6.課題曲説明会・ダイジェスト版
今週末から、いよいよ第34回ピティナ・ピアノコンペティションが幕を開ける。
ここでは、2010年3月1日(東京)と3月7日(福島県喜多方市)で開催されたピティナ・ピアノコンペティション課題曲説明会のダイジェスト版として、課題曲演奏アドバイス(ソロ部門全級の近現代スタイル課題曲のみ)をお届けする。
デュオ部門、ソロ部門の他のスタイルについては、会報「our music」286号をご参照いただきたい。
【講師の先生方】


(A2~A1級)
栄子先生:市川フレンドステーション代表、当協会正会員
理恵子先生:当協会正会員
講師:黒田亜樹先生(B級)イタリア・マルツィアーリ音楽院マスターコース講師、Tokyo-Milanoチャオステーション代表
講師:今野尚美先生(C級)上野学園大音楽学科講師、当協会正会員
講師:田代慎之介先生(D級)東京芸大、武蔵野音大各講師、当協会正会員
講師:金子恵先生(A2~C級)国立音大准教授、桐朋学園大非常勤講師、当協会正会員、指導者検定委員、PTNA西武ハーモニーステーション代表

金子恵先生の課題曲説明会リポーター:前後皓子先生
当協会正会員
課題曲アドバイス
A2級
N.リュバルスキー:かわいいひよこ ピアノの学校2(音友)p.46
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根津先生 - この曲は、イメージをたくさん膨らませて弾きましょう。特徴的なのは、3小節フレーズであること。ひよこの不安定さを感じさせます。あと7小節目のフォルテ。これはひよこが、「ピヨッ ピヨッ 飛べないよ!」と、ちょっと鳴いているようなイメージでしょうか。それから後半部分の左手に注目してください。ここの部分、例えば"レ♭"の音を"ド♯"に置き換えてみると ♪レドレミレドレミ(7小節目からの小節ごとの音)となっていて、これはヨチヨチ歩きのひよこをイメージできますね。最後の部分は、IV度→I度という女性終止なので、やわらかく終始するとよいでしょう。
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金子先生 - 近現代の曲らしく3小節のフレーズで始まります。3小節を2小節+1小節と考えて、この1小節を"ちょっと余った"という感じで弾いてもおもしろいです。ひよこがヨチヨチに歩いている、ぎこちない足どりをイメージしてみましょう。左手レガートで歩き出したら3小節目で"つまずいた"。また歩き出して6小節目でつまずいた。8小節目では"ころんじゃった"10小節目で"起き上がって"12小節目で、またもや"ころんじゃった"そしてリタルダンドしながら"やれやれ・・・と起き上がって"という感じです。テンポ通り弾かなくても多少はイメージに合わせて長目にとったり呼吸したりして弾くとおもしろいと思います。
B.ジョイナー:走れこうま ビギナー・ピアニストのための小曲集1(全音)p.24
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根津先生 - これは3部形式で、「リズム感」「和声感」「拍子感」が課題です。左手が主役、右手が伴奏になります。"右手のミとファの和声感の違い"を出してください。ミはトニック、ファはドミナントですので、ファは、より緊張感と躍動感を感じますね。中間部、14小節目左手から右手にメロディが移行する部分はたっぷり歌わせて。フレーズの終わり16小節目は左右の交代に気をつけてください。左手のソは右手の邪魔にならないように、なるべく奥で手首を高くしておいた方が弾きやすいでしょう。
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金子先生 - おうまさんが元気よく走っている感じです。右手の方が大きくならないように。あと打ちをかわいらしく添えるイメージで練習をしましょう。4小節、7小節目の頭は、フレーズの終りなので強く弾きません。15小節から16小節の1拍のg音までレガートで弾き、アーティキュレーションしてから次のf ─ e ─ dをレガートにしてもよいと思います。20小節目も、初めと同様スタッカートをつけて統一感を出しても良いでしょう。シンプルな楽譜なのでいろいろ工夫してみて下さい。
佐藤 敏直:ぶきょく 4期のピアノ名曲集1(学研)p.76
