コンペデータから見るピアノ継続のポイント

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2014/10/03
コンペデータから見るピアノ継続のポイント

今夏のコンペティション総まとめとして、このたび結果特集号が発行されました。今回は、特集号に掲載されている参加者に関する各種データを「ピアノ継続」という切り口でご紹介。「ピアノを長く続けるためのポイントは?」「コンペへの参加は、ピアノを続けることにどのように影響しているのか?」データとインタビューを交えてピアノ継続のためのポイントに迫ります。


幼少期からのコンペ参加
A2級の参加経験者のステージポイントと継続参加状況

2014年現在の高校生のうち、過去のA2級への参加経験の有無で、ステージポイントと継続参加年数の平均にどのような違いがあるか、比較しました。A2級に参加経験がある人の方が、参加経験のない人に比べ2.4年も継続年数が長いという結果に。幼少期のコンペ経験は、その後のピアノ継続に大きく影響しているようです。

  ステージポイントの平均 継続参加年数の平均
A2級参加経験あり 9.1 4.6
A2級参加経験なし 3.9 2.2
『継続参加年数と予選通過率』

2014年から遡って何年継続して参加しているかによって、予選通過率がどのように変わるのか調べました。継続年数1年の予選通過率が3割程度に対して、10年連続で参加している人の通過率は7割を超えています。特に1年のみと2年連続参加の通過率の差は、10%もの開きが出ています。続けて参加することで、より予選通過しやすくなっているようです。

『年齢別初参加の割合』

初めてコンペに参加した方の年齢を調べたところ、小学2年生までに初めて参加する方が多い結果となりました。初参加者は幼稚園年長よりも、小学1年生の方の数が少なくなっていますが、これはおそらくA2級からA1級に対象級が上がる境目の学年であることが影響していると思われます。A1級は小2で受けることに比べて、小1では少し難しいチャレンジになる場合もあるでしょう。しかし小1から参加してみることによって、小2になって参加した時に、上記のグラフのように2年連続参加となり、より通過率が上がると考えられるかもしれません。

『ソロ部門初参加率』
 インタビュー
内藤 潤さん岡山県立岡山朝日高等学校1年

2014年ピティナ・ピアノコンペティションF級全国決勝大会ベスト11賞受賞。これまでA2級からF級まで全ての級で全国決勝大会に進出し入賞を果たした。今年は妹の内藤麻理さんもD級で全国決勝大会入選。お母様の内藤みゆきさんもグランミューズ部門B2カテゴリーで本選奨励賞受賞。親子3人でコンペに臨んだ。

「ピアノ継続の栄養源は、ピティナへの参加」

 ピティナのコンペにはA2級から参加してきました。ピアノのコンクールはピティナ以外のものにはほとんど参加したことが無いのですが、ピティナは四期の課題曲が弾けるため、色々な時代の曲に取り組むことができ、コンペに出ることは毎年の楽しみでした。また全国決勝大会では、同じ課題に取り組んで来た素晴らしい仲間も出来て、お互いに刺激を受け合ったり、自分の背中を押してくれる大切な存在になっています。実は昨年だけは、高校受験のため勉強に専念しようと決めコンペへの参加を見送りました。今年コンペに復帰するにあたり、1年ブランクがあることや、始まったばかりの高校生活と練習の両立を心配して、周囲からは自由曲で参加できるグランミューズJカテゴリーへの参加を勧められていました。それでも自分では「全国にいるライバルと同じ課題をこなして、同じ舞台で闘いたい」と決意。ピティナで出来た仲間の存在が今年のF級参加への決意を後押ししてくれました。進学校での日々は予想以上にハードで、練習量を増やすことはとても難しいのですが、練習は「量より質」と心がけて通し練習は最後の時期だけにし、普段は自分の苦手な改善すべき点を抜粋して短時間で効率良い練習をするように心がけています。
 妹と母もそれぞれコンペに参加しているのですが、2人の存在も自分のピアノに向かう姿勢に大きく影響していると思います。今年、妹は1回目の本選でD級全国決勝進出を決めました。自分は1回目の本選では満足のいく演奏が出来ず悔いが残っていたのですが、妹の頑張りに刺激され自分も2回目の本選では必ず納得できる演奏をしよう!と奮起。結果として全国決勝に進むことが出来ました。また将来的には、社会人になっても可能な限りコンペのグランミューズ部門を受け続けていきたいです。それも、多忙な仕事を抱えながらも毎年コンペに挑戦している母の背中を見て育ってきた影響が大きいと思います。
 小さい頃は、男の子がピアノを弾くなんて・・と気恥ずかしくなるような思いがあり、練習もあまり好きではありませんでした。でも、幼少からずっと支えてくださった寄田先生とともにコンペに毎年参加し続けた事と、音楽はやらなくても応援をしてくれる父の存在にも助けられて、貴重な経験を重ねることができました。ピアノで鍛えられた集中力、本番力は、普段の学校生活にも十分に生きています。これからも生涯の趣味としてピアノを弾き続けていきたいと思っています。


