ピアノ学習が長続きするコンペ活用法

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2013/03/22
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コンペティションの課題曲が発表され、
申込み開始まで残すところ2週間となりました。

「コンペティションに生徒を出してみたいけれど、雰囲気が分からなくて怖い」
「大変そうだし、コンペティションに子どもを出すとなにかいいことがあるの?」
「昨年本選に行けなかったから、今年はもうやめようかな」


※ステージ継続年数は最後にステージに参加した年度から最初に参加したステージ年度を引いたものです。たとえば、ピティナ初参加が2010年で、最終参加が2012年ならば、継続年数3年とカウントしました。

そう思われている方へ、コンペティションで賞をとるためではなく、今後ピアノを長く続けるために、これからのピアノ生活をもっと豊かにするために、コンペティションへの参加をお勧めします。

実際、コンペティションに参加したことがある人の方が、そうでない方に比べて、より長くピティナのステージに立ち続けてくださっています。

今回は、長い時間ピアノを続けてこられた、教えてこられた7名の方に、コンペティションとの関わり方をお話し頂きました。どうぞ、ご自身にぴったりとくるストーリーをお探しください。

親の目線から
親として、指導者として

遠藤詩子さんはA1級からコンペティションに参加され、昨年ついにF級銀賞を受賞されました。
お母様の遠藤亜弓先生はピアノ指導者でもあります。親として、指導者として、どのような想いで コンペティションに関わってこられたのか、現在指導をされている高木早苗先生のインタビューとともにご紹介します。

◆ 遠藤 亜弓先生~子どもが学び、大きく成長する場所
◆ コンペティションの出会い ~同年代の子どもの演奏と出会う場所
遠藤先生は、ご自身で生徒さんの指導もされていらっしゃいますね。
自分の娘さんを教えられるということに苦労はありませんでしたか?

よく言われるのですが、特に苦労したことはありませんでした。
娘は生まれた時からピアノが身近にあり、幼稚園に行く前に毎日教則本の曲と、娘が幼稚園で歌っているような曲を一緒に弾きながら歌ったりと、ピアノが常に身近にあったので自然とレッスンにも入っていけました。

詩子さんは、ピアノが常にそばにある環境でのびのびと育ってこられたのですね。
それではなぜコンペティションに参加させてみようと思ったのですか

娘に同年代の子供たちと弾き合う場所を提供してあげたいと思ったことがきっかけでした。初めてのコンペティションでの演奏を終えた娘が、「あの子はこんな速さで弾いていたよ」とか「あの子の演奏、好きだな」など興奮気味に話すのを見て、彼女なりに感じることがあったのだなと思い、嬉しかったのを覚えています。
また同時に、もう一つ上の賞を目指したいとも思ったようです。褒賞にもいくつもの段階があって、その級の一つ上の賞を狙うこともできるし、もっと余裕があれば飛び級もできる。どの段階の子供にとっても、目標を作ることができるので、親としても応援しがいがありました。
同じ時期に高木早苗先生と、コンペティションのアドバイスレッスンを通して出会えたことも大きかったです。

◆ 初めての挫折、それを乗り越えて
順調にピアノを続けているように見えますが、なにかターニングポイントになった出来事はありましたか

D級で初めて決勝大会に進んだときですね。
まさか決勝大会にすすめるとは夢にも思っておらず、その時は親子でとても喜んだのですが、初めての決勝大会で周りの方のあまりの熱心さにすっかり気後れしてしま、残念な結果となってしまいました。その後、Jr.G級にも出たのですが、そちらは予選落ちで、娘はそれがとてもショックだったようです。
いままでは楽しく取り組んでいたのですが、上に進めば、進むほど、足りないこと、取り組まなくてはいけないことが明確に見えてきて、F級は絶対に上位入賞しよう!と初めての強い決意で取り組みました。それが見事実を結び、娘は喜んでいましたし、私もとても嬉しかったです。