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根津先生 - 大きく分けて2部形式。6小節、6小節、6小節、7小節、という特殊なフレーズでできています。課題は「躍動感」「フレーズ感」「バランス」。左手は常に躍動感を持って弾きましょう。18小節目の"シ♭"の音。 この大変特徴的な和声を解析するために、まず、"ミから始まるシャープもフラットも付かない音階"を弾いてみましょう。♪ミファソラシドレミ これは教会旋法、フリギア旋法で、1,2番目の音と、5,6番目の音が半音になっています。では今度はこれを"ラ"から弾いてみましょう。♪ラシドレミファソラ そうすると第2音が"シ♭"になるわけですね。これがこの18小節目に使われています。もう一つの考え方としては、フリギア旋法ではなくa-mollのナポリの和音と捉えることもできます。指使いを見ていきます。冒頭右手"345"と書いてありますが、"123"の方がコントロールしやすいでしょう。16小節目♪ドシドレミ を"41234"でなく"32123"、それから21,22小節目 ♪ミレドレドシラ の所は "3214321"とすると弾きやすくなりますね。
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金子先生 - 民族的な5度音程が続きます。終りの方に出てくるb─fの音程は、bの音を意識しておもしろさを出しましょう。フレーズとしては6小節の流れですが、4+2小節と考えて変拍子っぽく捉えてみると近現代的になります。中間部は2+4小節のフレーズです。拍子の不規則さを感じながら弾くとおもしろいと思います。一番最後の小節には、インテンポではなくほんのちょっと間をおいて入ると演奏効果がでるでしょう。
A1級
バスティン:バンドの行進 バスティン ピアノライブラリー ピアノソロ レベル3(東音)p.18
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根津先生 - 課題は、「転調に伴う音色の変化」と「スタッカート奏法」。指先を固定し、キーに置いておいてバウンドさせ、弾力のあるスタッカートを目指しましょう。最後の左手の連打は、重くなるようであれば"121"をおすすめします。元気よく弾いてください!
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金子先生 - 音量や音色の変化を表現しましょう。fで始まるメロディも全部同じ音量で弾かず、5小節目に向かうようにクレッシェンドしてhに変化するところを印象づけます。中間部 mfは問いと答えのフレーズになっていますから音色を変えて、次の mpも気分を変えて同様にします。一番最後は、ペダルを使って華やかに終ります。sfzの前で、ちょっと待った方がより印象的になると思います。
A.ハチャトゥリアン:なわとび
ハチャトゥリアン こどものアルバム 第2集"少年時代の響き"(全音)p.8
こどものための近現代ピアノ名曲集3(ヤマハ)p.62
ハチャトゥリアン こどものアルバム 第2集"少年時代の響き"(全音)p.8
こどものための近現代ピアノ名曲集3(ヤマハ)p.62
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根津先生 - 課題は「スタッカート奏法」、「多声体の弾き分け、聴き分け」。まず、3小節目の"シ♭"は、よく注意して聞いてください。9小節目からの中間部左手を二声として考えると、両手で三声体に感じられますね。半音階的経過音を右手の対旋律として丁寧に聴くとよいでしょう。再現部では、冒頭と同じくアウフタクトからテーマが始まりますから、左手の"ラ"から意識を新たに、伴奏ではなく旋律として捉えましょう。最後は休符をしっかり活かして。それから、テンポ表示通りの"144"ですと少しのんびりすぎて、飛び跳ねるのが難しいかもしれませんので、"160"くらいが妥当かと思われます。ただし4/4拍子ですから、あまり速すぎて1小節2 拍取りになってしまわないよう、くれぐれも気をつけてください。
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金子先生 - 1人なわとびではなく、たくさんの友達で跳ぶ"大なわ"でしょうね。ハチャトリアンのおもしろい音も出てきますから変化音の工夫も大切です。メトロノーム144ではちょっと遅いので160くらいに。では、大勢で縄跳びをするイメージを想像してみましょう。テヌートのついた符点2分音符は縄を下へ勢いよく漕いでいるところです。そしてスタッカートの4分音符で、縄が上に来ます。その中を子供達がピョンピョン跳んでいるのが左手4分音符のスタッカートです。時々現れる変化音は、上手に跳べなくて足に縄がひっかかりそうな感じを表しています。bの音からa→gis→g→fis→fへとメロディックな流れに注目します。再現部の前のcresc.はアラルガンド風にリタルダンドして呼吸してからテーマに入る方が、フレージングがはっきりすると思います。
