3つのピアノ・ソナタの2作目にあたる。10年後の1838年に、ディアベリ社から「シューベルト最後の作品。3つの大ソナタ」として、第19、21番と共に出版された。献呈はシューマン(第19番の解説参照)。
随所に朗々とした歌のような主題が散りばめられた非常に美しい作品である一方で、死期を悟っているかのような感情的な激しさをも内包している。こうした危ういバランスがこの作品の魅力のひとつとなっているのかもしれない。
第1楽章:アレグロ、イ長調、4/4拍子。ソナタ形式。力強い和音と躍動感のある付点リズムで堂々と始まる。展開部は素朴な第2主題を素材として、急き込むような切迫感のある展開をみせる。
第2楽章:アンダンティーノ、嬰ヘ短調、3/8拍子。三部形式。第2部の経過的な激しいパッセージを、バルカローレの主題から成る緩やかな部分が挟み込んでいる。
第3楽章:スケルツォ。アレグロ・ヴィヴァーチェ、イ長調、3/4拍子。スタッカートのリズムが活きた刺激的なスケルツォ楽章。
第4楽章:ロンド。アレグレット、イ長調、4/4拍子。ロンド・ソナタ形式。非常に親しみやすい冒頭主題は、シューベルト自身のピアノ・ソナタ第4番の緩徐楽章から転用されたもの。ロンドではあるが、エピソードの挿入よりも、むしろこの主題を中心的に提示することに主眼が置かれている。シューベルトにとって、それだけの価値をもった主題であったのだろう。