姉妹では連弾も演奏。妹さんもお姉さんの背中を見て楽しくピアノを続けている
挫折した経験が、その後の大きな躍進力となったようですね。コンペティションは遠藤家でどのような存在ですか。

詩子には妹がいるのですが、彼女もピアノを弾くので、家族間の共通の話題となっています。コンクール前には課題曲について話してみたり、コンクールを受けてくると「あの子の演奏素敵だったね」と感想を出してみたり、ピアノ曲事典の動画を見てみたり。いつでもピアノがある生活なので、コンペティションはすっかり日常の一部になっています。

◆ 遠藤 詩子さん
努力すれば結果がでる、そのことがとても嬉しかった

コンペティションに臨むにあたり、学校の課題との両立は確かに大変でした。ですが、コンペティションは、努力が結果となってあらわれてくれます。私は不器用なので、人より多くの練習時間がかかってしまいますが、努力した分だけ報われる、とても大切な場所でした。F級で演奏したベートーヴェンのソナタは苦手ながらに、勉強したいと思って必死に取り組んだ曲で、とても印象に残っています。今は高校に進むにあたり、将来の目標はまだ定まっていませんが、音楽に関われる仕事に就きたいと思っています。

遠藤さんの決勝の舞台での熱演です。

3月23日の入賞者記念コンサートでの演奏も楽しみにしています!

◆ 高木早苗先生 ~聴衆の存在を気付かせる体験を
◆ 遠藤詩子さんとのコンペティションの経験
最初にお母様と一緒に先生のもとに初めて来られた時、どのような印象を持ちましたか。

ものすごく歌える子だなと思いました。
最初は不定期のレッスンだったのですが、その後月に2回、妹さんとお母様と一緒にレッスンに来られるようになりました。中学生になってからは、週1回、1人でレッスンに来ています。

詩子さんにコンペティションはどのような意図をもって参加させていたのでしょうか

C,D級とF級では彼女にとってのコンペティションの意味合いが全く違ったなと思います。

詩子さんは早い時期から「ピアノを頑張りたい」という想いが強い子だったのですが、それを共有できる友達は周りにはいなかったようです。コンペティションは年に1回、自分と同じようにピアノを一生懸命に頑張っている仲間に合える大切な場所。他のコンクールでも同じようなメンバーが集まったり、年末の支部入賞者記念コンサートで顔を合わせたりして、ピアノの練習が辛いと思っても、「きっとみんなも頑張っている」と思うことが出来たと思います。

ここで名前を呼ばれることを目標に
ここで名前を呼ばれることを目標に

しかし、F級は彼女にとって大きな勝負でした。
その頃、彼女は目標とする音楽高校が定まり、そこに向けて目標を作っていかなければいけない時期に来ていました。「F級に挑戦したい」と彼女はその夏のすべてのスケジュールと課題曲を自分で決め、全国大会で上位入賞するという固い決意とともに私のところに来てくれました。その夏の頑張りが、銀賞という形で評価頂けて本当によかったです。

ピアノを通して、人間としても大きく成長されたのですね。先生の教室の生徒さんも、みなさんコンペティションに参加されるのでしょうか

そんなことはないですね。参加を勧める子もいますし、勧めない子もいます。
私はコンクールに参加するには、行ける行けないは別にして全国決勝大会までを視野に入れ、4曲を弾ききるだけの実力を付けてほしいと思っています。参加する生徒にとっては、半年間でしっかりと四期をを学ばせる勉強の場、また「今この時期にとにかく多くの曲に触れさせたい」という生徒もいるので、その生徒には1年間コンペをお休みをしてもらっています。
ですが生徒自身は「来年のコンペに向けて力をためている時期」と捉えてくれている子が多いですね。

◆ 生徒をコンペティションに参加させるにあたって
コンペティションに出られた生徒さんはどのように変化するのでしょうか
各地から集まる仲間に会える場所
各地から集まる仲間に会える場所

