【公開録音】第2回:19世紀のクレメンティ

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2013/06/25
ピアノ曲辞典 公開録音
クレメンティと二つの世紀
中村純子(ピアノ)、染矢早裕子(ピアノ)、永田由布子(ピアノ)、林川崇(ピアノ)、上田泰史(企画・監修)
2013年9月18日

Program 
音楽人生の集大成へと向かうクレメンティ後半生は、出版・楽器販売事業拡大に力を注いだため前半生に比べれば寡作な時代である。しかしそれは、創作にかける情熱が衰えたからではない。むしろクレメンティの作曲に対する集中力はかつてないほどに高揚していた。交響曲作家でもあったクレメンテイは、このジャンルで大作を発表し、自らオーケストラを指揮した。この経験はソナタや奇想曲など大規模ピアノ作品の充実にも多大な恩恵をもたらすこととなる。教育の領域ではエマヌエル・バッハの衣鉢を継ぐ1801年刊行の『ピアノ演奏法序説』と記念碑的な曲集『グラドゥス・アド・パルナッスム』の完成を見た。
第2回「19世紀のクレメンティ」はクレメンティの独創コーダの付いたドン・ジョヴァン二序曲で幕を開ける。続いて一般に機械的練習の教材と誤解されている『グラドゥス』第2巻から大作「悲愴的情景」と組曲を取り上げる。そこには近代的なピアノ演奏技法の原型を認めることができるだろう。後半は有名な俗謡「月の光」を熟練の手腕で変奏した華麗な幻想曲、ベートーヴェンと並び19世紀前半に書かれたソナタの最高峰、「捨てられたディドーネ」Op.50-3を披露する。
上田泰史(企画・構成)
Profile

染矢早裕子(ピアノ)
ジュリアード音楽院プレカレッジで学び、桐朋学園大学短期大学部、及び同大学専攻科卒業。桐朋学園大学演劇科にて演奏員として非常勤講師を務める。その後、渡仏しアンヌ・ケフェレック氏に師事。エコール・ノルマル音楽院にてピアノソロ、及び室内楽の高等ディプロムを取得。室内楽演奏家資格を最優秀の成績、満場一致で取得。在学中、アリシア・デ・ラローチャの学内とバルセロナにてマスタークラスをたびたび受講する。2002年にすみだトリフォニーホールにてフランス大使館後援によるソロデビューリサイタルを行う。2002、2006年に三善晃プロデュース『響き合うピアノ』に出演。現在、ソロ、弦楽器やフランス声楽曲の伴奏、室内楽、など多方面で演奏活動を行っている。これまでに中村菊子、ロバート・ハリス、岡林千枝子、ラムズィ・ヤッサの各氏に、室内楽をデュヴィ・エルリー、オートンス・カルティエ=ブレッソン、クリスチャン・イヴァルディの各氏に師事。

中村純子(ピアノ)
福岡市出身。東京藝術大学大学院音楽研究科ソルフェージュ研究領域博士課程修了、博士論文「スコア・リーディングからピアノ演奏表現へ」。ピアノを東誠三、ソルフェージュを照屋正樹、ローラン・テシュネの各氏に師事。ソロ・室内楽ともに幅広い演奏活動を行い、ピアノ曲事典に多数の音源を提供している。1992 年ピティナ・ピアノコンペティションC級の部全国決勝大会入選。1994年九州・山口ジュニアピアノコンクール最優秀賞、全日本学生音楽コンクール福岡大 会小学校の部第3位。1995年ポーランド国立クラクフ交響楽団とコンチェルトの共演。2002年石川ミュージックアカデミーに参加。 2005年名演奏家オーディションにピアノトリオで奨励賞。2008年パブロ・カザルス国際音楽アカデミーにて独奏および室内楽の指導を受ける。現在、東京藝術大学ソルフェージュ科教育研究助手、Y.A.ミュージックアカデミーソルフェージュ講師、日本ソルフェージュ研究協議会正会員、一般社団法人全日本ピアノ指導者協会演奏会員。

林川 崇(ピアノ)
1978年生まれ。東京藝術大学音楽学部作曲科卒業。少年時代にエディソンの伝記を読んで古い録音に関心を持ち、19世紀後半から20世紀前半にかけて活躍した巨匠ピアニストの演奏を探究するようになる。以後、彼らが自らのレパートリーとするために書いた作品及び編曲に強い関心を寄せ、楽譜の蒐集及び演奏に積極的に取り組んでいる。また、楽譜として残されなかったゴドフスキーやホロヴィッツのピアノ編曲作品の採譜にも力を注いでおり、その楽譜はアメリカでも出版されている。ピアニスト兼作曲家として自ら手掛けたピアノ作品の作・編曲は、マルク=アンドレ・アムラン等の演奏家からも高く評価されている。


永田由布子(ピアノ)
桐朋女子高等学校音楽科、同大学を経て、東京藝術大学大学院修士課程修了。パリ音楽院、エコール・ノルマル音楽院に留学し、ピアノ、ソルフェージュのディプロマを審査員満場一致の首席で取得、室内楽のディプロマを審査員満場一致で取得、ピアノ伴奏、初見のクラスを第1位で修了。2011年ラヌラグ・ピアノコンクール(パリ16区)第1位など数多くのコンクールで入賞。2006年東京芸術センター主催によりソロ・リサイタルを行うなど、その演奏は日本でも高い評価を得ている。これまでにピアノを田上泰子、坂井由紀子、江澤聖子、東誠三、故フランス・クリダ、ソルフェージュを林達也、ローラン・テシュネの各氏に師事。聖徳大学、桐朋学園大学附属子供のための音楽教室講師、日本ソルフェージュ研究協議会正会員。


上田泰史(企画・監修)
金沢市出身。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、現在、同大学修士課程を経て同大学院博士後期課程に在籍中。在学中に安宅賞、アカンサス賞受賞。2010年から2012まで日本学術振興会特別研究員(DC2)を務める。2010年に渡仏、パリ第4大学音楽学修士課程2年に在籍中。19世紀のフランス・ピアノ音楽ならびにピアノ教育史に関する研究が高く評価され、国内外で論文が出版されている。日仏両国で19世紀のピアニスト=コンポーザーを紹介する演奏会企画を行う他、ピティナ・ウェブサイト上で連載、『ピアノ曲事典』の解説、facebookコラム(毎日更新)の執筆者としても活動中。一般社団法人全日本ピアノ指導者協会研究会員。

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