第13回:西東京市立碧山小学校 2006年1月12日(木)

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2006/01/12

第12回のクラスコンサートでは、初めて「人間」が楽器の"声楽"が登場。西東京市碧山小学校4年生の前に、ピアニストの西川潤子さんとともに、ソプラノの國光ともこさんが、演奏と楽しいお話でピアノとオペラの世界を伝えた。


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こんにちはコーラスでお迎え

音楽室に入ると、碧山小学校の4年生から「こんにちは~♪こんにちは~♪こんにちは~♪こんにちは~♪」と"こんにちはコーラス"でお迎え。きれいなハーモニーのプレゼントに、ピアニスト・西川潤子さん、ソプラノ歌手・國光ともこさんは感動の面持ちでクラスコンサートをスタートした。

西川さんがピアノの鍵盤を低い方からずらーっと押すとうねるように動くダンパーにみんなびっくり。「右のペダルをふむと、全部いっせいにあがります。じゃあ、左のペダルをふむとどうなるかな?」と左のペダルを押すと、「うおー、鍵盤が動いた!」と、目の前で鍵盤がごそっと動いたのに目を丸くする。「弾いている間にペダルをふんで鍵盤が動いちゃったら、押すところ間違えないの?」というのが不思議で、一生懸命手元を見つめていた。

ショパンの「幻想即興曲」のほか、ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」ともう1曲、この地域の名前「ひばりが丘」にちなんで、シューベルト=リストの「きけきけひばりを」を演奏した。自然の残る西東京市で見る鳥の話などを織り交ぜて、随所にひばりのかわいらしい鳴き声が聞こえてくる曲に、生徒たちは楽しそうに聴き入っていた。

西川さんの指を見たら、とくに右手がとても速く動いていて、数秒間でいくつもの音が出ていたのでとてもびっくりして、すごいなぁと思いました。シューベルトの「きけきけひばりを」では、高い音のけんばんで鳥の鳴き声がうまく表現されていて、とてもきれいな音が出ていました。(4年2組)
「きけきけひばり」が一番すごかったです。その理由は、ピアノだけなのに鳥みたいな音を何しゅるいも出していたのがすごかったと思います。(4年2組)


この体が楽器です

ソプラノの國光ともこさんは、オペラの本で本物の舞台の様子を見せながら、ソプラノ・アルト・テノール・バスの声の種類やオペラの舞台のことを説明。そしてヴェルディのオペラ『椿姫』から「さようなら、過ぎ去りし日よ」の主人公のヴィオレッタの傷ついた心を歌いあげた。さっきまでふつうにおしゃべりをしていた國光さんの声が高く響くと、子どもたちはその声量と表現力に驚きを隠せない。

國光ともこさんは、あんなに高い声が出せるとは思いませんでした。初めてその声をきいた時にビックリしました。(4年2組)
國光さんは、歌の説明をしている時、私たちと同じような声をしていました。だけど、歌い出したら、すごくきれいで大きな声が出ていてすごいと思いました。オペラも見に行ってみようと思います。(4年1組)
國光さんの「椿姫」の歌は、ヴィオレッタの悲しみが、顔や身ぶり手ぶりで表されていたし、声も悲しいような声で、すごく悲しみが伝わってきました。(4年2組)

情感のこもった曲を歌い上げた後は、生誕250周年を迎えたモーツァルトのモテット「アレルヤ」を披露。 「この曲は歌詞が"アレルヤ"しかありません。でも色んな形で"アレルヤ"が出てくるので、一体何回"アレルヤ"というか、みなさんよーく聴いていてくださいね!」と言って歌いだすと、「いち...に...さん...」と、ひざの上で一生懸命指折り数える姿も見られた。歌い終わると「33回!」「35回!」「36回!」と、みんなから元気よく声が飛び出した。音楽の先生からも「"ア~"って言ってる時、どこで"レルヤ"って言うかって、とどきどきしたねぇ。」と。

私が気に入ったのは、モーツァルトの「アレルヤ」です。このアレルヤ4つの言葉で、こんなにすてきな歌ができるとは思っていなかったです。(4年2組)
「アレルヤ」1つ1つに表情があって、すごいな、と思いました。(4年2組)
アレルヤは、低い声で言っていたり高い声で言っていたりしていたので、すごかったです。アレルヤと言っていた数の予想は、34回でした。でも、答えは35回だったので、悔しかったです。(4年2組)


話してみたら、プロも普通の楽しい人だった!

最後には、「星空はいつも」をリコーダーで、そして「南風にのって」を合唱で、音楽の先生の指揮のもとに共演した。終わった後はお互いに盛大な拍手。みんな元気いっぱい演奏した後には、質問コーナーで次から次へと質問が飛び出し、二人の演奏者は気さくに色々な質問に答えた。

演奏の迫力に、同じ人間なのになんでこんなに違うんだろう?という所に興味が向かった。「この曲はどのくらい練習したんですか?」「食べ物は何を食べますか?」「他の楽器も弾けますか?」「1年にどのくらいコンサートをやるんですか?」「いつ頃から始めたんですか?」「プロになった時の気持ちはどんな気持ちがしましたか?」などと、目の前にいる演奏者を、一人の人間として理解しようとしている様子がとてもよくわかった。逆に、「あなたも何か楽器をやっているの?」などと演奏者の方から質問を返されることもあり、会話のように進んでいった。