大きな舞台で弾いたという経験は、ずっと後まで残るものです。 音楽には聴衆がいるものだと実感し、ステージで演奏するということは家で好きに弾くものとは別物だという意識が芽生えるようで、レッスンで曲が仕上がりそうになりと、自主的にステップに申込み、ステージで披露したいと言ってきます。
また、コンペティションという競争の舞台に立つために一生懸命に練習することで、自分の癖や弱点が自然に見えてきます。そういった小さなハードルを一つ一つ超えていくことで達成感を味わい、自分の人生をピアノが彩ってくれるものと感じ、長く続けてくださる方が多いのかもしれないですね。指導者として、これ以上の喜びはありません。

参加者の目線から
グランミューズからその先へ

幼稚園から大学生まで、部活や受験、多くのことを乗り越えて、今もグランミューズの舞台に立ち続けている浜崎友恵さんと田口涼子さん。大学生になっても、何故他人と競う場にこだわるのか。
御二人を指導された中西利果子先生のインタビューとともにお届けいたします。

◆ 浜崎友恵さん~ピアノを頑張りたいと思った時に、いつもチャンスをもらっていた
ピティナのコンペティションに参加したきっかけ、参加し続けようと思ってくださったポイントはどこだったのでしょう

私が他の教室から移ってきたときに、中西先生が四期の曲が学ぶことができるから、とピティナのコンペティションに参加してみない?とすすめてくださったのです。その後も続けてこられたのは、課題曲によるところが大きいかもしれません。バッハやベートーヴェンといったピアノを学ぶ基本となる曲が学べる仕組みになっており、基本を集中して練習する時間を取れたことが、今の私の演奏につながっていることを実感できます。

その後、どのような形でコンペティションを活用してくださっていますか

中3の時は、受験を控えていたので1年間お休みをしていました。吹奏楽に本気で取り組もうと、吹奏楽部の盛んな普通高校を受験したのですが、高校に入ってしばらくすると「やっぱりピアノを弾きたい」という思いが強くなりました。その時、再びコンペティションに参加するということモチベーションを高めることができました。その結果、無事音楽系の大学に進学することが出来て本当によかったと思います。

大学に入った後、再度コンペティションに参加いただけたのは2回生の時でしたね。

はい、1回生の時にはまだコンペティションに出られるレベルではない思ったので。
2回生の時には目標に向かって、それはそれは頑張りました。ステップではなく、コンペティションにというのはやはり競争という厳しい場面にたてるからです。その結果として、Yaカテゴリーで2位入賞できるというプレゼントがついてくるところが、コンペティションの嬉しいところです。
頑張りたいと思ったときに、参加出来て、他の多くの参加者や審査員の方に背中を押してもらっていました。これからも、自分が真剣になれる場所として活用してきたいです。

入賞者コンサートではドビュッシーの喜びの島を演奏。 その世界観で聴衆を魅了した
中西先生より浜崎さんについて

彼女は中学時代に最も多忙な吹奏楽部に入り、音楽の道へ進むことを決意したようです。無事音楽系の大学に進学でき、私も安心していたのですが、大学1年生の終わりにやってきたとき、あまりにもレベルが落ちていて愕然としました。話を聞くと、どうも大学の試験以外では全くステージに立っていなかったようで、こんなことでは!と、どうやって力を伸ばせばよいか、色々アドバイスしながら一緒に考え、グランミューズ部門に出演させたことで、確実に彼女のレベルは上がりましたね。見違えたように、自分の演奏について、曲の構造について、自分が何をしたいのか考えるようになりました。本当にグランミューズ部門のおかげだと思っています。

◆ 田口 涼子さん~演奏が変わる場所、自分自身が変わる場所
◆ 今しかできない音楽、自分自身と向き合う事
「もっと、もっとうまくなりたい」

コンペ本番を迎えるまでの過程が自分にとって大きいものだったように思います。決められた曲を決められた時までに悔いの残らないように弾き込むということは、自分がいかにその曲と向き合って、思う存分練習出来るか、ということに繋がるので、まさに全てが自分次第、自分との戦いでした。その努力によって、自分の中の音楽だけでなく、自分自身さえも変わっていったように思うのです。