寄田 美沙子先生 岡山県・ピティナ正会員

014年ピティナ・ピアノコンペティションF級全国決勝大会ベスト11賞受賞 内藤潤さんの指導者。A2級初参加の時から内藤さんを指導。2014年はC,D,F級で計3名の決勝進出者を指導。コンペを受けている生徒のほぼ全員がA2級、A1級から参加を継続している。

継続の秘訣はコンペで培う人間的成長

 私の教室では、小さな頃からステージに上がる経験のひとつとして、希望される方には、コンペのお話をしています。教室の中にコンペで活躍した生徒の写真を貼っていたり、色々なコンクールのパンフレットを置いていたりするので、自然とコンクールというものに興味を持たれる生徒と保護者が多いのかもしれません。小さな子は教室の先輩が弾く姿を見て、私もいつかこんな曲をこんな風に弾きたい!と憧れるようです。級が上がってくると、一緒にがんばれる仲間がいることも重要な要素です。お互いによいライバルとして、刺激し合い、がんばることができるようで、「ピティナに挑戦してみよう!今年もがんばろう!」という気持ちの輪が自然と教室の中にできていると感じています。そして夏が終わると、コンペに出た子ども達は驚く程成長をしています。
コンペに参加することは、課題曲に取り組むことで得られる技術的・音楽的な成長だけでなく、目標に向かってやり抜く集中力・根気・持久力などを養う機会となります。幼少期からコンペに参加し続けて、難しい課題にぶつかることや、思いがけない失敗を経験することは、それを「乗り越える力」を自然と身に付けることのできる絶好のチャンスです。またコンペを通して、目標を達成した時の喜びや、結果が上手く出なかった時の悔しさを味わうことにより、人間としても大きく成長していくのではないかと思います。この経験が生徒本人や保護者にとっても、継続していきたいという意志に繋がっているのではないかと思っています。



連弾を取り入れる
『連弾の参加経験者のステージポイントと継続参加状況』

2014年現在の高校生のうち、過去のデュオ部門参加経験有無による継続状況は、A2級への参加経験と同じく、デュオ参加経験ありの方が2.4年上回ることが分かりました。

  ステージポイントの平均 継続参加年数の平均
連弾参加経験あり 8.1 4.3
連弾参加経験なし 3.0 1.9
『ソロ部門とデュオ部門を併願している人の予選通過率』

ソロ部門の参加者で、連弾にも参加している人の予選通過率を比較してみました。A2からF級すべての級で、連弾にも併願参加した方がソロの予選通過率が高い結果となりました。特にA1級やB級では20%もの開きが出ています。小学校低学年まででの連弾経験は、ソロの演奏にも直結して良い影響が出ていると言えるでしょう。

『デュオ部門初参加率』
 インタビュー
俣野 昌子先生

2014年ピティナ・ピアノコンペティションにてA2級、A1級、連弾初級A、連弾初級Bで計4組の決勝進出者(A2級は入賞者コンサート)を指導。連弾部門7組の参加者全員がソロ部門にも併願参加。ソロ・連弾合わせてのべ21組が予選通過を果たした。

「連弾でチームワークと人間的成長を養う」

 私が連弾をコンペに取り入れているのは、孤独な闘いになりがちなコンクールの場で、連弾に取り組むことによって、互いの存在がモチベーションアップに繋がるという点が大きいです。自分一人で本番まで常に良いテンションを保っていくことはなかなか難しいですが、相手がいることで、お互いに励ますことができ、良いテンションを保ちやすくなると思います。またそれはペア同士だけでなく、違う連弾のペアやそれぞれのソロ演奏も応援し合ったりと、教室がまるでチームワークでコンペに臨むような良い雰囲気で、エネルギーの好循環が生まれていると思いますね。連弾を取り入れた当初は、ソロも連弾もこなすことは負担になるかなと思うこともあったのですが、相手がいることなので、自分自身のソロもきちんと弾かなければならないという意識も芽生え、結果としてソロ演奏にも良い影響が出ていると思います。コンペに連弾・ソロと併願での参加を始めて4年ほど経ちますが、今年はのべ21組もの生徒が予選通過することが出来ました。この教室全体の良いモチベーションが、それぞれの技術的な成長を支えている部分が大きいのではないかなと感じています。
連弾を一度経験すると、その面白さと楽しさでやみつきになる生徒がほとんどです。生徒達は「今度は誰とペアになれるかな?」と、まるでクラス替えや席替えのように、次の連弾を楽しみにしています。連弾のペア組みは、私がその時の各自のレベルや性格等を見て、なるべく凸凹コンビになるように組んでいます。似たタイプよりも、違うタイプを組み合わせることで、音楽的なものだけでなく人間的な成長に関しても、良い意味で化学反応が起きるのが私にとっても楽しみですね。
コンペは発表会やステップだけでは補えない、魔法のような人間成長の場であると思います。常日頃、生徒にも保護者の方にも「最後までやり抜いたことを讃えましょうね」とお話しているのですが、コンペに連弾を取り入れることによって、同じ目標を持った仲間とやり抜いたことを讃えあうことができ、また上手くいかなかったときにも励まし合うことのできる、人間としての大切な基礎体力を育てるかけがえのない経験が出来ると信じています。


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