あなたの演奏がもっと輝く!ステージマナーを学ぼう!

文字サイズ: |
2014/05/30

一年で最もステップの開催が多く、コンペティションの予選も始まるこの時期。ステージに立つ機会が増える方も多いのではないでしょうか。
普段の練習や、先生のお家でのレッスンとは異なる空間がステージ。
数々のリサイタル、コンサートでご活躍されている5人の先生方に、ステージに向かう心構えやステージマナー、衣装についてなど、普段の生活ではあまり意識しない、演奏以外の部分についてお話を伺いました。
先生方からのアドバイスを参考に、曲が仕上がったら、次は舞台姿も磨いてみませんか?
きっとステージに立つ楽しみが増えますよ!

安嶋 健太郎先生

─ピティナや、その他のステージを客席からご覧になって、演奏以外の部分で気になられていることはありますか?

たまにお辞儀が前屈というか、体操のようになっている子など、子供らしくて微笑ましいなと思う事もありますが、やはり舞台姿が美しいに越したことはないですね。
ステージでの所作や動きについて説明する時に、こういう"たとえ話"をする事があります。
「壊れて音が出ないテレビで音楽会を見たとして... 『舞台が明るくなってピアニストが現れる。そして演奏をしてまた帰る。』 という一連の動作だけで、"素晴らしく上手かったに違いない!" と思わせるような立ち居振る舞いが出来たら良いよね。」

─ご自身がステージで演奏される時に何か意識されていることはありますか?

リサイタルでは、登場するところから演奏は始まっている、と思って曲目に合わせて顔や表情も作っていくし、歩き方も考えていますね。ステージに向かうところから、空間を自分で創り出すように意識しています。
トークコンサートの場合は小さいお子さんも多いので、なるべく笑顔で、"ピアノのお兄さん"という感じで努めて明るくするようにしています。

演奏は料理と同じだと思うんです。どんなに味が良くても、食器だったり、盛り付けが綺麗じゃないと美味しさも半減ですよね。
自分の演奏だけで納得して欲しいと思っていた時期もありますが、"盛り付け"の部分である立ち居振る舞いや見栄えも演奏の一部だと今は思っています。
"食器"にあたる衣装にもこだわりがあって、基本的には黒だけれど、光沢があったりキラキラしている素材を選んだり、タイやチーフに華やかな色を持ってきたり舞台映えするものを選んでいます。

衣装については自身の生徒にもアドバイスすることがあります。プロコフィエフの戦争ソナタを弾く女子学生に「ヒラヒラのお姫様ドレスはやめてね」など。
ただ演奏するだけではなく、作曲家や楽曲の背景を勉強して、それを踏まえてどういう衣装でステージ作りをするか、ということも楽しみの一つとして考えてもらえると良いですね。

演奏会へ出かけよう!
ステージでのイメージを持つためにも、コンサートホールに足を運んで沢山の生の演奏に接して欲しいと思います。演奏会独特の空気感というのは、CDや映像では体感出来ないものですから。
意識しているかどうかは別にして、演奏会って音だけを聴いているわけではないんです。演奏だけでなく、舞台姿を含めて「憧れる」気持ち、感性が上達につながるのではないでしょうか。

"謙遜の美学"なのか、恥ずかしそうに舞台に登場したり、
「まだ完成していませんが」などと控えめな演奏前のコメントをされる方もいらっしゃいますが、舞台にあがる以上それを見せたら「負け」です。
ステージという非日常の世界を「自分が主役!」の気持ちで、思いきり楽しんで欲しいと思います。

あじま けんたろう◎東京音楽大学ピアノ演奏家コース卒業。同大学研究生修了。 1998年にデビュー・リサイタル開催。ソロ活動の他、国際音楽祭へを含めて多くの国内外の演奏家とも共演し、協奏曲や室内楽、伴奏においても高い評価を得ている。洗足学園音楽大学・大学院ピアノ科講師。当協会正会員。http://www.ajima-net.com
伊賀 あゆみ先生

─ステップやコンペティションで、演奏以外に何か注目したり気を付けてご覧になっていることはありますか?