B級
ショスタコービッチ:人形の舞曲より ダンス ショスタコービッチ ピアノ作品集(全音)p.26
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黒田先生 - 特徴的なのは、最初から最後まで pとしかディナーミク表示がないことです。クレッシェンドもフォルテもないのです。曲集全曲通して見ると、この曲のキャラクターが見えてきます。曲集の中の終曲として、前に並ぶ曲によるドラマティックな展開を終えて、あっさりとしたコーダの役割を担っているようです。
D-durという明るさや、エレガントさ、洗練された雰囲気もあり、そしてショスタコービッチ独特の、ジャズの影響も見られます。左手は2拍目が低くなることでアフタービートににテンションが来ます。右手の前打音もアフタービート。これがちょっとジャズの影響のようなおどけた表情を出すんですね。右手「Gis」非和声音の連打などもこの曲のジャズ的な遊びの特徴ですね。特徴的な音はあえて隠さないで音色に遊び心を加えて、ちょっと強調してみるものいいかもしれません。それによって、全体のディナーミクはピアノなのに印象のある凹凸のある効果的な演奏になります。最後から11小節目あたり、左手の和音がちょっと難しいです。練習方法は、まず一番上のファーソーを出して弾く。次にレーミーを出して弾く。1声部だけつなげる練習も効果的です。最後から5小節目も難しいですね。まず最初に♪レ レ レ レとオクターブずつ上がる1音だけのポジション移動の練習をして、次に1音ずつ足していく、♪レミ・レミ・レミ・レミと2音ずつの移動練習。次に♪レミファ... ♪レミファラ... と増やすと弾きやすくなります。 -

金子先生 - 人形の曲なので、ぎこちなさやおもしろさがあるといいでしょう。主に16分音符と8分音符のシンプルなリズムで、強弱もほとんど書かれていません。色々なアイディアで工夫して弾いてみて下さい。4小節のフレーズで呼吸をしながら進んでいきます。同じフレーズが繰り返されるところはf?pと弾き分けたり、またフレーズの語尾が少しずつ変化しているところは、ニュアンスを変えるなどしてみましょう。途中のgis音はおもしろい音で。長い音、アクセント、fのところ、最後のd音のタイ、終わりの2小節は、ペダルを使って響かせましょう。
ピエール・サンカン:ワルツを踊って!ソフィーちゃん
こどものための現代フランスピアノ小品集2(ヤマハ)p.16
こどものための現代フランスピアノ小品集2(ヤマハ)p.16
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黒田先生 - サンカンはジャック・ルヴィエ先生など沢山のピアニストお育てになったピアニストで作曲家。パリコンセルヴァトワールの先生だった方ですね。フランス近代の和声は、和声がより逃げていく、より複雑になって薄まっていくのですが、そういった伝統とフランス的な誇りを感じますね。フランス語の発音を想像して、音色もまろやかな鍵盤をこするようなタッチで弾くと良いと思います。1小節目~、左手はバスから付点・2分音符・4分音符とだんだん軽くなっていく。右手は♪ミー レー ドー と旋律の音色はレガートで少し重なりながら繋がっていきます。これを生かして左は少しポルタメントのようにして、右手は繋げるという音色作りも出来ますね。時々フレーズの小節単位が複雑になります。冒頭ピックアップの2小節(♪ソラシレファ)、4小節入って(♪ミー レー ドー )、次に4小節(♪ドー シー ラー )、また次に4小節(♪ラー ソー ファー)、さらに4小節進むと、その後に3小節フレーズが挟まります。このようにフレーズも単純には割り切れない、和声も逃げている、ダイレクトではない、そんな性格のとても洗練された作品なのです。左手にもモチーフが沢山隠されている。いろんな音の仕掛けがあるので、探してみてください。
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金子先生 - フランス語でおしゃべりしているような、シャンソンのような感じの曲です。右手メロディ、左手バスの間に内声のあと打ちがあります。左手の内声からソプラノへの受け渡しや、内声からバスへの下行のラインもきれいです。多声的に、自由に弾いてみましょう。