最後には、代表の4名ほどが前に立ち、お礼の言葉を述べてくれた。「今日をとても楽しみにしていました。」というような感想とともに、「演奏している時は真剣な顔をしていて、すごい人たちだなーと思って見ていたけれど、後でお話をしてみたら、意外と普通におもしろい人たちなんだなーと思って、楽しかったです」といった感想も。プロでも、"同じ人間なんだ"ということを実感でき、ぐっと距離が縮まったようだ。

~生徒さんの感想より~

クラスコンサートを前から楽しみにしていてくれた様子、純粋に驚いたこと、また終わった後も自分で試してみたり、家に帰ってお母さんに話したりと、家族での対話のきっかけにもつながったことも伺える、素敵な感想をたくさんいただいた。

私は「うそでしょ。私たちの学校にプロの人が来てくれるなんて、夢の話でしょう。」と思いました。でも本当に来てもらえると分かった時、こんなにうれしい事はないと思いました。そしてとうとう当日。朝、「いよいよだぞ。」と思い、リコーダーをみがいて来ました。(4年2組)

西川さんのドビュッシー「亜麻色の髪の乙女」とシューベルト=リスト「きけきけひばりを」は、ぼくが、まだ赤ちゃんだったころ、お母さんがこの曲の入ったCDを流していたそうです。ぼくは、びっくりしました。ぼくはその時のことを覚えてなかったけれど、いい曲だと思います。(4年2組)

ぼくはこんな寒い時にあんなに速く指を動かしていて、すごいなと思いました。あと、足もこまめに動いていたので、すごいと思いました。ぼくだったら、手と足の動きが一緒になるんじゃないかなあと思いました。(4年2組)

5才からピアノをやっていたと聞いて、小さい時から習ったんだなーと思いました。家でお母さんと話したら「お母さんと一緒だね」と言っていました。そういえば、たまにお母さんがピアノをひいているのを思い出しました。(4年2組)

國光さんの声の高さ、きれいさ、その主人公になったような歌声、まさに最強と思いました。よくあんな高い声出せるなぁと思いました。家に帰って、高い声を出そうとしたけど、まったく出ませんでした。(4年2組)

歌っている時に口をめいっぱい開けている時に、こう思いました。「人は、こんなにも口を開けていても、アゴがはずれないんだな~」と思いました。ぼくは、今まで、アゴがはずれるのがこわくて、あまり口を開けなかったけど、今では次歌を歌う時は、アゴがはずれるくらいまで、口をめいっぱい開けたいと思っています。」(4年2組)

西川さんや國光さんのようなプロの人たちを間近で見ていたら、自分が上手になった姿のように見えてきました。(4年1組)

質問にも丁ねいに一つずつ答えてくれたし、二人の話はとても聞いていて楽しかったし、面白かったです。(4年2組)

音楽の先生より
コンサートは子どもたちにとっても、私にとっても、大変感激するものでした。プロの方々の演奏を間近で肌に感じながら鑑賞できたこと、会話形式で親しみやすく進行して頂いたこと等、幼い心に音楽に親しむ温かな火をともしてくださいました。


演奏者

♪ ピアノ 西川 潤子(にしかわ じゅんこ)
西東京市在住。桐朋女子高等学校音楽科を首席で卒業後、桐朋学園大学音楽学部卒業。1998年ピティナ・ピアノコンペティション特級金賞受賞など、国内外の多数のコンクールで優勝。モスクワのチャイコフスキー記念モスクワ音楽院大ホールにて、ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番を演奏。併せてCD録音を行いアメリカで発売。国内のみならずオーストリア(ザルツブルグ)・ウルグアイ・フィリピン・イタリア・アメリカ・香港・シンガポールなど世界各国でソロ・室内楽・オーケストラとの共演で活躍し高い評価を得ている。 「西川潤子のピアノ日記」
♪ ソプラノ 國光 ともこ(くにみつ ともこ)
武蔵野音楽大学卒業、愛知県立芸術大学大学院首席修了。新国立劇場オペラ研修所を経て、2003年新国立劇場小劇場にてガッツァニーガ『ドン・ジョヴァンニ』マトゥリーナ役でデビュー。平成15年度文化庁芸術家在外派遣研修員としてイタリアへ留学。「第16回F・チレア国際声楽コンクール」第2位、帰国後「第12回日本モーツァルト音楽コンクール」優勝、「日本モーツァルト音楽大賞選考会2005」大賞、「第3回東京音楽コンクール」第2位など国内外のコンクールで入賞を果たす。現在オペラやコンサートの他、ベートーウ゛ェン「第九」、モーツァルト「レクイエム」等のソリストとしても活躍している。2005年12月岐阜県民栄誉賞受賞。二期会会員。

プログラム

ショパン「幻想即興曲(ピアノ)
ヴェルディ「さようなら、過ぎ去りし日よ」(ソプラノ)
ドビュッシー「亜麻色の髪の乙女」(ピアノ)
しシューベルト=リスト「きけきけひばりを」(ピアノ)
モーツァルト「アレルヤ」(ソプラノ)
浦田健次郎「星空はいつも」(リコーダー)
若松歓「南風にのって」(合唱)

協力: 東京都西東京市立碧山小学校/後援:西東京市教育委員会、(株)エフエム西東京/主催・問合:ピティナ学校クラスコンサート係
エフエム西東京「西川潤子のようこそクラシック!」で1/29、2/12にクラスコンサートの様子を放送。
「西川潤子のピアノ日記」には西川さんのコメントが!

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