コンペ参加に重要な役割を果たす「選曲」!

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2017/09/07
コンペ参加に重要な役割を果たす 選曲!

ピティナ・ピアノコンペティション参加者は、今年も指導者の先生とタッグを組み、大好きな楽曲と共にチャレンジをされてきました。コンペの本番で100%の力を出せる秘訣。それはもちろん、生徒さんがピアノや音楽を心の底から楽しんでいるからこそなし得ることですが、先生と相談して決めた「生徒さん自身の課題曲」 が、モチベーションに影響し、しいては結果へ繋がる要素の一つであることは否めません。どの選曲が「妥当」であるかは、生徒さん個人個人に適応するものであるはずですが、今回は、今年指導者賞を受賞された先生方6名に、その「選曲」について取材しました。

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選曲はいかに重要か~生徒の演奏曲が決定するまで~

ピティナ・ピアノコンペティションでは、A2 ~ F級では4期に分かれ、各3, 4曲が割り当てられています(D~F級を除く)。生徒さんは指導者の先生と、一夏を共に過ごす大事な課題曲に出会います。まずここでは、生徒さんの曲が決定する中での、指導者の "思考" をいくつかご紹介します。

コンペでは、選曲が80%位の重要さがあると考えています。コンサートでなくコンクールですので、4つのスタイルのコントラスト、バランスが重要かと思います。そして何よりも生徒の持ち味が存分に発揮出来る曲であるか、が大切と思います。

清水皇樹先生

まず、毎年新しい要項を見開き、これらの中からどの曲を生徒に提案するかの他に、いかに指導するかも踏まえて、苦悩します。初めは、純粋にセミナーやアナリーゼ楽譜等の補足情報に頼りません。全部教え方を自分で考えて組み立てていきたいと考えているためです。そのくらい、選曲は"楽しいこと"でもあります。

熊谷麻里先生

課題曲が収載されているすべての楽譜を調べ、教室の講師と共にまずは弾いてみます。特に、バロックの楽曲はアーティキュレーションや強弱記号の表記が様々であり、どの楽譜をレッスンで採用するかについても同時に検討します。その採択がコンペで審査員の先生にどう評価されるかも、一つの試みであると思います。

望月玲子先生
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選曲するうえで
大事にすべきポイント

いざ生徒へ提案し、演奏曲が決定していくうえで、大事にすべき具体的ポイントはどういった部分になってくるのでしょうか。より掘り下げて先生方に訊いてみました。

やはりまず、生徒の個性やもともと持っている音色にあったものを提案してきます。もちろん生徒が好むかどうかも大事な部分であり、なかなか決まらない場合は "教えやすいもの"を提案したりしています。

望月玲子先生

具体的には、表現力が強い子は歌う系の曲、手の骨格が良く指回りが良い子は俊敏な曲、両方が備わっている子は、豊かな音色だったりテクニックが多彩に発揮される選曲等。まだ実力が追い付いていない子や日頃の練習量が少なめの子は易しめの楽譜から..といったような方針はありえると思います

長本早苗先生

1スタイル3, 4曲の中からととても選びやすいので、すぐに生徒に合った曲はどれなのか、要項を見開いてすぐイメージすることができます。ただその後、4期のバランスを考える必要があり、例えば近現代で歯切れの良いアップテンポのものを選んだとすれば、(予選で)組み合わせる楽曲は、ゆったりした流れの曲等対比をつけるのもアイデアです。どのスタイルを予選、本選で組み合わせるかは、生徒によります。

清水皇樹先生

たとえば今年のB級本選に参加した生徒には、クラシックスタイルでクレメンティのソナチネを選ぶのならば、片方はあまり負担が大きくない曲を提案しました(単に分数の長さだけではなく、楽曲そのものの難易度を踏まえて)。後々(実際に審査に趣いて)気付いたのですが、長い曲同士の組み合わせでチャレンジされる方も多くいらっしゃったようです。生徒さんにより、様々なチャレンジの方法があると思います。