アドバイスや講評を書くことにも必死なのですが、なるべく顔を上げて演奏前の様子も見るようにしていますね。
ステージに登場する姿勢や、歩き方、表情で緊張度合いや気持ちの強さなどは見るだけで伝わってきます。やはり出てきたところから"表現"は始まっていると思うので、演奏する前からどれくらいその曲に入り込んだり集中しているか、座ってから弾き始めるまでの"間"、曲に合った呼吸感などを意識されるとより客席に伝わるのではないかと思います。

─ご自身がステージに立たれる時に何か意識していらっしゃることはありますか?

まず舞台に登場する時は、少し微笑んで、柔らかい表情を心がけています。
ここがお客様とのファーストコンタクトになるので、聴いてくださる皆さんを見渡すように、なるべく広い目線というか遠くまで意識した目線で客席を見るようにしています。また微笑むことで自分の緊張をほぐす、という効果もあるんですよね。自然体でリラックスした状態を演奏する前に作れるといいですね。

─少しおめかしすることもステージに立つ楽しみだと思いますが、普段と違うからこそ気をつけるべきポイントはありますか?

まず靴ですね。客席から見ていて、あの方はあんまり履き慣れていない靴で演奏しているんじゃないかな、と思うことがあります。
私自身はだいたい4cm以下の高さで、細くないヒールのものを選んでいます。あと靴底があまり厚いとペダルの操作に影響がありますし、ブーツのようなものも足首が固定されてしまうので、履かないですね。

衣装に関しては、もちろん作曲家や作品に合わせて選ぶこともありますし、良い演奏が出来た時のドレスや同じ色のドレスを"ゲン担ぎ"で着ることもあります。
アクセサリーはあまり着けないのですが、大振りなものや音が出てしまうようなものは避けるようにしています。そういうものは自分も気になるし、お客様の集中を妨げることにもなるので。
お客様と演奏者、お互いが気持ちよく集中できる空間を一緒につくり上げることが大事だと思います。

そのためにも実際に靴や衣装を全て身につけ、本番さながらの練習をして慣れることが大切ですね!

会場で自分が演奏する姿をイメージしよう!
私は本番前にホールでリハーサルができる時には会場を見渡し、お客様が入った状態を想像するようにしています。事前にその舞台と客席のサイズ感を把握できていると、いざ本番になった時にも広い空間を意識した演奏へとつながるので。
そういう時間がとれない時には、舞台袖からステージを覗いたりして、そこで自分の弾く姿をいいイメージで持つようにしています。
視覚的にもイメージが出来ていると、心の余裕が全然違いますよ!

ステージは自己表現の場です。とにかく色々やってみる、試してみることで自分のルールのようなものが出来てきます。気の持ち方だったり、ちょっとした自分の中での決まり事を作ってみたり、様々な工夫をしてみることでより音楽に集中できると思います。
ぜひたくさんのステージを経験して、お客様と一緒につくり上げる時間に喜びを感じて下さい!

いが あゆみ◎福岡県出身。東京音楽大学卒業、同大学院伴奏コースを首席で修了。大学院在学中、奨学金を受けイギリス王立音楽院に短期留学、全日本学生音楽コンクール高校の部第2位。ピティナ・ピアノコンペティションG級と特級で金賞受賞。演奏活動の傍ら、東京音楽大学で後進の指導にもあたっている。当協会正会員。http://igaayumi.blog28.fc2.com/
金井 玲子先生

─各地のコンペティション、ステップをご覧になる中で、演奏以外の部分で目に留まったりされたことはありますか?

