第33回:草加市立谷塚小学校 2006年5月17・18日(水・木)

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2006/05/18

建て替え中のためプレハブ校舎にできた音楽室にやってきたアーティストたちを相手に、生徒たちはにこやかな笑顔を向けて、思う存分好奇心を発揮!子どもらしい豊かな発想でアーティストたちをも楽しませた。佐藤展子さんはこれで10校目の出演となった。



ピアノの中はのり巻きとまぐろ丼?

「あっ!ピアノが開いてる!」元気いっぱいの子どもたちは、音楽室に入るなり、ピアノの中をのぞきこみ、コンサートの開始が待ちきれない。いよいよ始まると、佐藤さんのやさしいガイドに従って、さっき見たピアノの中の不思議な構造を教えてもらう。

「ピアノの鍵盤を押すと、ほら、どこがあがった?」「この、おすしみたいな所!」「おすし...?」「ほら、外側が黒くて、下に白いやわらかそうなものがついてて、のり巻きみたい!」

「なるほどねぇ。おすしかあ。これはダンパーって言って...」「ちがうよ!おすしだよ!おすし。こっちの赤いところは、まぐろ丼!」「えー、じゃあピアノの中はおすしだらけなの?おすし、そんなに好き?」と言うと、「好きー!」と。「わかった。じゃあ、今日だけこれはおすしね。足元の右側のペダルというのを踏むと、のり巻きのおすしが全部あがります。」「ほんとだー!」「じゃあ、今日はこのピアノの周りで聴いて、おすしがどう動くか、見ていてください。」と、いつの間にかピアノは子どもたちの好きなおすしの運動に様変わりしてしまった。


昔はみんなのリコーダーみたいな色だった

春澤さんが「このクラリネットは、最初はこんなにたくさんのキーもついていなくて、色も黒ではなくみんなのリコーダーと同じような色の木で作られていたんですよ。」と話すと、「リコーダーと似てたんだ、今はずいぶん違うなあ。」と、自分のリコーダーを見つめる。「ほら、大きさもこんなに違うでしょ?」と、春澤さんは自分のクラリネットを近くの児童のリコーダーと比べてみる。

音楽の先生が「みんなの教科書にも、ちょうどクラリネットの昔の姿の写真が載ってるよ!」と言うと、みんなで教科書を広げ「ほんとだー。」と、今度は教科書と本物のクラリネットを見比べる。

5つの部品を1つずつ分解する『インマー・クライナー』を演奏すると、1つずつ部品を説明しながらみんなの前で組み立てていく春澤さんに、「さっき短くした時に、穴に指を入れてなかった?あれは、重いからおさえてたの?それとも入れて音を変えてたの?」「さっき色々押してたけど、ドレミファソラシドってどうやっておさえるの?」と、細かいところまで気がついて質問する。


僕だったらみんなのために曲を作るよ!

佐藤さんが、ショパンの『小犬のワルツ』を、「これは、ショパンさんが好きな女の人が飼っていた小犬が、自分のしっぽを追いかけてくるくると回っている様子を表したものです。」と説明し、次に『トロイメライ』を「シューマンさんが、好きな女の人のことを夢に見て作った曲です。」と話すと、「みんな女の人のことばっかりじゃん!!」と。

「そう言えばそうだね。作曲家には、好きな女の人のことを想って作った曲とか、好きな女の人のために作ってあげた曲とかが、多いんだよ。」と佐藤さんが話すと、ある児童は「僕だったら、女の人のためばっかり作らないで、みんなのための曲を作るよ!」と叫ぶ。「そうか、えらい!じゃあ、みんなのためにいい曲を作ってね!」と佐藤さん。

だんだんと自分たちも何かしたい!とうずうずしてきた子どもたちは、2人と一緒にリコーダーで『オーラリー』を、そして元気な合唱で『グッデー・グッバイ』を先生の指揮にあわせて演奏してくれた。次の授業に音楽室に来た6年生からも「弾いて!」としきりにねだられ、『小犬のワルツ』を1曲サービス。4年生、6年生からも「絶対また来てね!」と帰り際に何度も声をかけられていた。


児童からの感想より~世界で一番いい日でした

ピアノは、手がこんがらないのかなーって、びっくりしました。(4年1組)

ピアノの中をはじめて見ました。「あんなふうになってるんだぁ!」って思いまし た。(4年1組)

小犬のワルツも、まるで小犬がおどっているようでした。(4年1組)

目がとび出るくらい、びっくりしました。(4年2組)

歌が好きな私にとって、世界で一番いい日でした。(4年2組)

クラリネットは初めて見たので、むちゅうになりました。(4年4組)

ピアノのいたをさわっていたら、ひびきました。(4年2組)

中でも心にのこったのは、小犬のワルツです。小犬が自分のしっぽを追いかけている様子がわかりました。(4年1組)

ピアノとクラリネットの曲を聞いて、声が出なくなっちゃいました。(4年2組)

クラリネットとリコーダーは、見た目はにてるけど、ちょっとしくみが違っていました。(4年3組)

お母さんに話したら、聞きたいと言っていました。(4年3組)

クラリネットは、初めて聞いて、こういう音なんだなと思いました。すごく楽しか ったです。(4年3組)

2人とも世界一です。(4年3組)

ぼくも先生たちみたいにがんばって、ぜったいプロ野球せんしゅになります。(4年2組)


演奏者紹介

♪ ピアノ 佐藤 展子(さとう のりこ)
東京音楽大学付属高校、同大学ピアノ演奏家コースを経て、2002年同大学院修士課程修了。在学中、特待生奨学金を得る。
1997年モーツァルテウム音楽院サマーアカデミーに奨学金を得て参加、A.ヤシンスキ氏に師事。
1998年彩の国埼玉新進音楽家オーディションに合格。マラソンコンサートに出演。 2000年卒業演奏会、讀賣新人演奏会に出演。東京音楽大学シンフォニーオーケストラと共演。英国王立音楽院に奨学金を得て短期留学、C.ベンソン氏に師事。
2001年ピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリ受賞。
2002年沼尻竜典氏指揮・日本フィルハーモニー交響楽団と共演。越谷、ヤマハ銀座店にてリサイタル開催。2005年越谷市にてリサイタル開催
♪ クラリネット 春澤 真由美(はるさわ まゆみ)
国立音楽大学卒業。中学・高校と全日本吹奏楽コンクール、全日本アンサンブルコンテスト全国大会で3年連続金賞等数々受賞。
1989年、ベルギーで開催されたプレ・ユーロ・ジャパンの演奏旅行に参加。1997年、1999年、2000年、パリ・オペラ座のスーパーソリスト、J.F.ヴェルディエ氏のフランス夏期講習会に参加。2000年、第5回日本クラリネットコンクール入賞。同年、彩の国アーティスト・デビューコンサートに出演。現在、小・中学校でのリサイタルや吹奏楽指導、またソリストとして活動中。

プログラム

ショパン「小犬のワルツ(ピアノ)
シューマン「トロイメライ」(ピアノ)
シュライナー「インマークライナー」(クラリネット)
ポーランド民謡「クラリネットポルカ」(クラリネット)
プールトン「オーラ・リー」(リコーダー)
グッデイグッバイ(合唱)

協力:草加市立谷塚小学校/後援:草加市教育委員会/主催・問合:ピティナ学校クラスコンサート係

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