進学校に進まれたことで、勉強との両立も大変だったのではないかと思うのですが、それでもコンペティションの参加を、そしてピアノを続けたいと思ったことはどのような想いがあってのことでしたか
2012年度は10回、ピティナのステージに立った
2012年度は10回、ピティナのステージに立った

コンペティションの課題曲が毎年変わるということが、とても魅力でした。その年にしか弾くことのできない曲があるということが、今しかできないことがある、そのことを思う存分頑張ってみたいという想いにつながっていたと思います。

ピアノをやめたいと思ったこともありませんでした。中西先生のレッスンはとても奥が深く、音楽の世界というのは無限に広がっているのだなと感じることができました。大学生になってからは自分の音楽を他の人に聴いてもらうということに興味を持ちはじめ、ステップにも多く参加するようになりましたが、コンペティションはやっぱり特別な存在でした。

◆ コンペティションでの悔しさが、アマチュアの高みを目指すきっかけに
コンペティションに出場するということは決して楽しいことばかりではないと思います。辛い、と思うことはなかったでしょうか

努力して、もう悔いはない!という状態で本番を臨んだとしても、思うような結果が出なかった時は、辛かったですし、とても落ち込みました。支えてきてくれた人に応えることが出来なかったふがいなさ付きまといました。でもしばらくたつと、もっと上手くなればいいのではないか、次はもっと高い目標を立てて達成できるように頑張りたいと気持ちを切り替えることが出来ました。

大阪国際ピアノコンクールアマチュア部門で第1位を受賞。これからも、世界は広がり続ける
大阪国際ピアノコンクールアマチュア部門で第1位を受賞。これからも、世界は広がり続ける
「目標に向かって努力する」習慣をつけられたことが、ピアノと勉強、両方にいい影響をもたらしたのですね。 これからのピアノ生活への抱負をお願いします

アマチュアの世界はとても広がっていて、周りで頑張っている方を見たら自分も大学生活との両立をもっと頑張っていこうと思えました。きっとこれからも、アマチュアのコンクールには出続けると思います。そしてもっともっと音楽の深みへ入り込んで行きたいです。

中西先生より田口さんへ

頭がよく、モチベーションがとても高い生徒さんだったのですが、演奏は勢いまかせにしてしまうところがあったのできっと良い目、悪い目を見ながら進んでききたのではないでしょうか。
先輩を見て、「私もグランミューズ部門に出たい!」と出演したものの、1年目はぎりぎりのところで決勝にすすめず泣きながら私のところに電話をかけてきました。
それほどに熱心で、頑張り屋さんの生徒さんです。
これから実習などで忙しくなると思いますが、きっとピアノは続けてくれるでしょう。

◆ 中西 利果子先生~ピカピカのトロフィーではなく、1曲をピカピカに磨く経験を
◆ コンペティションでピアノの基礎能力を
先生の教室では、皆さんコンペティションに参加されますか

いいえ、そんなことはないです。でも、小学生のうちはなるべく参加するように勧めています。とにかく基礎力をつけるために。

なるほど、「基礎をつけるためのコンペティション」なのですね

そうですね、私の教室ではGWの発表会で、実力よりワンランク上の長めの大曲をひいてもらうことにしています。それに比べるとコンペティションの曲はどうしても短くて、語弊があるかもしれませんが、重箱の隅をつつくように皆さん完璧に準備してこられますよね。「そこまでしなくても」と思うかもしれませんし、そのバランスが難しいところではありますが、「1曲をピカピカに磨く」経験をすることはそれからのピアノ人生にとても大切な役割を果たすこととなるのです。