参加者の皆さん、ステージに向けて仕上げてきていらっしゃるので、マナーがなってないわ、と思ったことはありませんね。
ただ特に小さいお子さんになると、どうしても動作が"流れてしまう"ということがあります。お辞儀の前後に止まる、という時間がないと、それぞれの動作がひと続きになって区切りがなく流れてしまうんです。

まず出てきてしっかり止まって客席を見る。それからお辞儀をして、頭を上げたところでまた一呼吸あってからピアノに向かうと、動作が落ち着いて見え安心感がありますね。緊張すると焦って、ただでさえ動きが早くなりますし、同じ動きでも舞台が大きいほどせわしく見えますので、大きなホールになればなるほど気をつけた方がいいと思います。

それから、お辞儀の後にも気をつけるべき点がありました。椅子の調整の仕方です。たまに客席の方に背を向けたり、しゃがみこんだ姿勢で椅子の高さを調整される方がいらっしゃいますが、これはあまり見栄えが良くないと思います。
お客様には体の正面を向けた状態(もしくはせめて横向き)で上げ下げした方がスマートですよね。

─ご自身の生徒さんには、何かステージに出るときのアドバイス等されていらっしゃいますか?

ステージが近くなると、お辞儀は必ず練習させますね。お辞儀をして、弾いて、またお辞儀をするという一連の流れでやっています。
あとビデオを撮ることもあります。やはりいくら言葉で教えて、本人も気をつけているつもりでも、自分を客観的に見てみないとわからない部分もあると思うので...。ビデオを撮ってみると演奏中の姿勢なども自分で見て確認できますしね。

舞台映えする衣装を選ぼう!
自分の考える曲のイメージや雰囲気でドレスの色を選んだり、衣装を考えるのは楽しいですよね。どんなものでも素敵だと思うのですが、色に関しては、舞台映えを考えるとやはりあまりステージの色や、背景の色に溶け込む保護色のような色は避けたほうが良いように感じます。
あとロングドレスを着られる場合はすその扱いが難しいですよね。
両手でよいしょっ、とたくし上げて中のペチコートが見えてしまったりするよりは、客席と反対側の片手だけで持って登場した方がエレガントに見えますよ!

ステージでは、やはり登場する時の歩き方とお辞儀、そして私自身も心がけていることですが、"自然な笑顔"も大事ですね。ピアノは演奏中に横を向いてしまいますので、お客様と向き合うのはお辞儀の一瞬だけです。そこはお客様に気持ちを伝える、コミュニケーションをする場なので、大切にして頂けたらと思います。

かない れいこ◎東京藝術大学大学院修士課程修了。国際ロータリー財団奨学生としてミュンヘン国立音楽大学に留学、マイスタークラスを修了。第3回日本室内楽コンクール第1位。第17回ヴィットリオ・グイ国際室内楽コンクール第2位。リサイタルの他、NHK-FM放送、室内楽、オーケストラとの共演等、数々のコンサートに出演。ピアノのみならずチェンバロでも各地の音楽祭等で演奏している。東邦音楽大学講師。当協会正会員。
藤井隆史先生&白水芳枝先生(ドゥオール)
ドゥオール

─コンペやステップの参加者の皆さんに演奏以外の部分で意識してもらえたら良いな、という部分はありますか?

藤井先生(以下敬称略):人前で弾く=聴衆がいる、という意識は常に持っていて頂きたいなと思います。ステージというのは普段の練習や日常の延長ではないのです。
ステップのどんなに短い数分の演奏でも、その時間はその方だけを見ている特別な時間です。お辞儀一つをとっても、見られている意識があれば変わってきますよね。

白水先生(以下敬称略):参加者の皆さんはそれぞれ、いろいろな想いでステージに立ってらっしゃると思いますが、客席から見ているとその方がどういう風にこのステージに向かっているか、というのがよく分かります。演奏の上手い・下手ではなくて"その人が見える演奏"は素敵だなと思います。
人前で演奏するのは緊張すると思いますが、ぜひ自分らしさを表現してみて欲しいです。

─ご自身の生徒さんには、例えばお辞儀などを練習させたりすることはありますか?

