第8回:品川区立御殿山小学校 2005年11月24日(木)

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2005/11/24
品川区立御殿山小学校

第7回は、第15回ショパン国際ピアノコンクール・ファイナリストの根津理恵子さん(1995特級銀賞)が、短い帰国期間中に、東京都品川区の御殿山小学校2年生へ、ショパンやポーランドのお話も交えながら、ホットな演奏を届けた。

ビデオを見てみよう(WMV3分36秒)

どんな"かお"の音楽?

音楽室へ着くと、ポーランドから帰国した根津理恵子さんのために、2年生のみんなが自分で書いた1人1人の顔の絵で、日本とポーランドの国旗を囲んでお迎え。

「おはようございます!」と元気にみんなと挨拶をした根津さんは、「今日はみんなと、楽しく色々な表情の音楽をたくさん聴きたいと思います。」と、かばんの中から4枚の丸い色紙を取り出した。

「みんな、楽しそうな顔、してみて。そうそう、こんな顔!」と黄色いスマイルの紙を顔にあてる。

「じゃあ、こんな風に、涙が出る時はどんな時?」と、水色の泣き顔を見せると、「悲しい時ー。」「でも嬉しい時も、嬉し泣きするよ!」「感動した時」「うそ泣き!」と子どもたちからたくさんの声が。

真っ赤でまゆのつり上がった顔の紙を見せて「じゃあ、これは?」と言うと、「おこってるー。」「けんかした時。」「火山が噴火した時みたい!」などと発想も豊か。

最後に、ピンクの紙で微笑んでいるような顔。「これは、やさしい顔だね。お母さんのやさしい顔みたいね。」と根津さん。


ポーランドってどこかな?

「まずは、楽しい時の音楽!」と、パデレフスキのカプリスを演奏。きらめくような華やかな音を奏でるカプリスに、子どもたちは「どきどきするー!」「すごいはやい!」と歓声。演奏を終えて「どんな感じだった?」と聞くと、「遊んでいるみたい。」「はしゃいでるみたい。」と子どもたち。

「このパデレフスキという人は、ショパンさんと同じで、ポーランドの人です。私も、今ポーランドにいます。ポーランドって、どこか知ってる?」と、プログラムに載せた地図を見せる。「遠い?。ここから飛行機に乗って来たの?」と目を丸くする。

「ショパンさんは、20歳の時にポーランドを出なければなりませんでした。」
「一生ポーランドへ帰れませんでしたって、書いてあるよ。」
「そう。二度とお父さん、お母さんに会えないかもしれない、と思うと悲しいよね。次の曲は、そんな"悲しい"気持ちの時の曲です。でも、さっき誰かが"嬉し泣きもする"って言ってくれたけれど、悲しい時に嬉しかった時のことを思い出して、曲の途中で少し明るくなる時があります。」
「でも、結局は、さみしい方が多いんだよね?」
「そうなの。だから、また最後に悲しい気持ちに戻ります。」と、マズルカを演奏。

「今度は、怒った時の曲。」と、『革命』を演奏。その迫力に、「最後が怖かったー」とどよめき。「これは、戦争が起こった時に、ショパンさんが怒って「戦争はやめてくれー」と叫んでいる曲です。怖かったね。」


たくさん発見したよ!

「次は、嬉しい気持ちの曲を弾くので、みんなピアノの周りに来てみて」と言うと、「わーいやったー。すごーい。」とかけつける。譜面台をはずすと、「うわー、取れるんだ!全部見える」と歓声。

「これを押すと、これのどれかが動くんでしょう!?」「じゃあ、速く押したら速く動く?」「上下上下って全部動くんだね。」「全部押したら?」と、次々と興味がわく。みんなに囲まれながら、根津さんは"やさしい曲"『アンダンテ スピアナート』の美しい音楽を奏でる。

弾いている間も、「下を見ていてわかったんだけど、足でふむと、ペダルが動いた」「ピアノの中に番号が書いてある」「右の方が線が短くて鉄琴みたい」などと、たくさんの発見をし、根津さんに聞いてもらう。続いて小犬のワルツを演奏。「聴いたことある!」

今度は、生徒たちの出番。みんなで声をあわせて、「スイミー」と「世界がひとつになるまで」を根津さんのピアノにあわせて歌う。ほっとする温かい感じのする音楽になった。


みんなでダンス!