◆ レッスンが「おもしろくなる」ところまで
大切な役割、というのは具体的にはどのようなことですか

ある1曲をとことん深く、深く掘り下げた経験があれば、他の曲に取り組んだ際にもどんな点に注意しなければならないのか、どこを集中的に練習すればいいのか、わかるようになります。
どんな難曲も、突き詰めれば結局は基本的な技術が習得できているかどうかにかかっていると思うので、集中して、基礎力を学び、土台をつくることができるコンペティションは、とても大切な機会だと思っています。

憧れの曲にチャレンジできる実力がつくと、ピアノへのモチベーションも変わってきますよね

私は、生徒にとっても、指導者にとっても、レッスンが本当に面白くなるのは高校生からだと思うのです。音楽を自分のものとして、自分の意志を演奏に表現しようとしている生徒にレッスンができるようになるのを、私はずっと楽しみにしています。
小さい頃は賞はもらわないでもよろしいので、その場所までついてこられるピアノの基礎体力をコンペティションで目一杯つけてあげたいです。
私の教室では多くの高校生、大学生、卒業生が発表会で演奏してくれるので「いつかああなりたい」と小さな子供たちのモチベーションにもなってくれていると思います。

指導者の目線から
生徒が継続表彰をもらうという事

継続表彰20回以上の生徒さんを12名育て上げた鈴木直美先生。
20回というのは、1年間に3回ステージに立っても6年以上かかってしまうという、とてもすごいことなのです。そんな鈴木先生から、参加者、保護者、指導者の方々へのメッセージです。

鈴木 直美先生~指導者の学びの場、試練の場
◆ コンペティションを終えた生徒さんたちの受け皿
どうすれば、先生の教室のようにピアノを長く続けてくれる生徒が増えるのでしょうか

それは、生徒が上達するという1点にかかってくると思います。生徒が成長した証をいかに保護者にプレゼンテーションできるかということです。
コンペティションの結果でなくても構いません。発表会での演奏、学校の合唱コンクールで伴奏賞が取れた、そういう「自分の子供は他の子よりもうまい」という優越感を保護者に与えながら、「うまくなりたい」と生徒に思わせることができれば生徒は自然にピアノをつづけてくれるようになります。


プロのコンサートのようなチラシ、プログラムを作る。いつか自分の力で演奏の場を開拓できる人になってほしいという想いから。
生徒の気持ちと保護者の気持ち、どちらも理解することが必要ですね。
先生の生徒さんはA2級からF級まで皆さんコンペティションに参加されますか

いいえ、E、F級は音大受検をする生徒が大半ですね。また、全員がピティナのコンペティションに参加するわけではありません。課題曲が難しいと保護者の方が判断されたら、他のコンクールも合わせておすすめしています。

ここで大切なことは、コンペティションに参加しない子供たちに劣等感を与えないことです。 私は、これまでコンペで育ってきた高校生以上の生徒さん達に、お盆の頃、演奏会体験をしてもらっています。1人20分のプログラムを考えてもらい、立派なホールで演奏してもらう。その姿を見て、保護者の方々はピアノを続けてこさせて良かったなと思ってくださいます。また、小さな子供たちにも励みとなりますよね。

◆ 指導者たちの試練の場、生徒のプロ意識を育てること

スプラウトコンサートご挨拶
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どうやって「終えて」もらうか

語弊があるかもしれませんが、「どうやってはじめてもらうか」も大事ですが「どうやって終えてもらうか」もとても大事なことだと思うのです。決してピアノに親しむことが終わりということではありません。コンクールを毎年のように受けていた子供達は級が進めば課題曲が難しくなったり、高校生や大学生になって人生の目標を具体的に見つけたりして、みんなが一様にコンペティションに参加するということができなくなってきます。だからといって、これまで頑張ってきたピアノがなんとなくフェイドアウトで終わりというのは淋しいですよね。ピアノが弾けるようになって良かったんだというプラス体験をさせること、コンペティションの代わりに受け皿になることを見つけることも、指導者の大切な仕事です。

演奏する場所を自分で作ることもできるという経験は、自分のペースで音楽を続けたいという意志につながっていきますね。

逆に、今までの生徒さんに、「コンクールに落ちたからもうやめる!」と言われたことはありませんでしたか
ステップアドバイザーとして、各地でトークコンサートを開催
ステップアドバイザーとして、各地でトークコンサートを開催