福島 道子:小人のパレード
コンサート・ピースコレクション「おつきさまのはなし」(カワイ)p.8
コンサート・ピースコレクション「おつきさまのはなし」(カワイ)p.8
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黒田先生 - 福島先生の作品は子供の感覚にとてもなじみやすい、かわいい楽しい曲ですね。現代の曲をやる素晴らしさというのは、何か疑問があったら作曲家に直接聞くことができます。ベートーヴェンにはお電話できませんから。より情報を得やすく、身近だという事は重大な意義だと思います。先ほど、裏で私は先生に「この曲はどんな風に書かれたのですか?」と、少しご質問しましたら、"日曜の朝に目覚めた時に聞こえていた"と。そしてご自身の作風については理論で攻めていくよりは、感覚で書いたものですと。「ですが流石、ピアノがご専門だけあって、バルトークのように沢山の細かい指示が楽譜に書き込まれています。最初の小節、アクセントがある音だけとって弾いてみてください。「レ」のリズムが隠れています。3小節目からの左手のバスには、スタッカートテヌートがあるのに対して、最後15小節目にもう一回出て来る再現部のところにはアクセントとスタッカート。これはバルトーク同様で、同じ「アクセント」でもスタッカートがついているアクセント。テヌートでもスタッカートがついているのとテヌートとの違い。そして最後に出てきてるモルトアクセント(山型のアクセント)はまた違うという事を、見逃さず、タッチの違いを一生懸命やってみてください。それだけでもとても立体的に変わってくると思います。福島先生からのご伝言、速すぎないテンポで、転ばないように弾いてくださいとのことです。
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金子先生 - 楽しい元気な曲。遠くの方からパレードがやってきます。あっ、きたきた!という感じでクレッシェンド。小太鼓が聞こえてきそうな、しっかりしたリズムで行進が始まります。中間部の和音は、半ペダルで神秘的にきれいに弾きましょう。
C級
カバレフスキー:ロンド・ダンス Op.60-2
カバレフスキー 子どもピアノ名曲集1(レ友)p.43
カバレフスキー 子どもピアノ名曲集1(レ友)p.43
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今野先生 - カバレフスキーは大きなリサイタルのプログラムなどでとりあげられる事はあまりありませんが、ギロック同様、青少年の音楽教育に力を注いだ人で、子どもたちの学習にふさわしい名作を多く残しています。カバレフスキーは自ら小学校の教壇に立って一般の子供たちと交流して、音楽教育は人間教育だという理念で、子供たちに愛情を持って音楽を届けました。この作品はダンスらしい優雅さの中に茶目っ気やユーモアが見え隠れします。8、9小節目からの半音階は、空中ブランコで揺れているような半音階でしょうか、半音階も何か音楽的に楽しんでください。16、17小節目、1回目のテーマはAが下がっていたのに、2回目では上がっていて愉快な感じ。この曲は全体に急ぎやすいので、1拍目を大事に弾きましょう。3拍目に伴奏が休符のところも、前のめりに突っ込まないよう、テンポの手綱をしっかり握ってください。この曲もロンドですので度々テーマが繰り返されますから、常に新鮮な気持ちを忘れずに。最後は、「なんちゃって」と、ほんわか愛嬌のある終わり方ですね。
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金子先生 - テンポも急がず、楽しい3拍子のダンスです。エレガントな感じで踊るように弾きましょう。中間部はファンファーレのラッパが鳴っているような感じです。
プロコフィエフ:月は草原の上にのぼる Op.65-12
プロコフィエフ 子どものための音楽(全音)p.34
プロコフィエフ 子どものための音楽(全音)p.34
