コンペティション結果からみる 採点票のみかた・活かしかた

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2013/10/25

コンペティションの夏が去って芸術の秋。気持ちの良い気候のなか、新鮮な気分で飛躍的に実力を伸ばすチャンスかもしれません。今回は皆様のお手元にあるコンペティションの大事な収穫の一つ、「採点票」の見かた・活用方法について特集します。

1.点数の意味、読みとれること2.コメントの価値、活かし方
1.点数の意味、読みとれること

採点票が配布されて、真っ先に目に入るのはやはり「点数」ではないでしょうか。「音楽に点数はつけられない」とよく言われます。これはまったくそのとおりで、演奏につけられる点数とは「審査員の先生方の意見」を示す「目安」です。点数の高い低いで一喜一憂し過ぎるべきではありません。とはいえ、練習した成果がまったく点数に反映されないかというと、そんなこともありません。

2013年度の参加者分布と
通過者分布、通過率
■ソロ部門
デュオ部門
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2013年度の場合、審査員の平均点8.2付近の方は通過率60%、確実に予選通過を目指すには、それ以上の得点を目指す必要がありました。ただし、左の「予選平均点の推移」グラフにあるように、採点の傾向は年によって変わります。

■デュオ部門
デュオ部門
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比較的低い点数で通過できる参加者がいる一方で、かなり高得点でも通過できない場合があります。理由は、地域によって点差が大きいことでしょう。

■グランミューズ部門
デュオ部門
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点数なりのソロ部門とほぼ同じ曲線を描いています。平均8.2点台後半以上の得点であれば、予選通過の確率はかなり高いでしょう。一方、一部激戦地区では8.5以上の得点で予選通過が適わなかったケースが見られます。

審査員の先生からのメッセージ1
厚地和之先生

厚地和之先生「その点数がつく理由」は様々です。コンペティションに初めて参加する方は、審査員ごとに評価が違うことに戸惑うかもしれません。たとえば、審査員の音楽経験が違えば、重視するところも変わります。点数はそのような審査員の見かたを反映するもので、単なる「好み」とも違います。この「さまざまな評価」を体験することが、生徒さんにとってはコンクールに出る理由になると思います。指導者の先生から生徒さんへは「なぜ評価に違いがでるのか」を説明できると、良いかもしれません。

予選平均点の推移
ここ10年、コンペティションの点数は上昇傾向でした。これは演奏レベルが向上したためと思われますが、点数には本選進出などの「結果」を決める基準の意味もありますから、あまり上昇し過ぎることは望ましくありません。極端な話かもしれませんが、際限なく上昇していけば、満点を10点以上にする必要がでてきてしまいます。この問題について審査員の先生方の間で情報共有された結果、2013年は少し平均点が下がりました。今後も、全体の点数は変動する可能性があります。
審査員の先生からのメッセージ2
水村浩一先生

水村浩一先生 今回紹介されているグラフを見ると、「無難な採点」をされているように見えることが、少し気になります。これは演奏そのものの問題もあるかもしれませんが、審査員が反省すべき問題も、含んでいると思います。私としては「良いものを持った子、良い演奏をした子が、より評価されるコンクール」であってほしいと考えています。
点数のことを言うなら、良い演奏に対しては思い切って9点以上の高い点数をつけたいですし、改善すべき点が多い演奏に対しては、7点台の(最近の傾向としては)低い点数をつけることもありえます。そして、いずれにしても、コメントではその理由をしっかり心をこめてお伝えしたい。低い点数をつけるなら、納得して頂けるだけの理由を書く必要がありますし、点数を高くつけた場合でも「良い」と言って褒めるだけでなく「ここを改善すればより良くなる」という指摘をしてあげたいと思っています。

2.コメントの価値、活かし方
指導者の印象に残った
採点票をご紹介!
採点票サンプル A1級という短い審査時間の中、充実の寸評をお書き頂きました。 採点票サンプル 厳しくも課題が分かりやすい寸評です。また、最後の一行が印象的です。 採点票サンプル 具体的なアドバイスで、参加者も迷わず練習に励めたそうです。

採点票の活用法

小倉郁子先生 採点票は、生徒毎に全てファイリングしています。コンペティションの採点票だけでなく、ステップのメッセージ用紙も全て生徒の資料として保管し、半年や1年毎に一緒に振り返ります。例えば、毎回同じ指摘をされている場合には、それを次の1年間の目標として設定できますし、お褒めの言葉や励ましの言葉も成長の記録になるのです。1回の結果としてだけではなく、資料集として長期的に活用しています。

永井雅子先生 採点票には新しい発見もありますが、日頃のレッスンで生徒に伝えていることが書かれていることも多いです。生徒にとって、知らない先生から同様の指摘を頂くことは、新鮮な気持ちで課題と向き合うチャンスです。また、生徒が最初に見るのは点数であり、点数によって一喜一憂しがちです。寸評を参考として、なぜその点数なのか分析し、筋道を立てて説明しています。


参加者の声
  • 2回目の予選でしたが、前回の講評文で頂いたアドバイスをポイントにがんばって練習し、今回はその点についてほめられていたので、はげみになりました。(予選・連弾初級A)
  • 今回からの講評がとても具体的(○小節の♪♪♪が・・・といった表記)で何行も書いて下さってとても感激しています。最近ピアノから遠ざかりがちの娘も、この一行を目にしてやる気が戻ってきました。感謝しております。(予選・連弾初級B)
  • 今回も5名の先生方からのアドバイスは色んな指摘があり、今後に役立てたいと思っています。そうする中で上達して受賞することが出来たら最高です。(予選・B級)
  • 1地区目に参加し、厳しい講評を頂き、本人も本気で取り組み、2地区目では大きく成長しました。受賞等にかかわらず、大きく成長したことに驚いています。(予選・A1級)

審査員の先生からのメッセージ3
江崎光世先生

点数はまさに「人それぞれ」です。審査員が聴く観点も様々なら、参加される方々の演奏・状態も様々です。
例えば「難しい曲にチャレンジしている」ことと「易しい曲を完璧に弾けている」ことのどちらをより高く評価するのかについて「いつも正しい答え」はありません。審査員の考え方が反映されますし、選曲によっても、点数は変化します。予選通過や決勝進出という「結果」に関して言えば、「時の運」も関係します。
デュオの審査では、アンサンブル力を重視して採点しています。二人が技術的に競い合うような演奏もよく見られますが、バランス良く音楽を作れているかが大事ですね。この点はソロでも同じ。「ミスタッチの数」は重視していません。もちろん、練習不足を感じさせるようなミスは減点の対象になりますが、音楽的に挑戦した結果の不可抗力であれば、音楽全体で表現されているものを、より重視します。
レッスンの一環として、生徒をコンペティションの会場に連れて行き、自分なりに採点させるという経験を積ませています。自分のつけた点数と、友達や先生のつけた点数を比べると、様々な考え方や、感じ方をする人がいるということがわかるでしょう。
コンクールは「練習の鏡」です。毎日の努力や自分の心の成長、また、反省の材料として活用して頂きたいです。


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