もちろんありました。予選に通らないから他の先生にすると辞めていった方もいます。
最初はつらい時期もありましたが、だからといってコンペティションに生徒を出すことから逃げようだなんて、思いもしませんでした。
コンペティションは実力がすべて発揮できる場所ではありません。予選は通りそうだなと思っても、落ちてしまうこともあります。ですが、その悔しさ決して無駄ではありませんし、これほどに厳しい場所で頑張ってこられたことを誇ってほしい、と生徒に自信をつけて、フォローすることも出来るようになりました。

生徒をコンペティションに出すにあたり、メリット、指導者としての心構えを教えてください

コンペティションを取り入れると、確実に教室が活性化します。そうして前向きに頑張っている指導者の姿は、おのずと保護者の方に伝わるものです。
確かに、コンペティションに関わらず、ステージに生徒をたたせるということ、指導者にとってこれほど怖いことはありませんが、そこを乗り越えなければ、指導者として成功しているとは言えないのではないでしょうか。

「プロ意識」を育てる

厳しいことを言うようですが、課題曲くらいは指導者が弾けなければ、頑張っている生徒にしめしがつきません。これは指導者の学びの場でもあるのです。コンペティションの会場に足を運び、多くの参加者の演奏を聴いて、「聴衆に受け入れられる演奏」がどのようなものなのか学ぶことは、今後指導者としてのとても大きな財産になります。そのセンスを持ち合わせている指導者に育てられた生徒は、小さな「プロ意識」が芽生えてきます。

東金文化会館での演奏会を14年間続けている
自身も東金文化会館での演奏会を14年間続けている

どのようにして演奏を受け入れてもらうのか、どうしたら楽しく聴いてもらえるか、この曲で一番聴かせたいところはどこなのか、ステージの場数を踏み、多くのアドバイスをもらい、先生がおだてれば(笑)年齢に関係なく、一丁前のプロ意識が生まれてくるのです。そうしたら、もうピアノを今後一切弾かないでおこうなんて、そんなこと思わなくなりますよ。

最後に、今年初めてコンペティションに参加させる、という指導者にエールをお願いいたします

ピアノ指導者は先生でありながら、立派な個人実業家です。いただいているお月謝にいかにサービスで応えるかということが求められてきます。その「サービス」とは、生徒の成長に他なりません。
最初はつらいこともあるかと思いますが、まずは1人生徒を参加させ、当事者として会場に足を運んでみてください。必ず、得られるものがあるはずです。
ピアノを続けてくれる人が1人でも増えるように、指導者同士切磋琢磨して頑張りましょう!!

◆ 編集後記

とある本選会場に、運営として入っていた時の話です。

大舞台で立派に演奏を終えたA1級の女の子が、舞台袖で母親に抱きつき、静かに泣いている光景を目にしました。多くの人が出入りする騒がしい会場の片隅に、舞台の緊張感がそのまま残ったような、とても静かな2人の姿はとても印象的だったのを覚えています。

これは、ピアノコンクールのありふれた光景にすぎません。
ですが、発表会の会場では見受けられない光景でもあります。

大人でもひるむその舞台でのプレッシャーに立派に立ち向かった彼女が、その後どのような道に進んでも、きっと自分が定めた目標にむかって真っすぐと努力ができる素敵な人になってくれると思います。そんな彼女の隣に、いつもピアノが居続けてくれたら、これほど嬉しいことはありません。

コンペティションに出場すると、なぜピアノを長く続けてくれるのか。
今回多くの先生方、保護者の方、参加者の方のお話を聞いて、ふとその光景を思い出しました。

多くの方があの不思議な緊張感、高揚感の中できっと、特別な経験を多くの方がされたのではないでしょうか。今年の夏も、多くの素敵な参加者の方に出会えることを楽しみにしております。

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