最後は楽しい曲、『エンターテイナー』。まずは、リズムにあわせて足をドン・ドン。次に、手拍子をしてみる。

「じゃあ、みんな、立ってみて!」根津さんと女の子がお手本で、右に、左に、ステップを踏みながら手拍子をしてみる。「みーぎ、ひだり、みーぎ、ひだり♪そうそう。じゃあ、曲にあわせて踊ってみてね!」と、みんなでダンスをしながらのにぎやかな『エンターテイナー』となった。

終わった後も、質問、感想がたくさん!「絵を描くのも得意ですか?」「ピアノを弾く時には、心の中で絵を描きますか?」という大人顔負けの質問には、「いい質問ですね!そうです、ピアノを弾く時には、いつも心の中に、その曲のイメージを描くようにしています。」と、根津さんも小学2年生の感性に感心して答えた。

そして根津さんを囲んで、記念撮影。
にこにこと楽しいクラスコンサートの幕が閉じた。

プログラム

パデレフスキ:カプリス
ショパン:マズルカOp.24-1
ショパン:エチュードOp.10-12『革命』
ショパン:アンダンテ スピアナート
ショパン:小犬のワルツ
スイミー(うた)
世界がひとつになるまで(うた)
ジョプリン:エンターテイナー


◎生徒さんたちからのメッセージ(抜粋)
「おこった曲と、やさしい曲をひいてくださってありがとうございました。」
「おこっている曲は音がすごく大きくて、ぼーっとしていたらいきなりドォーンって音がしてびっくりしました!!」
「わたし、ポーランドに行ってみたい!」
「わたしはゆびの動きを見ててすごいなぁと思いました。わたしは、ピアニストになってみたいです。」
「ぼくも、ピアノ...ひけるのかなあ?ぼくもうまくなってみたいなあと思いました。ぼくも家にピアノがあるので一度やってみます。お母さんもピアノをやっていたので聞いてみます。」
「ぼくも、ねづりえ子さんみたいなピアニストになりたいです。」
「ピアノをひく時の力がすごい!と思いました。」
「エンターテイナーで体をうごかしてリズムをやったのが楽しかったです。」
「かなしい歌の時、なみだが少し、目の方にたまりました。まあるい顔が、すごくおもしろかったです。お別れの時、「えー、もうおわりー」と思いました。
◎根津理恵子さんからのメッセージ
「生徒さんたちのキラキラした目がとても印象的でした。
豊かな感性から生まれた大人顔負けの鋭い質問にも圧倒され、かえって私の方がたくさん刺激を頂いてしまったようです。ピアノの中について説明をしたときの、夢中で見入っていた姿も忘れられません。
美しく純粋な心を持った生徒さんたちの前で演奏できたことを誇りに思います。
演奏を聴き笑顔になってくれて、その笑顔から演奏者も元気をもらう、素晴らしい企画ですね!これは、本当に!根津理恵子」

演奏者

♪ ピアノ 根津 理恵子(ねづ りえこ)
1985年 第10回ピティナ・ピアノコンペティションA1級全国決勝大会金賞(5歳)
1988年 第22回カワイ音楽コンクール金賞(9歳)
1993年 第27回カワイ音楽コンクール大賞(13歳)
1995年 第19回ピティナ・ピアノコンペティション特級銀賞(14歳)
1996年 第6回KIL国際ピアノコンクール優勝(スウェ ーデン)(15歳)
1998年 別府アルゲリッチ音楽祭にてM.アルゲリッチ指導のマスタークラス受講。
1999年 第20回霧島国際音楽祭にて優秀奨励賞、優秀演奏賞受賞。ベルリンでアシュケナージ主催ショパン演奏解釈のマスタークラス受講。
2000年 PTNA十代の演奏家シリーズに選ばれ王子ホールにてソロ・リサイタル開催
2002年 ハリーナ・チェルニー=ステファンスカ先生追悼演奏会に出演
2003年 NHK-FM「名曲リサイタル」に出演
2004年 第6回パデレフスキ国際ピアノコンクール第4位、及びパデレフスキ作品最優秀演奏賞受賞(ポーランド)
2001年からカワイ音楽振興会主催による「根津理恵子リサイタルシリーズ・ショパンをめぐる作曲家たち」を開催中。日本、ポーランド、スウェーデン、アメリカ合衆国にてリサイタル、コンサート出演。日本、ポーランドにてオーケストラと共演。2003年東京芸術大学卒業。現在ポーランド政府給費留学生としてビドゴシチ音楽アカデミー研究科在籍、エヴァ・ポブウォツカ氏に師事。金子勝子、杉谷昭子、播本三恵子、迫昭嘉、ダン・タイソン、故ハリーナ・チェルニ ー=ステファンスカの各氏に師事。
2005年第15回ショパン国際ピアノコンクールファイナリスト。

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