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今野先生 - プロコフィエフも青少年のための音楽をたくさん作った作曲家です。「子供のための音楽」という曲集の最後12曲目が「月は草原の上にのぼる」。これは、モスクワの遥か南方のポレノヴォという場所にプロコフィエフの仕事場の山小屋があって、そこから実際に草原の上に月がのぼってくる様子をプロコフィエフが自伝で書いています。また、同時期には「ロミオとジュリエット」「ヴァイオリン協奏曲第2番」という大曲を書いていました。壮大な大曲に取り組む傍らで、別の眼差しで子供のための曲を書いていたのでしょうか。35小節目、突然D-durからB-durに転調します。意表をついているので、ここの空気の変え方を工夫すると良いと思います。8分休符の隙間時間がありますから、眉毛を3mm上げるでもいいし、何か少し空気を変えて欲しいですね。61小節目からのバスは、鐘のようなイメージですね。最初のメロディがシンコペーションになって現れます。プロコフィエフらしい臨時記号の使われ方に、ユーモアや、少しの皮肉も感じます。この曲もたった2ページの作品ですが、スケールが小さくならないように、他のプロコフィエフの作品も聴いてみてください。
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金子先生 -
金子:組曲の最後の曲で、自然情景を描いた作品です。最後の二段、左手の下行するラインaーgーfis、そしてテヌートのcisーhーaーgに着目しましょう。シンプルなだけに難しい曲です。
D級
バルトーク:「6つのルーマニア民俗舞曲」より 第4番・第6番 (各社)
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田代先生 - バルトークは、民謡を芸術音楽に、体系立てて取り入れた有名な作曲家です。 「6つのルーマニア民俗舞曲」は、1915年に書かれ、教育的な目的も含めて書かれた曲なので、親しみやすく、ある意味で平易に書かれています。バルトークの自演も残っていますので興味のある方は聞いて頂ければと思います。(『CD Bartok at the piano』)第4番は「角笛の踊り」又は「アルペンホルンの踊り」。(版によっていろいろ訳は違うようです)ペダル記号は全てバルトーク自身が書いたものです。ですから、十分に受け取って活かす必要があります。4小節目~、左手に合わせてペダルを踏み、左手上声を残していきたいのですが、この通りに右手をつけるとメロディーが濁ってしまいます。もし、9度が届く大人の手でしたら、フィンガーペダルで対応することが可能と思います。しかし、D級だと9度が届く人は少ないと思うので、あまりそれはお勧めしません。耳で音をよく聞いて、いざとなったら少し踏み継ぐようにするといいと思います。民謡をそのまま使っている民俗的な雰囲気を出すことが一番大事です。第6番の方も冒頭の左手、頭の「レ」だけがペダルからはずれています。ですが、9小節目からも同様であるのにバルトークの自作自演ではバスとしてペダルを伸ばしている。この辺はどうするのが良い、と一概には申し上げられません。ただそのペダルの指示がバルトークのオリジナルだという事を踏まえながら、実際演奏として効果的なものに仕上げてください。
イベール:「物語」より第2曲 小さい白いロバ Piano Literature Vol.5(Kjos) p.108
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田代先生 - イベールはフランスの作曲家、パリ音楽院で演劇を勉強した人です。様式に押し込められて語られる事をすごく嫌ったそうで、新古典的な作風を持ちながら、独自の音の世界を展開したということです。「Avec une tranquille bonne humeur =静かに、そして十分にユーモアを持って」とあります。ロバというのは、何かしらユーモアなものとして語られる事が多いイメージですね。私が読んだ限りの解説では、「特定の物語を表したものではない」と書いてありますので、白いロバが何を意味して、という提案は出来ません。その分、ユーモラスな語られ方をするロバのイメージを、例えば草原を駆けるようなチャーミングなイメージにしたり、中間部のD-durで不響和音が出て来るあたり、皮肉っぽく演劇っぽく効果を出したり、自由に捉えて良いと思います。テクニック的には、保たれる左手のスタッカートが「非常に軽く」と書かれています。先ほどのリストやメンデルスゾーンの連打の伴奏コントロールとはまた違った意味で、鍵盤につけたまま(決してキーの遠くから弾かないように)で、手首を柔らかく振動させながら、指に神経を入れるという繊細な扱いに注意して頂きたいと思います。