藤井:僕はここで何秒止まって、など細かいところまでは言いませんが、見られている意識を持つことと、気持を込めてご挨拶するようにとは言います。

白水:私は結構細かく、頭を下げたら心のなかで1・2・3と数えてから、また顔を上げて客席をしっかり見るんだよとアドバイスしています。椅子に座ったら、これから自分が弾くピアノの大きさはどれくらいかな、と弦の長さを確認するように教えたりしています。
普段お家で弾いているピアノと、初めてステージで弾くピアノは全然違うと思いますが、楽器の大きさが意識できるだけでも気持ちに余裕が出てきますよ。

藤井:マナーとは違いますが、自分たちの生徒さんには音楽会でマイクを持たせて、自分がどういう解釈でどういう風に演奏するか、というのをお話しさせています。今や演奏会でもMCが欠かせない時代になっていることもありますし、自分の表現したいことを言葉で話せるようになっておくことはとても大切だと思います。ステップの60字コメントでも、ここを聴いて!というポイントが書いてあると嬉しいですよね。

二人の呼吸を合わせよう!

白水:一人で舞台に立つのと、二人で舞台に立つのは全然違います!安心感も2倍ですが、間違えられない緊張感ももちろんあります。
またどれだけ練習を重ねて合わせていっても、別々の人間なので呼吸感やドキドキ感はそれぞれ違います。それを合わせるために、舞台に出る前には二人で息を揃えてから出るようにしています。

藤井:僕は息を整えるのに時間がかかる方なので、すっと出て行こうとする白水を「待って待って!」と引き止めたことが何度もあります(笑)。

白水:二人で演奏する時に意識しているのは"終わり"を揃えることです。皆さん曲の入りは絶対揃えると思いますが、意外とフレーズや曲の終わりを揃えることって忘れてしまうんですよね。ここで手を上げて、どれくらい余韻を残して、二人で目を見合わせてから演奏を終える、という一連の流れが決まるとカッコ良いですよ!

藤井:僕たちが聴きたいのは、ここのフレーズを間違えたとか、誰かと比べて上手・下手...ということではありません。音楽はそういうことを超越した"ファンタジーな世界"です。自分にしか創り出せない世界を、音でおはなしするように表現してみて下さい。
僕は、ステージに立つ瞬間のために生きているんだ!という気持ちで、その一瞬のために懸けて欲しいと思っています。
貴重な経験ですので、お家で弾くだけではなく、ぜひステージに立つことも継続していって欲しいと思います。

白水:ステージは、どんなに短い時間でも自分だけを見てもらえる貴重な時間、特別な空間です。その瞬間にどうやって自分らしい色を出すか、どういうステージ作りをするか、ということを楽しみながら本番に向かって欲しいです。
また、ステージマナーというのは、"自分がどう見られたいか"ということだと思います。どんな自分でいたいか、なりたいかを意識してステージに立ってみて下さい!

ふじい たかし◎東京藝術大学付属高校、同大学卒、同大学院修。現在、武蔵野音大講師。
しらみず よしえ◎兵庫県立西宮高校音楽科、東京藝術大学卒。現在、国立音大、共立女子大非常勤講師。
それぞれ独・マンハイム音楽大学大学院最優秀修了(文化庁、DAAD各奨学生)。ソロでコンクール入賞、リサイタル、放送出演など活動し、ピアノデュオでロンドン、青山バロックザール賞、シューベルトなどに入賞。当協会正会員。今年はドゥオール結成10周年を記念し、リサイタルやCD「カルナヴァル!」の発売などが予定されている。

♪ドゥオール リサイタル情報♪
07/13(日)東京 10th. Anniversary "次の10年へ" 第1回「4手連弾の午後」
11/13(木)東京 10th. Anniversary "次の10年へ" 第2回「2台ピアノの夜」ほか

先生方からのメッセージとすぐに実践できるアドバイス、いかがでしたか?
プロもアマチュアも関係なく、ステージに立ったら皆がピアニストです!
演奏も舞台姿も磨いて、人前に出る自分なりの楽しみを見つけて下さいね。

♪今すぐステージで自分の舞台姿をチェック!→ピティナ・ピアノステップはこちら
♪プロのおはなしとステージを無料で鑑賞!→ステップ・トークコンサートはこちら
♪全国で数々の演奏会!→ピティナ後援コンサートはこちら


【GoogleAdsense】
ホーム > ピアノコンクール > ニュース > > あなたの演奏がもっと...