B級課題曲の演奏分数(近現代スタイル以外)
スタイル 作曲家 曲目 分数
バロック ヘンデル インパーティネンス 0:00:48
J.S.バッハ メヌエット ト長調BWV822-7 0:00:42
キルンベルガー バレエ 0:00:26
クラシック ビール ソナチネ ハ長調 Op.57-1終楽章 0:00:42
モーツァルト ソナチネ ハ長調 第1楽章 0:01:09
クレメンティ ソナチネ ヘ長調 Op.36-4 第1楽章 0:01:50
ロマン マイカパル こもりうた 0:01:30
グレチャニノフ 初めての舞踏会 0:00:58
ローデ あやつり人形 0:01:20
  • 黄色枠が、B級で分数が長かった課題曲。1曲あたりで1分以上の幅があります。分数は、一概に楽曲の難易度と比例するものではありませんが、生徒さんに合わせた選曲に考慮されるべき点かもしれません。
熊谷麻里先生

ロマンスタイルでは「初めての舞踏会」が、近現代スタイルでは「レインドロップス」が、一番の人気曲になるであろう、と意識しつつ選曲しました。単にその「人気曲」を避けるわけではなく、むしろ意識することにより、その他の曲を生徒の個性に合わせて積極的に選ぼうとすることにより、結果的に選曲の組合せが多様になりました。

B級課題曲における選択率(コンペ予選)
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選曲の仕方のイメージ
  • ペダリングを理解し、抽象的な世界観を持てる子なら⇒フリブレ/アンニック
  • 音がはっきりしていて明確なイメージを与えた方がよい子なら⇒三善晃/小さなたんけん
  • ロマンスタイルの中では「グレチャニノフ/初めての舞踏会」は女の子にすすめやすく、男の子なら「マイカパル/こもりうた」かしれません。
長本早苗先生
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その他、選曲やコンペご参加
でお気づきになった点

ピティナ・コンペは飛び級ができるので、弾ける子には課題曲のレヴェルで級を選ばせることもできます。C級の課題曲にも挑戦できそうな生徒さんが当該学年のB級を受けたのですが、早く仕上がるあまり、持て余してしまうという傾向が見られました。当日までに課題がクリアできるかどうかギリギリのところでチャレンジさせる、といったことが結果(や成果)に繋がることもありえると感じています。勿論「背伸びしすぎない」ことも大事ではあります。

清水皇樹先生

組み合わせで、歌える曲と動きのある曲、と両方見てもらうように選曲する意識は持っています。ともすると、指導者が一方的にその子に合った曲を選びがちですが、そこで生徒や保護者との対話があるのが理想です。いろいろな条件を鑑みて「その曲しかない」というより、できるだけ沢山の中から自分で選べたほうが良いと考えます。とすると、どの曲も弾けるような読譜力を、コンペ開幕前につけておきたいですね。

亀谷公美先生

秋~冬の発表会で少し大きめの曲にチャレンジさせておくと、課題曲を選ぶ時点(3月)で少し易しい曲だなという印象を与えることができると思います。また、3年生でブルグミュラーを学習し4年生でB級に参加するなど、「同じ系統の曲をすでにやっている」から取り組みやすい、という感覚を与えることもできると考えています。譜読みをした時点で指導者の指示で楽譜が真っ赤になってしまうような曲では、生徒の気持ちが萎えてしまうかもしれません。その曲をある程度「易しい」と感じさせる、様々な工夫が必要かと思います。

長本早苗先生

課題曲が発表される前に、どれだけ準備できているかが重要と考えています。コンクールやおさらい会を通して基礎力を涵養しておきます(どんな課題を与えても対応できるように)。また、C級以上になったら、自分で選曲ができるような基礎力をつけるため、ソルフェージュ、アナリーゼの指導に注力、演奏会や音源の鑑賞も積極的に促しているところです。

【課題曲発表までに備えておくべき基礎とは】
  • 課題曲が出る前の半年は、読譜、ソルフェージュ力、アナリーゼ力を高める良い期間。特にC、D級以上では、自ら選曲ができる能力の下地を作る期間とも言える。
  • インヴェンションやシンフォニアを常にレッスンに継続して取り入れているか。(C級以上)
滝澤香織先生
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取材にご協力いただいた先生方

今回は今年指導者賞を受賞された先生方に、お話を伺いました。ありがとうございました。

  • 亀谷公美先生

    正会員 北海道爾志郡在住

  • 熊谷麻里先生

    正会員 埼玉県川口市在住

  • 清水皇樹先生

    正会員 愛知県安城市在住

  • 望月玲子先生

    正会員 長野県松本市在住

  • 長本早苗先生

    指導会員 東京都八王子市在住

  • 滝澤香織先生

    指導会員 栃木県宇都宮市在住


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